グレムル前提のヒスムル(仮)25あれから1ヶ月が経ち、ヒースクリフは工房の仕事にかなり慣れて来た。
面倒だがやり甲斐のある鋸の点検、それを稼働させて振るう行為も身に染み付いて来た。
最近ではどう動けば相手の虚を突けるかも分かるようになって来ていた。
ムルソーとグレゴールを工房に残して一人だけ帰宅するのにはまだ慣れなかったが、ヒースクリフは働いて帰って入る風呂とベッドの気持ち良さを知った。
沈むように眠った翌日、寝過ぎて遅刻して以降は目覚ましによって起こされるようになったが。
そんなヒースクリフが設計部署であくびをしながら図面と向き合っていると、マルセルがコーヒーを持って来てくれる。
「あんた、ずっとコーヒー淹れてる訳じゃないよな……?」
「まさか〜、ちゃんとやってますよ〜上の人達と違って。」
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