グレムル前提のヒスムル(仮)16ムルソーと出会ったのはある冬の日の事だった。
事務所に所属してから2年が過ぎてやっとムルソーに会う機会が生まれたのだ。
あの時はまだ隈も薄くて体もしっかりしていた。
……書類の山もまだ低かった。
グレゴールが上の階のフィクサー達に仕事を分担しようと書類を持って部屋を見渡すと、一人だけ忙しそうなフィクサーが居たのでついそちらを見てしまったのだ。
そいつは一人で電話対応をしながら提出用の書類を書き上げて、どちらも終わると今度はパソコンに手を伸ばして仕事をしていた。
正直、外勤と武器の製造を担当しているグレゴールにとっては人間とは思えない動きだった。
「……何か御用でしょうか。」
まるでこの状態が通常運転かのようにこちらに視線だけを寄越して聞いてきたそいつに若干引きながらもグレゴールは十数枚の書類を見せた。
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