Yukkirai_pk
DONEウォロシマ隊長の足の爪に爪紅を塗るウォの話。
恋愛要素薄めです
薄紅「足の爪に爪紅を?」
商品を本部に運び入れた後の仕事の合間、少し雑談している際に提案してみることにした。
案の定、勧めてみれば彼女は怪訝そうな表情を見せた。
「靴を人前で脱ぐ機会はないが」
「見えない部位でも華やかになっていると気分が上がるらしいですよ」
シマボシの返答は全て予測した通りだったため、言葉を返すのにほとんど苦労はない。少し迷うような素振りを見せたことに売り込みの成功を予感して、ウォロは僅かに安堵した。
村外れで露店を開くと人の少ない時間帯を見計らって、彼女はよくウォロを訪ねる。口紅などを並べておくといくつもの商品を時間をかけて吟味しているこの人が、案外女性らしい趣味をしていることには最近気がついたばかりだった。
2956商品を本部に運び入れた後の仕事の合間、少し雑談している際に提案してみることにした。
案の定、勧めてみれば彼女は怪訝そうな表情を見せた。
「靴を人前で脱ぐ機会はないが」
「見えない部位でも華やかになっていると気分が上がるらしいですよ」
シマボシの返答は全て予測した通りだったため、言葉を返すのにほとんど苦労はない。少し迷うような素振りを見せたことに売り込みの成功を予感して、ウォロは僅かに安堵した。
村外れで露店を開くと人の少ない時間帯を見計らって、彼女はよくウォロを訪ねる。口紅などを並べておくといくつもの商品を時間をかけて吟味しているこの人が、案外女性らしい趣味をしていることには最近気がついたばかりだった。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ。連日の疲れが祟って調査隊室で倒れてしまったウォの話。
唄「……顔色が悪い。大丈夫か」
「そうでしょうか」
荷物を運び込んで一通りの手続きを終えたあと、シマボシにふと、顔をじっと見つめられた。と思えば、突然こんなことを問われてしまい、咄嗟に肯定も否定もできなかった。頭の回転が、ここ最近は己にしてはかなり鈍っているような気がしていた。目の前に薄ぼんやりと何かの膜があるような感覚だった。今思い返せば、体の疲れにさえ気づけていなかったのかもしれない。
「確かに、あまり休めてはいないので。でもこちら忙しくしているのは仕事以外の要件ですし、気になさらないでください」
と言ったとき、自分の脚から力がふっと抜けて、体がぐらりと傾いたのが分かった。シマボシが驚いたように目を見開いて立ち上がり、椅子ががたりと音を立てた。そこまでは覚えていた。
2741「そうでしょうか」
荷物を運び込んで一通りの手続きを終えたあと、シマボシにふと、顔をじっと見つめられた。と思えば、突然こんなことを問われてしまい、咄嗟に肯定も否定もできなかった。頭の回転が、ここ最近は己にしてはかなり鈍っているような気がしていた。目の前に薄ぼんやりと何かの膜があるような感覚だった。今思い返せば、体の疲れにさえ気づけていなかったのかもしれない。
「確かに、あまり休めてはいないので。でもこちら忙しくしているのは仕事以外の要件ですし、気になさらないでください」
と言ったとき、自分の脚から力がふっと抜けて、体がぐらりと傾いたのが分かった。シマボシが驚いたように目を見開いて立ち上がり、椅子ががたりと音を立てた。そこまでは覚えていた。
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DONEウォロシマ居眠りしているトゲピーをスケッチする隊長の話
えがく 放牧場の柵にもたれかかるようにして眠っている小さなポケモンを、シマボシはじっと見ていた。
仕事帰りに宿舎へ赴く前に放牧場に寄り、ポケモンたちの様子を見ることにしたのだが、ふと放牧場の外にいる一匹のトゲピーが目に入った。テルが捕まえたポケモンなのか、とも思ったが、彼からはまだ、トゲピーを捕まえたという報告は受けていない。となると、野生のポケモンが村に入り込んだか、それとも誰かの連れたポケモンが主人とはぐれたのか。
オハギは既に帰宅してしまったようで、周りには誰もいなかった。シマボシは辺りを見回し、そっと地面にしゃがみ込んだ。その小さなポケモンを起こしてしまわないように、帳面の最後のページを一枚静かに破り取って鉛筆を手に取る。硬い本を机がわりに膝に置いた。
2787仕事帰りに宿舎へ赴く前に放牧場に寄り、ポケモンたちの様子を見ることにしたのだが、ふと放牧場の外にいる一匹のトゲピーが目に入った。テルが捕まえたポケモンなのか、とも思ったが、彼からはまだ、トゲピーを捕まえたという報告は受けていない。となると、野生のポケモンが村に入り込んだか、それとも誰かの連れたポケモンが主人とはぐれたのか。
オハギは既に帰宅してしまったようで、周りには誰もいなかった。シマボシは辺りを見回し、そっと地面にしゃがみ込んだ。その小さなポケモンを起こしてしまわないように、帳面の最後のページを一枚静かに破り取って鉛筆を手に取る。硬い本を机がわりに膝に置いた。
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DONEウォロシマ※特殊設定
目を覚ましたら何故かケムッソの姿になってしまっていたウォロが、シマボシさんと一緒に謎の部屋に閉じ込められます。怖がってる隊長可愛いよね…
※毎度のことですが、ウォロがかなり調子に乗ってます 4353
Yukkirai_pk
DONEウォロシマシマボシさんにハンドクリームを塗るウォロの話。
双方敬語で仲は微妙。
てのひら「どうも、こちら頼まれていたキズぐすりです!」
「ありがとうございます、助かりました。机の横に置いておいてもらえませんか」
ギンガ団庁舎、扉を入ってすぐの位置にある調査隊本部の部屋。机の横に箱を下ろしたウォロが顔を上げると、ちょうどシマボシが机の引き出しを開けてごそごそと何かを探しているところであった。程なくして彼女は封筒を取り出し、椅子から立ち上がってウォロに差し出した。
「こちらお代です」
「ありがとうございます。今後ともご贔屓に」
中身を確認しながらふと彼女の方へと目を向ける。再び腰を下ろして机に向かった彼女は、忙しいのか部外者がまだ部屋にいるにも関わらず紙束を捲っている。
「っ、」
「どうされました?」
3203「ありがとうございます、助かりました。机の横に置いておいてもらえませんか」
ギンガ団庁舎、扉を入ってすぐの位置にある調査隊本部の部屋。机の横に箱を下ろしたウォロが顔を上げると、ちょうどシマボシが机の引き出しを開けてごそごそと何かを探しているところであった。程なくして彼女は封筒を取り出し、椅子から立ち上がってウォロに差し出した。
「こちらお代です」
「ありがとうございます。今後ともご贔屓に」
中身を確認しながらふと彼女の方へと目を向ける。再び腰を下ろして机に向かった彼女は、忙しいのか部外者がまだ部屋にいるにも関わらず紙束を捲っている。
「っ、」
「どうされました?」
Yukkirai_pk
DONEウォロシマウォ(→)←隊長
※事後表現有り
セフレのウォのことを好きになってしまった隊長が少しだけ嫉妬する話。
好きな人には強く出られないしちょっと女々しくなる隊長がとても好きです。
※ウォロと他のモブ女性が関係を持っています。 1884
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ新入り調査隊員シリーズhttps://www.pixiv.net/novel/series/9693246の小話。
相変わらず隊長が好きすぎて少し様子のおかしい主人公ショウとウォロの話です。
※ものすごく平和なラブコメ時空
※とってもキャラ崩壊
無益な争い「シマボシ‼︎ 調査隊の隊員が……!」
執務室にペリーラが駆け込んできて、只事ではないことが起こっていることがすぐに分かった。
「喧嘩を始めたと思ったら、訓練場で許可なく突然ポケモン勝負を始めて……周りが見えていないらしく、私が止めても全然聞かないんだ」
「分かったすぐ行く」
最近仲の特に悪い、例の二人か。ショウも大概だが、ウォロも大人気ない。
急いで庁舎を出て、訓練場へと向かう。
「ダイケンキ、あくのはどう‼︎」
「そんなもの効きませんよ! ガブリアス、あと少しです‼︎」
案の定、たくさんの野次馬を集めていたのは、ショウとウォロのポケモン勝負であった。ポケモン勝負の腕は調査隊、いや、ヒスイ中で一二を争う腕前の二人が戦っているとなれば、これだけ大騒ぎになるのは当たり前だ。
1651執務室にペリーラが駆け込んできて、只事ではないことが起こっていることがすぐに分かった。
「喧嘩を始めたと思ったら、訓練場で許可なく突然ポケモン勝負を始めて……周りが見えていないらしく、私が止めても全然聞かないんだ」
「分かったすぐ行く」
最近仲の特に悪い、例の二人か。ショウも大概だが、ウォロも大人気ない。
急いで庁舎を出て、訓練場へと向かう。
「ダイケンキ、あくのはどう‼︎」
「そんなもの効きませんよ! ガブリアス、あと少しです‼︎」
案の定、たくさんの野次馬を集めていたのは、ショウとウォロのポケモン勝負であった。ポケモン勝負の腕は調査隊、いや、ヒスイ中で一二を争う腕前の二人が戦っているとなれば、これだけ大騒ぎになるのは当たり前だ。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ・現パロ
・糖度高い
一番の注意事項
・ショウ(主人公)が両片思いの二人の成就を後押ししている
好敵手 携帯電話を握りしめたまま、小一時間が経過していた。メッセージアプリの、文面の打ち込まれていないトーク画面を開いたまま、ウォロはずっと考え込んでいた。
目的は一つ。冬のうちに、ある人をデートに誘うことだ。多忙な時期が無事に過ぎ、今しかないとリサーチを重ねておすすめのスポットを調べ上げ、誘おうと画面を開いた。そこまでは良かった。
どうしても勇気が出なかった。引かれたらどうしようかと少し立ち止まってしまったのがまずかったに違いない。こういうものは思い切りが大事だというのに。
諦めて携帯電話を机に置こうと伏せた時、ぽん、と軽快な通知音が鳴る。慌てて携帯電話を覗き込むが、そこに来ていたのは期待していた人からの連絡ではなかった。
2147目的は一つ。冬のうちに、ある人をデートに誘うことだ。多忙な時期が無事に過ぎ、今しかないとリサーチを重ねておすすめのスポットを調べ上げ、誘おうと画面を開いた。そこまでは良かった。
どうしても勇気が出なかった。引かれたらどうしようかと少し立ち止まってしまったのがまずかったに違いない。こういうものは思い切りが大事だというのに。
諦めて携帯電話を机に置こうと伏せた時、ぽん、と軽快な通知音が鳴る。慌てて携帯電話を覗き込むが、そこに来ていたのは期待していた人からの連絡ではなかった。
parvus_yuu
TRAINING原作時空のウォロシマウォロ。新婚三択て、ベタだけどイイですよね…。
新婚三択「ご飯にします?お風呂にします?それともワ・タ・ク・シ?」
「食事」
ギンガ団の本部から帰宅したシマボシに新婚三択を投げ、間髪入れずに返答されたウォロは眉尻をへにゃりと下げる。
「つれないですねぇ…。そんな所も魅力的ですけど」
「飽きもせず、毎回毎回よく言うなとある意味では感心している」
「ありがとうございます」
笑顔で礼を述べられ、履物を脱いでいたシマボシは怪訝な顔をした。
「礼を言われる事ではない気がするが。しかし、なぜ私がキミの望む回答を言わないのに毎回尋ねるんだ?」
その言葉を聞いたウォロの表情がスッと変わるのに気づき、シマボシはしまったと口に手を当てる。
「…へぇ、シマボシさんはジブンが望んでる答え…知ってるんですか?」
2374「食事」
ギンガ団の本部から帰宅したシマボシに新婚三択を投げ、間髪入れずに返答されたウォロは眉尻をへにゃりと下げる。
「つれないですねぇ…。そんな所も魅力的ですけど」
「飽きもせず、毎回毎回よく言うなとある意味では感心している」
「ありがとうございます」
笑顔で礼を述べられ、履物を脱いでいたシマボシは怪訝な顔をした。
「礼を言われる事ではない気がするが。しかし、なぜ私がキミの望む回答を言わないのに毎回尋ねるんだ?」
その言葉を聞いたウォロの表情がスッと変わるのに気づき、シマボシはしまったと口に手を当てる。
「…へぇ、シマボシさんはジブンが望んでる答え…知ってるんですか?」
parvus_yuu
TRAINING現パロで、モブ女に逆ナンされたウォロと、そこに遭遇したシマボシさんの話。前にも同じネタを書いたけど、今回はシマボシさん黙ってません。
結局、甘々ないつものイチャコラウォロシマです。
嫉妬──また、ナンパされているのか…。
シマボシは、見慣れた光景にふぅとため息をついた。
「もうすぐ彼女が来ますので、お引取りください」
「えー」
時刻は平日18時の帰宅ラッシュ。人がごった返すターミナル駅の改札付近にある広場。
広場内に何本かそびえ立つ柱の周囲を、待ち合わせをする人々がくるりと取り囲んでいる。
その中でも一際飛び抜けた身長と顔立ちの良いウォロは、知らない女性からの誘いを断っていた。
──知り合いなら会話を中断したら悪いと思って迂回したが、こんな事なら正面から切り込むべきだったな…。
シマボシは彼の斜め後ろ側から近づいていたので、ウォロは彼女の存在にまだ気がついていない。
シマボシはウォロの彼女なので堂々と正面から名乗りを上げて良いのだが、ごった返す人の波で近づくタイミングを掴めず、2人の後ろで立ち止まっている。
2474シマボシは、見慣れた光景にふぅとため息をついた。
「もうすぐ彼女が来ますので、お引取りください」
「えー」
時刻は平日18時の帰宅ラッシュ。人がごった返すターミナル駅の改札付近にある広場。
広場内に何本かそびえ立つ柱の周囲を、待ち合わせをする人々がくるりと取り囲んでいる。
その中でも一際飛び抜けた身長と顔立ちの良いウォロは、知らない女性からの誘いを断っていた。
──知り合いなら会話を中断したら悪いと思って迂回したが、こんな事なら正面から切り込むべきだったな…。
シマボシは彼の斜め後ろ側から近づいていたので、ウォロは彼女の存在にまだ気がついていない。
シマボシはウォロの彼女なので堂々と正面から名乗りを上げて良いのだが、ごった返す人の波で近づくタイミングを掴めず、2人の後ろで立ち止まっている。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ現パロホワイトデーの話。付き合ってる二人にいちゃいちゃしててほしかったのでさせました。
前のバレンタインの小説のとの繋がりは意識していないけど、少なくとも一月前にシマボシさんはウォロにチョコレートを渡している前提。
ホワイトデーの話「同じものを返すのは芸がないってのは分かってるんですけど、もう全然売ってなくて…!」
三月十四日、午後九時。夕食を終えた後、ゆっくりと茶でも飲もうかというタイミングで、唐突に差し出された紙袋の意味が分かるまで数秒。思えば、帰宅してからのウォロは今までやたらとそわそわしていた。一月前にシマボシが渡した物の、いわゆる「お返し」だということは理解できたが、彼の言葉の意味は分からない。机の上に置かれた濃い色合いの紙袋にプリントされたロゴを見れば、近くの駅の地下にある、最近話題の店のチョコレートであることはすぐに分かった。
「悩んでたら結局、今日まで何を返すか決められなくて、仕事終わりに買いに行ったらこの店のチョコレート以外の洋菓子が悉く売り切れに……」
1473三月十四日、午後九時。夕食を終えた後、ゆっくりと茶でも飲もうかというタイミングで、唐突に差し出された紙袋の意味が分かるまで数秒。思えば、帰宅してからのウォロは今までやたらとそわそわしていた。一月前にシマボシが渡した物の、いわゆる「お返し」だということは理解できたが、彼の言葉の意味は分からない。机の上に置かれた濃い色合いの紙袋にプリントされたロゴを見れば、近くの駅の地下にある、最近話題の店のチョコレートであることはすぐに分かった。
「悩んでたら結局、今日まで何を返すか決められなくて、仕事終わりに買いに行ったらこの店のチョコレート以外の洋菓子が悉く売り切れに……」
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DONEウォロシマ現パロです。雪の日のケーシィとウォロとシマボシさんの話。
※ケーシィの二人称を「彼」にしています
ゆきのひ「……かなり、疲れたな」
帰り道をとぼとぼと歩いていたシマボシは、ため息をついた。
朝から降っていた雪が積もったせいで、帰りの電車が遅延したのだ。この地方に来てまだ日が浅いシマボシにとって、降雪による寒さも身に染みた。加えて、今は仕事も丁度繁忙期であった。帰宅も遅くなり、すでに人通りはほとんど無い。先に帰宅しているであろう恋人に迎えを頼もうかとも考えたが、寒い中外に出て来させるのは忍びない気がして、数時間前に一度メッセージを入れて以来連絡はしていない。
日付が変わる前に何とか電車を捕まえることはできたものの、もう一本も指を動かすことができないほど、手袋の中が冷え切っている。
最後の角を曲がって自宅のマンションの前の通りが目に入った時、ふと、歩道沿いに何かがあるのが見えた。
2921帰り道をとぼとぼと歩いていたシマボシは、ため息をついた。
朝から降っていた雪が積もったせいで、帰りの電車が遅延したのだ。この地方に来てまだ日が浅いシマボシにとって、降雪による寒さも身に染みた。加えて、今は仕事も丁度繁忙期であった。帰宅も遅くなり、すでに人通りはほとんど無い。先に帰宅しているであろう恋人に迎えを頼もうかとも考えたが、寒い中外に出て来させるのは忍びない気がして、数時間前に一度メッセージを入れて以来連絡はしていない。
日付が変わる前に何とか電車を捕まえることはできたものの、もう一本も指を動かすことができないほど、手袋の中が冷え切っている。
最後の角を曲がって自宅のマンションの前の通りが目に入った時、ふと、歩道沿いに何かがあるのが見えた。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ現パロ。付き合ってる二人のバレンタインの話。
甘く愛しいもの「こっちは誰から貰ったものなんだ?」
「確か、同僚の……」
二月十四日、夜。ダイニングテーブルを挟んでウォロと向かい合ったシマボシは、名前を聞いて手元のメモに書き込む。
「ほら、キミも手を動かしてくれ」
「……はい」
児童生徒ならいざ知らず、大人になった今、職場で女性から男性に贈られるチョコレートには形式的な意味しかない。ウォロの働く会社でも、バレンタインデーとホワイトデーのチョコレートの贈り合いは辞めよう、という動きが起こったこともあったが、結局は今年も、大量に受け取ることとなった。例え恋人が居ることが周囲に知られていようと、去年とその量は変わらない。
シマボシは事務的に贈り主の名前をメモに書いていく。ホワイトデーの準備の為だ。貰ったものはきちんと返さなければ、というのが彼女の理論だった。貰ったものは二人で食べようと提案したウォロに対し、その代わりにリストアップを手伝う、と彼女が申し出てきたのはつい一時間前のことである。
2234「確か、同僚の……」
二月十四日、夜。ダイニングテーブルを挟んでウォロと向かい合ったシマボシは、名前を聞いて手元のメモに書き込む。
「ほら、キミも手を動かしてくれ」
「……はい」
児童生徒ならいざ知らず、大人になった今、職場で女性から男性に贈られるチョコレートには形式的な意味しかない。ウォロの働く会社でも、バレンタインデーとホワイトデーのチョコレートの贈り合いは辞めよう、という動きが起こったこともあったが、結局は今年も、大量に受け取ることとなった。例え恋人が居ることが周囲に知られていようと、去年とその量は変わらない。
シマボシは事務的に贈り主の名前をメモに書いていく。ホワイトデーの準備の為だ。貰ったものはきちんと返さなければ、というのが彼女の理論だった。貰ったものは二人で食べようと提案したウォロに対し、その代わりにリストアップを手伝う、と彼女が申し出てきたのはつい一時間前のことである。
parvus_yuu
MEMO現パロなれそめ、とりあえずこれで完了!全然まとまらなくて、3ヶ月もかかった…webオンリーでウォロシマ成分を摂取してここまではたどり着きました!ありがとうございます!
前回からの続きっぽく始まります…。
一応『現パロなれそめ』でタグ分けはしたので、もしよろしければ見ていただけると嬉しいです。
(本にする時は前回と合体させます…)
これまでも これからもそこからのウォロの手腕は見事だった。
サボりグセはあるものの商人として優秀だった男だ。相手の性格を見抜いてその懐に潜り込み、信用させる技術には長けている。
シマボシと口裏を合わせて、見事に彼女の家庭教師になると、あっという間にシマボシの成績を学年トップに押し上げて彼女の両親の信用を不動のものとした。
かつての彼女と同じように、厳しい言い方をしながらも根は優しく義理堅いシマボシの両親は孤児であるウォロを慮り、いつの間にか家族ぐるみの付き合いをするようになっていく。
人当たりがよく、好奇心旺盛なウォロは特にシマボシの父に気に入られ、ウォロが二十歳──という『設定の年齢』ではあるが──になった時、一緒に酒が飲めて嬉しいとまで言われた。
1751サボりグセはあるものの商人として優秀だった男だ。相手の性格を見抜いてその懐に潜り込み、信用させる技術には長けている。
シマボシと口裏を合わせて、見事に彼女の家庭教師になると、あっという間にシマボシの成績を学年トップに押し上げて彼女の両親の信用を不動のものとした。
かつての彼女と同じように、厳しい言い方をしながらも根は優しく義理堅いシマボシの両親は孤児であるウォロを慮り、いつの間にか家族ぐるみの付き合いをするようになっていく。
人当たりがよく、好奇心旺盛なウォロは特にシマボシの父に気に入られ、ウォロが二十歳──という『設定の年齢』ではあるが──になった時、一緒に酒が飲めて嬉しいとまで言われた。
parvus_yuu
TRAININGウォロシマというより、シマウォロぽい。夜中にうなされているォロを、ボシさんがヨシヨシしてるだけの話。
ヒスイでも現パロでもいけそうなので、あえてその辺りは描写しませんでした。
闇に添う灯火小さな子供の声が聞こえた気がして、シマボシは目を覚ました。
「……?」
しんとした部屋の空気から、まだ夜中である事がうかがえる。
隣の布団には、こちらに背を向けたウォロの姿があるだけで、他に人の気配は無かった。
普段ならシマボシの布団に潜り込んでピッタリと添い寝するウォロだが、明日は仕事で早出だからと今晩はそれぞれの布団に寝ている。
なお二人の間に子はいないので、そもそも子供の声が聞こえる可能性はほぼ無い。
──気のせいか。
シマボシが目を閉じようとした時。
「…ぅ…」
小さな声が、確かに聞こえた。
「…?」
シマボシは息を潜めて、耳を澄ます。
「……寒、い………よ…ぉ…」
発音がはっきりしないが、確かにそう聞き取れた。そして声は隣の布団の中から聞こえる。
1974「……?」
しんとした部屋の空気から、まだ夜中である事がうかがえる。
隣の布団には、こちらに背を向けたウォロの姿があるだけで、他に人の気配は無かった。
普段ならシマボシの布団に潜り込んでピッタリと添い寝するウォロだが、明日は仕事で早出だからと今晩はそれぞれの布団に寝ている。
なお二人の間に子はいないので、そもそも子供の声が聞こえる可能性はほぼ無い。
──気のせいか。
シマボシが目を閉じようとした時。
「…ぅ…」
小さな声が、確かに聞こえた。
「…?」
シマボシは息を潜めて、耳を澄ます。
「……寒、い………よ…ぉ…」
発音がはっきりしないが、確かにそう聞き取れた。そして声は隣の布団の中から聞こえる。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマどちらかというとウォロ←シマ。籠絡される隊長の話。R15程度。
夜半 窓から漏れ入る月明かりの下、小さな灯りを灯して隣に座る。彼の持ち込んだ本に目を落としつつも、ちらりと隣を盗み見た。
いつもどこか、薄暗く澱んでいるように見える彼の目は、こうして本を読んでいるひとときだけは、少しだけ輝きを増しているように見える。人間らしくない彼が、唯一人間らしく見える瞬間。シマボシはそれを気に入っていた。
イチョウ商会がいつもどこからか仕入れてくる本に対する、彼自身の知見を聞かせてほしい。そう最初に頼んだのは、いつだっただろうか。初めは、聡明な彼の考えを聞きたい、という純粋な好奇心を持っただけだった。いつしかその目的に、長く同じ時を過ごしたい、いや、何かに夢中になる彼のそばでその瞳を盗み見ていたい、という小さくも浅ましい動機が混ざった。
3145いつもどこか、薄暗く澱んでいるように見える彼の目は、こうして本を読んでいるひとときだけは、少しだけ輝きを増しているように見える。人間らしくない彼が、唯一人間らしく見える瞬間。シマボシはそれを気に入っていた。
イチョウ商会がいつもどこからか仕入れてくる本に対する、彼自身の知見を聞かせてほしい。そう最初に頼んだのは、いつだっただろうか。初めは、聡明な彼の考えを聞きたい、という純粋な好奇心を持っただけだった。いつしかその目的に、長く同じ時を過ごしたい、いや、何かに夢中になる彼のそばでその瞳を盗み見ていたい、という小さくも浅ましい動機が混ざった。
parvus_yuu
TRAINING現パロの甘さ増し増しウォロシマ。ボシさんはヒスイで寿命を全うした後に現代へ転生。
長寿ォロは、ずっと彼女が生まれ変わるの待ってた設定。
結婚後、初の冬を迎えた…な頃。
受けて、継ぐもの仕事を終えて帰宅したウォロは、玄関に置いてあった大きな段ボール箱の荷札を見ると顔をほころばせた。
「ただいま帰りました!」
「おかえり」
リビングの扉を開けて帰宅を告げると、台所から声だけが聞こえる。先に帰宅していたシマボシは料理中だったらしい。
ウォロが顔を出すと、彼女はタオルで手を拭いて駆け寄ってきた。
「すまない、洗い物をしていて」
「気にしないで下さい」
そう言ってシマボシの身体をぎゅっと抱き締めると、シマボシも腕をウォロの背中に回して応えてくれる。
「今日のご飯はなんですか?」
「肉じゃがにしたのだが……」
「やった!」
手先が器用なウォロは和洋中その他何でも美味しく作れるのだが、いわゆる家庭料理の部類はシマボシの味が大好きだ。
1632「ただいま帰りました!」
「おかえり」
リビングの扉を開けて帰宅を告げると、台所から声だけが聞こえる。先に帰宅していたシマボシは料理中だったらしい。
ウォロが顔を出すと、彼女はタオルで手を拭いて駆け寄ってきた。
「すまない、洗い物をしていて」
「気にしないで下さい」
そう言ってシマボシの身体をぎゅっと抱き締めると、シマボシも腕をウォロの背中に回して応えてくれる。
「今日のご飯はなんですか?」
「肉じゃがにしたのだが……」
「やった!」
手先が器用なウォロは和洋中その他何でも美味しく作れるのだが、いわゆる家庭料理の部類はシマボシの味が大好きだ。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ。警備隊員時代のボシさんとウォと初雪の話。恋愛要素は薄めです。
初雪 そのギンガ団警備隊員の女とは、すれ違えば話をするくらいの間柄だった。女性と積極的に話すようにすれば、商売が上手くいくことをウォロは既に学習している。
「おや、今から警備ですか」
冬の近づいた新しい村の目貫通り。目の前に現れた赤い服に声をかけると、彼女は振り返る。
「今完了したところだ」
「そうでしたか、お疲れ様です」
にっこりと笑えば、警備隊員――シマボシは、ありがとう、と短く礼を言った。いつも表情の変わらない彼女らしく、淡々とした声だった。
彼女とは特に親しいわけではない。一言二言、世間話を交わした。
「では、また」
そう声をかけて、その場を離れようとした時、視界にふと白い小さな靄が見えた。手を伸ばして掌に乗せれば、体温ですっと溶けて消えていく。見上げれば、同じものが曇り空からいくつも舞い落ちてきている。
1566「おや、今から警備ですか」
冬の近づいた新しい村の目貫通り。目の前に現れた赤い服に声をかけると、彼女は振り返る。
「今完了したところだ」
「そうでしたか、お疲れ様です」
にっこりと笑えば、警備隊員――シマボシは、ありがとう、と短く礼を言った。いつも表情の変わらない彼女らしく、淡々とした声だった。
彼女とは特に親しいわけではない。一言二言、世間話を交わした。
「では、また」
そう声をかけて、その場を離れようとした時、視界にふと白い小さな靄が見えた。手を伸ばして掌に乗せれば、体温ですっと溶けて消えていく。見上げれば、同じものが曇り空からいくつも舞い落ちてきている。
Yukkirai_pk
DOODLE一応、pixivのこのシリーズの続きになる→https://www.pixiv.net/novel/series/9693246
シマボシさんのことがめちゃくちゃ好きなショウとウォロが喧嘩してる話。キャラ崩壊しまくりにつき注意、特にウォの様子がおかしい。
「シマボシ隊長!! 調査報告書を……あっ!」
ギンガ団庁舎で歩いていたシマボシの元に、ショウは駆け寄った。そして、近づく直前に、ふらりとわざとバランスを崩した。
目の前にいる部下が転びそうになったシマボシは慌てて助けようとして腕を伸ばす。その腕の中にショウは収まり、まるで抱き着くような体勢になる。
「す、すみません」
そう言いながらも離れようとしないショウを、シマボシは肩を優しく持ち、助け起こした。
「大丈夫か」
「はい、ありがとうございます。おかげで怪我せずにすみました」
笑顔でショウが答えると、シマボシは、気を付けるように、と小さく忠告をして、その場を離れた。
しばらく彼女の後姿を見送っていたショウは、彼女が見えなくなったのを見送り、後ろを不意に振り向いた。舌をべ、と突き出し、勝ち誇った顔で見てやると、その視線の先にいる青年……ウォロは、あからさまに嫌そうな顔をして舌打ちをした。
2185ギンガ団庁舎で歩いていたシマボシの元に、ショウは駆け寄った。そして、近づく直前に、ふらりとわざとバランスを崩した。
目の前にいる部下が転びそうになったシマボシは慌てて助けようとして腕を伸ばす。その腕の中にショウは収まり、まるで抱き着くような体勢になる。
「す、すみません」
そう言いながらも離れようとしないショウを、シマボシは肩を優しく持ち、助け起こした。
「大丈夫か」
「はい、ありがとうございます。おかげで怪我せずにすみました」
笑顔でショウが答えると、シマボシは、気を付けるように、と小さく忠告をして、その場を離れた。
しばらく彼女の後姿を見送っていたショウは、彼女が見えなくなったのを見送り、後ろを不意に振り向いた。舌をべ、と突き出し、勝ち誇った顔で見てやると、その視線の先にいる青年……ウォロは、あからさまに嫌そうな顔をして舌打ちをした。
parvus_yuu
TRAINING今日の仕事、上司が仕事丸投げマンと自己中パワハラマンに振り回されて不憫になったので供養(に全くなっていない)嫁さんに癒やされてくれ…
弊ウォロシマは互いのスマホ位置情報を見られるようになってます。そういう機能あったよね?たぶん。
一緒に帰ろう今週は、とにかく仕事が多忙を極めた。
特に月末である今日はただでさえ仕事が多いのに、ろくに仕事をしない営業とパワハラ気味の他部署先輩に挟まれてそのフォローをしていたら、タフなシマボシといえどメンタルはあっという間にすり潰された。
定時を三時間程過ぎ、何とか帰宅出来る目処が立った所でシマボシはスマホを確認する。
二時間程前に、ウォロから連絡が来ていた。画面を開くと、美味しそうなスープの画像が現れる。
『今晩はミネストローネですよ』
ハートマークが連なるスタンプと一緒にメニューが記されていた。
「……」
しんと冷え切った一人きりのオフィス、疲労困憊した心身にそれはじんわりと染み渡る。
『疲れた』
今日は精神的に相当参っているらしい。いつもは絶対に書かない弱音を、ポロリと送ってしまった。
1429特に月末である今日はただでさえ仕事が多いのに、ろくに仕事をしない営業とパワハラ気味の他部署先輩に挟まれてそのフォローをしていたら、タフなシマボシといえどメンタルはあっという間にすり潰された。
定時を三時間程過ぎ、何とか帰宅出来る目処が立った所でシマボシはスマホを確認する。
二時間程前に、ウォロから連絡が来ていた。画面を開くと、美味しそうなスープの画像が現れる。
『今晩はミネストローネですよ』
ハートマークが連なるスタンプと一緒にメニューが記されていた。
「……」
しんと冷え切った一人きりのオフィス、疲労困憊した心身にそれはじんわりと染み渡る。
『疲れた』
今日は精神的に相当参っているらしい。いつもは絶対に書かない弱音を、ポロリと送ってしまった。
parvus_yuu
TRAINING風邪をひいたボシさんと、看病するォロの現パロなウォロシマ。今回も平和に健全な話。
ボシさんは仕事休むのめちゃくちゃ渋りそうだけど、ォロは躊躇いなく休みそう。
重ねた手のぬくもりピピピッ……ピピピッ……
ウォロは布団の中から腕を伸ばし、枕元にあったスマホを探り当ててアラームを止める。
「……シマボシさん、おはようございます……」
自分の身体にくっついて眠るシマボシに声をかけて起こすのが日課なのだが、今日の彼女はいつもと様子が違った。
「……ケホッ」
「……シマボシさん?」
いつもより頬が赤く、目はとろんとしておぼつかない。そしてその身体は普段よりも熱を帯びていた。
「シマボシさん⁉」
「う……」
彼女の異変に気づいたウォロはがばりと跳ね起きて、リビングの隅にある救急箱から体温計を持ってきた。
シマボシの脇にそれを差し込み、数分後。
「三十七度五分」
「……」
ウォロはふぅとため息を一つつくと、不安そうな表情のシマボシにきっぱりと宣言する。
2008ウォロは布団の中から腕を伸ばし、枕元にあったスマホを探り当ててアラームを止める。
「……シマボシさん、おはようございます……」
自分の身体にくっついて眠るシマボシに声をかけて起こすのが日課なのだが、今日の彼女はいつもと様子が違った。
「……ケホッ」
「……シマボシさん?」
いつもより頬が赤く、目はとろんとしておぼつかない。そしてその身体は普段よりも熱を帯びていた。
「シマボシさん⁉」
「う……」
彼女の異変に気づいたウォロはがばりと跳ね起きて、リビングの隅にある救急箱から体温計を持ってきた。
シマボシの脇にそれを差し込み、数分後。
「三十七度五分」
「……」
ウォロはふぅとため息を一つつくと、不安そうな表情のシマボシにきっぱりと宣言する。
parvus_yuu
TRAINING現パロで休日のウォロシマ。お家でのんびり団らんしているだけの話。
ティータイム「洗濯物、干し終わった」
シマボシがベランダから洗濯かごを抱えて戻ってくると、キッチンにいたウォロがヒョコリと顔を出した。
「こちらも洗い物終わりました。休憩にしましょうか」
「うむ」
シマボシは洗濯かごを洗濯機の側に置いて、リビングに戻る。
エプロンを外したウォロは、彼女をぎゅっと抱き締めた。
「外、寒かったでしょう」
「日が当たっている所は暖かかった」
「そうですか」
言いながら、彼はほんのりと赤く染まったシマボシの指先を包み込む。
「でも指先が冷えちゃってますから、温まるもの用意しますね」
「……感謝する」
冷えた指先を温めるように優しく触れられると、なんとなく気恥ずかしくて、彼女の頬が熱くなった。
ローテーブルには、すでに小皿に乗せられた四角いボックスクッキーが用意されていた。
1057シマボシがベランダから洗濯かごを抱えて戻ってくると、キッチンにいたウォロがヒョコリと顔を出した。
「こちらも洗い物終わりました。休憩にしましょうか」
「うむ」
シマボシは洗濯かごを洗濯機の側に置いて、リビングに戻る。
エプロンを外したウォロは、彼女をぎゅっと抱き締めた。
「外、寒かったでしょう」
「日が当たっている所は暖かかった」
「そうですか」
言いながら、彼はほんのりと赤く染まったシマボシの指先を包み込む。
「でも指先が冷えちゃってますから、温まるもの用意しますね」
「……感謝する」
冷えた指先を温めるように優しく触れられると、なんとなく気恥ずかしくて、彼女の頬が熱くなった。
ローテーブルには、すでに小皿に乗せられた四角いボックスクッキーが用意されていた。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ現パロホラー映画を一緒に見る二人の話。
・かっこいいウォも隊長もいません。
・隊長の怪力ネタ
・短い
怖い、怖くない「そういえば映画を借りてきたんですが、一緒に見ませんか」
夕食の後、ウォロがシマボシに話しかけると、シマボシは意外そうな顔をした。
「珍しいな。どうしたんだ」
「ちょっと気になってたのがありまして」
にこにこと笑いながら、ウォロが鞄からDVDを取り出して、彼女の前に示す。ディスクの上に記された禍々しい文字列に、シマボシは一歩退いた。
「……あの、一応聞きたいんだが、この映画のジャンルは」
「ホラーですよ。ほら、ちょっと前に話題になったものです。……もしかして、苦手ですか?」
「好んではいない」
少しだけたじろいだ様子を見るに、完全に平気というわけではないが、かといってトラウマになるほど怖がっているようでは無さそうだった。それならば都合が良い。
1895夕食の後、ウォロがシマボシに話しかけると、シマボシは意外そうな顔をした。
「珍しいな。どうしたんだ」
「ちょっと気になってたのがありまして」
にこにこと笑いながら、ウォロが鞄からDVDを取り出して、彼女の前に示す。ディスクの上に記された禍々しい文字列に、シマボシは一歩退いた。
「……あの、一応聞きたいんだが、この映画のジャンルは」
「ホラーですよ。ほら、ちょっと前に話題になったものです。……もしかして、苦手ですか?」
「好んではいない」
少しだけたじろいだ様子を見るに、完全に平気というわけではないが、かといってトラウマになるほど怖がっているようでは無さそうだった。それならば都合が良い。
Yukkirai_pk
DONE商会パワーで珍しい甘味(ポッ◯ーに似ている)をゲットしたウォロさんが、恋人のシマボシさんとそれを使って例のゲームをする話。途中から話は脱線していく。細かいことは気にしたら終わり。
注意
・世界観は原作ですがご都合主義世界線
・R15程度かもしれない 4419
Yukkirai_pk
DONE不可思議な感情支部に出してる「ようこそ新人」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17350270)
の続き。本編後ラブコメ。支部に投稿したものと同じです。
不可思議な感情銀河団の図書館から借りた本を抱えて廊下を歩いていた時、すれ違った拍子に人とぶつかった。本がばらばらと床に落ち、慌てて相手はしゃがんで本を拾い始める。
「あ、すみませ……げっ、ウォロさん」
「げっ、とは何ですか」
こちらの顔を見上げてようやくぶつかった相手に気が付き、あからさまに嫌そうな顔をした少女をウォロは睨みつけた。
以前は纏わりついては調査調査とうるさかったこの娘は、最近ウォロのことを敵視している。そうなったのは、ちょうど彼女と調査量の対決をした頃からだっただろうか。余程負けたのが悔しかったのだろうかと思うと少し愉快だった。
「なんの本借りたんですか。どうせ神話の……」
ショウはそう言って本の表紙を見て、首を傾げた。
9982「あ、すみませ……げっ、ウォロさん」
「げっ、とは何ですか」
こちらの顔を見上げてようやくぶつかった相手に気が付き、あからさまに嫌そうな顔をした少女をウォロは睨みつけた。
以前は纏わりついては調査調査とうるさかったこの娘は、最近ウォロのことを敵視している。そうなったのは、ちょうど彼女と調査量の対決をした頃からだっただろうか。余程負けたのが悔しかったのだろうかと思うと少し愉快だった。
「なんの本借りたんですか。どうせ神話の……」
ショウはそう言って本の表紙を見て、首を傾げた。
Yukkirai_pk
DOODLEウォロシマ超短文ss。
灰色や青色の目は光の加減によって色が同じに見えっていう話に基づいてる。
それなりに接触してるしそういう会話してるのでR15くらいだと思う。
青灰の瞳 抵抗するように肩を何度も押されたため仕方なく彼女の口を開放すると、シマボシは呼吸を整えようと息を大きく吸いこむ。
「な、何でこんなところで」
いつも彼女を抱く時は、夜の室内でのみだった。そのため、いきなり建物の影に引き込まれるという状況に、彼女は少し混乱しているようだ。
「ちょっと嫌なことがありまして。慰めてください」
碌な理由など思い浮かばなかったから、適当に誤魔化しつつウォロはまた唇を重ねようとする。しかし、それを防ぐようにシマボシがウォロの口を素早く掌で塞いだ。
「っ、やめろ! こんな場所で誰かに見られたら……」
ウォロはシマボシの手首を掴み、口に当てられた手のひらを下ろした。
「本当ですね。昼から、しかも外で隊長さんがこんなことしてるって知られたら大変です」
771「な、何でこんなところで」
いつも彼女を抱く時は、夜の室内でのみだった。そのため、いきなり建物の影に引き込まれるという状況に、彼女は少し混乱しているようだ。
「ちょっと嫌なことがありまして。慰めてください」
碌な理由など思い浮かばなかったから、適当に誤魔化しつつウォロはまた唇を重ねようとする。しかし、それを防ぐようにシマボシがウォロの口を素早く掌で塞いだ。
「っ、やめろ! こんな場所で誰かに見られたら……」
ウォロはシマボシの手首を掴み、口に当てられた手のひらを下ろした。
「本当ですね。昼から、しかも外で隊長さんがこんなことしてるって知られたら大変です」
parvus_yuu
TRAINING寒くなると、イチャラブはかどりますね!寒くてクタクタで帰ってきた日の、現パロなウォロシマのお話。
ただいま と おかえりその日の夜は、年末年始並みに冷え込んだ。
地面からの冷気は容赦なくシマボシの足腰を冷やし、北風はその指先と耳から体温を奪う。
「……寒い…」
ようやくマンションにたどり着き、残った気力を総動員して自分の家まで駆け足で進んだ。
「……カギ…」
かじかんだ指先がうまく動かせず、苦労しながら鍵を取り出して鍵穴に入れて雑に回す。
「……ただいま…」
普段以上に抑揚のない声で、シマボシは帰宅を告げた。
「……疲れた…」
シマボシが珍しくぐったりしているのは、寒さのせいだけではない。
今日は仕事のトラブルが相次ぎ、その対応に苦慮し、帰宅する頃には心身ともにヨレヨレになっていた。
もう、このまま寝てしまいたい──…。
「……」
パタパタ…
1664地面からの冷気は容赦なくシマボシの足腰を冷やし、北風はその指先と耳から体温を奪う。
「……寒い…」
ようやくマンションにたどり着き、残った気力を総動員して自分の家まで駆け足で進んだ。
「……カギ…」
かじかんだ指先がうまく動かせず、苦労しながら鍵を取り出して鍵穴に入れて雑に回す。
「……ただいま…」
普段以上に抑揚のない声で、シマボシは帰宅を告げた。
「……疲れた…」
シマボシが珍しくぐったりしているのは、寒さのせいだけではない。
今日は仕事のトラブルが相次ぎ、その対応に苦慮し、帰宅する頃には心身ともにヨレヨレになっていた。
もう、このまま寝てしまいたい──…。
「……」
パタパタ…
parvus_yuu
TRAININGまた待ち合わせネタ(書きやすいんだもの)モブ女に迫られたウォロさんと、その現場を目撃したボシさんの、現パロなウォロシマのお話。
悋気トトト……
仕事が終わり、シマボシの職場最寄り駅で彼女を待っていたウォロは、自分に近づいてくる気配を察知し顔を上げる。
「ウォロさん、こんばんは」
しかしそこにいたのは、待ち人ではなかった。
「……こんばんは」
ウォロは、なんでアナタがと言う言葉を必死に飲み込み、営業用の薄っぺらい笑みを顔に貼り付けて答える。
声をかけてきたのは、先日職場に来た派遣の女性だった。
部署が違うので接点は無く、彼女の挨拶周りの時に顔を合わせた程度の間柄である。
ウォロがいたのはこの近辺で一番栄えているターミナル駅だから、職場の人間が買い物等でいても不自然ではないのだが。
「何してるんですか?」
一昔前のアニメヒロインのような甲高い声で、彼女は尋ねる。
3673仕事が終わり、シマボシの職場最寄り駅で彼女を待っていたウォロは、自分に近づいてくる気配を察知し顔を上げる。
「ウォロさん、こんばんは」
しかしそこにいたのは、待ち人ではなかった。
「……こんばんは」
ウォロは、なんでアナタがと言う言葉を必死に飲み込み、営業用の薄っぺらい笑みを顔に貼り付けて答える。
声をかけてきたのは、先日職場に来た派遣の女性だった。
部署が違うので接点は無く、彼女の挨拶周りの時に顔を合わせた程度の間柄である。
ウォロがいたのはこの近辺で一番栄えているターミナル駅だから、職場の人間が買い物等でいても不自然ではないのだが。
「何してるんですか?」
一昔前のアニメヒロインのような甲高い声で、彼女は尋ねる。
parvus_yuu
TRAINING現パロのウォロシマ。先週の金曜がめっっちゃくちゃ寒かった時に思いついたものの、その日に完成できんかった…。
遅れたけど、完成できたからヨシ!(ポジティブ)
寒い日の待ち合わせぼんやりと遠くを見つめていたシマボシは、目的の人物を見つけるとほんの少しだけ表情が柔らかくなった。
「お待たせしました!」
おそらく会社から駆け足で来たのであろう、少しだけ息を弾ませたウォロが到着すると、彼女はお疲れさまと労いの声をかける。
「こんな外じゃなくて、中に入って待ってていいんですよ?」
シマボシが立っていたのは、駅ビルから外に三メートル程出た所だった。
今晩は気温が急激に下がって、生半可な防寒着では用をなさないくらいである。寒さに弱い彼女がわざわざ外で立っていた事に、ウォロは違和感を感じていた。
「今日は、人が多くて…」
ウォロは彼女の後方、改札と一体化している駅ビルの方に視線を移動させる。
「ふむ」
1363「お待たせしました!」
おそらく会社から駆け足で来たのであろう、少しだけ息を弾ませたウォロが到着すると、彼女はお疲れさまと労いの声をかける。
「こんな外じゃなくて、中に入って待ってていいんですよ?」
シマボシが立っていたのは、駅ビルから外に三メートル程出た所だった。
今晩は気温が急激に下がって、生半可な防寒着では用をなさないくらいである。寒さに弱い彼女がわざわざ外で立っていた事に、ウォロは違和感を感じていた。
「今日は、人が多くて…」
ウォロは彼女の後方、改札と一体化している駅ビルの方に視線を移動させる。
「ふむ」
parvus_yuu
MEMOウォロシマの現パロ再会編その3。ボシさん中学2年生。
ボシさんは転生前の記憶持ちとはいっても子供なので、原作より考えが甘かったり強引だったりしてもいいんじゃないかな…と個人的に思ってる。
今度こそ、再会シマボシは夕飯と風呂を手早く済ませると、宿題をするからと自室に戻った。
「さて」
途中まで綴っていた手紙を最後まで書ききると、飾り気のない白い封筒に入れてケーシィに渡す。
「これを頼む」
表にはヒスイの文字で『ウォロ殿』と。裏には『シマボシより』と明記してあった。
「ケェ!」
元気に返事をしたケーシィの周りの空間がぐにゃりと歪み、その姿が見えなくなる。
ヴォン…
そして一分も経たないうちにケーシィは戻り、その手には淡いブルーの封筒が握られていた。
表には『シマボシ殿』、裏には『ウォロより』と明記してある。
「ケェ」
「ありがとう、ケーシィ」
お礼に手作りのコトブキマフィンを渡すと、ケーシィは嬉しそうに食べ始めた。
その様子を微笑ましく見守りながら、シマボシは封筒を丁寧に開封する。
7845「さて」
途中まで綴っていた手紙を最後まで書ききると、飾り気のない白い封筒に入れてケーシィに渡す。
「これを頼む」
表にはヒスイの文字で『ウォロ殿』と。裏には『シマボシより』と明記してあった。
「ケェ!」
元気に返事をしたケーシィの周りの空間がぐにゃりと歪み、その姿が見えなくなる。
ヴォン…
そして一分も経たないうちにケーシィは戻り、その手には淡いブルーの封筒が握られていた。
表には『シマボシ殿』、裏には『ウォロより』と明記してある。
「ケェ」
「ありがとう、ケーシィ」
お礼に手作りのコトブキマフィンを渡すと、ケーシィは嬉しそうに食べ始めた。
その様子を微笑ましく見守りながら、シマボシは封筒を丁寧に開封する。
parvus_yuu
TRAINING久しぶりに現パロで同棲ウォロシマ。王道の『彼女の膝枕で耳かきして欲しい』ネタ。
久しぶりに健全です()
膝枕で耳かきを「なんだこれは」
夜遅くに仕事から帰ってきたウォロが、満面の笑顔でシマボシの目の前に出してきた物。それは──…。
「耳かきです!」
「知っている」
竹で出来ていて白い梵天のついている、ヘラ型のオーソドックスな耳かきだった。
「シマボシさんに、耳掃除してほしくて!」
ウォロはふわふわの白い梵天を指でそっとなでながら、購入した理由を教えてくれる。
「……唐突だな。自分でやらない理由は?」
「好きな人の膝枕で耳かきをしてもらう……男のロマンですよ‼」
たまたまそのネタを知ったのか、虎視眈々と狙っていたのかは不明だが、膝枕で耳かきというシチュエーションを体験してみたいという好奇心が原動力なのはよく分かった。
「耳の健康を考えると、むしろ耳かきはしないほうが良いのだが」
2500夜遅くに仕事から帰ってきたウォロが、満面の笑顔でシマボシの目の前に出してきた物。それは──…。
「耳かきです!」
「知っている」
竹で出来ていて白い梵天のついている、ヘラ型のオーソドックスな耳かきだった。
「シマボシさんに、耳掃除してほしくて!」
ウォロはふわふわの白い梵天を指でそっとなでながら、購入した理由を教えてくれる。
「……唐突だな。自分でやらない理由は?」
「好きな人の膝枕で耳かきをしてもらう……男のロマンですよ‼」
たまたまそのネタを知ったのか、虎視眈々と狙っていたのかは不明だが、膝枕で耳かきというシチュエーションを体験してみたいという好奇心が原動力なのはよく分かった。
「耳の健康を考えると、むしろ耳かきはしないほうが良いのだが」
parvus_yuu
MEMOウォロシマ現パロ再会編その2。前回のお宮参り編の続き。三歳の幼ボシさんと長寿ォロの、一瞬の再会。
叩き台なので続かないかもしれないけど、せっかくかけたからポイする。
やっぱりケーシィパパ出すの楽しいわね…
束の間の、再会夏の暑さも落ち着き、昼間でも心地よい気温となった秋のある晴れた日。
ウォロは、ホウエンのとある公園にいた。
「久しぶりにこちらへ来ましたが、元気そうで何よりですね」
目的は、転生したかつての伴侶──シマボシの様子の確認だ。
この辺りの地主である一族の分家の長子として誕生したシマボシは、現在三歳。
信頼出来る伝手からの情報では、両親からは厳しくも愛情を持って育てられているという。
シマボシがこの地に転生した事を突き止め、彼女のお宮参りに確認した後、ウォロはこの辺りから離れていた。出来る事なら彼女のすぐ側に居続けたかったが、それには自身の長寿という特性が仇になる。
ただでさえ見目が良く目立つウォロは、他人の記憶に残りやすい。
2805ウォロは、ホウエンのとある公園にいた。
「久しぶりにこちらへ来ましたが、元気そうで何よりですね」
目的は、転生したかつての伴侶──シマボシの様子の確認だ。
この辺りの地主である一族の分家の長子として誕生したシマボシは、現在三歳。
信頼出来る伝手からの情報では、両親からは厳しくも愛情を持って育てられているという。
シマボシがこの地に転生した事を突き止め、彼女のお宮参りに確認した後、ウォロはこの辺りから離れていた。出来る事なら彼女のすぐ側に居続けたかったが、それには自身の長寿という特性が仇になる。
ただでさえ見目が良く目立つウォロは、他人の記憶に残りやすい。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ寝ぼけてウォのことを父さん呼びするボシさん。
・ボシさんの過去捏造
・直接的な描写はないけどやることやってる。
・付き合っていない。
・暗い
・ウォが過去に他の女性たちと関係を持っている。 1062
parvus_yuu
MEMOポイポイしてる現パロのウォロシマ、出会いどうするか悩み中なので、とりあえず叩き台を作ってみた。不器用な進捗の二人の現パロ版。
ォロはシンオウ人(長寿)でずっと生き続け、ボシは転生(過去記憶有り)
叩き台なので、続くかは分からない()
邂逅「落としましたよ」
ぼんやりと明るい世界に、その声は突然響き渡った。
「感謝する」
淡々とした低い声は父。
「すみません、ありがとうございます」
少し控えめな、落ち着いた母の声。
「いえ、気づいて良かったです」
そして『知らないけれど、知っている』男の声。
私は、彼を知っている。
遥か昔。
ここではない、寒さの厳しい過酷な…美しいヒスイの大地。
私達は出逢って、新しい命を育み、そして朽ちた。
そう、私の最期の時──キミと約束をしたのだ。必ず、何百年かかっても、また逢おうと。
「今日は、お宮参りですか?」
「そうなんです。この子、今日が初めてのお出かけで…」
昔と変わらない声で彼が話しかけ、母が返答しているようだ。
悔しいかな。生まれて一ヶ月程度の目では、周りが明るいか暗いかしか判断できない。
1675ぼんやりと明るい世界に、その声は突然響き渡った。
「感謝する」
淡々とした低い声は父。
「すみません、ありがとうございます」
少し控えめな、落ち着いた母の声。
「いえ、気づいて良かったです」
そして『知らないけれど、知っている』男の声。
私は、彼を知っている。
遥か昔。
ここではない、寒さの厳しい過酷な…美しいヒスイの大地。
私達は出逢って、新しい命を育み、そして朽ちた。
そう、私の最期の時──キミと約束をしたのだ。必ず、何百年かかっても、また逢おうと。
「今日は、お宮参りですか?」
「そうなんです。この子、今日が初めてのお出かけで…」
昔と変わらない声で彼が話しかけ、母が返答しているようだ。
悔しいかな。生まれて一ヶ月程度の目では、周りが明るいか暗いかしか判断できない。
Yukkirai_pk
DONEウォロシマ現パロ花火大会に行く付き合ってない二人の話。
今のところウォロ→シマですが、シマボシさんも多分無自覚にウォロのこと好きなので実質両思いです。
夏の夜空に「『花火より、アナタの方が綺麗ですよ』……少しベタすぎる気もしますが、これで練習は十分でしょう」
浴衣の襟を整えながら何度口に出したか分からない言葉をもう一度繰り返した時、机の上に置いておいた携帯電話が鳴った。散らばった財布やらなにやらの中から慌てて携帯電話を拾い上げる。
「もしもし?」
「私だ。そろそろ駅に向かおうと思っているんだが、そちらの準備の様子はどうだ?」
「もうほとんど完了です。今から駅に向かいますね」
「分かった。じゃあまた後で会おう」
簡潔にそう告げて、電話の相手――シマボシは電話を切った。一見普段と変わらない彼女の口調の節々に楽しげな気配を感じ取り、ウォロは上機嫌で携帯や財布を小物入れに放り込んでいく。
3110浴衣の襟を整えながら何度口に出したか分からない言葉をもう一度繰り返した時、机の上に置いておいた携帯電話が鳴った。散らばった財布やらなにやらの中から慌てて携帯電話を拾い上げる。
「もしもし?」
「私だ。そろそろ駅に向かおうと思っているんだが、そちらの準備の様子はどうだ?」
「もうほとんど完了です。今から駅に向かいますね」
「分かった。じゃあまた後で会おう」
簡潔にそう告げて、電話の相手――シマボシは電話を切った。一見普段と変わらない彼女の口調の節々に楽しげな気配を感じ取り、ウォロは上機嫌で携帯や財布を小物入れに放り込んでいく。
parvus_yuu
TRAININGウォロとシマボシさんが一緒に住む事を決めた~実際に引っ越した日の夜の話。健全です()
並んだ布団ウォロとシマボシが籍を入れる事を決めた後。
一緒に住む新居の事について決めるため、今日はシマボシがウォロのアパートを訪れていた。
「いい部屋が見つかって良かったですよね。運がいい」
「キミの交渉術の賜物だな」
「んふふ。お褒めに預かり光栄です」
先週末に家探しをしていたところ、お互いの通勤に便利な場所に好条件の物件が見つかった。
その場で不動産屋に乗り込み、内見。かなり人気があったらしいが営業職で培われたウォロの交渉術のおかげで早々に契約を済ませられたのだ。
今日は部屋の割振りや家具について検討する事になっている。
「じゃあ、冷蔵庫はシマボシさんの使ってるファミリータイプのをそのまま使う…と。次は寝室ですね」
「あ……」
1827一緒に住む新居の事について決めるため、今日はシマボシがウォロのアパートを訪れていた。
「いい部屋が見つかって良かったですよね。運がいい」
「キミの交渉術の賜物だな」
「んふふ。お褒めに預かり光栄です」
先週末に家探しをしていたところ、お互いの通勤に便利な場所に好条件の物件が見つかった。
その場で不動産屋に乗り込み、内見。かなり人気があったらしいが営業職で培われたウォロの交渉術のおかげで早々に契約を済ませられたのだ。
今日は部屋の割振りや家具について検討する事になっている。
「じゃあ、冷蔵庫はシマボシさんの使ってるファミリータイプのをそのまま使う…と。次は寝室ですね」
「あ……」
parvus_yuu
TRAINING現パロシリーズ。夏バテしたウォロを気遣う、シマボシさんの話。
いつもの通りで甘い。
夏休み前夜夏季休暇前日。定時間際のイチョウ商事は、すでに気分が夏休みモードに移行しつつある社員で賑わっていた。
「…ウォロさん…顔色めちゃくちゃ悪くない?」
ぐるぅり……
エシモに声をかけられた重苦しい雰囲気を纏う男は、目の下にクマをこさえて疲れ切った顔で振り返った。
「暑くて、なかなか眠れなくて…」
八月のお盆前。
夜中になっても気温は三十度近くまで上がったままの日もあり、寝苦しい夜が続いている。
「冷房は?」
「一応つけてますけど、シマボシさんすごく寒がりなんで二十八度が限界なんですよ…。一度ジブンに合わせて二十五度まで下げてもらったら、一晩で風邪ひいてしまったから、これ以上下げるのはちょっと…」
「夏の間だけ寝室を別にしたら?」
2842「…ウォロさん…顔色めちゃくちゃ悪くない?」
ぐるぅり……
エシモに声をかけられた重苦しい雰囲気を纏う男は、目の下にクマをこさえて疲れ切った顔で振り返った。
「暑くて、なかなか眠れなくて…」
八月のお盆前。
夜中になっても気温は三十度近くまで上がったままの日もあり、寝苦しい夜が続いている。
「冷房は?」
「一応つけてますけど、シマボシさんすごく寒がりなんで二十八度が限界なんですよ…。一度ジブンに合わせて二十五度まで下げてもらったら、一晩で風邪ひいてしまったから、これ以上下げるのはちょっと…」
「夏の間だけ寝室を別にしたら?」
parvus_yuu
TRAINING初デートのウォロシマ。完成したのを間違って全て消したが復活させたぞ‼(自業自得)
初デート「……」
ウォロとシマボシは、互いになんとも言えない表情で向かい合っていた。
黒のビジネススーツに、淡い水色のYシャツ。鮮やかな青地に細い黄色の斜めストライプが入ったネクタイと、黒いプレーントゥのシューズのウォロ。
紺色のリクルートスーツに、清楚な白いYシャツ。飾り気のない黒のプレーンパンプスのシマボシ。
これを見て『初デート』という正解を導き出せる者は皆無であろう。
どこからどう見ても『営業部に入った新人を、先輩が外回りに連れて行く』というシチュエーションであった。
ミーンミンミンミー…ン……
ジーワジワジワジワ……
夏の盛。
すでに気温は三十度を越え、二人の額には大粒の汗が浮かび始めている。
「…とりあえず、涼しい所で何か飲みませんか?」
1990ウォロとシマボシは、互いになんとも言えない表情で向かい合っていた。
黒のビジネススーツに、淡い水色のYシャツ。鮮やかな青地に細い黄色の斜めストライプが入ったネクタイと、黒いプレーントゥのシューズのウォロ。
紺色のリクルートスーツに、清楚な白いYシャツ。飾り気のない黒のプレーンパンプスのシマボシ。
これを見て『初デート』という正解を導き出せる者は皆無であろう。
どこからどう見ても『営業部に入った新人を、先輩が外回りに連れて行く』というシチュエーションであった。
ミーンミンミンミー…ン……
ジーワジワジワジワ……
夏の盛。
すでに気温は三十度を越え、二人の額には大粒の汗が浮かび始めている。
「…とりあえず、涼しい所で何か飲みませんか?」
parvus_yuu
TRAININGボシさんは現パロでも浴衣の着付けできそうだなぁ…(着物も訪問着とかは着付け出来そう)からの産物。原作でも祭あったけど(公式様、ホントありがとうございます)夏祭り…いいよね…
耳元に彩り紺色の角帯をキュッと貝の口に結ぶと、シマボシはふぅと息をついた。
「コレで完成だ」
「ありがとうございます」
シマボシの部屋の姿見の前で、くるくる回って浴衣姿を確認したウォロは、シマボシに礼を言う。
「着付けが出来るなんて、器用ですねぇ」
「実家にいた時に習っただけだ。簡単なものしか出来ない」
「着付けが出来ないジブンからしたら、充分すごいんですけどねぇ」
と言いながら部屋から出る気配の無い彼を、シマボシは睨みつけた。
「着替えるから出ろ」
「えー。シマボシさんが浴衣着るトコロ、見たいんですけど」
「断る」
「うー…分かりました」
すっぱりと断る時は譲歩する気が無い事を、ウォロは経験則で知っている。これから近所の祭に行くのに機嫌を損ねるのは得策では無いので、彼は大人しく部屋を出た。
1191「コレで完成だ」
「ありがとうございます」
シマボシの部屋の姿見の前で、くるくる回って浴衣姿を確認したウォロは、シマボシに礼を言う。
「着付けが出来るなんて、器用ですねぇ」
「実家にいた時に習っただけだ。簡単なものしか出来ない」
「着付けが出来ないジブンからしたら、充分すごいんですけどねぇ」
と言いながら部屋から出る気配の無い彼を、シマボシは睨みつけた。
「着替えるから出ろ」
「えー。シマボシさんが浴衣着るトコロ、見たいんですけど」
「断る」
「うー…分かりました」
すっぱりと断る時は譲歩する気が無い事を、ウォロは経験則で知っている。これから近所の祭に行くのに機嫌を損ねるのは得策では無いので、彼は大人しく部屋を出た。
parvus_yuu
TRAININGふぉろわさんの『ボシさんはデパコス使い』なツイから『ォロはコスメカウンターに付いてきて、BAさんと仲良くなりそう』に発展し、更に妄想が斜め上になった話。粧飾ウォロが指定の場所に到着すると、間もなくシマボシが駆け足でやって来る。
「シマボシさん、お疲れ様です」
「待たせて済まない」
「ジブンも今着いたところですよ」
今日は珍しく二人の退勤時間が近かったため、家に近いシマボシの職場の最寄り駅で待合せをする事にしたのだ。
「少し寄り道してもいいか?もうすぐ化粧品が無くなるんだ」
「もちろん」
二人は、駅に隣接するデパートへ入った。華やかな化粧品が並ぶコスメカウンターに、ウォロは興味津々である。
「デパートのコスメカウンターって、初めて来ました」
「男性は、なかなか来る機会がないからな…。嫌ではないか?」
「ウチは化粧品も取り扱ってますし、非常に興味をそそられますね!」
「そうか」
1199「シマボシさん、お疲れ様です」
「待たせて済まない」
「ジブンも今着いたところですよ」
今日は珍しく二人の退勤時間が近かったため、家に近いシマボシの職場の最寄り駅で待合せをする事にしたのだ。
「少し寄り道してもいいか?もうすぐ化粧品が無くなるんだ」
「もちろん」
二人は、駅に隣接するデパートへ入った。華やかな化粧品が並ぶコスメカウンターに、ウォロは興味津々である。
「デパートのコスメカウンターって、初めて来ました」
「男性は、なかなか来る機会がないからな…。嫌ではないか?」
「ウチは化粧品も取り扱ってますし、非常に興味をそそられますね!」
「そうか」
parvus_yuu
TRAINING以前、フォロワー様がスポブラボシさんのマンガ書いていらして、暑い時のボシさんはスポブラで部屋の中を徘徊してォロに怒られそうだな…と妄想が飛躍した産物。無自覚の罪キィ…
シマボシが風呂から上がり、スポーツブラとホットパンツという出で立ちで麦茶をコップに注いでいると、玄関のドアが開く音がした。
そして間もなく、リビングのドアが開く。
「おかえり」
「ただいま戻りまし…」
ドンッ!
言いかけたスーツ姿のウォロが、突然シマボシの両腕を掴んで壁に押し付ける。
「ウォロ⁉」
──何か、気に障るような事をしただろうか?
彼の険しい表情に、シマボシは困惑して動けなかった。
「シマボシさん、コレ…一体どこのどいつにつけられたんです?」
「はぁっ⁉」
ウォロの言葉が理解出来ず、シマボシは素っ頓狂な声を出してしまう。
「この脇腹の所!ジブン、ここに痕を付けてないんですが!」
「…脇腹?」
見ると右の脇腹に一か所、ウォロの所有痕そっくりな小さくて赤い円状の痕が出来ていた。
1187シマボシが風呂から上がり、スポーツブラとホットパンツという出で立ちで麦茶をコップに注いでいると、玄関のドアが開く音がした。
そして間もなく、リビングのドアが開く。
「おかえり」
「ただいま戻りまし…」
ドンッ!
言いかけたスーツ姿のウォロが、突然シマボシの両腕を掴んで壁に押し付ける。
「ウォロ⁉」
──何か、気に障るような事をしただろうか?
彼の険しい表情に、シマボシは困惑して動けなかった。
「シマボシさん、コレ…一体どこのどいつにつけられたんです?」
「はぁっ⁉」
ウォロの言葉が理解出来ず、シマボシは素っ頓狂な声を出してしまう。
「この脇腹の所!ジブン、ここに痕を付けてないんですが!」
「…脇腹?」
見ると右の脇腹に一か所、ウォロの所有痕そっくりな小さくて赤い円状の痕が出来ていた。