そのこ
DOODLE2主君たちがノースウィンドウに行っている間のサウスウィンドウ側。フリックとバーバラ。ネクロードという考えが、フリックはじめ残った人間の頭に浮かんだかな、どうかな。2025-04-23
ビクトール自身から話を聞いたことはない。だた漏れ聞こえる話があったり、自分でも調べてみた結果としてしっている事実と、なんだかんだと長くなってしまった付き合いの中で、なんとなく知れる事を総合しているだけの話だ。
「ビクトール、ノースウィンドウへ行ったんだって?」
合流してきたバーバラが心配そうに眉を寄せる。彼女がまとめた備蓄のリストを捲りながら、何度目か頷いた。
「そう。市長の要請でな」
「随分と酷なことをさせるじゃないか」
「……俺もそう思う」
傭兵たちはなんだかんだとサウスウィンドウに集まってきていたが、宿に顔を出した奴から順に少し離れた村に借りた小屋に向かわせることにしていた。ここにいるのは非戦闘員だけにしておいたほうがいい。サウスウィンドウはまだ俺たちの雇い主じゃないからだ。なんの権限もないのに、ただ武力だけ存在していてはいろいろと邪魔になるだろう。
1601ビクトール自身から話を聞いたことはない。だた漏れ聞こえる話があったり、自分でも調べてみた結果としてしっている事実と、なんだかんだと長くなってしまった付き合いの中で、なんとなく知れる事を総合しているだけの話だ。
「ビクトール、ノースウィンドウへ行ったんだって?」
合流してきたバーバラが心配そうに眉を寄せる。彼女がまとめた備蓄のリストを捲りながら、何度目か頷いた。
「そう。市長の要請でな」
「随分と酷なことをさせるじゃないか」
「……俺もそう思う」
傭兵たちはなんだかんだとサウスウィンドウに集まってきていたが、宿に顔を出した奴から順に少し離れた村に借りた小屋に向かわせることにしていた。ここにいるのは非戦闘員だけにしておいたほうがいい。サウスウィンドウはまだ俺たちの雇い主じゃないからだ。なんの権限もないのに、ただ武力だけ存在していてはいろいろと邪魔になるだろう。
そのこ
DOODLEノースウィンドウ。ネクロードの生存が明らかになった時。2主君からみたビクトールさん。2主君はビクトールさんが好き。2025-04-22
「タイラギ、もしビクトールがおかしくなったらさっさと逃げていいからな」
宿を出る前フリックさんが僕にだけ、それこそおかしな事をいった。対処法でもなんでもなく、ただ逃げろなんて。
ビクトールさんの様子、たしかにずっとおかしかった。その原因が目の前に広がる廃村だ。建物がそこそこきれいに残っているのに、やたらと道々に墓標が建っているのが異様な、静かな静かな風景。
ナナミもアイリさんも言葉がないみたいだった。フリードさんは知っていたのか、いると噂されている化け物を警戒してあたりを見渡している。
ビクトールさんだけがまるで作り物みたいにいつものように笑って見せた。
「なんもねえとこだろ」
2077「タイラギ、もしビクトールがおかしくなったらさっさと逃げていいからな」
宿を出る前フリックさんが僕にだけ、それこそおかしな事をいった。対処法でもなんでもなく、ただ逃げろなんて。
ビクトールさんの様子、たしかにずっとおかしかった。その原因が目の前に広がる廃村だ。建物がそこそこきれいに残っているのに、やたらと道々に墓標が建っているのが異様な、静かな静かな風景。
ナナミもアイリさんも言葉がないみたいだった。フリードさんは知っていたのか、いると噂されている化け物を警戒してあたりを見渡している。
ビクトールさんだけがまるで作り物みたいにいつものように笑って見せた。
「なんもねえとこだろ」
そのこ
DOODLEミューズ陥落直後。フリックとビクトール。アナベルの死、腐れ縁はミューズ陥落の段階で気づいてたよなあって。2025-04-21
小さな小屋で舟を待っている。王国軍の手はコロネまで回っていたが、流通が完全に途絶える事はない。ただ、裏には回るから、ミューズから押し寄せた避難民は港の周りで立往生を強いられている。
自分たちはいつか貸しを作ったコロネの大地主が出すという舟に乗せてもらう手筈だ。広くもない小屋には、似たように逃げてきた金持ちやら彼らが雇った傭兵やらが車座を組んで座っていた。このまま夜まで待つ。傭兵たちも自分たち以上の情報は持っておらず、分かるのは、ミューズが落ちたという事ぐらい。正規軍は自分たち傭兵部隊が撤退するのとほぼ時を同じくして壊滅したという。
まったく、どうしたものやら。
本当に手の届く範囲の市民だけを逃がして、傭兵連中には散り散りになるよう命じるのが精一杯。サウスウィンドウへ、と言いはしたものの、あそこで自分たちが受け入れられるのかも今は分からない。
1146小さな小屋で舟を待っている。王国軍の手はコロネまで回っていたが、流通が完全に途絶える事はない。ただ、裏には回るから、ミューズから押し寄せた避難民は港の周りで立往生を強いられている。
自分たちはいつか貸しを作ったコロネの大地主が出すという舟に乗せてもらう手筈だ。広くもない小屋には、似たように逃げてきた金持ちやら彼らが雇った傭兵やらが車座を組んで座っていた。このまま夜まで待つ。傭兵たちも自分たち以上の情報は持っておらず、分かるのは、ミューズが落ちたという事ぐらい。正規軍は自分たち傭兵部隊が撤退するのとほぼ時を同じくして壊滅したという。
まったく、どうしたものやら。
本当に手の届く範囲の市民だけを逃がして、傭兵連中には散り散りになるよう命じるのが精一杯。サウスウィンドウへ、と言いはしたものの、あそこで自分たちが受け入れられるのかも今は分からない。
そのこ
DOODLE漁師組。タイ・ホーとヤム・クー。よくまあ縁もゆかりもないのに王国軍ににらまれるようなことするよな。2025-04-20
「俺の目は5だな」
賽を触るのも、誰かとばくちをするのも何もかも慣れていない風情ではあった。だがタイ・ホーと相対し、茶碗が目の前に置かれた以上の事を考えてはいないようにも見えた。
目的は舟を出してもらうことで、そのためには自分たちのようなどう見ても堅気には見えない人間と、同じ土俵に上がらねばならぬという緊張感すらなかった。
子供はただ、目の前だけを見ていた。後ろにいる女の子供のほうがよっぽど緊張している。目が泳ぎ、子供の服をつかむ手が震えている。そんなことさえ、まったく意に介さない。
思ったよりも面白い話かもしれない。なんにしろ、賽が何をいうかだが。
「次はお前さんの番だ」
差し出された手に賽を転がしてやる。震えてもいないし、冷えてもいない。子供らしい大きな目が、揺らぎも恐れもなしにただやるべきことを見据えている。
1482「俺の目は5だな」
賽を触るのも、誰かとばくちをするのも何もかも慣れていない風情ではあった。だがタイ・ホーと相対し、茶碗が目の前に置かれた以上の事を考えてはいないようにも見えた。
目的は舟を出してもらうことで、そのためには自分たちのようなどう見ても堅気には見えない人間と、同じ土俵に上がらねばならぬという緊張感すらなかった。
子供はただ、目の前だけを見ていた。後ろにいる女の子供のほうがよっぽど緊張している。目が泳ぎ、子供の服をつかむ手が震えている。そんなことさえ、まったく意に介さない。
思ったよりも面白い話かもしれない。なんにしろ、賽が何をいうかだが。
「次はお前さんの番だ」
差し出された手に賽を転がしてやる。震えてもいないし、冷えてもいない。子供らしい大きな目が、揺らぎも恐れもなしにただやるべきことを見据えている。
そのこ
DOODLEミューズ侵攻、撤退した後のカミューとマイクロトフ。友軍を見捨てて、マイクロトフが苦悩しないわけない。2025-04-19
丘上会議に赴くのならば、国境に兵を詰めておくべきだ。ハイランドはまもなく攻めてくる。ジョウストンの盟主たるミューズを守るのも、騎士の役目だ。マイクロトフのその意見は確かに通って、ミューズに兵を迅速に送ることができた。だた、それが単なるアリバイ工作に過ぎなかったことを、今更突きつけられている
白騎士団長ゴルドーが命じるならば、自分たちはそれに従わざるを得ない。ハイランドははっきりと侵攻を開始した。ゴルドーはいつもの示威行動であると判断しているが、トトやリューベの虐殺は山賊では説明がつかない。略奪先を完全に焼き払うなどありえないのだ。
それでも自分たちは、自らが立てた誓いのために身を引かざるを得ない。いまだ準備の整わないミューズ正規軍の代わりに戦場に立ち続ける傭兵たちを助けるよりも、それは重たいものなのか。
1664丘上会議に赴くのならば、国境に兵を詰めておくべきだ。ハイランドはまもなく攻めてくる。ジョウストンの盟主たるミューズを守るのも、騎士の役目だ。マイクロトフのその意見は確かに通って、ミューズに兵を迅速に送ることができた。だた、それが単なるアリバイ工作に過ぎなかったことを、今更突きつけられている
白騎士団長ゴルドーが命じるならば、自分たちはそれに従わざるを得ない。ハイランドははっきりと侵攻を開始した。ゴルドーはいつもの示威行動であると判断しているが、トトやリューベの虐殺は山賊では説明がつかない。略奪先を完全に焼き払うなどありえないのだ。
それでも自分たちは、自らが立てた誓いのために身を引かざるを得ない。いまだ準備の整わないミューズ正規軍の代わりに戦場に立ち続ける傭兵たちを助けるよりも、それは重たいものなのか。
そのこ
DOODLE昨日ののナナミ側。ナナミちゃんはジョウイを諦められない。2主の周りには人がいるし、ずっと寂しいだろうな。2025-04-17
いろんな人たちが行き交っている。夜には城門が閉まってしまうから、夕日の落ちるこの時間帯は一番人が多い。すっかり聞きなれてしまった都市同盟の言葉で話す人たちが今日の宿を求めたり、門番さんに声をかけたり、露店の客引きをあしらったりしている。
私はと言えば、待っている。城門の隅っこ、誰にも邪魔にならないところにしゃがみ込み、膝を抱えて待っている。
ミューズと違って、ノースウィンドウは近くに森があって、そこを切り開くように道ができているから見通しはあんまり良くはない。でもだからこそ、あの森の、あの木の陰からジョウイがひょっこりと顔を出してくれるんじゃないかと期待してしまう日がある。
1823いろんな人たちが行き交っている。夜には城門が閉まってしまうから、夕日の落ちるこの時間帯は一番人が多い。すっかり聞きなれてしまった都市同盟の言葉で話す人たちが今日の宿を求めたり、門番さんに声をかけたり、露店の客引きをあしらったりしている。
私はと言えば、待っている。城門の隅っこ、誰にも邪魔にならないところにしゃがみ込み、膝を抱えて待っている。
ミューズと違って、ノースウィンドウは近くに森があって、そこを切り開くように道ができているから見通しはあんまり良くはない。でもだからこそ、あの森の、あの木の陰からジョウイがひょっこりと顔を出してくれるんじゃないかと期待してしまう日がある。
そのこ
DOODLE戦争中。ナナミちゃんはジョウイが帰ってくるんじゃないかと待ってしまう日がある。それを、2主はやや苦々しくおもっている。ジョウイに対しての怒り。2025-04-16
レオナさんの酒場の窓から夕方の日差しが長く差し込んでくる。夜の気配をまとった風が背筋を撫でて、僕は思わず首をすくめた。カラスの声と、家路を急ぐ人の声がする。レオナさんはカウンターの中に引っ込んでしまって、僕だけが出してもらったレモネードを前にぼんやりとしていた。
カウンターの高い椅子に座って、足をぶらつかせる。行儀悪く頬杖をついても誰も咎めてはくれない。僕はいま一人だった。ナナミはいない。どこに居るかは知っているけれども。
夕日が真っ赤に空を染める。風がなんだか冷たくて、体の芯が氷になりそう。そんな日に、ナナミは一人、城門の隅に座り込んでいる事がある。このノースウィンドウの住民や物資を運ぶ商人たち、城を守ってくれる兵士たちの邪魔にならないよう、小さく小さく膝を抱えて待っている。
2511レオナさんの酒場の窓から夕方の日差しが長く差し込んでくる。夜の気配をまとった風が背筋を撫でて、僕は思わず首をすくめた。カラスの声と、家路を急ぐ人の声がする。レオナさんはカウンターの中に引っ込んでしまって、僕だけが出してもらったレモネードを前にぼんやりとしていた。
カウンターの高い椅子に座って、足をぶらつかせる。行儀悪く頬杖をついても誰も咎めてはくれない。僕はいま一人だった。ナナミはいない。どこに居るかは知っているけれども。
夕日が真っ赤に空を染める。風がなんだか冷たくて、体の芯が氷になりそう。そんな日に、ナナミは一人、城門の隅に座り込んでいる事がある。このノースウィンドウの住民や物資を運ぶ商人たち、城を守ってくれる兵士たちの邪魔にならないよう、小さく小さく膝を抱えて待っている。
そのこ
DOODLE砦が落ちた後、砦にいるやたらと先輩風を吹かせてくる男の子。あの子は「ビクトールさん」が「拾ってきた」「孤児」……うん、きっとそう!2025-04-15
「ポールの奴が死んだってホント?」
「ああ」
皆が集まる天幕のほうからぶらぶら歩いて、俺のそばに座り込んだビクトールさんはそう重々しく頷いた。
胸がずんと重くなった。俺たちが負けるわけないだろ、と笑っていたのが俺の記憶の中で最後だ。
俺たちは負けたんだって。砦は焼けてしまって、いっぱい知ってる人が死んだ。俺はハイランドのやつらが攻めてくる前に砦から出されちゃったから何にも知らないけど、背後に回られてやられちゃったんだって。
だから俺たちはミューズまで逃げている。時々、一日ほど立ち止まって砦に残ったやつらの合流を待ちながら、少しずつミューズに近づいていた。
本当は小さい子はみんな先に行けって言われてたけど、俺はタイラギが来たからもう先輩なのだ。タイラギより先に安全なところにいるわけにはいかない。タイラギの姿は見えないが、死んだところも誰も見なかったらしい。シロと一緒にいますよ、とキニスンが言っていたからそういうものなのかもしれない。
1720「ポールの奴が死んだってホント?」
「ああ」
皆が集まる天幕のほうからぶらぶら歩いて、俺のそばに座り込んだビクトールさんはそう重々しく頷いた。
胸がずんと重くなった。俺たちが負けるわけないだろ、と笑っていたのが俺の記憶の中で最後だ。
俺たちは負けたんだって。砦は焼けてしまって、いっぱい知ってる人が死んだ。俺はハイランドのやつらが攻めてくる前に砦から出されちゃったから何にも知らないけど、背後に回られてやられちゃったんだって。
だから俺たちはミューズまで逃げている。時々、一日ほど立ち止まって砦に残ったやつらの合流を待ちながら、少しずつミューズに近づいていた。
本当は小さい子はみんな先に行けって言われてたけど、俺はタイラギが来たからもう先輩なのだ。タイラギより先に安全なところにいるわけにはいかない。タイラギの姿は見えないが、死んだところも誰も見なかったらしい。シロと一緒にいますよ、とキニスンが言っていたからそういうものなのかもしれない。
柴のポイピク
DOODLE幻想水滸伝リマスターⅠ&Ⅱクリアしました。ありがとうございました!めちゃめちゃ楽しかったです。細かい違いは許して…2枚目はただの感想です指で1とか2とかやっているのはⅠ、Ⅱどっちでパーティーインしていたかを出したかったとかなんとか 2
そのこ
DOODLEジェス~。動いてたのは分かるんだけど、遅いんだよなあ。
2025ー04ー13
休戦協定を破ったのはハイランド側だ。厳重に抗議したが、先に休戦協定を破ったのはこちらだとはっきり返事が来た。天山の峠で訓練中だったハイランドの少年兵の部隊を、ミューズの傭兵が襲って皆殺しにした。この軍事行動はその報復である。ルカ・ブライトの署名が入った正式な文書で言い切られれば、こちらとしても確認作業に入らざるを得ない。
もちろん、アナベルが傭兵隊長を直々に呼び出して確認したし、彼らもまた有り得ないと言い切った。天山の峠はキャロの街よりさらにハルモニア側に位置するジョウストンから縁の遠い場所だ。そんな場所の、ましてや少年兵を襲う理由がどこにあるというのか。
これが正規軍にかけられた疑惑であるなら、それで済んだだろう。だが、よく言えば市長鳴り物入りの、悪く言えばアナベルが個人的にねじ込んだ傭兵部隊を無条件で信じる人間は正規軍には少なかった。
1216休戦協定を破ったのはハイランド側だ。厳重に抗議したが、先に休戦協定を破ったのはこちらだとはっきり返事が来た。天山の峠で訓練中だったハイランドの少年兵の部隊を、ミューズの傭兵が襲って皆殺しにした。この軍事行動はその報復である。ルカ・ブライトの署名が入った正式な文書で言い切られれば、こちらとしても確認作業に入らざるを得ない。
もちろん、アナベルが傭兵隊長を直々に呼び出して確認したし、彼らもまた有り得ないと言い切った。天山の峠はキャロの街よりさらにハルモニア側に位置するジョウストンから縁の遠い場所だ。そんな場所の、ましてや少年兵を襲う理由がどこにあるというのか。
これが正規軍にかけられた疑惑であるなら、それで済んだだろう。だが、よく言えば市長鳴り物入りの、悪く言えばアナベルが個人的にねじ込んだ傭兵部隊を無条件で信じる人間は正規軍には少なかった。
そのこ
DOODLEマイクロトフとカミュー。昨日フリックがごちゃごちゃ思ってた事なんて、マイクロトフにもちゃんとわかっているよ、という話。2025-04-11
マチルダから離れこの城に身を寄せて一週間程が経つ。朝の訓練は出来うる限り今まで通り続けていたが、今日は少しだけ勝手が違った。
いつからいたのかは分からない。ふと気がついたときに彼はそこにいた。何もかもを見透かすような随分と凪いだ目をした男がミューズに雇われていた傭兵である事は分かっていた。
この戦争に最初から参加し、ハイランドに一矢報いた時にも彼はここにいたと聞き及んでいる。寄せ集めもいいところだったこの新生同盟軍をなんとか形にして見せたのは彼の功績が大きいとも。
成り立ちとそれゆえの脆弱さを知っているからこそ、マイクロトフとカミューが引き連れてきたマチルダ騎士の影響の大きさを正確に計っておかねばならないのだろう。
1151マチルダから離れこの城に身を寄せて一週間程が経つ。朝の訓練は出来うる限り今まで通り続けていたが、今日は少しだけ勝手が違った。
いつからいたのかは分からない。ふと気がついたときに彼はそこにいた。何もかもを見透かすような随分と凪いだ目をした男がミューズに雇われていた傭兵である事は分かっていた。
この戦争に最初から参加し、ハイランドに一矢報いた時にも彼はここにいたと聞き及んでいる。寄せ集めもいいところだったこの新生同盟軍をなんとか形にして見せたのは彼の功績が大きいとも。
成り立ちとそれゆえの脆弱さを知っているからこそ、マイクロトフとカミューが引き連れてきたマチルダ騎士の影響の大きさを正確に計っておかねばならないのだろう。
そのこ
DOODLEカミュー、マイクロトフが仲間になった直後。フリック。カミューさんとマイクロトフの人気がありすぎて、ゴルドーが二人をなんとなく煙たがるのはまあそりゃそうだよな、という気はします。
2025-04-10
「あまり人の友人を射殺せそうな目で見ないで頂けますか」
言葉は物騒だが、元赤騎士団長の目は穏やかに微笑んでいる。朝早くの訓練場の入口で、ぼんやりと佇んでいただけのつもりのフリックとしては、その言いぐさは不本意だ。仲間になったばかりの元マチルダ騎士団と険悪になってもつまらない。
「そんなつもりはなかったんだがな。統率がとれてるな、って」
主である白騎士団長に反旗を翻したマイクロトフに付き合うような連中だ。その戦意は旺盛だし、規律もしっかりしている。城の住民たちからの評判も上々だ。今までいた兵士たちがトゥーリバーやグリンヒルに出自を持つ市民兵が多かった事もあり、新同盟軍に初めて加入した正規の軍隊として、彼らは注目を集めている。
1547「あまり人の友人を射殺せそうな目で見ないで頂けますか」
言葉は物騒だが、元赤騎士団長の目は穏やかに微笑んでいる。朝早くの訓練場の入口で、ぼんやりと佇んでいただけのつもりのフリックとしては、その言いぐさは不本意だ。仲間になったばかりの元マチルダ騎士団と険悪になってもつまらない。
「そんなつもりはなかったんだがな。統率がとれてるな、って」
主である白騎士団長に反旗を翻したマイクロトフに付き合うような連中だ。その戦意は旺盛だし、規律もしっかりしている。城の住民たちからの評判も上々だ。今までいた兵士たちがトゥーリバーやグリンヒルに出自を持つ市民兵が多かった事もあり、新同盟軍に初めて加入した正規の軍隊として、彼らは注目を集めている。
そのこ
DOODLE傭兵隊の砦陥落後、クルガンとシード。火炎槍、ここで持ち出して来たらそりゃあびびるよなトランの国宝だとおもうんですけど、ビクトールさんはどう思いますか?2025-04-08
部下からの報告を受け、クルガンは元より寄っていた眉間のしわをさらに深くする。
傭兵隊の砦は落ち、焼け跡がくすぶっている。直接攻め込んだ白狼軍は大爆発に巻き込まれ、それなりの損害が出ているという。ルカもまた手ひどい火傷を負った。おののき、撤退を進軍した軍医は、ルカ自身の命により後方へ送られたという。
電撃的にジョウストンへ攻め入り、トト、リューベと壊滅させたハイランド軍が次にその刃を向けたのはミューズが雇う傭兵部隊だ。二年ほど前に設立され、東方の守りを任されている。残しておけばミューズを攻める際に後ろを取られる可能性があり、単純な戦力としても無視するには少々厄介だった。とはいえだ。
1748部下からの報告を受け、クルガンは元より寄っていた眉間のしわをさらに深くする。
傭兵隊の砦は落ち、焼け跡がくすぶっている。直接攻め込んだ白狼軍は大爆発に巻き込まれ、それなりの損害が出ているという。ルカもまた手ひどい火傷を負った。おののき、撤退を進軍した軍医は、ルカ自身の命により後方へ送られたという。
電撃的にジョウストンへ攻め入り、トト、リューベと壊滅させたハイランド軍が次にその刃を向けたのはミューズが雇う傭兵部隊だ。二年ほど前に設立され、東方の守りを任されている。残しておけばミューズを攻める際に後ろを取られる可能性があり、単純な戦力としても無視するには少々厄介だった。とはいえだ。
そのこ
DOODLEシロが来て、キニスンが来なかったのではぐれたんかな、と思って。でもキニスンは心配しなくて、きっとシロなら大丈夫とはっきり言える強さと信頼がある。2025-04-07
縁があって身を寄せた傭兵隊はハイランドによりもろくも崩れ去った。砦は焼かれ、部隊の者はそれでもある程度の秩序をもって退却していく。人数が多すぎると目立つから、と部隊長の命に従って少しずつ部隊の人数は減って行く。キニスンもまた、身の振り方を決めなければならなかった。
道々に用意された、小さな森に隠された小屋の前でキニスンはまた犬笛を吹いた。やはりなんの返事もない。砦陥落の混乱でシロとはぐれてしまって、一昼夜が経とうとしていた。時折、煤だらけの傭兵たちが小屋に立ち寄るからそのたびに彼らへシロの行方を尋ねるのだが、芳しい答えは返ってこない。
彼らには何の責任もないのに、申し訳ないと眉を寄せて頭を下げてくれるのだからお人よし達ばかりだ。
1835縁があって身を寄せた傭兵隊はハイランドによりもろくも崩れ去った。砦は焼かれ、部隊の者はそれでもある程度の秩序をもって退却していく。人数が多すぎると目立つから、と部隊長の命に従って少しずつ部隊の人数は減って行く。キニスンもまた、身の振り方を決めなければならなかった。
道々に用意された、小さな森に隠された小屋の前でキニスンはまた犬笛を吹いた。やはりなんの返事もない。砦陥落の混乱でシロとはぐれてしまって、一昼夜が経とうとしていた。時折、煤だらけの傭兵たちが小屋に立ち寄るからそのたびに彼らへシロの行方を尋ねるのだが、芳しい答えは返ってこない。
彼らには何の責任もないのに、申し訳ないと眉を寄せて頭を下げてくれるのだからお人よし達ばかりだ。
そのこ
DOODLEシロが来て、キニスンが来なかったのではぐれたんかな、と思って。でもキニスンは心配しなくて、きっとシロなら大丈夫とはっきり言える強さと信頼がある。2025-04-07
縁があって身を寄せた傭兵隊はハイランドによりもろくも崩れ去った。砦は焼かれ、部隊の者はそれでもある程度の秩序をもって退却していく。人数が多すぎると目立つから、と部隊長の命に従って少しずつ部隊の人数は減って行く。キニスンもまた、身の振り方を決めなければならなかった。
道々に用意された、小さな森に隠された小屋の前でキニスンはまた犬笛を吹いた。やはりなんの返事もない。砦陥落の混乱でシロとはぐれてしまって、一昼夜が経とうとしていた。時折、煤だらけの傭兵たちが小屋に立ち寄るからそのたびに彼らへシロの行方を尋ねるのだが、芳しい答えは返ってこない。
彼らには何の責任もないのに、申し訳ないと眉を寄せて頭を下げてくれるのだからお人よし達ばかりだ。
1835縁があって身を寄せた傭兵隊はハイランドによりもろくも崩れ去った。砦は焼かれ、部隊の者はそれでもある程度の秩序をもって退却していく。人数が多すぎると目立つから、と部隊長の命に従って少しずつ部隊の人数は減って行く。キニスンもまた、身の振り方を決めなければならなかった。
道々に用意された、小さな森に隠された小屋の前でキニスンはまた犬笛を吹いた。やはりなんの返事もない。砦陥落の混乱でシロとはぐれてしまって、一昼夜が経とうとしていた。時折、煤だらけの傭兵たちが小屋に立ち寄るからそのたびに彼らへシロの行方を尋ねるのだが、芳しい答えは返ってこない。
彼らには何の責任もないのに、申し訳ないと眉を寄せて頭を下げてくれるのだからお人よし達ばかりだ。
そのこ
DOODLE傭兵隊砦陥落のあたり。2主君が逃げるよりも、腐れ縁が逃げたのはあとだとはおもうんですよね流石にね。地下には生きたハイランド兵がいないの、二人が一掃したからだろうなとは思う。
2025-04-05
「本気で勝てると思ってたか」
「本気で勝つ気がない戦争やったつもりなら、金輪際戦争屋なんて止めろ」
ボイラーがごうごうと燃える。ハイランドの奴らがこの砦を蹂躙している音がする。俺の大事な家なのに。礼儀を知らねえ奴らが、土足で踏みにじっていやがる。
それだけでも腹が立つのに、それをどうにかできる力が俺にはないときたもんだ。出来る事と言ったら、全部を燃やしてしまうだけ。何人もの仲間が死んだ。今生きているとはっきり言える奴なんて、隣でせっせと火炎槍の穂先をボイラーに放り込んでいるこいつぐらいだ。
皆の前では出せなかったため息をこれ見よがしに吐き出して、俺もその作業に参加する。理屈の分からない兵器を理屈の分からないまま使って、やってはいけないと言われたことを最後にやって全部終わらせる。
1226「本気で勝てると思ってたか」
「本気で勝つ気がない戦争やったつもりなら、金輪際戦争屋なんて止めろ」
ボイラーがごうごうと燃える。ハイランドの奴らがこの砦を蹂躙している音がする。俺の大事な家なのに。礼儀を知らねえ奴らが、土足で踏みにじっていやがる。
それだけでも腹が立つのに、それをどうにかできる力が俺にはないときたもんだ。出来る事と言ったら、全部を燃やしてしまうだけ。何人もの仲間が死んだ。今生きているとはっきり言える奴なんて、隣でせっせと火炎槍の穂先をボイラーに放り込んでいるこいつぐらいだ。
皆の前では出せなかったため息をこれ見よがしに吐き出して、俺もその作業に参加する。理屈の分からない兵器を理屈の分からないまま使って、やってはいけないと言われたことを最後にやって全部終わらせる。
そのこ
DOODLEピリカと傭兵隊。ジョウイたちが案外好きに動いてて、その間のピリカの世話は傭兵隊が引き受けてたっぽいなって思って。
2025-04-04
なんだか煩くて目が冷めた。お目目の周りが痛くてぎゅっとこすって、また痛い。暗くて、ランプの灯りが小さくて、少しだけあったかいお部屋。知らないお部屋。
ピリカはどうしてこんなところにいるんだろう。おとうさんとおかあさんはどこ?
石の床ははだしの足には冷たかったけれど、ここでじっとしている方がよっぽど嫌だった。
重たい扉を開ければ、わっと人の声がした。なんだか大騒ぎの大人たちがたくさんいる。お祭りの前と言うよりもなんだかもっと怖い。金属がかちゃかちゃと鳴っている。怖い。怖い。あの音は、嫌い。
足が震えた。ドアノブで体を支えても、体の芯からの震えは収まらない。怖い音。怖い声。薄暗い戸棚の中から出たら、おとうさんとおかあさんがいて。
3353なんだか煩くて目が冷めた。お目目の周りが痛くてぎゅっとこすって、また痛い。暗くて、ランプの灯りが小さくて、少しだけあったかいお部屋。知らないお部屋。
ピリカはどうしてこんなところにいるんだろう。おとうさんとおかあさんはどこ?
石の床ははだしの足には冷たかったけれど、ここでじっとしている方がよっぽど嫌だった。
重たい扉を開ければ、わっと人の声がした。なんだか大騒ぎの大人たちがたくさんいる。お祭りの前と言うよりもなんだかもっと怖い。金属がかちゃかちゃと鳴っている。怖い。怖い。あの音は、嫌い。
足が震えた。ドアノブで体を支えても、体の芯からの震えは収まらない。怖い音。怖い声。薄暗い戸棚の中から出たら、おとうさんとおかあさんがいて。
卸@とても眠い
DONE幻水2、クリアしました~(*´▽`*)一度ノーマルエンドになっちゃってロックアックスからやり直したのは内緒(^^ゞ
ビクトールさんが強くて最後までお世話になっちゃった。流石クマさん(´艸`*) 3
そのこ
DOODLE傭兵隊の砦。ビクトールさんが「家」っていうの嬉しくもあり、その後を知っているので悲しくもある2025‐03‐23
ミューズに呼び出され、砦を留守にして数日。ようやく帰ってこられた。轍のはっきりと残る道を歩けばサクサクと軽い足音が立つ。夕方の風が草原をのびのびと走って、髪の毛を乱した。随分と長くなってしまったから、そろそろ切る頃合いだ。明日にでもフリックに頼んでみようか。
まだ灯りのいらない道をゆっくりと歩く。その先に目指す場所がある。慣れた寝床があって、気やすい店主の元で酒が飲めて、迎えてくれる人がいる。
帰る場所だ。ずっと前に失われたビクトールの故郷とよく似た、だが少しばかり血なまぐさい場所を迷うことなく目指してビクトールは歩いていた。
ありがたい話だ。顔を上げれば遠く、小さな森が見えた。明かりがちらちらと木々の間に揺れている。騒がしい連中の騒がしい声が、まだ聞こえるはずもない距離なのに耳に響いて、思わず笑みが漏れた。
1215ミューズに呼び出され、砦を留守にして数日。ようやく帰ってこられた。轍のはっきりと残る道を歩けばサクサクと軽い足音が立つ。夕方の風が草原をのびのびと走って、髪の毛を乱した。随分と長くなってしまったから、そろそろ切る頃合いだ。明日にでもフリックに頼んでみようか。
まだ灯りのいらない道をゆっくりと歩く。その先に目指す場所がある。慣れた寝床があって、気やすい店主の元で酒が飲めて、迎えてくれる人がいる。
帰る場所だ。ずっと前に失われたビクトールの故郷とよく似た、だが少しばかり血なまぐさい場所を迷うことなく目指してビクトールは歩いていた。
ありがたい話だ。顔を上げれば遠く、小さな森が見えた。明かりがちらちらと木々の間に揺れている。騒がしい連中の騒がしい声が、まだ聞こえるはずもない距離なのに耳に響いて、思わず笑みが漏れた。
そのこ
DOODLEポール。公式紹介ツイートにも出てくるぐらいだもんな。彼がいるから、傭兵隊の砦に2主君がなじみやすくなった気がする。
傭兵隊にはいくらか子供がいる。おれがここに来る前からもいたし、ここに来てからも何人か増えた。ボスであるビクトールさんが行き場のない子供を端から拾ってくる悪い癖があるからだ。
ここは傭兵の砦なんだ。子供がそこらをうろちょろしたらたまったものじゃない。命のやり取りに邪魔になるし、何より危なっかしくて仕方ない。おれは皆の中で一番年長だから、面倒を見てやる義務がある。
ここでは飯が食えるし働くこともできる。危なくなればおれが守ってやれる。いい所だ
休戦協定が結ばれたからなのか、砦はどこか緩んだ気配が漂っている。演習という名目で三分の一ぐらいの人数とビクトールさんたちが砦にいないのも多分良くないんだろうな。おれはおれで倉庫の片づけをしないといけないと知りつつも、こうしてのんびりと日向ぼっことしゃれこんでいる。
1738ここは傭兵の砦なんだ。子供がそこらをうろちょろしたらたまったものじゃない。命のやり取りに邪魔になるし、何より危なっかしくて仕方ない。おれは皆の中で一番年長だから、面倒を見てやる義務がある。
ここでは飯が食えるし働くこともできる。危なくなればおれが守ってやれる。いい所だ
休戦協定が結ばれたからなのか、砦はどこか緩んだ気配が漂っている。演習という名目で三分の一ぐらいの人数とビクトールさんたちが砦にいないのも多分良くないんだろうな。おれはおれで倉庫の片づけをしないといけないと知りつつも、こうしてのんびりと日向ぼっことしゃれこんでいる。
そのこ
DOODLEたまにはちゃんとビクフリぽいのも書かないと忘れちゃうからなオデッサがいることが大前提になってるほうが好きなんだよね自分は。
2025/03/19
情けない事に夢見はあまり良くないほうだ。悪いものに追いかけられるし、家族は真っ赤な目で腐った腕で俺に縋りついてくる。どうして見捨てた、どうして殺した。どうしてお前ばかりが生きている。
ただ俺はこれが夢だともうとっくに知っている。目を覚ます方法は分からないから、泣きわめく姉と弟を抱きしめ、その臭気に顔を歪めてため息なんかをつきながら、目が覚めるのを待つばかり。
そうしてふと気が付くのだ。髪を撫でる掌の感触とあることと自分の名前をささやく柔らかな声音に現実味があることを。
目を開けてみれば朝というには暗かった。外からは雨の音がする。ぱたぱたぽつぽつ。時折ざあ、と風が大きくリズムを崩す。起きるにはまだ少し早そうだ。
1351情けない事に夢見はあまり良くないほうだ。悪いものに追いかけられるし、家族は真っ赤な目で腐った腕で俺に縋りついてくる。どうして見捨てた、どうして殺した。どうしてお前ばかりが生きている。
ただ俺はこれが夢だともうとっくに知っている。目を覚ます方法は分からないから、泣きわめく姉と弟を抱きしめ、その臭気に顔を歪めてため息なんかをつきながら、目が覚めるのを待つばかり。
そうしてふと気が付くのだ。髪を撫でる掌の感触とあることと自分の名前をささやく柔らかな声音に現実味があることを。
目を開けてみれば朝というには暗かった。外からは雨の音がする。ぱたぱたぽつぽつ。時折ざあ、と風が大きくリズムを崩す。起きるにはまだ少し早そうだ。
そのこ
DOODLE0318一人称の揺らぎ、みたいなポスト見て、一人称が「私」のフリックも2なら生息できるのでは、とおもったあれ。らくがき。
「その件は私から」
役人たちからビクトールへの質問に、フリックが応えた。白いシャツにタイをゆるく結んだ格好は居並ぶ役人たちとそうは変わらない。居心地の悪いふかふかの椅子から立ち上がる様をなんとなしに見上げていると、フリックの指先が会議の進行を示すかのように書類の一点をさした。
その間も、ミューズへの報告はよどみなく続いていく。
まったく何をさせてもそれなりに取り繕ってしまう男だ。
傭兵隊とてミューズの正式な組織の一部だ。定例会議への出席は義務付けられている。毎月何を成し、いくら金を使い、次に何を行うのか。自分たちの存在意義は自分たちで示さなければならない。
面倒この上ない。だからと言って、出席しなければ自分たちを推したアナベルの名前に傷がつく。それもまたビクトールの本意ではなかった。
2178役人たちからビクトールへの質問に、フリックが応えた。白いシャツにタイをゆるく結んだ格好は居並ぶ役人たちとそうは変わらない。居心地の悪いふかふかの椅子から立ち上がる様をなんとなしに見上げていると、フリックの指先が会議の進行を示すかのように書類の一点をさした。
その間も、ミューズへの報告はよどみなく続いていく。
まったく何をさせてもそれなりに取り繕ってしまう男だ。
傭兵隊とてミューズの正式な組織の一部だ。定例会議への出席は義務付けられている。毎月何を成し、いくら金を使い、次に何を行うのか。自分たちの存在意義は自分たちで示さなければならない。
面倒この上ない。だからと言って、出席しなければ自分たちを推したアナベルの名前に傷がつく。それもまたビクトールの本意ではなかった。