俺が勤めている会社の一階。
まるまるエントランスホールになっている、この広いフロアの片隅──自販機が数台並んでる一角で缶コーヒーを飲みながら、俺はクライブの退勤待ちをしていた。スマホ片手にちびちび飲み進めていたコーヒーもやがて空になり、ゴミ箱に空き缶を捨てたところで、
「すまん、待たせた」
背後からクライブの声が聞こえて、振り返る。
するとそこには、見慣れた通勤鞄の他に、パンパンになった紙袋を下げているクライブの姿。
中身は……検めずとも分かる。恐らくチョコレートだろう。
何せ今日はバレンタインだし、俺も同じ部署の子達からいくつか貰ったし。気持ちのいいぐらい義理だって分かるやつだったけど、それでも何となく嬉しくなってしまうのは、個人差はあれど男のサガなんだと思う。
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