人形たちのクリスマス エランは急いでいた。
決闘委員会のラウンジルームで、いつになく慌ただしく動き回る彼の姿が見れるのは、今日が初めてではないだろうか。
普段ならしわ一つ寄らない眉間には、いくつも縦に刻まれている。口角を下げて唇を突き出し、不機嫌な様子を隠そうともしない。今の姿からは、氷の君という呼称は思いつきもしないだろう。
しまいには、おずおずと提出する生徒の手からタブレットをぶん取るように受け取った。
所属寮の決闘成績と備品の購入予算の申請内容を照らし合わせて、逸脱していないか確認していく。
決闘で勝てば勝つほど購入できる備品の予算は上がっていくのだが、時折書類内容を誤魔化し、ズルして多く買おうとする寮がある。教師陣ではチェックしきれないため、こうして決闘委員会の居合わせたメンバーが確認することとなっている。問題なければサイン、気になる箇所があれば差し戻しするだけの作業。
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