浬-かいり- @Kairi_HLSY ガルパ⇒ハロハピの愛され末っ子な奥沢が好き。奥沢右固定。主食はかおみさ。プロセカ⇒今のところみずえなだけの予定。 ☆quiet follow Yell with Emoji POIPOI 138
浬-かいり-DOODLEここみさ(※マフィアパロ)銃声は一度きり。 ぼんやりとしていた意識が突然覚醒する。身体中が痛い。顔が冷たくて寒くて、髪から滴る水と目の前に転がる空のバケツを視界に捉えて、顔に水を掛けられたのだと理解した。上手く動かない身体で冷静に状況を整理する。どうやら椅子に座らされた状態で、後ろ手に縛られているらしい。がっちりと背凭れに固定されている。 「起きたか。気絶には早いもんな?」 頭上から聞こえてきた声の主を見上げる。男のようだが、電灯の逆光で顔はよく見えない。暗い部屋で窓は無い。どうやら地下室のようだ。 そうだ、“仕事”の途中で敵勢力にかち合って口論になったんだ。いつもだったら安い挑発なんかには乗らないし、余計な争いも避けるのに。その時は一緒に居たはぐみにちょっかいを出してきたものだから、あたしもムキになってつい少しだけやり返してしまった。結果仲間を呼ばれて、この有様だ。はぐみは逃げられたかな。いや、人の心配をできるような状況じゃないんだけどさ。 2390 浬-かいり-DOODLEハロハピ平穏にだなんて言わせない 元旦。神社での和太鼓演奏も終え、その日の午後はハロハピ全員揃っての初詣だった。初詣を終え、屋台の間を並んで歩く。綿飴の屋台に弦巻こころが吸い込まれ、北沢はぐみがたこ焼きを頬張り、瀬田薫がファンに囲まれ、松原花音が焦り、そのまま何故かこころとはぐみが振袖のままバク転を披露し、奥沢美咲に首根っこを掴まれ強制退場させられる。 今は少し落ち着いて、再び屋台を見て回っていた。 「あっ見て! 獅子舞さんが居るわ!」 こころが指差した先、人集りの中心に獅子舞を見つけた。笛や太鼓の音に合わせて踊る獅子舞に混じり、大人の笑い声や子供の泣き声が響いている。 人混みの間からちらりと見えた獅子舞と目が合ったような気がして、美咲が息を詰まらせた。 1839 浬-かいり-DOODLEハロハピミッション・サンタクロース「みんな、準備はいいかしら?」 「おー!!」 12月25日、午前4時。真っ暗な早朝の中、弦巻こころが高らかな号令を掛ける。それに対して北沢はぐみが元気よく答えた。松原花音は戸惑うばかり、瀬田薫にいたっては目を閉じて半分夢の世界だ。因みに美咲は四人が眠っていた部屋で一人まだ夢の中である。 「えーと……、どういう状況かな?」 弦巻家の広い屋根の上に四人は立っていた。何故か屋根の上はライトで照らされ明るく、前日までの雪も積もっていないし凍結もしていないので安全。おまけに何故かヒーターがあり暖かい。薫が眠くなるのも頷ける。 何故クリスマス当日の早朝に屋根の上に。昨日クリスマスライブを終えて、打ち上げという名のお泊まり会を楽しんでいたのに。戸惑う花音に、こころは切り出した。 2991 浬-かいり-DOODLEここみさ(R-18)モブに襲われる描写がちょっとあるので注意pass⇒18↑?(yes/no) 2991 浬-かいり-DOODLEかおみさ(社会人パロ)38℃に融ける 部屋に鳴り響くアラームの音で目を覚ます。重い瞼をなんとか開けながら隣を見るが、美咲の姿は無かった。同棲を始める時に二人で買った少し大きめのベッドが、今は途方もなく広く感じる。寝る前に根を詰め過ぎないよう声は掛けたのだが、結局彼女は徹夜したようだ。 フリーで作曲の仕事をしている美咲は、昨日はろくに食事も摂らず作業部屋に閉じ籠もっていた。締切が迫っている訳では無いのだが、本人曰く調子が出て来たので今手を止めたくは無い。とのことらしい。 ベッドから降りて着替えてから、美咲の作業部屋のドアをノックする。返事は無い。 「美咲、おはよう。調子はどうだい? 今から朝食を作るから、そしたら一緒に食べよう」 数秒後、呻き声に近い返事のようなものが聞こえて来た。一応の返事があったことに少しだけ安堵して、また呼びに来るよ、と一言だけ添えてキッチンへと向かう。 2588 浬-かいり-DOODLEかおみさアップルミントのゆめをみて 時刻は21時を少し過ぎたところ。外は寒いが、家の中は暖房が効いている為暖かい。風呂上りの瀬田薫は自室のベッドに腰掛け台本を読みながら、一人そわそわと落ち着かない様子でいた。それは、今日が金曜の夜だからということだけが理由では無かった。 視線は手元の文章を追うものの、目は滑って内容は頭に入ってこない。それでも平静を装ってぺらぺらとページを捲る振りをしていれば、やがて扉の向こうから階段を上がる音が聞こえた。軽い足音は段々此方へと近付き、扉が開けられる。 「薫さん、お風呂ありがと」 「ああ。よく温まったかい?」 部屋に入ってきた恋人――奥沢美咲の姿に、薫は激しく動悸する心臓を誤魔化しながら微笑んだ。頷く美咲の頰はほんのりと赤く、しっかり身体を温めてきたであろうことが窺える。 2453 浬-かいり-DOODLEここみさくるくる溶かして、ティータイム 「……っと。こんなもんか」 パソコンを閉じてから、背もたれに寄りかかって身体を伸ばす。今度デビューするというアイドルグループに提供する曲作りが、やっと一段落着いたところだ。まだ細かく直すところは沢山あるけれど、昨日の夜からずっと寝ずに作業していたし、今は少しくらい休んでもいいだろう。 ずっと装着していたヘッドフォンを外すと、木枯らしがガタガタと窓を揺らしていた。木の葉や枝が揺れる音が、閉め切っている部屋まで聞こえてくる。外は寒そうだ。 作業部屋を出てキッチンへ向かうと、点けっぱなしの電気ケトルを横目にマグカップを取り出す。食器棚から一緒に縦長の缶を出したところで、家のチャイムが軽快に鳴った。一旦マグカップと缶をテーブルに置き、インターホンのボタンを押した。 2406 浬-かいり-SPOILERイベスト感想「ハッピーラッキー!EGAOのMAHO!」雑多感想・「魔女に会ってみよう!」の始まり方が何も不自然じゃないのがハロハピ ・怯える瀬田くん「こういうパターンの魔女もいるのか」 ・やせ我慢する瀬田くんかわいいね ・お店のおばあちゃん出てくるなり目が赤くて鼻が大きいってクソデカボイス(想定)で言うこころ ・「みんな、聞いた!?子どもが苦手だって!!」 ・声がでかいよ(爆笑) ・「やめなさいってば!」 ・年少組の保護者みーくん ・「どうしてダメなの??」 ・曇りなき眼 ・まだ怯えてる瀬田くん ・このお店、りみりんとかななみんが好きそうではある ・「とんだ盲点だったね。助かるよ」 ・おばあさん素直 ・特にポリシーを持っての店の雰囲気ではなかったらしい ・怪しさが爆発 ・積極的に使っていきたいワード 2663 浬-かいり-DOODLEハロハピばいばい、ナイトメア 今日のハロハピ恒例のお泊まり会は私の家で行われた。あんまり広くはない私の部屋にお布団を敷いて(四枚は敷き切れないので二枚だけ)、みんなでトランプやボードゲームをして遊んだり、次のライブの構想を練ったり、お喋りをしたり。明日もバンド練習があるし、あんまり遅くまで起きていられないねって、ちょっとだけ後ろ髪を引かれながらお布団に入ったのだった。 「ん……、」 むくり、と身体を起こす。まだ真っ暗で間接照明の光しか無い部屋の中、四人分の寝息が聞こえてきた。枕元のスマホをちらりと見れば、みんなでおやすみを言ってからまだ一時間も経っていなかった。今日はとっても楽しかったから、身体がまだ起きていたいって目が覚めちゃったのかな。水でも飲みに行こうと思って、ベッドから降りる。 2912 浬-かいり-DOODLEかおみさ(※モブ男子視点)こちら温めますか 今日も厳しい部活を終えて、学校を出る。日課となっている買い食いの為に、コンビニへ立ち寄ることにしよう。夕飯前だけれど、運動部の男子高校生の空腹は家までもってはくれない。 いつもだったら通学路の途中にあるコンビニに立ち寄るのだけど。最近は少しだけ遠回りして、別のコンビニへ行っていた。 「いらっしゃいませー」 自動ドアが開くと、レジに居たツインテールの女の子が挨拶してくれたので軽く会釈する。今の気分はホットスナックってもう決まっていたけれど、俺は店内を物色する振りをして辺りを見渡す。 (……いた) “彼女”は品出しの最中だった。ケースの乗ったカートを引きながら、棚に弁当を並べている。俺は棚に隠れながら、こっそりとその様子を窺った。 2371 浬-かいり-DOODLEかおみさ赤い糸辿って 朝起きたら、見慣れないものが視界に入った。 右手の小指に結ばれたそれは、赤い糸のようなものだった。ものだった、と確信が持てない言い方をしているのは、取ろうと思ったらすり抜けて触れなかったからだ。 (なにこれ、幻覚?) でも、幻覚にしては随分はっきり見え過ぎているように思う。透けてる訳でもなく、はっきりと見える赤。小指の根本にしっかりと結ばれているそれは、部屋の外へと伸びていた。辿って自室のドアを開けると、階段の更に下へと続いている。 「……まあ、いっか」 きっと疲れているんだ。だからこんな幻覚見ちゃうんだって。実際下の階に降りてみても、家族からなんの反応もない。本当に見えていないみたいだ。 赤い糸は玄関の先、ドアの向こうへと続いている。 2635 浬-かいり-DOODLEかおみさビターチョコレート 事の発端は、はぐみだった。夏休みも残り一週間を切ろうとしていた日のハロハピ会議、顔色の悪いはぐみが「宿題がまだ終わってない」と切り出した。夏休み明けはすぐにテストがある。テストを心配する美咲と花音、いつの間にか宿題を終わらせていたこころ、それに何故か薫まで加わって。 弦巻家のいつものハロハピ会議室。大きなテーブルの上にお菓子を広げて、今日はハロハピ会議じゃなくて勉強会だ。このハロー、ハッピーワールド! というバンドでは、この光景はとっても珍しいかもしれない。 「花音さん、ここの解き方分かる?」 「ん? えーっとね……これは、この公式を使えばいいと思うよ」 「……あ。本当だ、ありがとうございます」 真面目に勉強するのは美咲と花音。美咲の質問に答えながら、花音はテーブルの向かいに座る三人をちらりと見やる。 2675 浬-かいり-DOODLEかおみさクレジットまで離さないで「ふふ……。じゃあ美咲、ほら」 ソファに座った薫が、足を開いてその間をぽんぽんと叩く。座れ、ということらしい。それは美咲を安心させたいが故なのか、それとも薫自身が怖くて一人では耐えられそうにないからなのか。まあきっと両方なんだろうな、と思いながら美咲は素直にそこへと座った。きゅ、と腰に腕が回り抱き留められる。 事の発端は一本のDVD。りみから借りてきたというそれは、彼女のセレクトにしては珍しい邦画ホラーだった。一人で観るのはちょっと怖い。でも薫が観るのは無理だろう。それでも、薫は美咲の為ならと顔色を悪くしながらソファに腰掛けたのだった。そうだ、彼女はそういう人だった。 「……っ、」 不協和音のBGMと共に、徐々に物語は佳境に入っていく。何故邦画ホラーってこんなにじわじわと展開を勿体振らせるんだと、美咲は息を呑む。手頃にあったクッションを掴み寄せるとぎゅっと両腕で抱き締めた。ぎゅ、と薫も倣うように美咲をより強く抱き締める。 1115 浬-かいり-DOODLEハロハピ君を撫で回したい 何これ。 弦巻邸の一室。姿見の鏡の前で、奥沢美咲は眉間にこれでもかと皺を寄せている。そんな彼女を囲むように、他のハロー、ハッピーワールド! メンバーが目を輝かせていた。 「とーーーっても可愛いわよ、美咲!」 「うんうん! みーくんすっごく似合ってるよ!」 「嬉しくなーーーーいっっ!!」 はしゃぐ弦巻こころと北沢はぐみを跳ね除けて、美咲が叫ぶ。その叫びとリンクするかのように、彼女の洋服の裾、正しくはショートパンツからはみ出た黒くて長いフサフサのシッポが、毛を逆立てさせピンと伸びた。更に黒髪から覗くのは、シッポや髪と同じく黒い毛並みの三角の耳だ。 「美咲は本当に子猫ちゃんになってしまったんだね……。儚い……」 2591 浬-かいり-DOODLEかおみささて合計いくつでしょう 夏休み中真っ只中のこの日はバンド練習日であり、ハロー、ハッピーワールド! はCiRCLEにて集合していた。 前日、美咲が薫の家に泊まっていた為、そのまま二人は一緒にやって来た。ハロハピ内では二人が付き合っているのは周知の事実の為、特に他のメンバーが疑問に思うこともない。 ただ全員がCiRCLEのカウンター前に集合した時、薫がソワソワと落ち着かないことに美咲が気付く。 「薫さん? どうしたの?」 「えっ!?」 薫の視線の先は、美咲の首筋にある赤い痣のようなものだった。黒髪の間から辛うじて覗くそれは、見る人が見れば分かるであろうキスマークと呼ばれるものであった。 美咲は気付いていない。当然だ。これは、美咲が寝ている間に付けられたものだった。 2989 浬-かいり-DOODLEかおみさ「焼くは嫉妬、焦がすは想い」の瀬田視点身を焼き、胸を焦がす 気象予報士が暫く猛暑続きだと、今日も熱中症には注意してください、と確か言っていた。そんな炎天下の中を歩いていれば、隣の美咲が溜息を零した。額には汗が滲み、顔も少し赤くなっている。 「……あっついね」 「今日は猛暑日だと言っていたね」 「その割には薫さん、涼しい顔してるけど」 「そう見えるだけさ。こんな日に付き合わせてすまなかったね」 美咲は首を振る。今日は夕方からバンド練習の予定だ。ところが午前の自主練中に弦が切れてしまい、不幸なことに予備も無い。その為、楽器店に向かっていた。 一人で行っても何ら問題もないのに美咲を誘ったのは、彼女と少しでも多く居たかった……という理由が一番大きい。バンドしか接点が無い中、一緒に居るには積極的に誘うしかない。そんな邪な気持ちを正直に美咲に白状したら、彼女はなんて言うだろうか。 2702 浬-かいり-DOODLEかおみさ一方その頃、一人本気で迷子になっていた カウントダウンが始まった。同時、床を蹴って走りだす。ベッドの下、カーテンの裏、彫刻の陰。早く身を隠さねばならない。モタモタしていると追手に勘付かれてしまう。 そんな切羽詰まる状況の中、美咲はクローゼットの扉を開けてそこへ潜り込んだ。扉を内側から閉め、真っ暗の中で息を殺す。ぱたぱたぱた、と忙しない足音が扉越しに聞こえてきた。美咲は息が漏れないよう、口を塞いで身構える。 それは徐々に近付いてきて、外側から扉が開けられた。入ってくる光が眩しくて、美咲がびくりと肩を跳ねさせ目を細めながら、現れた相手をそっと見上げた。 「……薫さん?」 「美咲!」 薫は美咲と目が合うとほっとしたような表情になり、そのままクローゼットの中へと入ってきた。ぱたん。内側から扉を閉める。 2108 浬-かいり-DOODLEかおみさ※擬獣化注意弦巻さんちのふわゆめサンドイッチ「はぐみ、花音! いらっしゃい!」 久々にこころちゃんの家を訪れる。笑顔で迎えてくれるこころちゃんと一緒に出迎えてくれたのは、この家で飼われている大型犬のカオルさんだ。身体は大きいけれどとても優しくて賢くて、犬がちょっと苦手な私にも懐いてくれている。 「わーい! カオルくん久しぶりー!」 はぐみちゃんがわしゃわしゃと撫でてから、家のエントランスへと通される。すると、ちりん、と鈴の音がした。 「あらミサキ、おかえりなさい。お散歩楽しかった?」 こころちゃんが嬉しそうに鈴の音の方へと駆け寄る。部屋に現れたのは真っ黒な猫さんだった。鈴の付いた青い首輪を着けたその子は、こころちゃんの顔を見上げるとにゃあって鳴いた。 1930 浬-かいり-DOODLEかおみさ焼くは嫉妬、焦がすは想い 蝉の声が煩くて、日差しが痛い。炎天下の中を薫さんと二人で歩きながら、あたしは溜息を吐いた。その溜息すらも熱い気がして嫌になる。暑いっていうか熱い、もう。 「……あっついね」 「今日は猛暑日だと言っていたね」 「その割には薫さん、涼しい顔してるけど」 「そう見えるだけさ。こんな日に付き合わせてすまなかったね」 大丈夫ですよ、とあたしは首を振る。夏休みの真っ只中、弦を買いたいと言う薫さんに誘われて一緒に楽器店へ向かっている途中だった。夕方からはバンド練習があるので、その前に行っておきたいらしい。 「薫さんに結構難しいパート当てちゃったからね……。昨日の時点で結構形になってたから、沢山練習したでしょ」 「ふふ、美咲が私のことを信用してあのパートを任せてくれたのだと思うと、嬉しいよ」 2604 浬-かいり-DOODLEかおみさ(R-18)pass⇒18↑?(yes/no) 2846 浬-かいり-DOODLEかおみさ温泉旅行に行くはなし「薫さんって、何着ても様になるよね」 旅館の廊下をタオル抱えて二人で並んで歩きながら、薫さんを見上げた。旅館のメインである温泉へと向かうあたしたちは、今は備え付けの浴衣を着ている。派手な模様がある訳でもない、単色のシンプルな浴衣だ。それでも似合ってしまっているのは、流石というかなんというか。この人ほんとになんでも似合うな。 「ふふ、やはり私は何を着ても似合ってしまうからね……。美咲もよく似合っているよ」 お揃いの浴衣なんて、なんて儚いのだろう。部屋でこれを着た時に、薫さんがそんなようなことを言っていた。旅館の備え付けである以上、他の宿泊客も当然同じものを着ている訳なんだけど、薫さん的には嬉しいらしい。というか、旅館に着いてからめちゃくちゃテンションが上がっている。はしゃいでるとも言うのかな。 1392 浬-かいり-DOODLEかおみさ⇒写真をアルバムに追加「あ、美咲ちゃん発見!ちょっとこっち来て!」 バンド練習の為CiRCLEへ来ると、ラウンジに居た上原さんに手招きされて名前を呼ばれた。早く着きすぎちゃって別に急いでる訳じゃないし、挨拶もそこそこに近付く。上原さんの方も、周りに他のAfterglowのメンバーは居ないみたいだった。 「なに? どうしたの?」 「ふっふっふっ、これ見て見てー!」 「ん?」 じゃーん、と効果音付きでスマホの画面を見せられる。 興奮気味の上原さんに乗せられるまま画面を見れば、映っていたのは恐らく羽丘の中に貼ってあるのだろう演劇部のポスター。公演の日時が大々的に記されているそのポスターは、日時と同じくらい薫さんの写真がデカデカと載っている。衣装を着た薫さんの写真。それはいつもの演劇部のポスターとなんら変わらないのだけど、いつもと決定的に違う部分がある。 2340 浬-かいり-DOODLEかおみさ嫉妬色の視線 熱気が冷めきらないライブ会場から外へ出て、カフェテラスで一息吐く。冷たい飲み物片手に火照った身体を冷やしながら、話題は先程まで観ていたライブのことだ。 曲が最高にテンションが上がった。パフォーマンスが派手だった。ギターの人がカッコ良かった。クマが可愛かった。 部活の先輩である奥沢先輩に誘われて初めて“ハロー、ハッピーワールド!”のライブに来た同級生達は、部活での奥沢先輩からは想像できないようなはちゃめちゃなバンドに、驚きつつも興奮を抑えられないようだった。 (当然、でしょ) 私はそんな中、一人優越感にも似た感情を抱く。奥沢先輩はこの日のライブの為に、寝る時間も部活の時間も削って頑張っていた。ライブの質が良いのは当然だ。 2245 浬-かいり-SPOILERイベスト感想「凛と薫る風の調べ」雑多感想・サブタイトルは「奥沢くんはギターだった!?」 ・そんな訳ない ・紗夜さんと透子ちゃん並ぶと、二人とも結構大きいな ・調べてきた。紗夜さん161の透子ちゃん164だった ・透子ちゃん意外とデカいな ・えっ待って今回イベ五人の中で身長150cm代ってみーくんだけでは?? ・それってすげー絵面可愛いのでは??? ・みんなで奥沢を囲ってくれ ・誰と並んでも小さいじゃん。そんなの可愛いじゃん ・わたし身長の話だけでどれだけ話逸らすの??? ・話戻します。ポテトの塩レモンフレーバーって美味しそうだよね ・違う違う違う ・透子ちゃんは弾けなくて悩んでる訳だけど、これは前の箱イベのストーリーを踏まえて、瑠唯さんが透子ちゃんを信じて難しいパートを任せるようになってきたのでは? 2979 浬-かいり-DOODLEかおみさ遊び過ぎは程々にしましょう CiRCLEのラウンジにて。ソファに座る奥沢美咲は一人ノートを開いて、新曲の歌詞について頭を悩ませていた。その姿を見つけたのは氷川日菜だ。美咲の姿を見つけるやいなや、床を蹴って走り出す。 「あっ、いたいた!! 美咲ちゃーーーーん!!」 「え? わあっっ!?」 そのダッシュのまま、美咲に横から飛び付く。集中していた為走ってくる日菜に気付けず、そのまま素っ頓狂な悲鳴を上げて二人でソファへと沈んだ。 「……なんですか日菜さん」 押し倒された体勢のまま、静かに問い掛ける。この手の人の場合はあんまり過剰にリアクションをすると更に来るんだ。あくまで冷静に。あくまでなんでもない風を装って。 案の定、美咲がなんにもリアクションを取らなければ、日菜も大して気にしていないように話し出す。その体勢のままで。 2629 浬-かいり-DOODLEかおみさ 2450 浬-かいり-DOODLEかおみさ炎天の下、遠回り 公園のベンチに腰掛ける。日は傾き始めたけれどやっぱりまだ暑くて、セミの声がけたたましくて、座っているだけなのにタオルでいくら拭っても汗は流れるばかり。 セミの声に混じって、元気に遊びまわる子供の声やお喋りする女子高生の声が聞こえて来る。楽しそうなそれらに耳を傾けながら、フェイスタオルを開いて頭に乗せる。夕方なんだからもう少しだけ手加減してくれたっていいのに、真夏の日差しは強過ぎてタオル如きじゃ日除けにもなりゃしない。 「美咲」 知った声が名前を呼んだので、視界の端を隠していたタオルを手で暖簾のように退けてみる。見上げれば、缶ジュース片手に立つ薫さんがあたしへと微笑んでいた。 暑さで溶け切った顔をしているであろうあたしとは対照的に、薫さんは涼しい顔をしている。ただ、どうやらそう見えるだけで、額や首筋に汗が伝っているのが見えた。真夏の太陽は、美人に対してだろうが容赦ない。 2766 浬-かいり-DOODLEかおみさ君を誘う百鬼夜行 からんころん。下駄の音を鳴らせながら、藍色の浴衣を着た少女は歩く。太鼓の音と人の喧騒の声に、下駄の音を止めた。石段の上の鳥居を見上げる。いつもは静まり返っている真っ暗な神社の中から、今夜は祭囃子が聞こえた。提灯の暖かな光は、少女を誘うようにゆらゆらと揺れる。 からんころん。石段を登った少女が、下駄を鳴らして鳥居をくぐる。少女の空色の瞳に飛び込んできたのは、色とりどりの縁日の屋台。金魚が泳ぐ水面が揺れ、色とりどりの水風船がひしめき、真っ赤なりんご飴が煌めく。 「ようこそ。可愛らしい浴衣だね、美咲」 からんころん。同じような下駄の音に振り返れば、椿が咲く浴衣を着た女性が少女へと微笑んでいた。頭に着けられた狐面と目が合ったような気がして、少女は息を呑む。今しがた鳥居を潜ってきた自分の真後ろに、この狐面は居ただろうか。 2149 浬-かいり-DOODLEはぐみさスタートライン「はぐみね、みーくんと一緒にいると、この辺がポカポカーってして、すごくあったかい気持ちになるんだよ。これがきっと恋って言うんだよね」 いつになく真剣な眼差しから、目を逸らせない。頰を赤く染めたはぐみが、彼女以上に顔を真っ赤にしている美咲へと。一歩、詰め寄って。 「みーくん、大好き。はぐみと恋人になってくれますか?」 はぐみの一世一代の告白に美咲が頷いたのが、一ヶ月ほど前のことである。 ◆ その日はバンド練習日だった。放課後に集まった為あまり時間は長くとれず、あっという間にスタジオの使用時間は終わりを迎えた。こころはまだ元気が有り余っているようで、片付けが終了しても動き回っている。 「まだまだ物足りないわ! 今からみんなで楽しいことを探しに行かない?」 2433 浬-かいり-DOODLEかおみさ(R-18)pass⇒18↑?(yes/no) 2566 浬-かいり-DOODLEかおみさ甘くて甘い「おはよう、美咲。よく眠れたかい?」 目を覚ますと、目の前の薫さんが微笑んで頭を撫でてきた。大きな手の感触が心地良くて、また目を閉じてしまいそうになる。 「ああ、いけないよ。お風呂に入るんだろう?」 「うん……、」 そんな風に嗜めるみたいに言う薫さんも、駄々を捏ねるみたいにまだ半分夢の世界のあたしも、今は何も服を着ていない。 そもそもあたしが今こんなに疲れてて眠いのだって、元はと言えば薫さんが昨晩頑張り過ぎたせいだ。腰が痛いし瞼が重い。 薫さんは仕方ないと言うように笑うと、あたしに上着を掛けてそのまま抱き上げた。目を閉じながら、階段を降りる音を聞く。 ◆ いや、いくらなんでも甘え過ぎじゃないかな。 お風呂に入ってやっと目の冴えたあたしは、薫さんに髪を乾かしてもらいながらやっとそんなことを自覚した。 2509 浬-かいり-DOODLEハロハピ笑顔で待ってる ベッドに腰掛けたままカッターの刃をゆっくりと出すと、ちきちきちき、という特徴的な音が耳に届いた。いつもはなんとも思わない音なのに、今日に限ってはいやに不快で、耳を刺すように響いてくる。頭が痛いのは、きっと音が不快だからってだけじゃない。 頭が痛い。ガンガンと低い音が鳴り響くように感じるのに、夕陽が射し込む部屋の中はあたし一人しか居なくて静まり返っている。それが余計に、あたしの中の思考をぐるぐると掻き回していた。 言われた言葉が、経験した出来事が、まるで今さっきの出来事だったかのように反芻しているような気さえして吐き気がする。気分が悪い。中学生にもなって、油断すると大声を上げて暴れて泣いてしまいそうだった。悲哀にも、焦燥にも、苛立ちにも、どれに部類するのか自分でもよく分からない、ぐちゃぐちゃとした感情がせめぎ合って胸の奥をのたうち回る。 1943 浬-かいり-DOODLEハロハピハロハピ年少組がアリの行列を眺めてるだけ「あらっ、」 昼休み、花咲川の中庭で弦巻こころはそんな拍子抜けした声を挙げた。弁当の入った巾着袋を片手に駆けていた足を止めて、中庭の隅で蹲る。 日の当たらない木陰の中は心地よく風が吹いている。今日は日射しはそれ程強くなく、爽やかな陽気だ。連日の暑さにより冷房の効いた教室で食べていた生徒も、今日はちらほらと中庭に出てきているようだった。 そんな久々に賑わいを見せている中庭の隅。視線の先には、 「アリさんだわ!」 アリの行列があった。中庭の隅に巣でもあるのだろう。何処からか続いている黒い点の集まりは、何処かへと向かって進んでゆく。 こころの大きな金色の瞳がそれを映し込んでも、顔を地面に近付けて思い切り覗き込んでも、アリの行列がその列を乱れさせることはない。こころは真顔で、無言で行列を見つめ続ける。その小さな後ろ姿に気付いたのは、北沢はぐみだった。 2334 浬-かいり-DOODLEここみさおひさまキラキラいい天気 窓から入ってくるお日様の光で、目を覚ます。 光は温かくて、キラキラしていて、今日がとっても素敵な一日になることを教えてくれているみたい。 早く外に出たい。今日はきっとよく晴れるはず。 すぐにでもベッドから飛び出したい気持ちだったけど、隣で眠る美咲のことを思い出してぐっと堪えた。 まだよく眠っている美咲は、昨日からお泊りに来てくれて、一緒に新しい曲を作っていた。それも昨日で完成したから、今日は沢山一緒に遊べるわね。 美咲はとってもお寝坊さん。ほっぺたをつついても、髪を梳くように撫でてもちっとも起きない。 このまま可愛らしい寝顔をずっと眺めてても良いけれど、今日はそれだけじゃ勿体ない。 早くしないと、今日が終わってしまうもの! 2476 浬-かいり-DOODLEはぐみさ(はぐみ誕2020)おめでとう、だいすき「わぁい、みんなありがとー!」 両手いっぱいにプレゼントを抱えた浴衣姿のはぐみちゃんが、嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。 こころちゃん宅で行われた誕生日パーティは大成功で、はぐみちゃんも大満足してくれたみたいだ。笑顔を見ると、私まで嬉しくなってしまう。 「ミッシェルも来てくれてありがとー! はぐみ、すっごく嬉しいよ!」 パーティ用の三角帽子を被ったミッシェルをはぐみちゃんが見上げれば、美咲ちゃ……ミッシェルはゆるゆると首を振る。 「当然だよ〜。はぐみちゃんが喜んでくれて、ミッシェルも嬉しいよ」 ミッシェルの大きな手がはぐみちゃんの頭を撫でる。えへへ、と笑うはぐみちゃんはとっても幸せそうで、今日美咲ちゃんにミッシェルをお願いして良かったなぁって思う。……美咲ちゃんは、大変だろうけど。 1900 浬-かいり-SPOILERイベスト感想「ハロハピ印のにこにこ夏休み」雑多感想②《えがお、み〜っけた!》 ・はいもう曲名から可愛い ・もう曲名から「ハロハピです!!!」って主張してくる ・これはハロハピの曲です!!!ってなる ・ーぐ ・めっちゃ歌ってる…… ・Aパートのここみさの掛け合い良き良きのロックンロックンロールじゃん…… ・みーくん声優しすぎない??? ・はぐちゃんパート「ごはんがうまうま」 ・可愛いいいいいいい ・この曲にハロハピの夏休みがいっぱいいっぱい詰まっているんだと思うと泣きたくなる ・いやなんで泣いてんの?ハロハピの曲だぞ笑えよ 《サマーハピネス/エピソード》 ・燐子先輩とはぐちゃん。珍しい組み合わせ ・真剣な顔して図書館にいるのをみーくんが見たら、また卒倒するんだろな ・はぐちゃん少年だよなぁ 2146 浬-かいり-SPOILERイベスト感想「ハロハピ印のにこにこ夏休み」雑多感想①・イベストあらすじを見た当初の私「ほーんカレー作るのか。こころん所有の山にでも行くんかな」 ・※直後右ストレートを顔面に喰らう ・クーラーの部屋大好き現代っ子奥沢 ・すき ・早速ご飯の話になるハロハピちゃん ・君らご飯の話好きだよね ・「やるならなんでもいい」は「みんなと一緒なら何やってもいい」だろ?そうだろみーくん ・「はいっ!みーくん先生!」「はい北沢さん、どーぞ」 ・可愛すぎるか?????? ・またご飯 ・ハロハピ合宿が現実に……神か…… ・合宿決定までの流れはいつもの流され沢さんでしたね。今回も良い流され具合だよ! ・みーくんのおばあちゃんにみーくんを下さいってご挨拶に伺うハロハピちゃんのストーリー?? ・3バカ「しょぼーん……」「やったー!」 2898 浬-かいり-DOODLEかおみさ(オメガバース)例えば、番から始まる恋があったとして まずった。バッグの中を漁りながら、あたしは大いに焦っていた。 その日はバンドの練習日だったが、ヒートと被ってしまった。予定日よりも随分早く来たヒートにただでさえ動揺していたのに、そんな日に限って薬を家に置いてきてしまったらしい。パニックになりながらバッグをひっくり返して中身をぶちまける。薬のケースが見当たらない。身体も吐く息もみんな熱い。思考が茹る。 「……美咲ちゃん?」 控え室のドアをノックする音がして、次いで控えめにドアが開けられる音がした。心配の色を含んだ花音さんの声。きっとなかなか練習に来ないあたしを心配して来たんだ。 床に蹲ったままの姿勢から動けないあたしに駆け寄って、背中に手が添えられる。 2909 浬-かいり-DOODLEかおみさおやすみ、ストレイシープ お日さまが沈んで夜が更けてくると、お月様とお星様がきらきら輝き出します。 こんなに月と星が綺麗な夜は、きっとよく眠れるはず。けれど今夜は、寝たいはずなのになかなか眠れない子が居たのでした。 次の日は大事な大事な用事がありました。自分が入っているバンドのライブがあるのです。けれどそのことを考えれば考えるほど頭の中はぐるぐるして、なかなか眠気が来ません。眠れぬ子は、ますます焦ってしまいます。 「やあ、こんばんは。眠れないのかい?」 しっかり閉めていた筈の窓から声がして、眠れぬ子はびっくりして窓を見ました。風でなびくカーテンに、人影が写っています。 「警戒しないでおくれ、子猫ちゃん。……いや、今は眠れない迷える“仔羊ちゃん”とでも言うべきかな?」 2482 浬-かいり-DOODLEハロハピお前らのとこのDJだろ、なんとかしろよ この日はガールズバンドパーティが主催する、大規模なライブの打ち上げだった。成人した今でも、こうしてみんなとバンド活動を続けていられるのは有難いし嬉しい。……表で言うことは、恥ずかしいからなかなか無いけど。 弦巻さんの敷地内に何故か建っている居酒屋で行われる打ち上げには、総勢30名超が集結していた。 「有咲〜! 次何飲む〜?」 隣に座る程よくほろ酔いの香澄に、ウーロン茶を頼んでおく。彼女は悪酔いすると非常に面倒なので見張っておきたいところだが、今回は中心になってみんなを引っ張ってくれたので、今日くらいは大目に見てあげたい。 それよりも、そう。もっと面倒見なくちゃいけない相手が私の隣に居るのだ。 「えへへへ、いちがゃさーーん!! これおかわり〜〜!!」 2902 浬-かいり-DOODLEかおみさ(怪盗ハロハッピー×大学生美咲)月夜にまた会おう 疲れた。 今日のバイトはなかなかハードで、人手不足なのもあって全然作業が進まず、終わるのが遅くなってしまった。 徒歩で帰れる距離なものの、一人で深夜の道を歩くのはなかなか怖い。重たい足を引きずって早歩きで帰路につく。今日はやけに月明かりが眩しくて、パトカーのサイレンが煩い。 「うわっ!?」 「おっと、すまないね」 角を曲がるところで急に現れた人影にぶつかり、バランスを崩す。素っ頓狂な声を上げながらそのまま後ろへ倒れそうだったのを、腕一本で止められた。 肩を抱くように引き寄せられ、驚愕で一瞬息が止まる。 「いや、こちらこそすみませ、……?」 謝りながら見上げてみれば、そこに居たのは仮面にシルクハット、マントを着けた背の高い女性だった。ルビーに似た深紅の瞳があたしを見下ろす。 2407 浬-かいり-DOODLEかおみさ(R-18)pass⇒18↑?(yes/no) 2357 浬-かいり-DOODLEここみさ聞いて聞いて「ミッシェル〜〜〜〜!!」 久々のミッシェルとしての練習日。休憩に入ったので控え室に一人向かおうとしたところで、後ろから抱き着かれた。犯人は、振り返らなくったって分かりきってる。 「なにかな〜? こころ?」 予想通り、振り向けば満面の笑みのこころが居た。嬉しそうな引っ付いてくる彼女は、何か用があるらしい。取り敢えず引き剥がしてから話を聞く。 「どうしたの? 何か用があるのかな?」 「ええ! あたしね、ミッシェルにとても大事な話があるの!」 話? 話ってなんだろう。他のメンバーにはそんなこと言ってなかった。ミッシェルだけにする、大事な話? 首を傾げれば手を引かれ、入ろうと思ってた控え室へそのまま誘導される。 2871 浬-かいり-DOODLEかおみさ(R-18)pass⇒18↑?(yes/no) 2417 浬-かいり-DOODLEハロハピ末っ子を可愛がって甘やかしたいの会「今日一日、美咲はあたし達の妹になればいいんだわ!」 「は?」 ◆ 今日はハロハピの練習日。昼食を食べてから練習の予定なので、お昼前にCiRCLEへ。車で送ってくれた親にお礼を言ってから、中へと入った。 「ごめん、お待たせ」 「美咲っ!」 到着したのはあたしが最後。こころが嬉しそうに振り返って、いつも通りあたしに飛びつこうとして……、足を止め立ち尽くす。他の三人も、あたしを見て驚いた顔をしていた。 「美咲、それ……?」 「あー……その……、」 みんなが呆然とするのも無理はない。あたしの身体は傷だらけだった。 顔には頰にガーゼが貼られ、口の端にも絆創膏。手首は捻挫。足は打撲。ともに包帯が巻かれている。 一番目立つのは、左手でついている松葉杖だろう。 3005 浬-かいり-DOODLEかおみさ(吸血鬼パロ)食欲は理性すらも喰らって この日は真夏日となる為、熱中症に気を付けてください、と朝の天気予報では言っていた。 だから美咲がCiRCLEのラウンジでぐったりとしている薫を見た時、熱中症だと思って血相を変えた。 「か、薫さん!? どうしたの、大丈夫?」 「美咲……?」 「熱中症……? あたし水持ってるから、これ飲んで、」 慌てて鞄から水の入ったペットボトルを取り出そうとするが、その手首を薫に掴まれ止められた。 違うんだ、と首を振る薫の顔色は蒼い。熱中症ではなさそうだが、体調が悪そうなのは変わらない。 「で、でも……、」 「少し休んだら良くなるから」 「それなら尚更、帰った方がいいんじゃ……っ、!」 いつも人で賑わっているラウンジだが、今は薫と美咲の二人だけだ。まだ集合時間には大分早いので、他のハロハピメンバーが来るのはもっと後だろう。 2823 浬-かいり-DOODLEかおみさ口下手な彼女の愛情表現「今作、め〜っちゃ良かったね〜!」 映画館のすぐ傍に建つ飲食店で夕食を食べながら、りみは先程観た映画の感想を楽しげに語り出した。 りみとの交流は大学に上がった今でも続いていて、こうしてホラー映画を観たり食事に行ったりしている。大学は別だからなかなか会える訳じゃないけれど、やっぱり気の知れた友達だから会うのは嬉しい。 「迫力あったねー……。戸山さん連れて来なくて良かったかもね」 「そうかもね……。ショッピングモールのシーンなんか、ドキドキしちゃったよ〜」 あたしでも思わず悲鳴を上げそうになったくらいの迫力満点の演出だ。戸山さんが居たら気絶していたに違いない。 「あたしはショッピングモールでのゾンビは、どうしても高校の頃を思い出しちゃうな……」 2417 浬-かいり-DOODLEかおみさ(騎士×姫)その二人、主従関係につき。 大陸の首都で年に一度行われる舞踏会は、各王国の国王一族や貴族達が集う大規模なものだ。各国の交流を目的とする、平和と親睦の催しだった。 例に漏れず、一国の姫君である美咲も参加しているが、今は挨拶回りを終えて隅でぐったりとしていた。 「もう……今日は誰とも話したくない……」 「お疲れ様、美咲! 大変そうね!」 「いや、あんたの方が忙しいのに元気だね……」 隅で目立たないようにしていたのに、目敏く見つけたこころが飛んでくる。こころは首都王国の姫であり、この舞踏会の主催側だ。客人の美咲と違って、色々気を回さなければいけないことも多いだろう。 「美咲様、水を」 「ん、ありがと。……薫さん、今ここ隅っこで誰も聞いてないし、居るのもこころだけだから口調崩していいよ」 3040 123