レオナがここまで乗ってきた車は、第二王子が乗るにふさわしい公用車かと思えば、こじんまりとしたオフロードオープンカーだった。一国の王子がこんな車でいいのかと眉間に皺を寄せれば、ラギーさんが助手席に乗り込み、運転はレオナ自身がするようだ。後部座席に滑り込みながら、どうか車酔いしない運転をしてくれと目線で訴えながらシートベルトをすると、レオナがエンジンを掛け車を発進させた。
「どこに行かれるんです?」と聞くと、レオナの代わりにラギーさんがくるりと振り返る。
「レオナさんお気に入りのカフェっすよ! あ〜、何食おっかなぁ」
浮かれたラギーさんを見ると、スラム出身なのに王宮では問題なく仕事をこなせているようだ。元々ラギーさんは器用に何でもこなすタイプで、給料の良い王宮というインターン先なら、余計に気合も入って多少のことなど気にならないだろう。
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