プリクラ リビングの中に、淡い光が瞬いた。その光は部屋全体を満たし、一点に集中して大きな輪を作り出す。真っ黒に穿たれた空間から出てくるのは、人間の男の子の姿だ。足が現れ、腰が現れ、最後に上半身が飛び出す。不思議にすら感じるこの登場も、僕には見慣れた光景だった。
光が消えると、そこには一人の男の子が立っていた。しかし、その姿はいつもと大きく違っている。髪はツインテールに結ばれ、くりくりとした両目がこちらを見つめている。細くて小さな身体には、お嬢様学校の制服を纏っていた。背中には、ご丁寧に指定のリュックを背負っている。それでも男の子だと分かるのは、彼が僕の恋人だからだ。
「帰ったぜ」
にやにやと笑いながら、ルチアーノは帰宅の挨拶を告げた。甲高く上ずった、上機嫌な声である。いいことがあったときの態度だった。
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