バレンタイン ルチアーノは、朝から顰め面をしていた。それもそのはず。今日は世間が浮かれるバレンタインなのだ。
この日になると、僕の元へはたくさんの人が訪れる。僕はシティ中でデュエルをして回っているから、町内の知り合いも多いのだ。遊星たちポッポタイムの住人は必ず義理チョコをくれるし、町でたまに会うだけの知り合いも、駄菓子を配っていることがあった。
ルチアーノには、それが恐ろしいようだった。自分ではよく分からないが、彼に言わせると、僕は『モテる男』に分類されるらしい。あまり自覚はないが、毎年この時期になると、女の子の視線を感じるのは否定できない。去年のバレンタインの様子を見てしまったことも、余計に彼の不安を煽っているようなのだ。
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