おじさんがハムにはしゃいでいるマルコを伴って海外に飛んでしまった貘さんは僕に一枚知らない名前が入ったカードを置いて行った。これで暮らしてね、という事らしい。
見るからに僕の知っているポイント機能つきカードとか一線を画するものだったが、これを渡されたからと言って別に何をしようと思いつくこともない。
なので、ふらりと街に出てみた。カードはしっかりと財布に入れてズボンの前ポケットに入れた。
貘さんだってこれで是非豪遊してね、と言う意味で渡したのではないのはわかるし無駄に使うつもりもない。
けどこれで食事、と考えても通りのどこそこにある飲食店を覗いてみても大して興味はわかなかった。
人生で一人飯をした回数の方が格段に多いって言うのに、あの二人と出会って以降のたった数年で一人での食事に味気なさを感じるようになってしまった。
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