なりひさ
DONE【ごくパ展示】ガンマト。キャンプに行く少し前の話。ヒュンケルの恋愛相談に乗るガンガディアとマトリフ。ヒュンポプ、ハドアバ同軸設定。【ごくパ展示】恋愛指南「好きな相手にどう接すればいいか、かね」
ガンガディアは眼鏡を押し上げて目の前のヒュンケルを見下ろした。ヒュンケルは真剣に面持ちで頷く。あの小さかったヒュンケルがそんな悩みを口にするほどに成長したとは感動を覚える。
「そういう相談ならガンガディアに、と父さんが」
言ってヒュンケルはちらりとマトリフを見た。マトリフは我関せずという風に本を読んでいる。ガンガディアとマトリフがパートナーであることは皆が知っていることだった。
「私で良ければ相談に乗ろう」
「よろしく頼む」
「好きな相手にどう接すれば良いか、だったな。もちろん一概に言えることではない。ひとは様々だ」
ガンガディアは当たり障りがないことを言いながら思考を巡らせる。相談に乗ると言ったものの、恋愛は得意な事柄ではなかった。マトリフとパートナーになったが、彼以外に恋愛感情を持ったことすらない。
3221ガンガディアは眼鏡を押し上げて目の前のヒュンケルを見下ろした。ヒュンケルは真剣に面持ちで頷く。あの小さかったヒュンケルがそんな悩みを口にするほどに成長したとは感動を覚える。
「そういう相談ならガンガディアに、と父さんが」
言ってヒュンケルはちらりとマトリフを見た。マトリフは我関せずという風に本を読んでいる。ガンガディアとマトリフがパートナーであることは皆が知っていることだった。
「私で良ければ相談に乗ろう」
「よろしく頼む」
「好きな相手にどう接すれば良いか、だったな。もちろん一概に言えることではない。ひとは様々だ」
ガンガディアは当たり障りがないことを言いながら思考を巡らせる。相談に乗ると言ったものの、恋愛は得意な事柄ではなかった。マトリフとパートナーになったが、彼以外に恋愛感情を持ったことすらない。
なりひさ
DONE【ごくパ展示】ガンマト。ガンマトのイチャイチャを目撃してしまうアバン。【ごくパ展示】甘噛み アバンは出来上がったシチューを器に入れた。日も傾き、一番星が空に輝いている。
皆は楽しそうに食事を楽しんでいた。平和になってからというもの、皆で定期的に集まっては食事会を開いている。
しかし今回は趣向を変えてキャンプをすることになった。ポップは野宿と何が違うのかと不満を言っていたが、今は楽しそうにダイたちと出来上がったシチューを食べている。他の者たちも会話に花を咲かせていた。
アバンは器に入れたシチューを二つ持ち、あたりを見渡した。先ほどからマトリフとガンガディアの姿が見えない。二人は近くの川に魚を釣りに行っていたはずだ。
アバンは器を持ったまま小川の方へと向かう。小さな森をこえた先にその小川はあった。
1886皆は楽しそうに食事を楽しんでいた。平和になってからというもの、皆で定期的に集まっては食事会を開いている。
しかし今回は趣向を変えてキャンプをすることになった。ポップは野宿と何が違うのかと不満を言っていたが、今は楽しそうにダイたちと出来上がったシチューを食べている。他の者たちも会話に花を咲かせていた。
アバンは器に入れたシチューを二つ持ち、あたりを見渡した。先ほどからマトリフとガンガディアの姿が見えない。二人は近くの川に魚を釣りに行っていたはずだ。
アバンは器を持ったまま小川の方へと向かう。小さな森をこえた先にその小川はあった。
なりひさ
DONEガンマト。指輪にまつわる話君に渡すひとつの指輪「師匠〜!」
元気のいい声が外から響いて、ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じた。
「いらっしゃいポップ君」
「おじゃましまーすって、あれ、師匠は?」
ポップは洞窟内を見渡してマトリフがいないことに気づいた。ガンガディアは立ち上がるとポップに椅子をすすめる。
「大魔道士は出かけている。だがすぐに帰ってくるだろう。かけたまえ。お茶を淹れる」
「そっかー。あ、これお土産」
ポップは椅子に腰掛けると手土産を机に並べた。それらは焼き菓子で、アバン特製のものだろう。それに合う茶葉があったはずだとガンガディアは棚の中を探した。
「師匠どこ行ってんの?」
「ベンガーナだ。探し物だと言っていたが」
「じゃあ帰ってくんの遅いんじゃねえの?」
8334元気のいい声が外から響いて、ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じた。
「いらっしゃいポップ君」
「おじゃましまーすって、あれ、師匠は?」
ポップは洞窟内を見渡してマトリフがいないことに気づいた。ガンガディアは立ち上がるとポップに椅子をすすめる。
「大魔道士は出かけている。だがすぐに帰ってくるだろう。かけたまえ。お茶を淹れる」
「そっかー。あ、これお土産」
ポップは椅子に腰掛けると手土産を机に並べた。それらは焼き菓子で、アバン特製のものだろう。それに合う茶葉があったはずだとガンガディアは棚の中を探した。
「師匠どこ行ってんの?」
「ベンガーナだ。探し物だと言っていたが」
「じゃあ帰ってくんの遅いんじゃねえの?」
なりひさ
MAIKINGガンマト。罠を使ってマトリフを捕まえるガンガディア【まおしゅう2展示】罠を使って大魔道士捕獲大作戦 ガンガディアは茂みに隠れて罠を見ていた。鬱蒼とした森の中は小鳥の声がどこからか聞こえている。
罠と一口に言っても種類は多彩だ。天井がないタイプの囲い罠、罠を踏むと足が括られて捕まえられる括り罠、檻のような箱に餌で誘導して捕まえる箱罠などだ。
今回の獲物は飛翔呪文が使えるので囲い罠では無意味だ。また括り罠では獲物の足を痛める可能性があるから却下。そのためガンガディアは箱罠を用意していた。餌を地面に設置して、その頭上に鉄製の檻を用意してある。もちろんこの檻は目で見えないように細工してある。
人の気配を感じてガンガディアは息をひそめる。見ればこちらに歩いてくる人影があった。それが今回の獲物、大魔道士マトリフであるとわかる。
3919罠と一口に言っても種類は多彩だ。天井がないタイプの囲い罠、罠を踏むと足が括られて捕まえられる括り罠、檻のような箱に餌で誘導して捕まえる箱罠などだ。
今回の獲物は飛翔呪文が使えるので囲い罠では無意味だ。また括り罠では獲物の足を痛める可能性があるから却下。そのためガンガディアは箱罠を用意していた。餌を地面に設置して、その頭上に鉄製の檻を用意してある。もちろんこの檻は目で見えないように細工してある。
人の気配を感じてガンガディアは息をひそめる。見ればこちらに歩いてくる人影があった。それが今回の獲物、大魔道士マトリフであるとわかる。
なりひさ
DONEガンマト。片付けをしていたマトリフはあるものを見つける。それは絶対にガンガディアに知られてはいけないものだった。マトリフはそれをこっそり処分しようとするが……【まおしゅう2展示】絶対に見つかってはいけないものを消滅させる話 マトリフは見つけた箱を手にして首を傾げた。マトリフの洞窟には雑多な物が溢れている。散らかったそれらを片付けようと気まぐれを起こしたはいいものの、中には持ち主のマトリフでさえ不可解な物も紛れていた。
マトリフが手にしたのは細長い箱である。ちょうど輝きの杖が入るほどの大きさだ。随分と重く、やけに頑丈な木箱で、厳重に封がされている。中身が思い出せなくてマトリフは記憶を辿った。だが思い出せない。
ならば見たほうが早かろうと封を解く。木箱の蓋をぱかりと開ければ、そこに鎮座したものが目に入った。
「やべ……」
マトリフは即座に蓋をした。そしてさっき剥がした封をきっちりと巻き付ける。中に入っていた物は、確かにマトリフが過去に使っていた物だ。だがあまりの威力に、使うのを止めて仕舞い込んでいた。
4403マトリフが手にしたのは細長い箱である。ちょうど輝きの杖が入るほどの大きさだ。随分と重く、やけに頑丈な木箱で、厳重に封がされている。中身が思い出せなくてマトリフは記憶を辿った。だが思い出せない。
ならば見たほうが早かろうと封を解く。木箱の蓋をぱかりと開ければ、そこに鎮座したものが目に入った。
「やべ……」
マトリフは即座に蓋をした。そしてさっき剥がした封をきっちりと巻き付ける。中に入っていた物は、確かにマトリフが過去に使っていた物だ。だがあまりの威力に、使うのを止めて仕舞い込んでいた。
なりひさ
DONEガンマト。恋人同士のガンガディアとマトリフ。しかしマトリフはガンガディアに「好き」と素直に言えなかった。そんなある日、ガンガディアが魔界へ行くと知ってしまう。マトリフは自分の気持ちに素直になれるのか【まおしゅう2展示】素直に「好き」と言えない大魔道士の話「よう、邪魔するぞ」
マトリフは言葉と同時に扉に手をかける。そこは地底魔城のガンガディアの部屋だった。
ガンガディアは突然入ってきたマトリフに怒るでもなく、柔らかな笑顔で出迎えた。嬉しさを隠しもしないその表情に、マトリフも自然と笑みが浮かぶ。
「大魔道士」
ガンガディアは身を屈めてマトリフを抱きしめた。その大きく温かな身体に抱きしめられて満たされた気持ちになる。マトリフも腕を伸ばして大きなガンガディアの身体を抱き返した。
「散らかっていてすまない。調べ物をしていて」
ガンガディアの言葉通り、部屋は魔導書や地図などが散乱していた。それは生真面目で綺麗好きなガンガディアには珍しいことだった。
ガンガディアは身を屈めると本を拾い集めてた。マトリフも足元にあった地図を拾い上げる。
6120マトリフは言葉と同時に扉に手をかける。そこは地底魔城のガンガディアの部屋だった。
ガンガディアは突然入ってきたマトリフに怒るでもなく、柔らかな笑顔で出迎えた。嬉しさを隠しもしないその表情に、マトリフも自然と笑みが浮かぶ。
「大魔道士」
ガンガディアは身を屈めてマトリフを抱きしめた。その大きく温かな身体に抱きしめられて満たされた気持ちになる。マトリフも腕を伸ばして大きなガンガディアの身体を抱き返した。
「散らかっていてすまない。調べ物をしていて」
ガンガディアの言葉通り、部屋は魔導書や地図などが散乱していた。それは生真面目で綺麗好きなガンガディアには珍しいことだった。
ガンガディアは身を屈めると本を拾い集めてた。マトリフも足元にあった地図を拾い上げる。
なりひさ
DONEガンガさんとももんじゃマトシリーズその3。100日後にすけべするガンマト。どうせモフモフのほうが好きなんだろ〜すけべするまであと99日〜
ガンガディアはふと本から顔を上げた。そっと隣に座るマトリフに視線をやる。マトリフの頭はふらふらと揺れていた。目は閉じては開き、またゆっくりと閉じていく。もう真夜中だとガンガディアは気付いた。
マトリフが地底魔城に通うようになって暫くが経つ。特に用事があるわけではないのだろうが、マトリフは二、三日おきにやって来ては、地底魔城の様子を見ていく。ガンガディアはマトリフが来るのをいつも心待ちにしていた。会っても少し話をするだけなのだが、それでもマトリフに会えるのが嬉しかった。
今日はマトリフが土産だと言って魔導書を数冊持ってきた。師から譲り受けた貴重なものらしく、ガンガディアは礼を言って読み始めた。するとマトリフもそのうちの一冊を手に取って開いていた。
32701ガンガディアはふと本から顔を上げた。そっと隣に座るマトリフに視線をやる。マトリフの頭はふらふらと揺れていた。目は閉じては開き、またゆっくりと閉じていく。もう真夜中だとガンガディアは気付いた。
マトリフが地底魔城に通うようになって暫くが経つ。特に用事があるわけではないのだろうが、マトリフは二、三日おきにやって来ては、地底魔城の様子を見ていく。ガンガディアはマトリフが来るのをいつも心待ちにしていた。会っても少し話をするだけなのだが、それでもマトリフに会えるのが嬉しかった。
今日はマトリフが土産だと言って魔導書を数冊持ってきた。師から譲り受けた貴重なものらしく、ガンガディアは礼を言って読み始めた。するとマトリフもそのうちの一冊を手に取って開いていた。
なりひさ
DONEガンガさんとももんじゃマトシリーズその2白いモフモフ、魔王軍辞めるってよ マトリフは眠れない夜を過ごしていた。そもそも、今が夜なのかどうかもわからない。
マトリフはももんじゃにモシャスして地底魔城へと潜入していた。その途中でガンガディアに見つかってしまい、正体はバレていないものの、ガンガディアから離れられない状況にあった。
マトリフはガンガディアに抱き締められている。といっても、体の大きさがあまりにも違うために、マトリフがガンガディアの顔面に張り付いているような格好になっている。
「君からは空の匂いがする」
先ほどからマトリフの白い腹毛に顔を埋めながら深呼吸をしていたガンガディアが呟いた。マトリフは何と答えていいかわからないので、とりあえず小さく鳴いてみた。
君の匂いを嗅がせてほしい、とガンガディアに言われたときは、こいつは過労のせいでおかしくなったのかと思った。だがガンガディアの真剣な様子に、マトリフはつい頷いてしまった。
17845マトリフはももんじゃにモシャスして地底魔城へと潜入していた。その途中でガンガディアに見つかってしまい、正体はバレていないものの、ガンガディアから離れられない状況にあった。
マトリフはガンガディアに抱き締められている。といっても、体の大きさがあまりにも違うために、マトリフがガンガディアの顔面に張り付いているような格好になっている。
「君からは空の匂いがする」
先ほどからマトリフの白い腹毛に顔を埋めながら深呼吸をしていたガンガディアが呟いた。マトリフは何と答えていいかわからないので、とりあえず小さく鳴いてみた。
君の匂いを嗅がせてほしい、とガンガディアに言われたときは、こいつは過労のせいでおかしくなったのかと思った。だがガンガディアの真剣な様子に、マトリフはつい頷いてしまった。
なりひさ
DONEガンマト。ガンガディアがももんじゃに癒される話。まだ二人は敵対関係ガンガディアと白いモフモフ ガンガディアは早足で地底魔城の通路を急いでいた。ハドラーは凍れる時間の秘法から復活したが、それは同時に勇者の復活も意味する。いつ勇者が攻めてきてもおかしくなかった。
ガンガディアはハドラーに、凍れる時間の秘法に封印されていた期間の出来事、人間に押し返された地域、つまり現状の報告だけでも多大な時間を要した。魔王軍の立て直しが急務であり、勇者の動向も探らねばならない。ガンガディアは各方面からの連絡をまとめて行い、逐一ハドラーに報告していた。
そんなガンガディアに僅かに休憩する時間が与えられた。ガンガディアはその時間を自己鍛錬に当てようと闘技場へと向かっていた。
するとひと気のない通路に一匹のももんじゃを見つけた。そのももんじゃは薄暗い通路の奥へと向かって歩いている。なぜももんじゃがこんな場所にいるのかとガンガディアは足を止めた。
1728ガンガディアはハドラーに、凍れる時間の秘法に封印されていた期間の出来事、人間に押し返された地域、つまり現状の報告だけでも多大な時間を要した。魔王軍の立て直しが急務であり、勇者の動向も探らねばならない。ガンガディアは各方面からの連絡をまとめて行い、逐一ハドラーに報告していた。
そんなガンガディアに僅かに休憩する時間が与えられた。ガンガディアはその時間を自己鍛錬に当てようと闘技場へと向かっていた。
するとひと気のない通路に一匹のももんじゃを見つけた。そのももんじゃは薄暗い通路の奥へと向かって歩いている。なぜももんじゃがこんな場所にいるのかとガンガディアは足を止めた。
なりひさ
DONEガンマト。現パロ大晦日と正月の朝 大掃除、といってもガンガディアが普段からマメに掃除をしているので、大して汚れてもいない部屋をマトリフは見渡す。申し訳程度に埃取りモップを手にテレビの裏などを覗き込んでみるが、そこは掃除の必要がないほどにきれいだった。
マトリフは一瞬で掃除をする気を無くしてコタツへと入り込む。蜜柑も電気ポットも手の届く位置にあるし、ここに座れば数時間は動かないことになる。
「私はもう行くが、大丈夫かね」
コートを着たガンガディアが言った。マトリフは軽く手を振って早く行けと示す。ガンガディアは元魔王軍連中の年越しパーティーに呼ばれているので、もう出かける時間だった。
「オレも夕方には師匠のとこに行くから気にすんな」
いつもは二人で年越しをするが、今年はガンガディアがいないのでマトリフは師であるバルゴートのところへ行く予定だった。
4244マトリフは一瞬で掃除をする気を無くしてコタツへと入り込む。蜜柑も電気ポットも手の届く位置にあるし、ここに座れば数時間は動かないことになる。
「私はもう行くが、大丈夫かね」
コートを着たガンガディアが言った。マトリフは軽く手を振って早く行けと示す。ガンガディアは元魔王軍連中の年越しパーティーに呼ばれているので、もう出かける時間だった。
「オレも夕方には師匠のとこに行くから気にすんな」
いつもは二人で年越しをするが、今年はガンガディアがいないのでマトリフは師であるバルゴートのところへ行く予定だった。
なりひさ
DONEガンマト。キリ番を踏んでくださった皆様へキリ番マトリフと魔法のランプ
昔々、あるところに大魔道士がいました。大魔道士はある城に暮らしています。その国の名をパプニカといいました。大魔道士はその城に勤める宮廷魔道士でした。
大魔道士の名前はマトリフといいます。マトリフは王様の相談役でもありました。今日もマトリフは持ちかけられた相談について頭を悩ませていました。ところがいい解決策は見つかりません。
「ちょっと休憩でもするか」
マトリフは椅子から立ち上がると背伸びをしました。その拍子に手が棚に当たり、棚にあったものがバラバラと落ちてきました。マトリフは溜息をつきながらそれらを拾い集めていきました。
「なんだこれ」
マトリフが手に取ったのは古びたランプでした。そこでマトリフは数年前に洞窟探検をしてこのランプを見つけたことを思い出しました。しかし持ち帰ったランプは棚に置かれたまま、ずっと忘れ去られていました。
4703昔々、あるところに大魔道士がいました。大魔道士はある城に暮らしています。その国の名をパプニカといいました。大魔道士はその城に勤める宮廷魔道士でした。
大魔道士の名前はマトリフといいます。マトリフは王様の相談役でもありました。今日もマトリフは持ちかけられた相談について頭を悩ませていました。ところがいい解決策は見つかりません。
「ちょっと休憩でもするか」
マトリフは椅子から立ち上がると背伸びをしました。その拍子に手が棚に当たり、棚にあったものがバラバラと落ちてきました。マトリフは溜息をつきながらそれらを拾い集めていきました。
「なんだこれ」
マトリフが手に取ったのは古びたランプでした。そこでマトリフは数年前に洞窟探検をしてこのランプを見つけたことを思い出しました。しかし持ち帰ったランプは棚に置かれたまま、ずっと忘れ去られていました。
なりひさ
DONEガンマト。アドベントカレンダー企画まとめ。オオグンタマを添えて。ただいまのあと ただいま、と言いながらドアを開ける。するとすぐに足音がこちらへと向かってきた。まるで主人の帰りを待ち侘びた犬のようだとマトリフはいつも思う。
「おかえり」
ガンガディアはマトリフを出迎えたが、すぐにリビングへと戻ってしまった。見ればテレビがついている。放送されているのは自然ドキュメンタリーなのか、雄大な森が映し出されていた。
「実に興味深い内容でね」
言いながらガンガディアはテレビの前のソファに座っている。どうやらガンガディアの知的好奇心を刺激する内容らしい。
「一緒に見ないかね」
「ああ、風呂上がったらな」
マトリフは鞄を置いて風呂へと向かった。ガンガディアは大きな身体を丸めて熱心に画面を見ている。
4950「おかえり」
ガンガディアはマトリフを出迎えたが、すぐにリビングへと戻ってしまった。見ればテレビがついている。放送されているのは自然ドキュメンタリーなのか、雄大な森が映し出されていた。
「実に興味深い内容でね」
言いながらガンガディアはテレビの前のソファに座っている。どうやらガンガディアの知的好奇心を刺激する内容らしい。
「一緒に見ないかね」
「ああ、風呂上がったらな」
マトリフは鞄を置いて風呂へと向かった。ガンガディアは大きな身体を丸めて熱心に画面を見ている。
なりひさ
DONEガンマト。アドベントカレンダー企画まとめガンマトアドベントカレンダー3.521素晴らしい人々
「ガンガディアのおっさんが師匠の百歳の誕生日をサプライズで祝いたいんだとよ」
「お前サプライズの意味わかってんのか?」
秘密であろう内容をさらりと言ってしまったポップにマトリフは呆れた。だがポップは調子良く笑いながら肘でマトリフをつつく。
「師匠はとっくに気付いてたろ〜?」
「まあな」
ここ数日ガンガディアは挙動不審だった。それがマトリフの百歳を祝うための準備をしているためだとマトリフは気付いていた。
「当日に師匠を連れ出す役目をガンガディアのおっさんに頼まれたんだよ。理由は何でもいいから適当に出かける用事に誘えってさ。師匠どこか行きたいとこあるか?」
「ねえよ」
「パプニカで最近流行ってるデザートでも食いに行く? あ、でもアバン先生のケーキがあるから甘いものは被るなあ」
1762「ガンガディアのおっさんが師匠の百歳の誕生日をサプライズで祝いたいんだとよ」
「お前サプライズの意味わかってんのか?」
秘密であろう内容をさらりと言ってしまったポップにマトリフは呆れた。だがポップは調子良く笑いながら肘でマトリフをつつく。
「師匠はとっくに気付いてたろ〜?」
「まあな」
ここ数日ガンガディアは挙動不審だった。それがマトリフの百歳を祝うための準備をしているためだとマトリフは気付いていた。
「当日に師匠を連れ出す役目をガンガディアのおっさんに頼まれたんだよ。理由は何でもいいから適当に出かける用事に誘えってさ。師匠どこか行きたいとこあるか?」
「ねえよ」
「パプニカで最近流行ってるデザートでも食いに行く? あ、でもアバン先生のケーキがあるから甘いものは被るなあ」
なりひさ
DONEガンマト。アドベントカレンダー企画まとめガンマトアドベントカレンダー422渦巻く心
君のことが好きだ、とガンガディアは言った。マトリフはその声を思い出して頭を抱える。
ガンガディアは魔王軍に属する魔王の側近、マトリフは勇者一行の魔法使いだ。そのガンガディアからの告白を受けたマトリフは、頭を悩ませていた。
その告白を聞いたときは、尊敬の延長線上にある好意なのかと思った。ガンガディアから妙に気に入られていることには気付いていたからだ。
だが、ガンガディアの様子からどうも違うらしいと察した。ガンガディアはどこか思い詰めた顔をしていた。そしてその告白のあと、何も望まないと言った。
「私のこれまでの行いは変えられない。君とはこれからも敵対関係が続くだろう。だが、どうしても私の思いを伝えておきたかった」
3419君のことが好きだ、とガンガディアは言った。マトリフはその声を思い出して頭を抱える。
ガンガディアは魔王軍に属する魔王の側近、マトリフは勇者一行の魔法使いだ。そのガンガディアからの告白を受けたマトリフは、頭を悩ませていた。
その告白を聞いたときは、尊敬の延長線上にある好意なのかと思った。ガンガディアから妙に気に入られていることには気付いていたからだ。
だが、ガンガディアの様子からどうも違うらしいと察した。ガンガディアはどこか思い詰めた顔をしていた。そしてその告白のあと、何も望まないと言った。
「私のこれまでの行いは変えられない。君とはこれからも敵対関係が続くだろう。だが、どうしても私の思いを伝えておきたかった」
なりひさ
DONEガンマト。アドベントカレンダー企画まとめガンマトガンマトアドベントカレンダー315ふとんの抜け殻
ぽっかりと空いた穴を見つめる。布団はそこに寝ていた主人の形を残していた。マトリフは器用に布団から抜け出したらしい。
部屋は暖炉の火のおかげで充分に暖まっている。外は荒れた天気だが、それを全く感じさせなかった。
さて本人はどこへ行ったのだろうとガンガディアはあたりを見渡す。昨夜は一緒に寝なかったために、その姿を見ていない。ガンガディアの部屋はその体のサイズに合わせてあるので広い。マトリフ一人が身を隠そうと思えばその場所は沢山あった。
「大魔道士」
ガンガディアは極力優しい声音で言った。寝起きのマトリフは機嫌がよろしくない。無駄に刺激しないに限る。だがその姿が何処にあるかだけは確認しておかねばならなかった。
12872ぽっかりと空いた穴を見つめる。布団はそこに寝ていた主人の形を残していた。マトリフは器用に布団から抜け出したらしい。
部屋は暖炉の火のおかげで充分に暖まっている。外は荒れた天気だが、それを全く感じさせなかった。
さて本人はどこへ行ったのだろうとガンガディアはあたりを見渡す。昨夜は一緒に寝なかったために、その姿を見ていない。ガンガディアの部屋はその体のサイズに合わせてあるので広い。マトリフ一人が身を隠そうと思えばその場所は沢山あった。
「大魔道士」
ガンガディアは極力優しい声音で言った。寝起きのマトリフは機嫌がよろしくない。無駄に刺激しないに限る。だがその姿が何処にあるかだけは確認しておかねばならなかった。
なりひさ
DONEガンマト。アドベントカレンダー企画まとめあなたが選んだのは 森の奥深くに、不思議な泉があるという。その泉は水が清らからで、その水と同じくらい清らかな者が訪れたら、幸せになれるという。
「だったらオレは無理だな」
話を聞いたマトリフは笑い飛ばした。自他とも悪党と認める素行の悪さと、清らかとは真逆の性格なのだ。ところがガンガディアが珍しく行きたいと言い張った。知識欲に飢えたこのトロルの我儘を、マトリフも珍しく聞いてやりたくなった。
そして落ちた。ガンガディアが泉に。それはそれは高い水飛沫が上がった。
「何やってんだ?」
マトリフとガンガディアはトベルーラで泉を探して飛んでいた。森の上を飛んでいたら、ぽっかりと空いた場所があり、そこに泉があった。そしてちょうど泉の真上に来たときに、ガンガディアが落ちたのだ。
12966「だったらオレは無理だな」
話を聞いたマトリフは笑い飛ばした。自他とも悪党と認める素行の悪さと、清らかとは真逆の性格なのだ。ところがガンガディアが珍しく行きたいと言い張った。知識欲に飢えたこのトロルの我儘を、マトリフも珍しく聞いてやりたくなった。
そして落ちた。ガンガディアが泉に。それはそれは高い水飛沫が上がった。
「何やってんだ?」
マトリフとガンガディアはトベルーラで泉を探して飛んでいた。森の上を飛んでいたら、ぽっかりと空いた場所があり、そこに泉があった。そしてちょうど泉の真上に来たときに、ガンガディアが落ちたのだ。
なりひさ
DONEガンマト。アドベントカレンダー企画作成まとめガンマトアドベントカレンダー1.5 私は今日こそマトリフに好きだと伝えようと思っていた。私がマトリフに出会ったのはちょうど五年前。恋に落ちたのは四年と三百六十四日前だ。
私はマトリフの研究室に来ていた。私は企業の研究職だが、共同研究員としてマトリフがいる大学に派遣されている。夕方の研究室には私とマトリフしかいなかった。
「マトリフ、話があるのだが」
「なんだよ改まって」
マトリフは競馬新聞を片手にビーカーで黒い液体を混ぜていた。それがインスタントコーヒーで、そのビーカーが前回は何に使われていたのか思い出そうとしてやめた。衛生的であることを信じたい。
「以前から言おうと思っていたのだが」
「マグカップならねぇんだよ。でもコーヒーが飲みてえし」
8026私はマトリフの研究室に来ていた。私は企業の研究職だが、共同研究員としてマトリフがいる大学に派遣されている。夕方の研究室には私とマトリフしかいなかった。
「マトリフ、話があるのだが」
「なんだよ改まって」
マトリフは競馬新聞を片手にビーカーで黒い液体を混ぜていた。それがインスタントコーヒーで、そのビーカーが前回は何に使われていたのか思い出そうとしてやめた。衛生的であることを信じたい。
「以前から言おうと思っていたのだが」
「マグカップならねぇんだよ。でもコーヒーが飲みてえし」
なりひさ
DONEガンマト。アドベントカレンダー企画作品まとめガンマトアドベントカレンダー11恋の物語
これは恋の物語だ。誰に語り聞かせるわけでもないが。
はじめてマトリフに出会ったとき、その鮮やかな魔法は私の世界を変えてしまった。
二度目に会ったとき、その存在にどうしようもなく憧れた。それから私はいつもマトリフのことを考えていた。その魔法と知恵は、私が欲して止まないものだった。
三度目に会ったとき、私は勝利を確信した。この拳があの小さな体の骨を砕く感触がわかった。ようやく勝てると思うと、どこか惜しい気がした。
するとマトリフは血を流しながら、私を褒めた。それは今まで生きてきた中で、一番の喜びだった。
私は魔王を探す中で、少しの期間をマトリフと過ごした。マトリフは決して魔王の居場所を言わなかったが、その少しの停戦が、その後の私たちを変えるきっかけとなった。
3495これは恋の物語だ。誰に語り聞かせるわけでもないが。
はじめてマトリフに出会ったとき、その鮮やかな魔法は私の世界を変えてしまった。
二度目に会ったとき、その存在にどうしようもなく憧れた。それから私はいつもマトリフのことを考えていた。その魔法と知恵は、私が欲して止まないものだった。
三度目に会ったとき、私は勝利を確信した。この拳があの小さな体の骨を砕く感触がわかった。ようやく勝てると思うと、どこか惜しい気がした。
するとマトリフは血を流しながら、私を褒めた。それは今まで生きてきた中で、一番の喜びだった。
私は魔王を探す中で、少しの期間をマトリフと過ごした。マトリフは決して魔王の居場所を言わなかったが、その少しの停戦が、その後の私たちを変えるきっかけとなった。
なりひさ
DONEガンマト。ダイ大小説家ダイ君編を読んで思ったガンマトうちの大魔道士が世話になったようだな「ふざけんなこの野郎! 騙しやがったな」
チンピラは罵声を浴びせながらマトリフの襟首を掴んだ。偽造された証文をマトリフが燃やしてしまったからだ。いくら大魔道士とはいえ小柄な老人であるマトリフは、男に胸元を掴まれて体が傾く。しかしマトリフは危機感などまるでなく、涼しい顔をしていた。そのことにマトリフを掴んでいる男が苛立ちを覚えた。
「このジジイ」
しかし次の瞬間、チンピラは吹き飛んでいた。文字通り、体が弾け飛んで地面に転がっていた。
「大魔道士に気安く触るな」
チンピラを突き飛ばしたのは巨大な青いトロルだった。突然に現れたそのトロルに周りにいた者たちが驚く。トロルはマトリフに向き直ると、掴まれたせいで乱れた法衣を大きな指で器用に直した。
603チンピラは罵声を浴びせながらマトリフの襟首を掴んだ。偽造された証文をマトリフが燃やしてしまったからだ。いくら大魔道士とはいえ小柄な老人であるマトリフは、男に胸元を掴まれて体が傾く。しかしマトリフは危機感などまるでなく、涼しい顔をしていた。そのことにマトリフを掴んでいる男が苛立ちを覚えた。
「このジジイ」
しかし次の瞬間、チンピラは吹き飛んでいた。文字通り、体が弾け飛んで地面に転がっていた。
「大魔道士に気安く触るな」
チンピラを突き飛ばしたのは巨大な青いトロルだった。突然に現れたそのトロルに周りにいた者たちが驚く。トロルはマトリフに向き直ると、掴まれたせいで乱れた法衣を大きな指で器用に直した。
なりひさ
DONEガンマト。と巻き込まれポップトラップブック ポップは不貞腐れていた。己の行動が招いた結果であるのは間違いないが、どこか納得できない気持ちだった。
ポップは本になっていた。比喩でも冗談でもなく、本になっていた。表紙はポップの顔になっており、律儀にバンダナが背表紙に付いていた。
それもこれも、ポップがマトリフの洞窟で開いた本のせいだった。ポップはパプニカで宮仕えをしているが、時々マトリフの知恵を借りに洞窟へと赴いていた。
しかし今日はマトリフは留守だった。ポップは実家に帰ってきたような感覚で洞窟で寛ぎながらマトリフを待っていたのだが、そのときふと本棚のある本に目が留まった。
タイトルが古語であるが、どうもいかがわしいタイトルに読めてしまう。現代語に訳すなら「魔界のエッチ盛り合わせ」とでもなるのだろうか。古代の人もすけべだったんだなあとポップは思いながら、つい手が伸びてしまった。マトリフがいない間にこっそり、最初の一頁だけでも読んでみたかったのだ。
2153ポップは本になっていた。比喩でも冗談でもなく、本になっていた。表紙はポップの顔になっており、律儀にバンダナが背表紙に付いていた。
それもこれも、ポップがマトリフの洞窟で開いた本のせいだった。ポップはパプニカで宮仕えをしているが、時々マトリフの知恵を借りに洞窟へと赴いていた。
しかし今日はマトリフは留守だった。ポップは実家に帰ってきたような感覚で洞窟で寛ぎながらマトリフを待っていたのだが、そのときふと本棚のある本に目が留まった。
タイトルが古語であるが、どうもいかがわしいタイトルに読めてしまう。現代語に訳すなら「魔界のエッチ盛り合わせ」とでもなるのだろうか。古代の人もすけべだったんだなあとポップは思いながら、つい手が伸びてしまった。マトリフがいない間にこっそり、最初の一頁だけでも読んでみたかったのだ。
なりひさ
DONEガンマト。マトリフとクロコダインの会話おめえかよ テランの森の小屋はハドラーの急襲をダイが返り討ちにしてから、ようやく静かな夜を取り戻していた。
クロコダインは小屋の前で見張りに立っていた。もう敵襲はないだろうが、念のために警戒している。
小屋の扉が開く。見ればマトリフが小屋から出てきていた。
「寝てなくて良いのか」
ポップから聞いた話ではマトリフは体が悪いらしい。さらにハドラーの攻撃に対抗して呪文を使って吐血したらしく、ベッドを使って寝ていたはずだ。
「ベッドならあのバカに譲った」
マトリフは腕を組んで口を曲げている。あのバカが指すのがポップだとクロコダインはすぐに気付いた。二人は師弟関係にあり、親しくしているのを見ていた。ポップは大丈夫だと言っていたが、無理をしているのをマトリフは見抜いたのだろう。
2333クロコダインは小屋の前で見張りに立っていた。もう敵襲はないだろうが、念のために警戒している。
小屋の扉が開く。見ればマトリフが小屋から出てきていた。
「寝てなくて良いのか」
ポップから聞いた話ではマトリフは体が悪いらしい。さらにハドラーの攻撃に対抗して呪文を使って吐血したらしく、ベッドを使って寝ていたはずだ。
「ベッドならあのバカに譲った」
マトリフは腕を組んで口を曲げている。あのバカが指すのがポップだとクロコダインはすぐに気付いた。二人は師弟関係にあり、親しくしているのを見ていた。ポップは大丈夫だと言っていたが、無理をしているのをマトリフは見抜いたのだろう。
なりひさ
DONEガンマト。デトロイトビカムヒューマンのパロ。ガンガディアがアンドロイドで、画家のマトリフを介護している。善の鼓動善の鼓動
「おはようマトリフ」
言いながらカーテンを開けた。太陽は既に高い位置にある。背後のベッドからは呻き声が聞こえた。マトリフは日光を遮るように手を上げてから寝返りをうった。
「もう十時を過ぎている。さっき画材屋から絵具を受け取ってきた。昼からは小雨が降るそうだ」
「二度寝日和だな」
私はベッドサイドに移動してコップに水を注ぐ。そばにあった薬と一緒にマトリフに差し出した。
「さあ飲んで」
「どうだ、お前も一緒に二度寝しないか」
マトリフは差し出した薬を無視して私を誘う。だがそれに応じては駄目だと瞬時に判断した。
「薬を飲んで」
「ふん」
マトリフはぼやきながら薬を手に取って水で流し込んだ。マトリフは長年の病気のせいで心臓が悪い。時間通りに服薬させることも私の仕事のひとつだった。
33718「おはようマトリフ」
言いながらカーテンを開けた。太陽は既に高い位置にある。背後のベッドからは呻き声が聞こえた。マトリフは日光を遮るように手を上げてから寝返りをうった。
「もう十時を過ぎている。さっき画材屋から絵具を受け取ってきた。昼からは小雨が降るそうだ」
「二度寝日和だな」
私はベッドサイドに移動してコップに水を注ぐ。そばにあった薬と一緒にマトリフに差し出した。
「さあ飲んで」
「どうだ、お前も一緒に二度寝しないか」
マトリフは差し出した薬を無視して私を誘う。だがそれに応じては駄目だと瞬時に判断した。
「薬を飲んで」
「ふん」
マトリフはぼやきながら薬を手に取って水で流し込んだ。マトリフは長年の病気のせいで心臓が悪い。時間通りに服薬させることも私の仕事のひとつだった。
なりひさ
DONEガンマト。カラー表紙のプールにいる目隠し束縛マトリフとガンガディアプール 若者のはしゃぐ声が聞こえる。跳ねる水音は軽やかだった。陽射しはさんさんと降り注ぎ、夏の匂いが漂っていた。
だがマトリフの視界は真っ暗に閉ざされていた。腕は胴体ごと縛られている。その姿は楽しげなプールサイドには似つかわしくないものだったが、自業自得でもあった。
アバンたちは揃ってプールに来ていた。知り合いからオープン前に誘われて、貸切状態で遊んでいたのだ。マトリフも水着を着て遊ぶのかと思いきや、プールサイドに陣取って、目の保養とばかりににやけて若者たちの水着姿を眺めていた。だがその視線だけでも御用となった。マトリフは目隠しをされた上にチェアに縛り付けられてしまった。
「ちぇっ……」
せっかくの楽しみを奪われてマトリフは不貞腐れた。そのマトリフに影が差す。マトリフも気配に気づいて顔を上げた。
968だがマトリフの視界は真っ暗に閉ざされていた。腕は胴体ごと縛られている。その姿は楽しげなプールサイドには似つかわしくないものだったが、自業自得でもあった。
アバンたちは揃ってプールに来ていた。知り合いからオープン前に誘われて、貸切状態で遊んでいたのだ。マトリフも水着を着て遊ぶのかと思いきや、プールサイドに陣取って、目の保養とばかりににやけて若者たちの水着姿を眺めていた。だがその視線だけでも御用となった。マトリフは目隠しをされた上にチェアに縛り付けられてしまった。
「ちぇっ……」
せっかくの楽しみを奪われてマトリフは不貞腐れた。そのマトリフに影が差す。マトリフも気配に気づいて顔を上げた。
なりひさ
DONEガンマト。キギロに恋愛相談をするマトリフの話恋愛相談 キギロは空を見上げる。丸く囲まれた空は、今日も青かった。
キギロは挿木だ。地底魔城へと下りる階段の、ちょっとした隙間に植わっている。まだ小さいために自由に歩くことも出来ない。だから日がな一日空を見上げるくらいしかする事がない。だから話し相手は大歓迎で、少々気に入らない相手でもいいから暇潰しに話をしたいくらいだった。
だが、誰でもいいというわけではない。例えば、今こちらに歩いて来ている人間なんてもってのほかだった。
「よお、雑草」
大魔道士と呼ばれる人間がキギロを見下ろして言った。キギロは小さな手を握り締める。
「もしそれがボクを呼んだのだとしたら許さないよ」
大魔道士はキギロの言葉を気にする風もなく隣に腰を下ろした。大魔道士は帽子を脱ぐとクッション代わりに背に置いている。
5931キギロは挿木だ。地底魔城へと下りる階段の、ちょっとした隙間に植わっている。まだ小さいために自由に歩くことも出来ない。だから日がな一日空を見上げるくらいしかする事がない。だから話し相手は大歓迎で、少々気に入らない相手でもいいから暇潰しに話をしたいくらいだった。
だが、誰でもいいというわけではない。例えば、今こちらに歩いて来ている人間なんてもってのほかだった。
「よお、雑草」
大魔道士と呼ばれる人間がキギロを見下ろして言った。キギロは小さな手を握り締める。
「もしそれがボクを呼んだのだとしたら許さないよ」
大魔道士はキギロの言葉を気にする風もなく隣に腰を下ろした。大魔道士は帽子を脱ぐとクッション代わりに背に置いている。
なりひさ
DONEガンマト。凍れる時間の秘法期間の二人。仲良くないバージョン。原作程度のマトリフの吐血あり。溶けない氷 マトリフは膨大な魔法力が無意味なまま霧散するのを感じた。もっとも、この呪文でも凍りついた勇者を救えないとわかっていた。だがもし万が一、ほんの少しでも可能性があるならと、縋るような気持ちで呪文を唱えたのだ。
勇者アバンは寸分違わない状態でそこに立っていた。マトリフは震える手を握りしめる。強大な威力の呪文はマトリフの手を焼いていった。その肉が焦げた匂いが鼻につく。回復呪文をかけなければと頭では思いながら、膝の力が抜けてその場にしゃがみ込んだ。
焼け爛れた手のひらを見つめる。こんなことをしたって、アバンは救えない。
「ッ……!」
マトリフは急に息苦しさを感じて胸元を掴んだ。内臓が締め付けられるような感覚に体を丸める。それが先ほど使った呪文のせいだとわかっていた。この呪文は人間が使えるものではない。その強大さは人間の肉体には負荷が大きすぎるからだ。
1815勇者アバンは寸分違わない状態でそこに立っていた。マトリフは震える手を握りしめる。強大な威力の呪文はマトリフの手を焼いていった。その肉が焦げた匂いが鼻につく。回復呪文をかけなければと頭では思いながら、膝の力が抜けてその場にしゃがみ込んだ。
焼け爛れた手のひらを見つめる。こんなことをしたって、アバンは救えない。
「ッ……!」
マトリフは急に息苦しさを感じて胸元を掴んだ。内臓が締め付けられるような感覚に体を丸める。それが先ほど使った呪文のせいだとわかっていた。この呪文は人間が使えるものではない。その強大さは人間の肉体には負荷が大きすぎるからだ。
なりひさ
DONEガンマト。謎平和時空。ガンマトの痴話喧嘩に巻き込まれる地底魔城の旧魔王軍とアバン先生痴話喧嘩「君にはデリカシーというものがないのか」
ガンガディアは羞恥と怒りを滲ませてマトリフに言う。聞こえているにも関わらず、マトリフにはガンガディアの気持ちは少しも伝わっていないようだった。それどころかガンガディアがなぜ声を荒げているのか理解できないというように、耳に指を入れて面倒臭そうにガンガディアを見上げている。
「なんで怒るんだよ」
「言い方というものがあるだろう」
「インテリに付き合ってられっかよ」
マトリフは鼻で笑うとそっぽ向いてしまった。だが今回はガンガディアも引き下がれない。ガンガディアは踵を返すと洞窟の出入り口へと向かった。
「どこ行くんだよ」
マトリフの声は大きくはないのに洞窟に響いた。その声音に「行くな」という意味が込められていると知りながら、ガンガディアは足を止めなかった。なぜなら今回は明らかにマトリフが悪いからだ。
8277ガンガディアは羞恥と怒りを滲ませてマトリフに言う。聞こえているにも関わらず、マトリフにはガンガディアの気持ちは少しも伝わっていないようだった。それどころかガンガディアがなぜ声を荒げているのか理解できないというように、耳に指を入れて面倒臭そうにガンガディアを見上げている。
「なんで怒るんだよ」
「言い方というものがあるだろう」
「インテリに付き合ってられっかよ」
マトリフは鼻で笑うとそっぽ向いてしまった。だが今回はガンガディアも引き下がれない。ガンガディアは踵を返すと洞窟の出入り口へと向かった。
「どこ行くんだよ」
マトリフの声は大きくはないのに洞窟に響いた。その声音に「行くな」という意味が込められていると知りながら、ガンガディアは足を止めなかった。なぜなら今回は明らかにマトリフが悪いからだ。
kisaragi_hotaru
DONEヨミカイン魔導図書館を復興させているガンマトのちょっとしたお話です。#まおしゅうアフター
一般参加してました(*´ω`*)お疲れ様でした。
人間として生きる時間の輪から外れてマトリフは若い身体に宿った強大な魔力を持て余すように日々魔法を行使していた。何百年も前に破壊されたヨミカイン魔導図書館を復興させる目的を掲げているために長い人生もそう退屈なものとは感じない。むしろ海辺の洞窟で隠居生活をしていた頃に比べれば随分と忙しいくらいだ。マトリフは今も隠居しているようなものだがその生活はガンガディアと共にある。敵同士だった二人はいつしか恋仲となり、これから先の長い時間を一緒に生きていくことを誓った。仲睦まじくも時に喧嘩もしたりと。
「ベタン!!」
ドゴォン!!と派手な轟音をたてて床が突き抜けた。親指を下に突きつけて息巻くマトリフ。昔とは違い老いによる疲労ではなくこの時のマトリフは怒り心頭であったのだ。
1832「ベタン!!」
ドゴォン!!と派手な轟音をたてて床が突き抜けた。親指を下に突きつけて息巻くマトリフ。昔とは違い老いによる疲労ではなくこの時のマトリフは怒り心頭であったのだ。
なりひさ
DONEガンマト。現パロの二人のループ8/8 八月八日、日曜日。今日も良い天気だ。カーテンの隙間からは早朝とは思えない陽射しが入り込んでいる。
隣のマトリフはまだ熟睡している。あと十分ほどで目を覚ますだろう。急ぐ理由もないから目覚めるのを待った。今日も暑い一日になる。室温計は二十七度。管理された空調は快適な室温を保っていた。
「……もう起きてんのか」
ややあってかけられた声に、私は横を見る。まだ寝ぼけ眼のマトリフが私を見ていた。その身体を抱き寄せる。寝癖のついた銀髪に口付ければ、マトリフは大きな欠伸をした。
「飯なんかあったか?」
「フレンチトーストにしようかと」
「お、それちょうど食いたかった」
私が朝食を作っている間にマトリフはベランダの植物たちに水をやっていた。マトリフは植木鉢に話しかけている。天気の話をしたかと思えば、昨日観た映画の話へと移った。マトリフは昨夜観た映画のラストが気に入っていない。そういえばなんの映画を観ていたのだったか。
18058隣のマトリフはまだ熟睡している。あと十分ほどで目を覚ますだろう。急ぐ理由もないから目覚めるのを待った。今日も暑い一日になる。室温計は二十七度。管理された空調は快適な室温を保っていた。
「……もう起きてんのか」
ややあってかけられた声に、私は横を見る。まだ寝ぼけ眼のマトリフが私を見ていた。その身体を抱き寄せる。寝癖のついた銀髪に口付ければ、マトリフは大きな欠伸をした。
「飯なんかあったか?」
「フレンチトーストにしようかと」
「お、それちょうど食いたかった」
私が朝食を作っている間にマトリフはベランダの植物たちに水をやっていた。マトリフは植木鉢に話しかけている。天気の話をしたかと思えば、昨日観た映画の話へと移った。マトリフは昨夜観た映画のラストが気に入っていない。そういえばなんの映画を観ていたのだったか。
なりひさ
DONEガンマト。ムギサンの漫画を小説にしたもの銀雪 久しぶりに会ったマトリフはガンガディアを見て笑みを浮かべた。しかし彼はベッドに座ったままで、見慣れた法衣も着ていない。彼の体調が思わしくないのだと気付き、ガンガディアは表情を曇らせた。
「どうしたんだよ。こっち来いよ」
マトリフは苦笑して手招きする。その横に緑の服を着た少年がいて、驚いたようにガンガディアを見上げていた。
「え……師匠……知り合いかい?」
少年はマトリフを見る。マトリフは可笑そうにくつくつと笑い、少年にガンガディアを紹介した。マトリフはガンガディアにも少年を紹介し、その少年が弟子だと言った。すると少年は人懐っこくガンガディアに話しかけてくる。その様子にガンガディアは軽やかな意外性を感じた。
1006「どうしたんだよ。こっち来いよ」
マトリフは苦笑して手招きする。その横に緑の服を着た少年がいて、驚いたようにガンガディアを見上げていた。
「え……師匠……知り合いかい?」
少年はマトリフを見る。マトリフは可笑そうにくつくつと笑い、少年にガンガディアを紹介した。マトリフはガンガディアにも少年を紹介し、その少年が弟子だと言った。すると少年は人懐っこくガンガディアに話しかけてくる。その様子にガンガディアは軽やかな意外性を感じた。
なりひさ
DONEガンマト。現パロ。知育菓子を買う二人知育菓子 二人揃って食材を買いに出た夕方。家から徒歩で向かったスーパーは、同じように夕食を買いに来た人で賑わっていた。
何を食べようか等と話しながら冷房の効いた店内を歩く。ガンガディアは長い名前の料理名をいくつかあげた。ガンガディアは中々の凝り性で、料理も複雑な工程のものでも嬉々として作る。ガンガディアの料理の説明を聞きながら、じゃあ焼き魚がいいとマトリフは答えた。
そのまま店内をぐるりと回ろうとしていたら、ガンガディアが調味料を見てくると言うので、マトリフは酒を見に行った。しばらく新商品を眺めていたのだが待ってもガンガディアが戻ってこない。
マトリフは手にいくつかビール缶を持ちながらガンガディアを探した。カゴはガンガディアが持っている。いくつかのコーナーを回ってからマトリフはようやくガンガディアを見つけた。ガンガディアは菓子の棚の前で直立したまま何かを手にしている。しかもそこは幼児向けの菓子が置かれた棚だった。
1772何を食べようか等と話しながら冷房の効いた店内を歩く。ガンガディアは長い名前の料理名をいくつかあげた。ガンガディアは中々の凝り性で、料理も複雑な工程のものでも嬉々として作る。ガンガディアの料理の説明を聞きながら、じゃあ焼き魚がいいとマトリフは答えた。
そのまま店内をぐるりと回ろうとしていたら、ガンガディアが調味料を見てくると言うので、マトリフは酒を見に行った。しばらく新商品を眺めていたのだが待ってもガンガディアが戻ってこない。
マトリフは手にいくつかビール缶を持ちながらガンガディアを探した。カゴはガンガディアが持っている。いくつかのコーナーを回ってからマトリフはようやくガンガディアを見つけた。ガンガディアは菓子の棚の前で直立したまま何かを手にしている。しかもそこは幼児向けの菓子が置かれた棚だった。
なりひさ
DONEガンマト「時の砂」その後の蛇足。弟子に会いたくて未来へ来ちゃったバルゴートなにこれ修羅場じゃん ポップは焼きたてのパイを持ってルーラで降り立った。アバンの料理教室で作った自信作である。折角なのでマトリフと一緒に食べようと温かいうちに持ってきた。
「師匠ぉ〜ガンガディアのおっさん〜お邪魔するぜ」
呼びかけながら入り口をくぐる。しかしいつもなら返ってくる返事がなかった。人の気配はするのに返事が無いとは、来るタイミングが悪かったのだろうか。ポップはそろりと奥を覗く。
「えっと、これどういう状況?」
ポップは目の前の光景に頭にハテナをいくつも浮かべながら訊ねた。
まずガンガディアがマトリフの肩を抱いている。優しく、というより、まるで取られまいとするようにきつく掴んでいた。ガンガディアは額に血管を浮かべてガチギレ五秒前といった雰囲気だ。そのガンガディアに肩を抱かれたマトリフは諦念の表情で遠くを見ている。そしてその二人と向かい合うように老人が座っていた。ポップが驚いたのはその姿だ。その老人はマトリフと同じ法衣を着ている。かなりやんちゃな髭を生やしており、片目は布で覆われていた。その老人がポップへと視線をやると立ち上がった。
2209「師匠ぉ〜ガンガディアのおっさん〜お邪魔するぜ」
呼びかけながら入り口をくぐる。しかしいつもなら返ってくる返事がなかった。人の気配はするのに返事が無いとは、来るタイミングが悪かったのだろうか。ポップはそろりと奥を覗く。
「えっと、これどういう状況?」
ポップは目の前の光景に頭にハテナをいくつも浮かべながら訊ねた。
まずガンガディアがマトリフの肩を抱いている。優しく、というより、まるで取られまいとするようにきつく掴んでいた。ガンガディアは額に血管を浮かべてガチギレ五秒前といった雰囲気だ。そのガンガディアに肩を抱かれたマトリフは諦念の表情で遠くを見ている。そしてその二人と向かい合うように老人が座っていた。ポップが驚いたのはその姿だ。その老人はマトリフと同じ法衣を着ている。かなりやんちゃな髭を生やしており、片目は布で覆われていた。その老人がポップへと視線をやると立ち上がった。
なりひさ
DONEガンマト。診断メーカーのお題で書いたもの。飼育「ただいま」
ガンガディアは言いながら自室のドアを開けた。すぐドアを閉めて小さな姿を探す。部屋はしんと静まりかえっていた。
「大魔道士?」
マトリフにはこの地底魔城のガンガディアの私室を自由に使わせている。マトリフはすぐに顔を見せた。ベッドのシーツに潜り込んでいたらしい。マトリフはそこから抜け出すと、飛翔呪文で飛んでガンガディアのところまできた。
「なにも問題なかったかね?」
マトリフはこくりと頷いてガンガディアの肩に座った。ガンガディアは指をマトリフに向ける。その指はマトリフの歯型だらけだった。
マトリフはガンガディアの指に頬を擦り寄せる。今日は噛まないのだろうかとガンガディアが思っていると、マトリフはかぱっと口を開けてガンガディアの指に噛み付いた。ピリリと痛みが走る。マトリフは口を離すと歯型を確認してからそこを舌で舐めた。それはマトリフなりの愛情表現なのだとガンガディアは思っていた。
1206ガンガディアは言いながら自室のドアを開けた。すぐドアを閉めて小さな姿を探す。部屋はしんと静まりかえっていた。
「大魔道士?」
マトリフにはこの地底魔城のガンガディアの私室を自由に使わせている。マトリフはすぐに顔を見せた。ベッドのシーツに潜り込んでいたらしい。マトリフはそこから抜け出すと、飛翔呪文で飛んでガンガディアのところまできた。
「なにも問題なかったかね?」
マトリフはこくりと頷いてガンガディアの肩に座った。ガンガディアは指をマトリフに向ける。その指はマトリフの歯型だらけだった。
マトリフはガンガディアの指に頬を擦り寄せる。今日は噛まないのだろうかとガンガディアが思っていると、マトリフはかぱっと口を開けてガンガディアの指に噛み付いた。ピリリと痛みが走る。マトリフは口を離すと歯型を確認してからそこを舌で舐めた。それはマトリフなりの愛情表現なのだとガンガディアは思っていた。
kisaragi_hotaru
DONEガンマト前提で破邪の洞窟内でわちゃわちゃしてるポプとラーとヒムちゃんのお話です。ネタバレ捏造妄想満載なのでご容赦くださいm(_ _)m ズドォン、と相当な重量音を轟かせて巨大なモンスターが地に沈んだ。
完全に動かなくなったモンスターの側でたった今決め手の一撃を食らわせた人型の金属生命体が銀色の拳を振り翳して声を上げた。
「よっしゃあ!!」
「ナイスだぜヒム!!」
少し離れたところからポップが嬉々として声をかければヒムが振り返って鼻を指先で擦りながら「へへっ」と笑う。
「おめえのサポートのおかげだぜ。ありがとよポップ」
「確かに。あのままではオレもコイツもこのモンスターに手傷を負わされていたところだった」
ヒムの側で魔槍を携えて軽く息を吐き出しながらそう言ったのはラーハルトだ。その目線は屍と化したモンスターを見下ろしている。
ここは破邪の洞窟。その最下層近くまでポップたちは来ていた。大魔王との決戦からすでに20年の年月が経っていた。行方知れずになっていた小さな勇者が魔界から地上に帰還してからしばらくは慌ただしい日々を過ごしていたが、今は至って平穏な日常が繰り返される世界となっている。
4578完全に動かなくなったモンスターの側でたった今決め手の一撃を食らわせた人型の金属生命体が銀色の拳を振り翳して声を上げた。
「よっしゃあ!!」
「ナイスだぜヒム!!」
少し離れたところからポップが嬉々として声をかければヒムが振り返って鼻を指先で擦りながら「へへっ」と笑う。
「おめえのサポートのおかげだぜ。ありがとよポップ」
「確かに。あのままではオレもコイツもこのモンスターに手傷を負わされていたところだった」
ヒムの側で魔槍を携えて軽く息を吐き出しながらそう言ったのはラーハルトだ。その目線は屍と化したモンスターを見下ろしている。
ここは破邪の洞窟。その最下層近くまでポップたちは来ていた。大魔王との決戦からすでに20年の年月が経っていた。行方知れずになっていた小さな勇者が魔界から地上に帰還してからしばらくは慌ただしい日々を過ごしていたが、今は至って平穏な日常が繰り返される世界となっている。
kisaragi_hotaru
DONEガンマト(+巻き込まれポプ要素含む)ガンガさんの眼鏡とか耳とかがあれなことになるの書いてみたかっただけの超絶短文です。ガンガさんの視力が悪い設定です。
「……これはオレが悪いのか……?」
ポツリと呟かれた声は不機嫌なもの。あいにくと顔はぼやけて見えないのでガンガディアは相手――大魔道士マトリフの心身の状態をその声色のみで判断するしかない。
ほんの少しだけ痛む顔はそのままにガンガディアはむしろ自分の痛みなどよりもよほど気にするべき相手の様子に、困惑した別の感情的な意味を持って眉間に皺を寄せた。
マトリフの手にはガンガディアのかけていた眼鏡がある。ガンガディアにとっては小さいがマトリフにとってはけっこうな大きさの眼鏡。ただし、それはレンズが割れてしまっていた。つい先程のことだ。マトリフの放ったバギマがガンガディアの顔面に見事にクリティカルヒットした。故の眼鏡の末路である。
1488ポツリと呟かれた声は不機嫌なもの。あいにくと顔はぼやけて見えないのでガンガディアは相手――大魔道士マトリフの心身の状態をその声色のみで判断するしかない。
ほんの少しだけ痛む顔はそのままにガンガディアはむしろ自分の痛みなどよりもよほど気にするべき相手の様子に、困惑した別の感情的な意味を持って眉間に皺を寄せた。
マトリフの手にはガンガディアのかけていた眼鏡がある。ガンガディアにとっては小さいがマトリフにとってはけっこうな大きさの眼鏡。ただし、それはレンズが割れてしまっていた。つい先程のことだ。マトリフの放ったバギマがガンガディアの顔面に見事にクリティカルヒットした。故の眼鏡の末路である。
なりひさ
DONEガンマト。過去に戻って若マトに出会うガンガディアの話。作業用BGM「ふたつの星」「絶対証明ロック」時の砂 降り立ったのは雲の上の里だった。ガンガディアはマトリフの魔法力を辿ってここまでやってきた。
突然に降り立ったガンガディアに里の者たちは目を丸くさせた。見ればマトリフが着ていた法衣とよく似たものを着ている。
ガンガディアは時の砂を使って過去へと来ていた。だがマトリフの洞窟はただの岩場で、マトリフの姿は見当たらなかった。それからガンガディアはマトリフの魔法力を辿ってここまで来た。
「大魔道士を探している」
ガンガディアは敵意がない事を示そうと両の手のひらを見せた。しかしその場にいた数人の里の者は、ガンガディアに向かって呪文を放っていた。
「バルゴート様を呼べ!」
指示が飛び、騒ぎが大きくなっていく。里の者は次々と呪文を撃ってきた。それもかなりレベルの高い呪文ばかりだ。ガンガディアはそれらを避けたり相殺しながら耐える。
12267突然に降り立ったガンガディアに里の者たちは目を丸くさせた。見ればマトリフが着ていた法衣とよく似たものを着ている。
ガンガディアは時の砂を使って過去へと来ていた。だがマトリフの洞窟はただの岩場で、マトリフの姿は見当たらなかった。それからガンガディアはマトリフの魔法力を辿ってここまで来た。
「大魔道士を探している」
ガンガディアは敵意がない事を示そうと両の手のひらを見せた。しかしその場にいた数人の里の者は、ガンガディアに向かって呪文を放っていた。
「バルゴート様を呼べ!」
指示が飛び、騒ぎが大きくなっていく。里の者は次々と呪文を撃ってきた。それもかなりレベルの高い呪文ばかりだ。ガンガディアはそれらを避けたり相殺しながら耐える。
kisaragi_hotaru
DONEガンマト小説。お互い自覚してるけど敵同士なので気持ちを打ち明けられないまま殺す気のない戦いをしてる茶番劇。この後めちゃくちゃ赤面してるマトもいたりする。 森の中で魔王軍の襲撃に合い交戦となった。躊躇うことなくマトリフへと向かって来たガンガディアの攻撃を避けながらマトリフはトベルーラを使い木々の間を器用に駆け抜けていく。しかし器用さはガンガディアも十分に持ち合わせており不敵な笑みを浮かべながらマトリフの後方から追い上げていく。初めてサババの町中でそうしたようにその後も何度もトベルーラで追い追われを繰り返していた。
しつけえな、とマトリフは内心で呟きながら少しでも仲間たちから引き離すためにスピードを上げた。魔法力には自信があるが体力に関してはそうでもない。自他ともに認めるところであるそれを思いながらマトリフは舌打ちしつつ肩越しにガンガディアを見遣る。
2916しつけえな、とマトリフは内心で呟きながら少しでも仲間たちから引き離すためにスピードを上げた。魔法力には自信があるが体力に関してはそうでもない。自他ともに認めるところであるそれを思いながらマトリフは舌打ちしつつ肩越しにガンガディアを見遣る。
なりひさ
DONEガンマト。幼児化したマトリフの話小さな頃に見たもの アバンはマトリフに会うために海岸沿いに降り立った。穏やかな気候は心地よい潮風を運んでくる。
アバンが洞窟の入り口へと向かっていると大きな声が聞こえた。それは子供特有の柔らかくも甲高い声で、悲鳴のようだった。アバンは声のしたほうへと急ぐ。だがその声はどうやらマトリフの洞窟から聞こえていた。
「どうしたんですか!」
アバンは言いながら洞窟に駆け込む。すると今ではすっかり馴染みとなったガンガディアが困り果てたようにアバンを見た。その顔が半分凍っている。小さな子どもがガンガディアの耳を掴んでぶら下がり、ガンガディアに向かってヒャドを唱えていた。まだ五つか六つほどの歳だろうか。淡い色の髪で手足が棒のように細い。
7546アバンが洞窟の入り口へと向かっていると大きな声が聞こえた。それは子供特有の柔らかくも甲高い声で、悲鳴のようだった。アバンは声のしたほうへと急ぐ。だがその声はどうやらマトリフの洞窟から聞こえていた。
「どうしたんですか!」
アバンは言いながら洞窟に駆け込む。すると今ではすっかり馴染みとなったガンガディアが困り果てたようにアバンを見た。その顔が半分凍っている。小さな子どもがガンガディアの耳を掴んでぶら下がり、ガンガディアに向かってヒャドを唱えていた。まだ五つか六つほどの歳だろうか。淡い色の髪で手足が棒のように細い。
kisaragi_hotaru
DONE無自覚のままであろうとした両片想いガンマトが自覚させられるお話。欠損描写がありますが最終的には治りますけれど苦手な方はご注意くださいませ。謎時空なので深く突っ込んではいけない系です。魔王は祈りの間にて引きこもり中です。 乱戦状態だった。一人ずつ探して回復していったのでは間に合わない。マトリフは冷静さを保ちながら素早く周囲を見回して、次いで傍らでモンスターを殴り飛ばしたブロキーナに視線を向ける。最近習得したばかりの回復呪文を使うにしても発動中は無防備になってしまう。詠唱のための時間稼ぎも必要だ。
「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
「いいよん」
モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。
4949「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
「いいよん」
モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。