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    どうしようもないものを投下

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    TRAINING1389文字
    タイカケに触れるモブくんの話
     まったく。なんなんだよ、香賀美係って。
     その日、俺は建物の影に注意を配りながら、クラスメイトの香賀美タイガを探していた。香賀美のサボリはいつもの事だけど、今日は先生に探して来いと言った。なぜか「おまえは香賀美係だろ」って。まぁ確かに、俺は香賀美の隣の席だし、他のクラスメイトに比べたらまだ香賀美と話す機会は多い。けど、だからってなんでそんな係を命じられなきゃならないんだ。
    「はぁ。おーい、香賀美~、どこだよ~」
     呼んで出てくるわけはないと思いつつ、俺は香賀美の名を呼んだ。すると、香賀美ではない別の誰かの囁くような声が聞こえてくる。
    「ほら、タイガきゅん、呼ばれてるよ」
     タイガきゅん。可愛らしい呼称がついているが、おそらくは俺の探しているタイガと同じ人物の事を指しているのだろう。
     辺りを見回して、声の出どころを探す。人の姿はない廊下は、しんと静まり返っている。もう一度、「香賀美~」と呼んでみる。すると、「はぁい」と帰ってきた。さっきと同じ声だ。耳を澄ますと、「見つかったらどーすんだ」と香賀美の声が聞こえた。近くにいる。
    「バレちゃったらどうしようねぇ? ふふ、かくれんぼみたい!  1450

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    TRAINING800文字
    成人済み22世紀蕎麦屋タイカケ
    付き合ってる
    「カケル、なぁ、いいだろ……?」
    「だ、ダメだって……」
    「なんで……? 俺のこと、好きじゃなくなった?」
     泣きそうな顔で迫ってくるタイガくん。俺は首を横に振る。好きじゃなくなるなんてこと、絶対ないよ。好きすぎて困ってるくらいなんだから。
    「じゃあ、なんでダメなんだよ」
     タイガくんは、俺のシャツのボタンに手を掛けながら言う。俺は慌ててタイガくんの手首を掴んで、動きを止めようとするが、力が強くて叶わない。あの頃のタイガくんとは違う事を、改めて感じさせられる。
    「ねぇお願い、待ってタイガくん」
    「待てねぇ」
    「いい子だから、ね?」
    「子供扱いすんな。おめぇが、エロいのが悪いんだからな!」
     そんな無茶苦茶な……。タイガは顔を真っ赤にして、今にも泣き出しそうだ。幼いころに、おねしょが俺にバレた時の事を思い出す。泣きながら干された布団の前に立って、違うんだと必死に訴えていた姿は可愛かった。
     そんなタイガくんが、大人になって、俺の事を……。
    「ねぇ、わかった、場所を変えよう? ほら、家の中にシンちゅわんもお父さんもお母さんもいるし……ね?」
    「声、我慢すればいいじゃん」
    「ん、う~ん!」
    831

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    TRAINING625文字
    ガリカジのタイカケ
    「ねぇね、タイガきゅんなんか機嫌悪くない?」
    「別に、悪くねぇよ」
    「そー?」
     ソファに座る俺の膝に頭を乗せて横になるタイガは、先程から眉間にしわを寄せて、ふぅーっと溜息を吐いている。その度、前髪が揺れて、可愛いおでこが見える。機嫌の悪さを否定してはいるけど、明らかに不機嫌だ。いつもタイガの傍にいるから、わかっちゃうもんね。
    「よしよ~し」
     頭を撫でてやると、タイガは少しムッとしたものの「嬉しい!」というオーラを出した。こういう時、タイガからはふわふわした魔力が溢れ出す。おれはこっそりソレを吸い取って、自分の中に貯めている。
    「なぁ、カケル……」
    「ん?」
    「俺、おめぇが努力家でホントにすげぇと思ってるし、自慢の寮長だと思ってる。それに、お、俺が……カケルの、一番で……腰巾着じゃなくって、俺、カケルの……っ」
    「うん。タイガきゅんが思ってくれてること、ちゃんとわかってるよ」
    「……ん」
     自分の気持ちを言葉にするのがあまり上手じゃないタイガだけど、時々こうして一生懸命伝えようとしてくれる。
     そして、タイガの不機嫌な理由が何となく想像がついた。
    「おれっち、タイガきゅんがそう思って 649

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    TRAINING780文字
    22世紀蕎麦屋のタイカケ
    お店が忙しいとかで、代わりにお迎えとかあると思います。
    リクエストありがとうございます
    「わぁ! カケルだぁ!」
     俺の姿を見つけたタイガくんが、一目散に走ってきてそのまま俺の脚に抱き着いた。他の園児たちが、ざわざわしながら俺を見ている。園児たちの様子に気付いた先生が、ニコニコしながらこっちにやって来た。
    「カケルさんですね。タイガくんのお母さんから連絡いただいてます。今日代わりにお迎えだって」
    「カケル、俺の事迎えに来たのか?!」
     お星さまが零れ落ちるんじゃないかって程目をキラキラさせて、タイガくんが俺を見上げている。俺がしゃがもうとするとタイガくんは一旦俺の脚から離れて、しゃがんだ俺に抱き着きなおした。俺はタイガくんを抱え上げて、先生に挨拶をした。
    「タイガくんの荷物は教室にありますよ」
     先生に案内され、俺はタイガくんの荷物を取りに教室に向かう。自分の通っていた園ではないが、なんとなく懐かしい気分になるのは、こういう施設はどこも作りが似通うからだろうか?
     案内された教室に入ると、園児たちが描いた絵が飾られている。
    「わぁ。ねぇね、タイガくんの絵はどれ?」
    「あっち!」
     タイガくんは指をさしながら体を動かす。タイガくんを落とさないようにしっかり抱きなおし、指さし 811

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    TRAINING671日目
    22世紀蕎麦屋のタイカケ
    「うぅ、わかんねぇ~……」
    「頑張って思い出して! 昨日は出来たでしょ?」
     算数のプリントを前に、タイガは頭を抱えていた。どれか覚えるとどれかを忘れてしまう九九に、タイガは苦戦していた。
    「カケルは、どうやって覚えた?」
    「うーん、ずいぶん前のことだから……どうだったかなぁ?」
     カケルは目を閉じて数年前の事を思い出す。そんなに苦労せずに覚えた為、あまりどうやって勉強をしたのか覚えていない。懸命に記憶を辿る。うすぼんやり見えてきた光景を、逃すまいと掴んで引き寄せた。
    「あ、そういえば、お風呂に掛け算の表が貼ってあったな」
    「お風呂に?」
    「うん。それで、それを声に出して読んだなぁ。リズムをつけて、歌っぽく? すると、覚えやすいと思うよ!」
    「どんなふうに?」
     タイガはカケルとの間にある机に身を乗り出して、真剣な顔で尋ねた。カケルはタイガが勉強に熱心になったと思い嬉しくなった。
    「えっと、例えば、2の段だったら……」
    「待った!」
     カケルが2の段を唱え始めようとした途端、タイガは大きな声を上げてカケルを止めた。カケルが驚いて固まっていると、タイガは鉛筆を置いて立ちあがった。
    「え、 704

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    TRAINING626文字
    ちゃいなのタイカケ
    例によってガチキョンシー
    「お、おー」
    「ん? どうした、カケル」
     川の中を覗き込んで声を上げているカケルに声を掛けるが、カケルは川に夢中でこちらを向こうともしない。手を伸ばそうとしているから、俺は当てて止めに入ろうとした。が、全然間に合わず、カケルの服の袖はぼちゃんと川に入った。
     川の中に何かあるのか?
     カズオは手を突っ込んで、ゆらゆらと動かしている。すぐ近くまで来て俺も池を覗いてみる。
    「あぁ……」
     メダカだ。カケルは一生懸命に手を動かしてメダカに触れようとしている。でも、このまま触ったりしたらダメだ。
    「カケル、だめ」
    「う?」
    「メダカ、掴んだら死んじまう。捕まえたいんなら、そっとやらなきゃ」
    「おー……?」
     わかってるのかわかってないのか、カケルはぽかんとした顔で頷いた。
    「ま……だ、か?」
    「め、だ、か」
    「め……ぇ、も、も、かえ、う」
    「メダカ、持って帰りたいのか?」
    「あー!」
     言いたいことが伝わったのが嬉しいのか、カケルは笑顔で頷いた。まぁ、鉢に入れて買うのはこれからの季節涼し気でいいけど、どうすっかなぁ。捕まえるものも、持って帰る器も何もない。
    「カケル、いったん帰って、捕まえる 658

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    TRAINING696文字
    RPGタイカケ
    盗賊と商人のなんでもない日常
    「おぉ~。今日も大量じゃん」
    「まぁな!」
     得意げな顔で麻袋を差し出すタイガ。俺はそれを受け取って、中身を確認する。
     色とりどりの宝石や、さまざまなアイテム。タイガが戦闘をしたモンスターが落としていったそれらを買い取るのが、俺の最近の日課だ。
     タイガは元々盗賊だったけど、ある剣士に出会ってからは盗みを辞めて自分も剣士になるべく修行を積んでいるのだそう。その際に得たアイテムを俺に売って、そのお金で装備を揃えようと頑張っている。
    「あ~、腹減った」
    「キッチンに食料があるから、好きに食べて良いよ」
    「おう。サンキュ。おめぇは、もう飯食ったの?」
    「いや、まだだけど。そんなに食欲ないし、タイガ好きに食べていいよ、俺は宝石の鑑定してるから」
     その言葉に、さっきまでの表情から一転、タイガは不機嫌そうな表情になった。
    「え、なに?」
    「おめぇも一緒に食え。鑑定、後でいい」
    「でも、一人分しかないし。あー、お肉とかないんだ。パンだけだけど、少しは腹の足しになると思うよ」
     宝石に着いた泥を落としながらそう返すと、タイガは外していた装備品を身に纏始めた。最後に剣を担ぐとドアの方へ向かう。
    「え 727

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    TRAINING608文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ(3歳×9歳)
    「かける、かける、あのさぁ~、えっと~」
    「ん? なぁに? タイガくん」
     最近、しっかりおしゃべりできるようになったタイガがくんが一生懸命僕にお話ししてくれる。僕も、小学校に上がっていっぱいいろんな言葉を覚えたから、使いたくて仕方ない。
    「えほん、よんで」
    「うん、いいよ~」
     タイガくんが差し出した本を受け取って、ページを開く。可愛い動物たちのお話しのようだ。タイガくんはぼくのとなりにぴったりくっついて、本を覗き込む。最初からゆっくりと読んでいく。タイガくんはお話しに集中しているのか、ピクリとも動かずにじっと本を見ている。
     小さい子向けの本だから、あっという間に終わってしまった。本を閉じてタイガくんの方を見ると、タイガくんも顔を上げて自分の方を見た。
    「カケルすごいなぁ! もじ、全部読めるんだぁ」
     タイガくんがあまりにも目をキラキラさせて言うものだから、なんだか照れてしまう。
    「タイガくんも、ひらがな読めるようになりたいなら教えてあげるよ?」
    「う、うーん……でも、むつかしそう」
    「大丈夫、絵本とか、好きなものでお勉強するのは楽しいよ」
    「え~! おべんきょう、やだ!」
     何を 633

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    TRAINING1056文字
    スチパンのタイカケ
    例のアレなので欠損注意
    「ねぇ、あのさ……ちょっと、ね、タイガ……!」
    「…………」
    「タイガってば!」
    「あ? なに?」
     少し強めの声で言うと、タイガは顔を上げて手を止めた。
    「ちょっと、さっきからどこ触ってんの」
    「どこ、って……」
     腕と脚の整備に来た俺は、先程からパンツ一丁の恰好でベッドに転がっている。片腕と片脚を外した状態だから、上手く身動きが取れない。そんな不自由な俺の身体(主に胸)をじぃっと見ながら、タイガは乳首のすぐ近くや脇の下辺りを撫でている。
    「なんでそんなところ、さわるんだよ……」
     俺が尋ねても、タイガは不思議そうに首を傾げるだけで答えない。マジで、何考えてんのコイツ!
    「なんか、触りたかった……から?」
    「そ、そっか……」
     触りたかったんなら仕方ない……って、んなわけあるか!
    「なんでよぉ? こんな生身の身体……整備には関係ないしタイガきゅんには興味ないんじゃない? だっておれっちの身体よ?」
     そりゃ、おれっちがタイガきゅんの大好きな猫ちゃんだったら触りたいって気持ちは理解できるけど、俺は、ただの人間の男だ。どちらかと言えば筋肉質だし、触ったって面白くない。それに、タイガがの興 1106

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    TRAINING1472文字
    付き合ってる成人タイカケ
    雑誌の内容はお好きにご想像ください
     本屋さんで手に入れた雑誌。同じものを三冊。大事に抱えて部屋にホテルの一室に戻る。
     ここ数日滞在しているホテルは、広すぎず狭すぎず、落ち着く内装でとても過ごしやすい。雑誌をデスクに並べてライトをつける。
    「ふふっ、かぁっこいい!」
     雑誌を飾るのは、俺の大好きなタイガきゅん。少し大人びた表情で、カッコいい洋服を着こなしてこっちを見ている。昔と比べてだいぶ成長して、雑誌等の撮影にも慣れて来て、ここ最近は特に凄くイイ写真が撮れている。だから本屋さんで見かけて、つい、三冊手に取ってしまった。
     鑑賞用、保存用、布教用。
     その中の鑑賞用の一冊を手に取って、ぱらりとページを捲る。巻頭にはタイガのグラビアとインタビュー記事が載っていた。
    「どれどれ?」
     このインタビューを受けた後、タイガに「今日のインタビューはどうだった?」と聞いたら、あんまり答えたくなさそうにしていた。何か聞かれたくないことでも聞かれたのか、それとも俺には話したくないのか、と思ったけど、「絶対読めよ。それまではなんも言わねぇから」と言われてしまい、それ以上何も教えてくれなかった。
     インタビューをお最初から目を通していく。 1538

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    TRAINING786文字
    パンそばでメイドの日
    いつかこの続きでエロ書きたいな
    「どぉ? かわいいでしょ!」
    「あー、かわいいかわいい」
     番組の企画で着ることになったメイド服。控室で着替えて、さっそくタイガくんに見せようとタイガくんの前に立ったのに、ちらりとこっちを見てからすぐに手元のスマホに視線を戻してしまった。せっかく可愛いメイド服を用意してもらったのに、タイガくんは全然興味がないみたい。
    「タイガくんの衣装も素敵だね」
    「そうかぁ? こんなんじゃウケねぇだろ」
     タイガくんの衣装は、かっちりした執事さんみたい。今回の企画は、コンビ芸人を集めて、執事とメイドに扮して、家事対決をするというもの。なぜか僕らは家事へたくそ芸人という分類をされて出演することになった。まぁ、確かに僕は洗濯も料理も出来ないけど、タイガくんの作る炒飯は美味しいし? 僕だってこの日の為に勉強と練習をしてきたんだから、絶対優勝するぞ!
     そう意気込んでいると、ふと視線を感じた。
    「ん?」
    「っ……!」
     タイガくんが、見ていたみたい。真っ赤になって、顔をぷいっと背けた。
    「ふふ! 今見てくれてたでしょ? ねぇね、僕可愛い? 似合ってる」
    「うー、あー」
     タイガくんは頭をガシガシとかいて俯い 824

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    TRAINING1244文字
    ガリカジのタイカケ
    付き合ってるかもしれないし、両片想いかもしれない
    「タイガきゅ~ん……お部屋戻っていいよ?」
    「だめ。今夜は俺がここで見張ってる」
    「う~ん……」
     虎の尻尾と耳を出したタイガが、カケルの部屋の前で仁王立ちをしている。もうすぐ日付が変わる。寮の消灯時間はとっくに過ぎていて、廊下は薄暗くしんとしている。カケルはもう一度小声で言った。
    「僕は大丈夫だから、もうお部屋に帰って寝なさい」
    「やだ」
     先程より真剣な声を上げる。寮長の威厳を……と思い意識していつもより低く落ち着いた声を出したが、タイガには効果が無いようだ。タイガは眉間にシワを寄せて、廊下の両端を交互に睨む。カケルはそんなタイガの様子を見て小さく溜息を吐いた。
     なぜタイガがこうしているのかというと、それは今日の昼までさかのぼる。
     昼休み、少し授業が延びてしまいタイガはカケルの元に行くのが遅くなった。タイガはいつも、時間が開けばカケルの所に飛んでいく。いつの頃からか、少しでもカケルの傍に居たいと言い、どれだけ短い時間でも、カケルの所に通うようになっていた。それがたまたま遅れた今日、この時を待っていましたと言わんばかりに他の寮生たちがカケルを取り囲んで猛アタックをした。普段、タイ 1281

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    TRAINING737文字
    成人済み同棲タイカケ
    普段はタが甘えるしカケは甘やかしたい派だけど、逆転する日もある筈。
    「ねぇね、タイガきゅん、あのねあのね」
    「おー」
     帰ってきたカズオが着替えもせず、俺にベタベタと引っ付いて止まることなくしゃべり続けてもう三十分は経ったと思う。いつもはすぐに着替えるかすぐ風呂に入るカズオがこうしているのは珍しい。
    「ふふ、タイガきゅんはかわいいね。それにカッコいい。大好き」
     脈絡なく俺を褒めて、そして好きだと囁く。スーツがしわになるのを気にせず、ぎゅうと俺にしがみつく。
    「カズオ、そろそろメシの支度すんぞ」
     そう言ってポンポン背中を叩いても、カズオは俺にしがみついたまま「あー」とか「うーん」と言うだけで離れようとしない。珍しいこともあるもんだ。でも、なんか変だ。カズオが、こんな風にするの。
    「カズオ」
    「カー、ケー、ル」
     最近すっかり慣れてしまったのか、あまり訂正することが無かったので久しぶりに聞いた。
    「カケル、だよ」
     ぽつり、と漏らした声はいつものチャラチャラした「カケル」の声ではない。
    「……カケル」
    「ふふっ、タイガぁ」
     途端にカズオは嬉しそうな声を上げて、俺の身体に埋めていた顔を上げた。俺はそっと触れて、目元を擦るように顔を撫であげる。くすぐった 763

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    TRAINING1072文字
    タイカケ
    うちのSSに何度か出てくるあのネコチャン視点のおはなしです。
     とっても大きなお魚が空を泳いでいる。ジャンプしてみてもとても届きそうにない。あぁ、残念。そう思いながら空を見上げていると、視界の端にちらりとオレンジ色が見えた。カズオくんだ。お仕事に行く時とは違うお洋服で、歩くのより少し早く脚を動かしてあっという間に路地を曲がっていった。曲がる瞬間に見えた表情は、なんだかとっても嬉しそう。何かいいことでもあったのかしら?
     カズオくんが消えていった路地の方を見ていると、「よぉ」と後ろから声を掛けられた。振り返らなくてもわかる。タイガくんだ。
    「にゃぁ」
     返事をしながら振り返ると、そこにはやっぱりタイガくん。
    「カズオがさ、変な事いうんだよ」
     目線を合わせる為にしゃがんでくれたタイガくんが、眉を下げて言う。
    「これから、その……で、で、でぇとなんだけどよ、別々に寮を出て待ち合わせしたいって言うんだよ。変だろ?」
    「にゃあ」
     そうね。一緒に出ればいいのにね。そう思って一声鳴くと、タイガくんは優しく頭を撫でてくれた。
    「でも、カズオのやつ、『タイガと待ち合わせするなんてドキドキするし、会えた時幸せな気分になるじゃん?』なんて言うんだよ。変な奴だろ?」 1110

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    TRAINING727文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ
    5歳×11歳
    「あぁ、カケル、またタイガの面倒をみてくれてるのか。悪いなぁ」
    「ううん、僕、タイガくんと遊ぶの楽しいから大丈夫だよ!」
     店の裏手、少しスペースができている場所で、タイガとカケルは遊んでいた。窓から顔を出したミナトが、そんな二人の様子を見て言った。
    「いつもありがとうな、タイガ、すっかりカケルに懐いちゃって」
     最近手に入れたばかりのミニカーと右手に持ち、左手かカケルの服の裾を掴んでじっとミナトを見るタイガの表情は、「邪魔するな」とでも言いたげだ。
    「もうすぐお店休憩に入るから、そしたら二人の分の蕎麦を茹でてやるからな」
     言いながら引っ込んだミナトを見送ってから、タイガはカケルの服の裾をくいっと引っっぱった。
    「なぁ、カケル」
    「なぁに?」
    「なつく、ってなに?」
     タイガは首を傾げてカケルを見上げた。まだまだ幼いタイガは、知らない言葉を投げられくすりと笑われたのを、何か馬鹿にされたようにも感じてカケルに尋ねた。
    「あぁ、えーっと、うーん……タイガくんにわかりやすいように言うと、僕の事、好きで……一緒に居てくれるっていうか……」
     カケルは説明しながらなんだか気恥ずかしくなって、も 759

    オルト

    TRAINING949文字
    タイカケ
    デートの時の服装を考えるの楽しい。
    「な、なんじゃぁ、その服は!」
     待ち合わせ場所に現れたカケルを見て、タイガは悲鳴に似た声を上げた。
    「え? いいでしょ、この服~。デートだからちょっとフンパツして新作コレクション取り寄せちゃったぁ」
     楽しそうに笑うカケルとは対照的に、タイガはじとりとした瞳でカケルを睨む。
     目がチカチカするような幾何学模様。タイガにはとても読めない、胸元に筆記体で刺繍された英語。そして、タイガでも知っているような高級ブランドのロゴが入っていた。そう言えば、似たような模様の服をディアクラウンの近くにある店のショーウィンドウで見たのを思い出し、タイガはハッとした。目玉が飛び出るような値段の服。それと同じようなものをカケルが着ている。
    「おめ、そんな高級な服着て……どこ行くつもりだよ?」
     まさか高級なレストラン? タイガは焦った様子で自分の服を確認する。タイガもそれなりにデートを楽しみにしていたから、クローゼットの中で一番上等な服を選んできた。だが、それでもとてもカケルに釣り合うような服ではない。
    「え~? タイガきゅんが行きたいとこならどこでもいいいよ! 公園でも高架下でも!」
     屈託のない笑顔を向 986

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    TRAINING796文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ(中1×大1)
    「大学ってさ、どんな感じ?」
    「どんな、って授業が?」
    「授業もそうだけど……周りの人とか」
     食後、蕎麦湯を飲んでいたら厨房から出て来たタイガくんが僕の前に座って尋ねた。少し怒ったような表情で、こちらを見ている。
    「うーん、授業は楽しいよ。高校までとは違った雰囲気の教室での授業だし、学ぶことも全然違うし、新鮮。周りの人は……そうだなぁ……」
     同じ学部やゼミの人を思い浮かべていると、タイガくんの表情が険しくなった。
    「どうしたのい、タイガくん。そんな顔して」
    「だって、大学に悪い虫がいたら大変だろ。もしいたら、俺が大学乗り込んで退治してやる」
    「……あはは! タイガくんが大学に入ってきたら、早すぎる学校見学だと思われて案内してもらえるかもね!」
    「笑ってんじゃねーよ!」
     むくれてしまったタイガくん。まだ幼いその表情は、なんだか可愛い。
    「ごめんごめん。心配してくれてるの?」
    「あったりめぇだろ! カケルは俺の恋人になるんだ。それまで絶対、他の奴らに手出しさせねぇから」
    「っ……」
     真剣な表情に、どきっとしちゃう。小さいころから「好き」の気持ちをいっぱい貰って来たけど、今でもタイガ 825

    オルト

    TRAINING492文字
    成人タイカケ
    なんとこの二人、まだ付き合ってません。
    空港。俺はもうすぐゲートを通って出国しなくてはいけない。見送りに来てくれたタイガと、向かい合う。
    「ん」
    「え?」
     硬く握った拳を俺の方に向かって突き出したタイガの表情は、俯いている所為で前髪がかかってよく見えない。
    「なに?」
    「手!」
    「手?」
    「手出せ」
     言われた通りに手を出すと、ぽとん、と掌の上に何かを落とされた。鍵だ。何かの鍵。おそらく家の扉。
    「え、なに? どういうこと?」
    「それ、俺んちの鍵。おめぇが出張から帰ってくる日、俺夜遅くなるから……それで入ってろ」
    「……えっ、と」
    「俺んところに帰ってこい」
     顔を上げたタイガは、得意げに笑っていた。
    「へへっ、返せって言っても返さないからね」
     俺は鍵をだいじに握りしめる。タイガの部屋の鍵。
    「寄り道しないで、真っすぐ帰って来いよ。おめぇが帰ってきたら、言いたいことあるから」
    「うん。俺も、タイガに伝えたいことがあるんだ」
     俺たちは、握った拳をコツンと合わせた、次に会えるのは、二週間後。海外に行くには比較的短い出張だけど、今までのどんな出張よりも長く感じそうだ。でも
    「行ってきます」
     タイガに見送られてゲートを通る俺 519

    オルト

    TRAINING728文字
    カケ卒業後の両片想いタイカケ
    けど出てくるのはタとユ〜くんのみ。
    『タイガきゅんっ!』
     カズオの声がして振り返ったけど、カズオはそこにいなかった。一人きりの食堂で、俺は首をかしげる。たしかに呼ばれた気がした。今ここにいるはずないのに。
    「タイガ、どうかしたのか?」
     この二年で驚くほど背が伸びたユウが、楽譜片手に現れた。きっと今度のショーでやる俺とユウの新曲だ。
    「いや、カズオに呼ばれた気がして」
    「またかよー! まぁ、気持ちはわかるけどさぁ、アイツ、いつもお前にベッタリだったもんな」
     クスクス笑いながら言われて、なんだか照れ臭くなった。まぁ確かに、カズオは俺にべったりだったけど?
    「卒業して半年経ってんだぞ〜? カズオ離れできてねぇんじゃねーの? もう前みたいに宿題見て貰えないんだから、しっかりしろよー」
    「わーってるって」
     そう、前みたいにいつも一緒に居られない。カズオたちは卒業して、寮を出て、今はここにいない。でも、まだ、カズオの香りや俺を呼ぶ声が量の中で響いてる気がして仕方がない。
     会って、リアルにカズオの声が聞けたらスッキリするんだろうけど、今アイツは留学兼海外出張で簡単に会える環境じゃない。とりあえず一年とは言ってたけど……。
      770

    オルト

    TRAINING付き合ってるタイカケ
    タとモブ教師しか出てこないけどタイカケです
    つまらない授業。けど眠気もなく、俺は教師の話を右から左に聞き流し、ぼんやり教科書を眺めていた。なんだか長々話しているけど、時々人物名が聞こえるだけで、内容は全く頭に入って来ない。授業は全く聞いてないけど、教科書を開いて席に着き起きているのだから褒めて欲しいくらいだ。
     ノートを取る気にもならないが、何となくぺらぺらと捲ってみる。すると、俺の字に混じってチャラチャラした文字があるのが見えた。カズオの字だ。
     数字や式が並び、ところどころに解き方のコツが、赤い字で書かれている。この間、勉強を見てもらった時のものだ。
    『タイガきゅん、頑張れ♡』
    「ふっ」
     チャラチャラした文字で書かれたその一言を見て、俺は噴き出した。カズオの声が聞こえてくるような感覚。傍にいるみたいで、思わず口元がゆるむ。
    「おーい、香賀美」
     その時聞こえてきた、俺を呼ぶ教師の声。顔を上げると、さっきまで教壇にいた教師は、いつの間にか俺の目の前にいた。
    「珍しく起きて教科書開いてるのは良いけど、ソレ、数学のノートだぞ。今は世界史だ」
    「あー……」
     そう言えばそうだ。なんか変だと思った。
    「んー、なんだなんだ? 赤ペン入 931

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ
    小6×高3
    「カケル! カケル!」
    「なぁに、タイガくん」
    「こっち、こっち来て!」
     腕をむんずと掴まれて、俺はタイガくんに引きずられるようにして部屋に入った。今まで一度も入ったことがない部屋だ。いつも僕が遊びに来た時は居間で過ごすんだけど……。
    「この部屋って……」
     学習机、ベッド、くたびれたランドセル、小さな洋服箪笥。本棚には教科書や漫画が無秩序に並んでいて、棚にはゲーム機なども置いてある。そして、その棚の上に設置されたデジタルフォトフレームには、僕が写っている。
    「えっ」
     写真は数秒おきに変化しているが、そのどれもが僕だった。タイガくんと一緒に写っているもの、僕一人のもの、さまざまだ。
    「俺、自分の部屋貰ったんだぜ! だから、これからは俺と二人でここで遊べるぞ!」
     タイガくんは純粋無垢な笑顔で僕を見るけど、僕はフォトフレームが気になって仕方ない。僕がちらちらそちらを見ているから、視線に気付いたタイガくんがそれを手に取って僕の方に向けた。
    「いーだろ! カケルの写真がいっぱい入ってるんだぜ!」
    「な、なんで僕の写真ばっかり……」
     正直言って恥ずかしい。だってこれ、ずっとタイガくんに見 1626

    オルト

    TRAINING872文字
    付き合ってないタイカケ
    なんだろう、この状況は。俺はさっきから、タイガに膝枕されて頭を撫でられている。恥ずかしくてタイガの顔を見られず、顔は横を向いたまま、ずっと壁のカヅキさんと目を合わせている。
     タイガは何も言わない。ただ、黙って俺の頭を撫で続けている。最初こそ、タイガから離れようとしたけれど押し戻され、俺も今日はひどく疲れていてもう起き上がるのも怠くて、そのまま撫でられ続けているんだけど、そろそろタイガの脚が痺れていないか心配だ。
    「……ねぇ、タイガ」
    「ん?」
    「脚、痺れない?」
    「別に」
    「そっかぁ」
     表情は見えないが、きっと口をへの字に曲げているであろうことが予測される。やめる気配はない。それどころか、撫でる範囲が広がって、肩や腰まで撫で始めた。ちょっと、くすぐったい。というか、これ以上はちょっと……ほら、疲れてるし……ヤバイ。
     あぁ、カヅキさん、おれっちはどうたらいいでしょう?
     じっと見つめても、当たり前だがカヅキさんからは返事は貰えない。
    「カズオ」
    「は、はいっ!」
    「おめぇ、少しくらい俺に甘えてみれば?」
    「へ?」
     思いがけない言葉に、遂に俺はタイガの方へ視線を向けた。タイガは、見 909

    オルト

    TRAINING908文字
    22世紀蕎麦屋タイカケ
    いつかふたりの初夜ちゃんと書きたいよ~~(初夜失敗)
    「なぁ、俺、もう待つのは嫌だ」
    「う、うぅ……」
    「なぁ、カケル……」
     じりじりと壁際に追いやられ、タイガくんに迫られ、僕はついに逃げ場を失った。
     タイガくんが高校を卒業し、交際を始めて数か月。最近、頻繁に迫られている。キスはもう済ませた。その先を、求められている。
    「え、と……」
    「セックスは二十歳になってから、なんて、言うなよ?」
     怒りを含んだようなタイガくん声。あぁ、どうしよう。
     セックスを二十歳までお預けにする気はない。僕だってセックスしたい。する気はないけど、心の準備ができていないのだ。身体の準備は、している。タイガくんが高校を卒業する前から。だって、タイガくんをずっと待たせていたんだもん、もしそういう雰囲気になったらスマートにリードしてあげたいって思っていたんだもん! だけど……。
    「カケル、俺のこと、怖い?」
    「えっ」
    「だって、震えてる……」
    「あ……」
     気付かなかった。でも、タイガくんが怖いだなんて……思わない。こんな風に誰かに迫られたことは…………ない、し。
    「あの、僕……」
    「ごめん」
     タイガくんは項垂れて僕から離れ、一歩後ずさる。長い前髪に隠れて表情 949

    オルト

    TRAINING902文字
    タが嫉妬してるだけのタイカケ
    たった今まで俺の隣にいたのは「カケル」だったのに、今、俺の隣にいるのは「一男」だ。
    「はい、……はい、勿論です。えぇ…………、はい、はい」
     俺のわからないことを話して、俺の知らないオッサンと笑顔で話している。俺たちといるときに見せる笑顔とは何か違う。俺の知らない顔を、知らないオッサンに向けている。面白くない。でも、だからと言って俺も話に加われるかと言ったらそうでもないから、俺は「一男」の影に隠れていることしかできない。
    「それではまた!」
     どうやら話は終わったようで、オッサンは去っていった。
    「ごめんタイガきゅん、お待たせ……って、どうしたにょ~?」
     振り返って俺を見た「カケル」は、眉を下げて俺の頭を撫でた。いつものコイツだ。
    「別に。なんでもねぇし」
    「なんでもあるって顔してる」
    「……行こうぜ」
     さっきのオッサンの姿が見えなくなったのを確認して、俺はカズオの手を引いて路地裏へと入った。カズオは大人しく俺に着いてくる。
    「……さっきの、取引先の人だよ。お仕事の関係者」
    「別になんも聞いてねーし」
    「うん、そうだね」
    「…………」
    「少しお仕事のお話ししただけだよ。プリズムシス 936

    オルト

    TRAININGタイカケ
    野ションする昔馴染み設定の幼児タイカケ。
    「たいがくん、お、おトイレいきたいよぉ」
     カズオが鳴きそうな声を上げながら、脚をモジモジさせている。最近都会からやって来て、一緒に遊んでいるこのカズオ。歳は同じくらいだと思うけど、よく知らない。
     ションベンしたいなら、その辺ですればいいのに。どうやら都会育ちのこの坊ちゃんは、綺麗なトイレじゃないと用を足せないらしい。
    「ねぇ、この辺りにおトイレないの……?」
    「ねーよ。もう少し歩いてけば畑にあるぞ」
    「ホント!?」
    「でも水流れねぇぞ」
    「えぇぇ」
     カズオはべそべそ泣きながら言った。一体どうしたらいいっていうんだ。そろそろ限界って顔してるけど、俺にはどうすることも出来ない。ていうか、俺もしたくなってきた。
    「なぁ、その辺でしちまおうぜ」
    「え、どういうこと?」
     困った顔のままのカズオが、首を傾げる。わからない? そんなことないだろ。誰だって一度はしたことあんだろ、その辺で立ちション。
    「ほら、立ってちんちん出せって」
     俺は自分のズボンを少し下げながら、カズオに言った。カズオはぎょっよして俺を見る。
    「だ、だめだよ! こんな所で……!」
    「だって、しなきゃお漏らししちまうじゃん 1136

    オルト

    TRAINING成人タイカケ。
    こういうポロっと発言とか誤爆とかで交際バレするのが見たい。
    「うっそぉん……」
     朝、目覚めの一杯を飲みながらSNSをチェックしていたらとんでもない情報が目に飛び込んできた。
    『香賀美タイガ 熱愛発覚か?!』
     ソースとしては信用度の低いゴシップ系ニュースサイトであるが、内容を確かめるべくそのニュース記事の詳細をクリックした。一体どんな報道なのか、相手はどう書かれているのか。アクセス過多でサーバーに負荷がかかっているのか、なかなか記事が読み込めない。ドキドキしながら残っていたコーヒーを飲み干す。
    「お」
     表示された内容をじっくりと読む。
    「あぁー……」
     記事の内容は、タイガと最近共演した女性スタァの関係を疑う記事だった。一緒に歩いていたとか、親し気に会話しているのを見たとか、交際していると断定するには情報として乏しい。というか、ありえない。だって、タイガと交際しているのはこの俺なのだから。そしてこの女性スタァも、公表してはいないがパートナーがいる。ベルローズ所属で、青山の校舎でも何度か会っているからもともと顔見知りで、女性が苦手なタイガでも普通に話せる相手というだけだ。
    2435

    オルト

    TRAINING絶対に勘違いしているタの22世紀蕎麦屋のタイカケ「なぁカケル。ひかるげんじ計画、ってどんな計画なんだ?」
    「ブーッ!」
    「うわっ、きたねぇな!」
     食後のお茶をゆっくり啜っていたカケルが、タイガの言葉に思いきり噴き出した。カケルの正面に座っていたタイガは慌てて身をかわした。そのまま厨房に駆けこみながら、タイガは話を続ける。
    「なぁ、知ってるのか?」
    「え、えーっと、タイガくんその言葉をどこで聞いてきたの?」
    「古い漫画! クラスメイトの家にあった!」
    「あ~、うーん……」
    「知ってるのか?」
     テーブルを拭くための布巾を手にしたタイガが、嬉しそうな顔をして戻ってくる。カケルはそんなタイガの表情をみて、何と答えるべきか思案した。
    「あのな、漫画で出て来たんだけど、よく意味がわかんねぇんだ」
    「お、俺もよく知らないんだよねぇ。多分ほら、光源氏って昔の書物に出てくる人だから、そのぉ……きっと古い風習か何かで……」
     カケルは誤魔化そうと言葉を濁し、タイガから視線を逸らす。しかし、そんなカケルの様子にタイガはカケルが何か隠していると察知した。カケルの手をとり、ぎゅっと握る。
    「なぁ、教えてよ」
    「えっと……」
    「漫画で言ってぞ! 年上の人が 695

    オルト

    TRAININGブラックローズのタイカケ
    ホラーじゃないけど、一瞬そう言う雰囲気あるので苦手な方はご注意ください。
    黒薔薇の二人、全タイカケの中で一番セッの頻度高そう。
    「うちの学校のさ、七不思議って知ってる?」
    「あー? なんだそりゃ、聞いたことねぇぞ」
     体育倉庫で一発終えて一息ついたところで、カケルが突然おかしなことを言い出した。
    「あるんだよ、この学校にも七不思議が」
     カケルは楽しそうに言いながら、脱ぎ散らかした洋服を拾い集める。俺はまだ身体の熱が引かなくて、素っ裸のまま落ちていた何かの板で仰いでいた。
    「この体育倉庫だって、その一つなんだから!」
     なぜか得意げに言うカケル。一体この体育倉庫に何があるっていうんだよ。ここは学校でヤりたくなった時の定番の場所だ。昨日もここに来たし、なんならゴムとローションをティッシュを隠しておいてあるくらいだ。今までそんな話したことなかったのに、なんで今急にそんな話を始めたんだ?
    「ここの体育倉庫にいるとね、人の視線を感じることがあるんだって」
    「誰かが見てるんじゃなくて?」
    「まぁ聞いてよ」
    「授業をサボってここで寝ていた子がいたの。その子はそりゃもう喧嘩強くて毎日暴れまくり。校舎の窓ガラスを鉄パイプでたたき割ってたし、入学してからあっという間に先輩倒してトップになったの。そんなある日、その子がいつものよう 2022

    オルト

    TRAININGタイカケ。
    ふたりとも女装が似合う。
    「あ、あのぉ……タイガきゅん、コレは?」
    「今さら『やっぱナシ』なんて言わせねぇからな」
     俺のベッドでふんぞり返ったタイガきゅんが、意地悪そうな笑みを浮かべる。
     俺の腕の中には、俺がタイガきゅんに着せようと思って用意した筈のフリフリのメイド服。
    「ほら、おめぇがそれを『キャワイイ』と思って用意したんなら、自分で着てみろ」
    「むぅ……」
     まさかこんなことになるなんて。ゲームでタイガきゅんと勝負して、おれっちが勝ったらこれを着てねってメイド服を用意して、キャワイイタイガきゅんを堪能するつもりだったのに! なのに、まさかのおれっちの負け。タイガは負けて落ち込む俺に向かって、笑顔で言ったんだ。『俺が勝ったんだから、おめぇがそれを着ろ』って。
    「まさかタイガきゅんにも好きな人を女装させる趣味があったなんて」
    「ねぇよ、そんな趣味」
    「え? じゃあやっぱりタイガきゅんが着る?」
    「着ねぇよ! 俺はただっ、おめぇが悔しそうにして恥ずかしがる姿が……」
     タイガは照れながらもにょもにょ口を動かす。やっぱり見たいんじゃん。
    「まぁ……タイガきゅんが望むなら仕方にゃい」
     観念した俺は、自分で用意し 1037

    オルト

    TRAININGパンそばのタイカケ
    「いつまでも一緒に居たい」から、「一緒に居るのが当たり前」に気持ちが変化していくといいなぁ。
    散り始めている桜並木の道を歩く。仕事を終えて、花見をしながら帰ろうということになった。ホントは花見でもしたいところだけど、花見が出来る公園は人が多くてゆっくり花見をするのは難しそうだ。まだまだ有名ではない俺たちだけれど、そこそこ顔は知られている。それに、オフモードのカケルを誰かの目に触れさせるは嫌だった。
    「綺麗だねぇ」
    「そうだな」
     桜を見上げるカケルが綺麗で、ついついカケルの方にばかり目を向けてしまう。
    「こうしてタイガくんと一緒に桜の季節を迎えるの、何年目だろうねぇ」
    「そーだなぁ……」
     カケルとコンビを組んでから、もうかなり長い。そもそもコンビを組む前からの事を考えれば十数年といったところだ。パッと計算できないくらいには、何度もカケルと桜の季節を迎えている。
    「来年もその先も、ずーっとタイガくんと一緒に桜を見られたらいいなぁ」
     目を細めて言うカケルは、綺麗で儚げで、まるで映画のワンシーンみたいだ。けど、
    「おめぇなぁ、そのセリフ、まるでフラグじゃねぇか」
    「え? なんの?」
    「映画だと、そんな顔してそういうこと言うと叶わないんだよ」
    「え、え~?! やだやだ。ていうか、そ 944

    オルト

    TRAININGタイカケが女装
    ぺろんと捲って怒られてほしい。
    あまり女装を活かせなかった……。
    「ったく! やってられるかよ!」
     エイプリルフールだかなんだか知らねぇけど、俺たちは女の恰好をして撮影をされた。この後エーデルローズのサイトに掲載されるらしい。こんな恥ずかしいもの乗せられるなんて俺は嫌だったけど、オバレもやるって聞いたから、仕方なく撮影されてきた。顔に塗られた化粧がうざったくて、控室に戻ってすぐ乱暴に化粧落としのシートで顔を拭った。
    「あぁ! ちょっと! そんな乱暴にしちゃだめだって! 全然落ちてないし」
     俺のすぐあとに控室に戻ったカズオはムッとして俺を見てから一枚化粧落としのシートを取ると、丁寧に畳んでそっと俺の瞼の上に当てた。
    「目、閉じて」
     言われた通りに目を閉じると、瞼を優しく化粧落としシートを押さえつけられて、それから撫でられる。カズオの指がゆっくり離れていくのを感じて目を開けると、凄く近い位置にカズオの顔があった。俺と同じく化粧をされているカズオの顔は、凄く綺麗だけど……やっぱこんなチャラチャラしてるのより、いつものそのままのカズオの方がずっといい。ていうか、こんな白い粉とか塗らなくても、カズオは綺麗だし。服装だって、こんなフリフリしたんじゃなくてい 1426

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ「あと、二時間……」
     タイガは自室で一人、じっと時計を睨みつけていた。
    『四月になったら、ね』
     高校一年生のタイガが、カケルに真剣な交際を申し込んだときの話だ。カケルはタイガの気持ちを受け止め、自分の気持ちもタイガに伝えた。が、『お付き合いを始めるのは、高校を卒業したら』と言われてしまった。
     高校の卒業式の日、卒業証書を持ってカケルの家に駆け付けて交際を迫ったら『三月三十一日までは高校生だよ。先生にも言われたでしょ』と言われて、その日も交際には至らず、結局卒業祝いと称してごちそうになっただけだった。
    「もうすぐ、あと少し」
     幼いころから、ずっとずっと憧れていたカケルとの交際。それが目の前に迫ってきてタイガは落ち着かず、ぐるぐると部屋の中を動き回る。
    「あ~くそ~! 一分が長ぇ!」
     普段であれば、一瞬で過ぎていく時間も今はとてつもなく長い時間に感じる。早く、日付変わってくれ。そう思う反面、何年も待ち望んでいたものがいざ目の前に来ると、不安がじわじわと沸き始める。
     本当に、カケルは自分を好きで彼氏にしてくれるのか。いざ付き合ったら、やっぱり子供にしか見てもらえなくてフラれてしま 2405

    オルト

    TRAINING1288文字
    ちゃいなのタイカケ
    恒例のガチキョンシー。ヒロ様視点の話です。
    「うー……」
    「ご、ゴメンナサイ……」
     唸るカケルを前に、タイガは深々と頭を下げた。ギリギリと歯ぎしりをして、生気のない目でタイガを見つめるカケルは、普段の愛らしい姿とは異なり「キョンシー本来の姿をしているな」と他人事のように思った。自分が一声かければ大人しくなるのをわかって入るけど、ここはカケルの気持ちを尊重して俺は黙って見ていることにする。
    「あぅ! た! やっ!」
     カケルは吠えるように大きな声を出し、一生懸命に言葉を紡ごうとする姿は可愛らしく見えるけど、タイガは顔を青くしている。
     カケルが怒ったのは、ほんの些細な出来事が発端だった。俺とカヅキがゲームをしていて、それをタイガとカケルが見ていた。珍しくカヅキが勝ったところで、タイガがカヅキをべた褒めした。所までは良かった。それでタイガがカヅキにゲームを一緒にやりたいと言い暫くプレイし、それに飽きると今度は特訓して欲しいとせがんで庭で特訓に励んだ。その間、カケルはタイガに構って欲しくて何度も声を掛けたし、タイガの服の裾を引いてアピールしていたのに、カヅキに夢中だったタイガは少しばかりカケルを邪険に扱ってしまった。普段はそんなこと 1324

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ「なぁなぁなぁ、俺たちもしようぜ~」
    「だぁめ!」
    「なんでだよぉぉ!」
     タイガくんは、寝転がって手足をじたばたさせる。こうなったらなかなか終わらない。
     僕らはタイガくんの家で、アニメを見ていた。子供向けのアニメだったけれど、結婚式のシーンがあり、そこで描かれた誓いのキス。タイガくんはソレを見てから、同じことがしたいと騒ぎ出した。最初は結婚式ごっこだと思ったから、軽い気持ちで「いいよ~」と返事をした。並んで廊下を歩き、誓いの言葉を真似て満足するかと思ったら、キスされそうになった。慌ててタイガくんから離れたら、タイガくんは泣き出してしまった。
    「タイガくん、泣かないでよ~」
    「だって! キスしなきゃ結婚式じゃねぇ!」
    「じゅ、十分結婚式ごっこ出来たでしょ?」
    「ごっこじゃない!」
     タイガきゅんはひと際大きな声を出し、キッと僕を睨んだ。
    「俺は、本気なのに」
    「う……」
     そうか、そうだよなぁ。タイガくんは、いつも「将来カケルと結婚する!」って言ってくれてるから、きっと今のもごっこ遊びじゃなくて、本気だったんだよなぁ。
    「なんで、キスさせてくんねーんだよ」
    「だって、ほら、それは…… 854

    オルト

    TRAINING996文字
    タイカケ
    付き合ってる。
    なんだか身体がソワソワして、眠れない。こういう時は。一旦起きて身体を軽く動かした方が良く眠れるのを知っている。ベッドから降りて部屋から出ると、多分もうみんな寝ているのか、廊下は真っ暗で静まり返っていた。
     皆を起こさないよう、山田さんに気付かれないよう、静かに廊下を進む。無事に外に出て寮の門から出ようとしたその時、ポン、とスマホが鳴った。
    『こんな時間にどこ行くの?』
     カズオだ。振り返ると、窓際に立ったカズオがこっちを見て手を振っていた。カズオに背を向けて歩き出そうとすると、またメッセージが届いた。
    『おれっちも一緒に行きたい! いいでしょ?』
    「……ったく」
     もう一度振り返ってカズオを見る。言葉にしなくても、俺がまた振り返ったことでカズオは俺の返事を読み取った。すぐに窓とカーテンが締まり、部屋の電気が消えた。そして待つこと数十秒、ラフな格好のカズオが玄関から出て来た。
     黙って寮から少し離れてから声を出す。
    「おめぇそれで寒くねぇの?」
    「ちょっと寒いけど、タイガきゅんもすぐ戻るつもりなんでしょ?」
    「まぁ」
    「眠れない時って、動いちゃうよね~」
     へぇ、カズオも同じなんだ……。 1042

    オルト

    TRAININGタイカケ
    付き合ってるかも知れない
    「はぁ……」
     真夜中、洗面台で顔を洗って深々と溜息を吐く。夜中、嫌な夢を見て目が覚めて、あまりにも気分が悪かったので顔を洗った。どんな夢だったかは、正直よく覚えていない。だけど、目覚めた時に泣きたくて悲しいきもちになった。悲しい映画を見た時や、鬱屈をした小説を読んだ時の気分に似ている。
    「寝れるかなぁ、この後」
     明日は休日だから、ゆっくり眠りたかったのに。
     ここ最近、期末のせいで仕事が忙しくあまり眠れていないのだ。だからこそ、休日前の睡眠はとても大切なのに。
    「カズオ?」
     びっくりして顔を上げると、ペットボトルを持ったタイガきゅんが、廊下に立っていた。
    「わ、びっくりした。どしたの?」
    「喉渇いて目が覚めた。おめぇこそ、どうしたんだよ」
    「いやぁ、嫌な夢見て目が覚めた」
     答えると、タイガは俺の方にそっと寄ってきた。空いた方の手で、優しく俺の頭を撫でる。えぇぇ、うそ、タイガが俺を……甘やかそうとしてくれてるの?
    「悪い夢って、他人に話した方がいいらしいぞ」
    「ん……でも、話の内容よく覚えてないんだよね」
    「はぁ?」
     タイガは不思議そうな顔をして、首を傾げる。寝癖のついた髪がさ 800

    オルト

    TRAINING読みにくいからこちらにも。
    タイカケ
    東京は桜の花が咲き始めるのが速いから、月の感覚がおかしくなりそうになる。もう何度か東京で春を迎えているけれど、生まれた頃から育った土地での感覚はどうにも抜けない。
    「もうすぐ咲きそうだね~」
    「そうだな」
     ゆっくり歩きながら桜の木を見上げると、蕾がふっくらと膨らんでいるのが見えた。木によっては、幾つか花が咲いているものもある。
    「ねぇね、桜の木の下には死体が埋まってる、って知ってる?」
    「は? んなわけねーだろ……」
     背筋がゾクリとした。こんな綺麗なものの下に、死体? なんで?
    「あ、いやいや、そう言う小説があるのよ」
    「へー。小説なんて知らねぇよ。読まないし」
    「だよね~! そう思った! ふふっ、そうだよねぇ!」
    「なんで聞いたんだよ?」
     よくわからないけど、カケルはくすくすと楽しそうに笑っている。
    「いやぁ、桜ってホント綺麗だよね。満開になるのが楽しみ! 満開になったらさ、みんなでお花見しようね! ミナトッチのお弁当持って、ユキちゃんにお茶たててもらってさぁ。そうだ! タイガきゅん余興してよ!」
    「おめぇが何かしろよ。ていうか、出来そうなの? おめぇ、会社の方のとかで忙しいん 848

    オルト

    TRAINING950文字
    ガリカジのタイカケ
    チャラチャラしているようで、真面目で責任感があってみんなに慕われている、しっかりものの俺たちの寮の長、カジオ・ウィ……ウィ……なんとか、略してカケルは、実はすごくかわいい所がある。でも、それは俺だけが知っていればいいこと。
    「カケル」
    「タイガ」
     部屋に二人きり。カケルが優しく俺の頭を撫でる。みんなの前でされると恥ずかしくて、ついカケルの手を払いのけてしまうけど、こうして二人の時にはその優しい手を堪能する。目を閉じると、カケルの手の感触に集中できる。飛び出してしまった虎の耳を、カケルが優しく揉んでくれる。これが気持ちよくてたまらない。
    「かわいいねぇ」
    「ふん」
     普段は可愛いと言われるのは嫌だけど、こういう事している間は、可愛いと言われることすら気持ちがいいから不思議だ。カケルが何か気持ちよくなる魔法使ってるんだろうか?
    「なぁカケル」
    「ん? なぁに?」
    「俺と二人の時、いつもなんて魔法使ってんだ?」
    「え?」
     カケルは、何のことだかわからないという顔をする。
    「だって、みんなの前ではされたら恥ずかしいことも、こうしてカケルと二人の時は、気持ちよくなる。なんかの魔法なんだろ?」 987

    オルト

    TRAINING付き合い立てタイカケ
    タが強くてアイスの棒が霞んでるw
    「わ!」
     休日、二人で出かけた帰りにコンビニでアイスを買った。公園でソレを食べながらぼーっとしていたら、カズオが突然大声を上げた。驚いて顔を上げると、カズオはアイスの棒を両手で持って震えていた。
    「見て、タイガきゅん! あたりだって!」
     カズオがこっちに向けたアイスには、確かに「あたり」の文字。俺も何度も見たことがある。
    「すごい、これ! こういうのってホントに当たるんだね~!」
    「そりゃ、当たるだろ。俺も、今まで何度も当ててるし」
    「マジで?! さっすがタイガきゅん」
     カズオは瞳を真ん丸にして、上ずった声を上げた。そんなに驚くことだろうか?
    「おれっち初めて見たよ~」
     嬉しそうな顔でじっと棒を見つめて、スマホで写真を撮って(なぜか角度を変えて何枚も撮影している)、そしてもう一度、うっとりした表情でじっとアイスの棒を見つめる。
    「何度も買ってりゃ、そのうち何度も当たるって。おめぇはそもそもそういうアイス、あんま食ったことないだろ?」
    「まぁ、そうなんだけどさぁ~。初めてだから嬉しくって。タイガきゅんも初めてあたりが出た時はそうじゃなかった?」
    「うーん」
     多分、そうだったと思 1378