Recent Search

    オルト

    どうしようもないものを投下

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 178

    オルト

    DOODLEタイカケ。遅れたホワイトデーネタ。ホワイトデーを少し過ぎた日の夜、食堂でホットミルクを飲みながら談笑する二つの影。
    「えぇ!? マジで?!」
     ユウの大きな声が食堂に響いた。
    「しーっ!」
     カケルは口元に指をあてて、静かにしてとポーズを取る。ユウはテーブルに身を乗り出して、カケルに顔を近付けた。
    「マジで、タイガのやつ、カケルにホワイトデーのお返し渡したの?」
    「うん。しかも、結構ちゃんとしたお菓子で……プリズムストーンのっぽいんだけど」
    「あのタイガがねぇ……。鞄の中で割れた板チョコとか出しそうなのに」
    「いくら何でもそれは無いでしょ!」
     ユウの言葉に、カケルがクスクス肩を震わせて笑った。いや、ありえそうだ。ムスッよした表情で、頬を赤く染めて、「ん」とチョコを突き出すタイガを想像して、カケルは頬に手を当てた。
    「なぁににやけてんだよ」
     ユウがつん、とカケルの額を突いた。
    「で、何貰ったんだよ?」
    「表示見ると、マカロンっぽいんだけど、まだ開けてなくて……」
    「いや、開けろよ!」
    「なんか、勿体なくて……」
    「賞味期限切れる方が勿体ないだろ!」
     ユウの言葉に、確かに、とカケルは呟く。
    「あとね」
    「うん?」
    1409

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ(小2×中2)
    中学潜入大作戦(後編)
    俺は、カケルを守る為に飛び出したのに、みんな優しい顔をしている。
    「キミ、面白いなぁ」
     一人男が俺たちの方に近付いてきた。カケルに触れるつもりか?!
     俺は身構えてソイツを睨んだ。相手の手が伸びる。やばい! そう思った瞬間、頭をわしゃわしゃと撫でられた。
    「コイツ、カケルの弟か?」
    「い、いえ! まぁなんというか、近所の……幼馴染って感じな子です!」
    「幼馴染っておめぇ……!」
     ただ幼馴染みたいに思ってたのか?! 俺たちは将来結婚するのに!!
    「タイガくん、もしかして、この間見たヤンキードラマ見て僕のこと心配してくれてるのかな?」
    「う……ん」
    「大丈夫。ここに呼ばれたのは、カツアゲとか喧嘩じゃなくて、委員会の仕事だよ」
    「……へ?」

     その後、美化委員だというカケルの仕事に付き合って、花壇の雑草を抜いたり、華の苗を植えたりした。委員会のひとたちに謝って、先生に見つからないようにランドセルを回収して学校を出た。学校に来ることしか考えてなかったので、駅で買えりの交通費がないことに気付いた。カケルが出してくれた。情けない。カッコ悪い。これじゃ、カケルに好きになってもらえない。
    「タイ 1230

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ(小2×中2)
    中学潜入大作戦(前編)
    カケルの学校に来た。中学に上がって、カケルはますます忙しくなったみたいで、最近店に来る時間が遅い。
    「一体高校で何してんだ……?」
     カケルの学校の場所は知っていた。電車で少し離れたところにある、凄く頭のいい学校。お小遣いで電車に乗って、カケルの様子を見に来た。カケルの話によると、そろそろ授業が終わる頃だ。こっそり学校に忍び込んで、カケルのことを探すんだ。
     校門を入ってすぐの植え込みに、ランドセルを隠した。
    「やべ」
     警備の人が近くを歩いている。身を屈めてソイツをやり過ごす。まだ見つかるわけにはいかない。鬼ごっこやかくれんぼで鍛えてんだ。こんなの、なんてことない。絶対大丈夫。俺は自分にそう言い聞かせ、校舎へ駆け込んだ。
     侵入は無事成功。どうやらまだ授業中。俺はそーっと、音を立てないように歩く。カケルの教室はどこだ? うろうろしてみるが、わからない。中学は俺の小学校と違って、教室がいっぱいある。カケルがA組なのは知っているけど、そのA組がどこかわからない。だったら……。
     俺は来た道を引き返し、下駄箱近くに身を隠した。ここで待って、カケルが出てくるのを見守ろう。でも、もし校舎の中で 1630

    オルト

    TRAININGタイカケ
    無自覚のタ、おっきしてしまう。
    ちょっと待って~~~!!!
    あぁ、クソ、なんで、なんで……!
     布団に突っ伏して、頭から毛布を被る。その上に乗っかったトラチが何か言ってるけど、全然頭に入って来ない。俺の頭は、さっき見た光景でいっぱいになっている。
     びしょびしょに濡れたままの髪から、雫が垂れて頬を伝う。服だって、濡れたままの身体で来たから湿っている。このままじゃ、布団もびしょびしょだ。でも、それよりも俺は、この布団の中に隠れていたかった。
     なんで、こんな……。
     ズボンの上から、ぐっと股間を抑える。抵抗すんな、俺のちんこ。早く、大人しくなれよ。つーか、なんで、こんなんなってんだよ……。
     ただ、風呂場でカズオと一緒になっただけなのに。湯船の中で、少し身体が触れただけなのに。
     せっかく温まっていたのに、焦った俺は冷水シャワーを浴びて逃げるように部屋に戻った。
    「あ~っ、くそ!」
     今まで何かを見て、こんなになったことはない。朝、起きた時とか、なんかムズムズして抜く時に自分で触った時くらいだ。青森にいた頃、同級生たちが兄貴や先輩から譲ってもらった本で……って話してんの聞いてるから、何か見て勝手にこうなるっていうのも知ってはいるけど……。そう言う 806

    オルト

    TRAININGタイカケ
    ムッツリスケベのタ
    リズム良く、曲を奏でるよう動いていたカズオの指がピタリと止まった。
    「んっ、んー!」
     変な声を出しながら大きく伸びをすると、どこかからボキボキと音が鳴った。ずっとおんなじ姿勢をしていたから、かなり凝っているのだろう。筋肉が凝り固まるのは絶対に良くない。あんな状態でレッスンしたら、痛めてしまうかもしれない。
    「なぁ、カズオ。もう仕事終わったのか?」
    「うん! さ、レッスン行こう!」
     くるりと椅子ごと回って、ベッドに座っている俺を見るカズオの表情は、どこか疲れている。
    「そんなんで練習したら、怪我すっぞ」
    「え?」
     立ち上がってカズオの手を掴み、引っ張ってベッドに寝転がす。驚いた顔をしていたカズオだったけど、俺が「うつ伏せ」と言ったら素直に従った。
    「な、なに?」
    「マッサージしてやるよ」
     言いながら背中をそっと撫でると、カズオは「へぁ?!」とへんな声を上げた。俺は構わずカズオの背中を擦ってから、上から順に揉んでいく。
    「え、ちょ、なんで? 嬉しいけど……」
    「そんなガチガチの状態で練習したら、筋肉痛める。ちゃんと解してから」
     カズオは納得したのか「おねがいしまーす」と言って大人 1149

    オルト

    TRAINING出張中の成人済み同棲タイカケ
    なんてことない日常会話って、尊いですよね……。
    「ん?」
     スマホの画面が着信を告げる。マナーモードにしているから音楽は流れないが、映し出された画像とテキストが、大好きな彼からの着信であることを告げる。
    「え、うそっ」
     めずらしい。タイガから掛けてくるなんて。もしかして、またお金持ってないのにタクシーに乗っちゃった? でも、今すぐには助けに行ってあげられない。だって……
    「しもしも~? タイガ、どうしたの? こんな時間に。今そっち夜中だよね?」
     今俺は、出張で国外に来ている。時差の関係で今日本は夜中の筈だ。
    「あー。でも、この時間じゃないと、おめぇ電話に出られないと思って」
     眠そうなタイガの声。きっと目をこすりながら、ぼんやりした顔で電話をしているのだろう。容易にタイガの様子が想像できる。
    「そ、それはそうだけど……。何かあったの? こんな時間にわざわざ電話なんて」
    「何かなきゃ、電話しちゃいけねーのかよ?」
    「え?」
     何もないのに、電話してきたってこと? 普段、電話どころか、メッセージも一言二言しか送ってこないのに?
    「最近、声、聴いてなかったし……。文字で『元気か?』って聞いても、おめぇなら絶対元気だって返すだろ、元気じ 1413

    オルト

    TRAINING200日目 1033文字
    無自覚両片想い
    「たーいがきゅんっ!」
    「……なんだ、おめぇもサボリか?」
     昼休みの少し前、校舎裏の人通りの少ない木陰で昼寝をしてたら、テンションの高い声に起こされた。
    「やだなぁ、真面目なおれっちがサボリなんてするわけ無いでしょ」
    「普段は自分の真面目なとこ否定してるくせに」
    「う……そ、それはおれっちのキャラづくりであって……」
     急にたじたじになるカズオは、見ていて面白い。カズオは、真面目な部分について言及されるとこうなる。だから俺は、時々こうしてカズオを揶揄ってしまう。
    「ま、なんでもいいけど静かにしろよ。せんせーにバレんだろ」
     俺は身体を起こして一つ伸びをすると、寝ていた足元のところに座りなおした。
    「おめぇも座れば?」
    「あ、うん」
     空いたスペースをポンポンと叩くと、カズオは鞄を抱えて座った。
    「タイガきゅん、いつもここにいるの?」
    「まぁ、だいたいここ。つーかおめぇなんでこんなところ来たの?」
    「んー? タイガきゅんのことだからサボってると思って探してたんだ。おれっちはさっき会社から学校来たんだけど、もうこんな時間だから午後の授業から出ようと思って」
    「やっぱサボリじゃん」
     俺が 1077

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋の成人タイカケ「うわぁ~! 風つよ~!」
     目を細めて、カケルは楽しそうに言った。砂埃や舞い上がる落ち葉でよく見えないけど、きっと綺麗な顔で笑っている。桜並木の間を並んで歩いていると、楽しそうな声を上げた高校生の集団が俺たちの横を駆け抜けていった。
     ふっと風が止んだのと同時に、カケルは立ち止まって彼らの方へ振り返った。
    「タイガくんも最近まであんな感じだったんだよなぁ」
    「いつの話してんだよ……」
     俺が高校を卒業したのはもう五年も前の話だ。それなのに、カケルはしょっちゅうつい最近のこと見たいに言う。俺が高校生の時のこと、中学生、小学生、幼稚園の頃の話もそうやってする。俺が物心ついてないことのことも。カケルの中で俺は、「あの頃」のまま止まっているのかも知れない。
    「ちっ」
    「あれ? どしたの? タイガくん」
    「べっつに。カケルにとって、俺っていつまでも子供なんだと思って」
    「え? タイガくんはもう大人でしょう? お酒だって飲めるし、免許も取ってるじゃない」
    「そういうことじゃねぇよ」
     先に歩き出した俺に、カケルが続く。いつだって一歩……いや、何歩も先の未来を歩いているカケルと並んで歩くなんて、出 1167

    オルト

    TRAININGタイカケ(多分付き合ってる)「来年の今頃は、おれっちたちも卒業ライブかぁ」
    「は?」
    「いや、は? って何よ~?」
     カズオはクスクス笑って俺を見る。だって、カズオが変な事言うからだろ? 来年卒業ライブ、って……。あ、そうか、そうだよな。変なのは俺の方だった。カズオは俺よりも一学年上なんだ。普段全く意識していないから、忘れそうになる。別に同学年だとか年下だとかは思ってないけど、カズオはいつも俺より一歩先を歩いてるんだ。
    「もしかしてタイガきゅん、おれっちが留年するとでも思ってる? おれっち、確かに出席日数は少ないけど、ちゃんと最低ラインはクリアしてるし、成績だってトップなのよん?」
    「わーってるよ……。おめぇさ、卒業したら、どーすんの?」
    「え? どうするって、進路のこと?」
    「まぁ、その、色々」
     カズオはきゅっと口を閉じて、急に真剣な表情をした。視線を上へ下へときょろきょろ動かし、何か考えているようだ。俺が想像することもできないような、難しい未来を想像しているんだろうか? 仕事でどこか遠くに行くとか、プリズムショーをやめるとか、言わないよな?
     当たり前に今と変わらずにあると思っていた未来が、急に不確かなもの 1284

    オルト

    TRAININGパンそばのタイカケ
    そばくん、とことんニブいといいな。私の中では、派生の中でダントツで鈍いことになっています。
    「うーん、どうしよう」
    「どーした?」
     僕の独り言に、タイガくんが反応する。ホントにただの独り言だったんだけど、こうして反応してくれるとちょっと嬉しくなっちゃう。
    「あのね、バレンタインの時にファンの子たちからプレゼントとかお手紙もらったでしょ? そのお返しに、何かできないかなって」
    「あー……」
     タイガくんは視線を反らして、頭を掻いた。タイガくんは、こういうイベントごとには興味がないから仕方ないかもしれないけど、僕は皆に何かを返したい。
    「ねぇね、今からじゃライブは無理だろうけど、動画配信なんてどうかな?」
    「動画ぁ? どこで撮るんだよ」
    「僕の部屋は?」
    「まぁ、良いけど……ネタすんの?」
     出来ればネタをしたい。芸人だもん。でも、動画配信というコンテンツを考えると少し趣向を変えてみるのも良いかも知れない。「そういう需要」もあるだろうから。
    「僕たちのオフの様子の配信しようよ?」
    「あぁ? だから、そういうのはナシっつてんだろ。オフのおめぇ、見せるなんて……」
    「そうだよねぇ。やっぱり、普段の僕じゃ、いつもの僕と違いすぎてファンのみんなは……」
     がっかりしちゃうかも。ホントは 896

    オルト

    TRAINING22蕎麦屋のタイカケとメリナさん「誰だおめぇ!」
    「こら、タイガくん! そんないい方しないの!」
     カケルが連れてきた男に向かい、タイガはまるで忠犬が威嚇するような態度をとる。
     タイガの荒い声に、厨房からミナトが何事かと顔を出す。
    「タイガ、お客さんになんて態度を取るんだ」
    「だって!」
     タイガはそう言うと、カケルとカケルの連れてきた男の間に割って入った。
    「コイツ、カケルにべったりくっついて来た!」
    「タイガくん、コイツだなんて言わないで」
     カケルはタイガに視線を合わせ、困った顔をして言った。タイガが自分に懐いていることも、自分と親しい人になぜか牙を剥くことも、カケルは知っている。タイガがもっと幼い頃からそうだったから。でも、タイガを大事に思うからこそ、自分の身近な人とも親しくなって欲しかった。
    「タイガくんにも、この人とお友達になって欲しいから連れてきたんだよ」
     そう言われても、初めて会う男は自分よりもずっと大人で、カケルの隣に並ぶとバランスが取れているように見えて、タイガは悔しくて仕方なかった。
     カケルよりは背が低いが自分よりもずっと大きいその男。カケルはやはり、子供の自分よりもこういう男の方がいいの 1313

    オルト

    TRAINING成人タイカケ
    スパダリに成長するタもいいんですけど、いつまでも無意識にカケくんに甘えてるタもいいな。
    カタカタとキーボードを叩く音が耳に届く。うっすら目を開けると部屋間薄暗く、カーテンには外の光がぼんやりと浮かんでいる。おそらくまだ、深夜なのだろう。
     ゆっくりと身体を起こすと、シーツの擦れる音が聞こえたのか、机に向かうカズオがこちらを向いた。
    「あ、ごめん。起こしちゃった?」
    「ん……」
     まだ頭がぼんやりする。俺は頷いてからベッドを抜け、カズオの元へ向かう。カズオはそんな俺を優しい目で見ている。この目が、好きで好きで仕方ない。
    「なー、それ、今夜やんなきゃいけないの?」
    「いや、そういう訳じゃないんだけど、なんか寝付けないからさ」
    「ふぅん」
     カズオはノートパソコンをパタンと閉じると、立ち上がって大きく伸びをした。首を回すとポキポキ音が鳴っている。
    「やっぱベッド変わると寝付き悪いなぁ」
    「ふぅん。そんなに違うか?」
    「違うよ~。おれっちのベッドとも、タイガきゅんのベッドとも、全然違う」
     カズオがベッドの方へ視線を向けた。俺も振り返ってベッドを見る。二人で寝てちょうどいいくらいの広さのベッドは、ここに来たときは綺麗にしわが伸びていたシーツも、俺の寝相のせいでぐちゃぐちゃだ。
    737

    オルト

    TRAINING自覚あり両片想いのタイカケ「ねぇね、タイガ」
    「ん?」
     タイガの部屋。ベッドに腰かけているタイガのすぐ横に、カケルは腰かけた。肩から膝までをぴたりとつけて、タイガの手元にある雑誌を覗き込む。カケルが貸した、オバレ特集の雑誌。ちょうどカヅキのページだった。
     タイガの視線は雑誌に釘付けで、本当に雑誌に穴が開くのではないかとカケルは思った。インタビュー記事を真剣に読んでいるタイガの表情は、インタビュアーの質問やカヅキの受け答えによってコロコロ変わった。タイガの想い描く「カヅキらしい答え」であれば目を輝かせたし、「チャラチャラしている」受け答えには、眉をひそめていた。
    (ほんと、こういう時は真剣なんだよなぁ)
     これが勉強中であれば、ぴたりとくっついたカケルを押しのけて「べたべたすんじゃねぇ!」と声を荒げていただろうと、カケルは容易に想像できた。カヅキに集中しているからこそ、自分が距離をゼロに出来ることが僅かに悔しく感じているものの、恩恵は享受すべきと考えて甘んじて受けていた。だからカケルは、この時間が好きだった。

     ページの最後まで読み終えたタイガは、そっと雑誌を閉じた。少しだけページが浮いている。
    「?」
      1110

    オルト

    TRAININGガリカジのタイカケ
    行ってきますの儀式が習慣化するといいな。
    「やだ! 俺も一緒に行く!」
    「だから~。ダメなんだって」
     ドアの前に立ち、通せんぼのポーズをするタイガくん。フーッと唸って、虎の耳と尻尾の毛を立たせている。
     今日から研修旅行で一週間、人間界に行くことになっている。俺たちの学年だけの行事だから、タイガくんを連れていくわけにはいかない。
    「ね、行かせてよ」
    「俺も一緒に連れてってくれんなら通す」
    「ダメだって。今度改めてタイガくんとは旅行してあげるから」
    「そう言う問題じゃねぇ!」
     なだめようと思った頭を撫でながら言うと、タイガはぐるぐると唸りながら怒った。
    「人間って、危ないんだろ?」
    「え? そんなことないと思うけど……俺たちみたいに魔法も使えないし」
    「でも、カガクっていう変な技使うって聞いた」
    「あー、科学……。魔法の方が強いから大丈夫だよ」
    「それに、昔魔女狩りしてたって……」
     不安そうな顔をしている。そういう部分だけは、ちゃんと授業聞いてるんだ、なんて当たり前のことに感心してしまった。
    「大丈夫。そう言う歴史もあったけど、あれはその……長くなるからまた今度ちゃんと説明するけど、今はもうそんなことないし、向こうで魔法使 1152

    オルト

    TRAINING付き合ってるタイカケ爪をやすりで丸くする。とがっている場所を見逃さず、丁寧に、丁寧に。
     こんなに爪に気を遣っているのは人生で初めてだ。今までたったら、適当に爪切りで切るだけでやすりなんてかけなかったし、なんなら割れようが剥けようが、どうでも良かった。
    「うっし」
     綺麗になった爪。自分の肌の薄い部分を触ってみても、引っかかるような感じはしない。あとはきちんと手を洗って、手に着いた粉を落とす。
     タオルを部屋に忘れたから、服の裾で適当に拭ってカズオの部屋に向かう。
     部屋のドアを開けると、中は薄暗かった。ベッド横の棚にある明かりだけが、優しく光っている。ベッドの上に座ったカズオが、俺を見て優しく笑った。
    「もー、ノックもしないで」
     口ではそう言いつつも、怒る様子の無いカズオ。
     俺もベッドに乗って、カズオと向かい合う。それから、手を伸ばしてカズオの頬に触れる。真っ白でさらさらの肌は、絹みたいだと思う。この肌に触れる為に、俺は爪に気を遣うようになった。
    「カズオ、いい?」
     尋ねると、カズオは黙って頷いた。
     服の隙間から手を入れて、優しくカズオの肌を撫でると、カズオはくすぐったそうに笑った。
    「タイガき 661

    オルト

    TRAINING83日目の時のネコチャンが見ているタイカケ(両片想い)いつも通り、お気に入りの場所でお昼寝をしようと思ってやってきたら、今日は先客が。ここのおうち? に住んでいる、タイガくん。と、カズオくん。木の下で向かい合って並んでる。
    「あ、あー……」
     口をパクパクさせたかと思ったら、きゅっと結んでしまうタイガくん。カズオくんは黙ってタイガくんが喋り出すのを待っているみたい。
     そう言えばタイガくん、この間「カズオに大事な話をするんだ」って教えてくれたわね。
    「お、れ……」
    「うん?」
    「……っ!」
     カズオくんが首を傾げると、タイガくんはまた口を噤んでしまった。あぁ、じれったい。きっとタイガくんは、カズオくんに「好き」って伝えたいのね。わかるわ。だって、いつもタイガくんがお話してくれているんだもの。
    「タイガきゅん、どうしたの? なにか、言いにくいこと?」
    「いや、その、なんつーか……」
    「タイガきゅんらしくないにゃあ」
     カズオくんは優しく笑って言った。確かに、その通り。でも、カズオくんはタイガくんをせかすわけでもなく、ただ黙って待っている。優しいのね。もしかして、タイガくんが何を言おうとしているのかわかってる?
    「俺、カズオが……」
    「おれっ 1130

    オルト

    TRAININGタイカケ
    冬でも油断すると日焼けしますよね……。
    「おめぇ、何顔に塗ってんだ?」
     お出かけ前、鏡の前で念入りに日焼け止めを塗ってると、タイガに声を掛けられた。鏡に映ったタイガは、不思議そうな顔でこっちを見ている。
    「何、って、日焼け止めだけど?」
    「はぁ? それ、夏に使うもんだろ?」
    「冬だって使うのよん」
     そう。冬だって、弱いけれど紫外線がおれっちたちを襲っているんだ。
    「おれっちの白いお肌を守る為には、こうした日々の努力が必要なのよん」
     しっかり塗り込んで、ムラがないかを念入りにチェックする。そんな俺のことを、タイガは鏡を通してずーっと見ている。
    「なんでそんなに日焼けしたくないのかわかんねー。俺は、日焼けしたいのに」
    「えー。タイガきゅんだってせっかく綺麗なお肌なんだから、無理に焼いたりしない方がいいよ」
     実は結構白いタイガきゅん。本人は気にしているけど、俺はタイガきゅんの肌好きだけどな。
     まぁ、焼きたい理由って……
    「ほんな弱そうな真っ白けじゃなくて、カヅキさんみたいになりてぇなぁ」
     ほら、やっぱり。そうだろうと思った! てかあの人は地黒でしょ?
    「そう言えば去年の夏も、日焼けしようと頑張ってたもんにゃぁ」
    「おう 991

    オルト

    TRAINING付き合ってないタイカケ今俺は、試されているのかもしれない。

     出張から帰ってきたカケルが、俺に写真を見せながらああだこうだ語る。道中で見つけた猫の写真とか、どっかの風景とか、食べたものの写真とか。
     カズオが見て来たものを見られるのは嬉しいけど、俺はどっちかって言うと久しぶりに見たカズオの姿を堪能したいので、その小さな画面を早く閉じて欲しい。
     ちらりと視線を送っても、カケルはその小さな画面に夢中で、全然俺の方を見てくれない。
     まぁでも、カズオが楽しそうに話しているのだから、中断するのも気が引ける。俺はカズオの言葉に耳を傾けながら、写真を眺めていた。
     そうしたらだんだんカズオの口数が減って、どうしたのかと思って見たら、すぅすぅ眠ってた。
     疲れてたんだな。
    「ん……」
    「!」
     カズオがこてん、と俺の方に倒れてきた。後ろに倒れないように、俺はそっとカズオの肩に手を伸ばして支える。シャンプーの匂いなのかなんだかわかんねぇけど、カズオからはいい匂いがしてくる。
     チャラチャラした寝間着の隙間から見える肌は、こうしてみるとエロい。風呂場で見る時は何ともないのに……!
     触れたい。きっと、触り心地がよくてあっ 826

    オルト

    TRAINING昔馴染み設定を何とかしたいタイカケある年の夏、僕は青森に来ていた。お仕事で忙しいお父様とお母様の代わりに、「先生」が旅行に連れて来てくれた。一週間の予定だったけど、青森に来て三日目、先生は風邪をひいてしまい、僕は一人でお宿の近くをお散歩していた。ホントは一人で出歩いたらダメだから、こっそり。
     そこで僕は、一人の男の子と出会った。

    「きゃあ!」
    「な! すっげーだろ!」
     そう言って笑うのは、名前も知らない男の子。道に落ちていた大きな石を拾い上げて、楽しそうに笑っている。彼が持ち上げた石の下からは、図鑑でしか見たことのない虫が、わらわらと姿を現した。
    「これ、つつくと丸くなんだぜ!」
     彼はひと際大きいダンゴムシをつついて見せる。こ、こんなのを素手で触るなんて。僕は一歩引いて彼を見る。すると彼は右手にダンゴムシ、左手にミミズを掴んで僕の方に差し出した。
    「ひぃっ!」
    「なんだよ、虫こえーの?」
    「怖いって言うか……ホンモノ初めて見た」
    「え! 嘘だろ!」
     彼は凄く驚いて、両手の虫をぽとりと落とした。虫たちは慌てて逃げていく。
    「なんで? トーキョーには虫もいねぇのか?」
    「い、いないことはないと思うけど……」
     実 1398

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ(高一×22歳)「なぁ、カズオ。いつになったらちゃんと俺と付き合ってくれんの?」
    「タイガ、くん……?」
     タイガくんの部屋で勉強を見ていてあげたら、突然床に押し倒された。俺の手首を押さえつける腕は、しっかりと筋肉がついている。あぁ、もうすっかり大人の身体なんだなぁ。ぷにぷにで可愛かったタイガくんは、もう過去の存在だ。
    「なぁ、もう俺の方が力も強いし、背だってあの頃よりずっと伸びた。もうすぐカケルのことも追い越すし……」
     俺を押さえつける手に力がこもる。
    「タイガくん、痛いよ」
    「あ、ごめん」
     タイガくんは力を緩めてくれるけど、その手を俺から話す気はないみたいだ。
     もうずっと、俺はタイガくんの気持ちから逃げている。いや、逃げているというか、まだ応えてはいけないと思っている。
    「タイガくん、あのね……」
     高校を卒業したら。ずっとそう答えてきているけど、タイガくんはどうにも納得してくれない。
    「なんで、卒業したらなんだよ?」
    「だからそれは……」
    「クラスの連中はもう付き合ってるヤツいるぞ?」
    「それは、同じ高校生同士とかでしょ?」
    「うん……」
     タイガくんは、しゅんと眉を下げる。
    「俺は大人で 1292

    オルト

    TRAININGガリカジのタイカケ「タイガ~。どこ行っちゃったの~?」
     ざっ、ざっ、と茂みをかきわけて、カケルは森の中を進む。
    「はぁ……。やっぱり箒を取りに戻って空から探したほうが早いかな?」
     後ろを振り返り、自分の進んできた道を振り返ったカケルは大きく溜息を吐いた。タイガを探してもう三十分は歩いている。最初の段階で引き返すべきだったと後悔した。
    「それにしても、ホント、タイガきゅんてば野生児なんだなぁ」
     軽い散歩のつもりで、タイガと森に入った。が、森に入って早々、タイガは目に留まった魔獣を追いかけて森の中へと駆け出してしまった。木の影で魔法の煌めきが見えたと思ったら、ちらりと尻尾だけを覗かせて、タイガは森の奥へと消えてしまった。
     どうもここ最近、タイガの野生化が気になって、カケルはタイガの状態を確認するために森に連れ出したのだが、想像以上だった。まさか、様子を観察する間もなく森の中に消えてしまうとは思っていなかった。
    「も~。どうしよう」
     寮長として、寮生の監督は必須。こんな森の中にタイガを一人残しておくわけにはいかない。虎に化けたタイガは生身の人間の状態より幾分丈夫だが、この森には危険な魔獣もいる。
    1172

    オルト

    TRAININGバレンタインのタイカケです。
    両片想いからの。
    そして、遂に毎日SSが半年を超えました!!!わー!
    ここまで続くとは思いませんでした。
    これからも頑張ります!
    「あれ? カズオは?」
     いつも通り食堂に行くと、そこに一人だけ、カズオの姿だけがなかった。
     朝食に手を付け始めていた皆は、ちらりと俺の方を見た。
    「おはよう、タイガくん! カケルさんなら、今朝早く出かけたよ」
    「はぁ?!」
    「なんだか誰かと会うみたいだったけど……」
     シンがウインナーを摘まみながら言った。
     聞いていない! 今日は宿題見て貰ったり、一緒にトレーニングしたりして過ごそうと思っていたのに。しかも今日は……。
    「なんでだよ。カズオの馬鹿」
     小声で呟きながらカズオの席を睨み、俺は自分の席に着いた。

     午後になっても、カズオは帰ってこなかった。俺は落ち着かなくて、地下で滑ったり外で筋トレをしたり、寮の中をうろうろして過ごした。キッチンからは甘ったるいチョコレートの匂いが漂う。レオが何か作っているみたいだ。
    「タイガくん、味見しますか?」
    「……いや、いいよ」
     レオが俺に声を掛けてくれたのは、朝からずっとソワソワしている俺を心配してくれてのことだと思うけど、今はチョコを食べる気にはなれなかった。
     部屋に戻ってベッドに寝転がる。スマホを確認しても、カズオからの連絡はない 2173

    オルト

    TRAININGパンそばのタイカケ
    バレンタイン前夜!付き合いたてのイメージです。
    明日はバレンタイン。事務所には俺たち当てのチョコレート、の代わりのファンレターが沢山届いていた。俺たちはソレを受け取り、一緒に読もうということで、カケルの家に向かった。
    「こんなに沢山お手紙貰えるなんて、嬉しいねぇ」
    「そうだな」
     カケルは心底嬉しそうに、手紙を一つ一つ手に取っていた。勿論、俺も嬉しいけれど、正直俺は他のことで頭がいっぱいだった。
     カケルからチョコをもらえるのか。
     カケルはこういうイベントごとは好きだから、用意してくれているんじゃないかと思う。けど、バレンタインは女から男に贈るモノ。今はそういう訳とは限らないけど、果たしてカケルは同じ考えなのかどうかわからない。俺は、カケルに渡すチョコレートを用意している。週の頭から渡すタイミングを見計らい、ずっと鞄に入れっぱなしだ。
    「ねぇね、お夕飯もうちで食べていく?」
    「ん? あぁ、そうだな」
     そう言えば、腹が減っている。家に帰ってもカップ麺しかないし、せっかくならカケルともっと一緒に居たい。
    「僕ね、昨日カレー作ったんだ」
    「お、いいな」
     カケルはそう言うとキッチンに立って、いそいそと準備を始めた。何か手伝うことないか 1249

    オルト

    TRAININGタイカケinネスト
    with後輩
    またまた世話を焼かれてほしい……。
    盛り上がるフロア。観客の熱気。ステージを照らすライト。
     それもが俺にとって新鮮だった。普段のプリズムショーのステージとは全く雰囲気が違う。
    「すごい……」
     ステージの中央では、タイガがかっこよく技を決めている。そんなタイガと張り合うように、ガタイのいい男たちがステージで技を繰り出す。けど、タイガの煌めきには誰もかなわない。これは仲間としての色眼鏡じゃないと思う。
    「すげぇや、タイガ先輩!」
    「さすがタイガ先輩っす!」
     俺を取り囲むエーデルローズのストリート系の後輩たちが、やんややんやと盛り上げる。
    「俺も、登ってみたい」
     ぽつりと呟いた俺の言葉は、この大盛り上がりの場内でも後輩に届いたようだ。後輩が、ポン、と俺の背中を押す。
    「カケル先輩も、登ってみりゃあいいじゃないっすか」
    「えぇ、でもなぁ……」
     タイガには、ここではあまり目立つなと言われている。何でもここはストリート系の集まりだから、生粋のアカデミー系と誤解されがちな俺は、アカデミー系を嫌う子たちに槍玉にあげられかねないとかなんとか。
    「タイガ先輩は心配してるみたいっすけど、カケル先輩のゴリゴリのストリート系の技見せてや 1244

    オルト

    TRAINING成人タイカケとオバレざわざわとざわつく店内。そこで俺は、素直すぎる恋人(少し酔っている)に困っていた。
    「カズオ、もっとこっち来いよ」
    「い、いやいや、そんなにくっついたら暑いでしょ?」
    「暑くねーよ、別に」
     額にじんわりと汗を掻いたタイガが、ムッとした顔で言った。それから俺の肩に腕を回すと、ぐいっとタイガの方に引き寄せた。ジョッキの中で溶け始めた氷が、音を立てずに動いた。
    「ほら、暑くねーだろ?」
    「う、うん……」
     いや、暑いけど? こんなに身体が密着して……まぁ、それはいつものことだからいいんだけど、問題は「今」それがされているという事。俺は、恥ずかしくてたまらない。
    「ねぇ、タイガ。恥ずかしいから、今はやめてよ……」
    「あ? 何が恥ずかしいんだよ?」
    「だって、ほら……その」
    「好きな奴とくっつくこと、別に恥ずかしいことじゃねーだろ?」
    「いや、その、そうだけど、そうじゃなくて……!」
     俺が恥ずかしいと感じているのは、好きな人とくっついているからじゃない。
    「そうだぞ、カケル。恥ずかしがることじゃないよ」
    「そうそう。僕たちのことは気にしないで」
    「そ、そうだぞ! いいじゃないか! こ、こここ 1424

    オルト

    TRAINING悪魔×神父の両片想いタイカケ「なぁカケル、魂よこす気になったか?」
    「なってないよ。タイガこそ、ホントに俺の魂奪う気あるの?」
     カケルが呆れた顔で言うのは、タイガがベッドに寝転がりパンを齧りながら尋ねたからだ。ぐうたらしているのを「悪魔らしい」と言ったらそれまでだが、流石に人間から魂を奪う態度ではないだろうと思った。
    「あー? あるある」
     口の周りをぺろりと舐めて身体を起こしたタイガは、大きなあくびをして答えた。
    「も~。布団にパンくず零さないでよ」
     カケルははたきを手にしてベッドを叩き、タイガの零した食べカスの掃除を始めた。せっせと掃除をするカケルを、タイガはぼんやり眺めていた。
    「なー、カケル~」
    「なーに?」
    「魂よこせよ~」
    「いや、そんな軽く頼まれて渡すと思う?」
    「だって、どうすりゃいいのかわかんねぇもん。どうしたら魂くれる気になんだよ」
    「何してもなりません~。ていうか、本人に聞いて教えるワケないじゃん」
     初めてタイガがカケルの元に訪れた時、タイガはそれなりにカケルを誘惑しようとしていたが、どれも少しズレていて、カケルの心には全く響かなかった。そのうちタイガは(彼なりに)真面目に誘惑するのを 1610

    オルト

    TRAINING付き合ってないタイカケ。
    寝ぼけているか、寝ぼけたフリかは、ご想像にお任せします。
    何でもない休日の午後。暖房の効いたぽかぽかの部屋。まだほんのりと温かいココア。お気に入りの漫画の新刊。そして……。
    「……んがぁっ」
    「ふふっ」
     俺のベッドで大の字になって眠るタイガ。全てが俺の幸せを作っている。
     つい一時間ほど前、俺の部屋にやって来たタイガは俺が漫画を読んでるのを見ると、邪魔しないように気を遣ったのか黙ってベッドに寝転んだ。そして、その五分後にはいびきをかいていた。他人のベッドで即眠れるタイガって、本当に凄い。
    「俺のこと信用してくれてるってことかなぁ?」
     漫画を閉じて、俺はベッドの端に腰かけた。少しだけベッドが沈み、その振動でタイガ前髪が揺れた。きちんとお手入れしているわけでもないのに、意外とさらさらストレートなタイガの髪を、羨ましく思うこともある。
    「ほーんと、なんでこんなに綺麗なのかにゃあ?」
     肌だって、俺やレオきゅんが無理矢理化粧水や乳液をつけているけど、逃げられる日が殆どで、それなのに全然カサカサしていない。
    「うーん、やわらかほっぺ」
     起こさないようにそっとタイガのほっぺをつついてみる。むに、と俺の指が食い込む。
    「はぁ~。ぷにぷに。吸い付きたく 1090

    オルト

    TRAININGリュカケ前提のタイカケ(タの片想いに近い)と言い張る「タイガきゅんて、眼鏡もスーツも似合わないね」
     セプテントリオンの面々はスーツに身を包み、髪を整え、眼鏡をかけて撮影に臨んでいた。来月発売の新社会人を応援する企画コーナーで、新社会人に扮した彼らのグラビアと、それに沿ったショートストーリーが掲載されることになっている。
     カケルは慣れた格好であるが、他の面々はめったに着る機会のないスーツに、着られているような状態だった。中でもタイガはそれが顕著だった。
    「なんかすげぇ動きにくいし、首の所苦しい。おめぇ、よくいつもこんなの着てられるな」
    「まぁ、おれっちにとっては慣れた格好だからね。タイガきゅんにとってのジャージとそう変わらないよ」
    「そうかぁ?」
     タイガは頭を掻きながら答えた。さらさらに梳かされたが指の間をすり抜けるのを、カケルはじっと見つめた。殆どのメンバーが前髪を上げて額を出しているが、タイガだけは前髪を下ろしたままだった。カケルはそれに安堵していた。
    (よかった。前髪まで上げてたら、あの人そっくりだった……)
    「髪、俺も上げてもらおうかな」
    「え?」
     タイガの言葉に、カケルの心臓が跳ねた。自分の心を見透かされたような気がして 837

    オルト

    TRAININGタイカケ前提のリュカケです……。ごめんなさい、発作が起きたもので……。「カケル」
    「あ、リュウガくん! 来てくれたんだ!」
     ふわふわのツインテールを揺らして、カケルが俺の元に駆けて来た。短いフリフリのスカートから覗く脚は、その辺の女のものよりよっぽどそそられる。滑らかそうな真っ白い肌、程よくついた筋肉、触って舐めて、痕を付けたい。
    「どう? 結構イケてるでしょ?」
     カケルがくるりと身体を回すと、それに合わせてスカートとツインテールが揺れた。これ、油断してたら強風でスカート捲れそうだな。下、何履いてんだろ?
    「リュウガくん、脚、見すぎ!」
     じっとカケルの脚を見ていたら、カケルは両手でスカートを抑えて隠すように脚を閉じてしまった。あぁ、せっかくの生足が……。
    「だって可愛いし、脚出してるからそりゃ見るでしょ?」
    「もう……」
    「IIZEもいっぱい押したんだぜ~?」
    「ホント!? 嬉しい!」
     心底嬉しそうに笑うカケルは、いつも以上に可愛い。あぁ、今すぐ抱きしめてめちゃくちゃに可愛がりたい。けどここはカケルの学校。変なことは絶対に出来ない。ギリギリの所までで我慢しよう。
    「ね、写真撮らせてよ」
    「いいよん! 特別だからね?」
     カケルは俺の手を引いて、会 1617

    オルト

    TRAINING付き合ってるタイカケ「ねぇ、映画見に行かない?」
    「……なんの?」
    「こーれ!」
     カケルは映画の前売り券を出しながら言った。愛らしい少女と威勢の良さそうな少年の印刷された紙を、タイガは横目で見た。聞いたことのないタイトルが印字されている。
    「何それ? 俺、それ知らねーんだけど?」
    「これ、あの有名監督の新作映画でね、原作のない完全オリジナルなんだよ。だから、おれっちも詳しくはどういう話かは知らないんだ~」
    「なんで俺と? そういうの、ヒロさんとかユウと行った方がいいんじゃねぇの?」
    「タイガきゅんと行きたいんだよ~」
     カケルがタイガに寄り添って甘えるように言うと、タイガはそっとカケルの肩に手を回した。正直、タイガは全くと言っていいほどその映画に興味が沸かなかった。カケルと映画に行きたい気持ちはあるが、興味の沸かない映画では絶対に途中で寝てしまう。そんなことなら、このチケットは他の誰かに譲った方がいいのではないか、と思った。恋人が誰かと二人で映画に行くのは面白いものではないが、それとこれとは別である。
    「カズオと映画行くんなら、一緒に見て後で盛り上がれるようなのがいい。感想言い合ったりしたい。寝ちまった 1995

    オルト

    TRAININGタイカケ
    ホントはわかってて、でも恥ずかしいからとぼけてる可能性もあるかも。
    いつものように俺は、カズオに宿題の面倒を見てもらっている。最後の問題も、あと少しで解き終わる。これが終わったら、カズオは自分の部屋に帰っちまう。
    「カズオ、あ、あのさ……」
    「ん? なぁに?」
     部屋に二人きりの、今がチャンスだ。
    「お、俺、おめぇに言わなきゃいけねぇことがあって……」
     俺は問題を解いていた手を止めて、カズオの方を向いた。
    「あ、の……」
    「なに? 早く言いなよ?」
     カズオも、取り組んでいた自分の宿題を解く手を止めた。綺麗な瞳が、俺を捕える。世界を見ているようなコイツの目が、今、俺だけを見ている。それが嬉しくて、同時に胸が苦しくて、俺は言おうと思っていた言葉を飲み込んだ。
    「どしたの? ……ま、まさか、追試に落ちて留年確定とか!?」
    「ち、ちっげーよ!」
     真っ青な顔をするカズオ。流石にそれはない。何とかギリギリ、追試はクリアしたんだ。
    「じゃあ、なに? タイガきゅんがおれっちに隠し事してるとは思えないし……」
    「……隠してたことなら、ある」
    「え、まじ!?」
     カズオは心底驚いたような顔をして俺を見る。そんなに俺は、カズオに隠し事してないように見えるのか? まぁ、 1319

    オルト

    TRAINING成人タイカケ。自覚あり両片想い。『今からいいものを届けに行くぞ』
     ミナトッチからそう連絡が来たのは、十分ほど前。ちょうどシャワーを浴びて出て来たところだった。何を? と聞いても返事は無かった。既読のマークすらつかない。
    「なんだろ?」
     髪の毛を乾かしながら、「いいもの」に想像を巡らせる。ミナトッチ特製の玉子焼き? それともモツ煮?
     ちょうどデリバリーでも頼もうかと思ってたところだから、少し待ってみよう。乾いた髪を梳かしてバスルームを後にする。冷蔵庫の中身を確認していると、チャイムが鳴った。モニターに映るミナトッチ、それに、
    「あれ?」
     もう一人いる。俯いていて顔は見えないけど、きっとこれは……。
    「ミナトッチ!」
     ドアを開けると、ほんのり顔の赤いミナトッチと、そんなミナトッチに支えられているタイガが。
    「やっぱり……。どういうこと? ミナトッチ」
    「だからさっき、いいもの持っていくって言ったろ?」
    「タイガのこと?」
    「そ。今日仕事が一緒で、さっきまで夕飯食べて飲んでたんだけど、珍しく香賀美が潰れちゃってね。カズオの家が近かったから、置いて帰ろうと思って」
     ミナトッチ、意外と雑だな、なんて思いながらタイガ 1412

    オルト

    TRAINING無自覚両片想いのタイカケと、ストリート系の後輩たち。
    モブ後輩がめっちゃ喋る。
    「タイガきゅん、かぁっこいい~!」
    「っ……!」
     黄色い声が飛んできて、タイガが思いきり転んだ。
     いつものように高架下で自主練をしていたタイガと、エーデルローズのストリート系の後輩たちが顔を上げた。フェンスの向こうから、スーツ姿のカケルが手を振っている。
    「おめぇなぁ……」
     タイガはゆっくり身体を起こしながら、カケルの方を睨む。カケルは軽い足取りでネクタイを緩めながらタイガの方へ近づいた。後輩たちは口々にカケルに挨拶をする。彼らにとってカケルは「レアキャラ」で、皆どこか緊張した様子だった。
    「いいジャンプ飛んでたじゃん! ダンスのキレも良かったし!」
    「ま、まぁな……」
     たった今カケルを睨みつけていたカケルの目はキラキラと輝き、下がっていた口角がくっと上がった。
    「ねぇね、おれっちもちょっと踊っていい?」
    「その恰好でか?」
     鞄を置いてジャケットを脱いだカケルを見て、タイガは目を丸くした。とてもプリズムショーを出来る恰好ではない。カケルはシャツの袖をまくり、左腕をタイガに見せた。
    「この中に、ちゃぁんと動きやすい服、はいってるよん!」
     プリズムウォッチが光りカケルの身を包む 1675

    オルト

    TRAINING22世紀蕎麦屋のタイカケ(6歳差)
    22世紀のタ、何百回でもプロポーズして欲しい。
    「カケル! なぁなぁなぁ!」
    「なぁに~?」
    「なぁ、こっち来て! 俺の部屋! 遊ぼ!」
    「食べ終わってからね~」
     カケルはへらへらして蕎麦を啜った。カケルがおれんちの蕎麦好きなのは嬉しいけど、自分が蕎麦に負けたみたいでなんか悔しい。
     俺はカケルの向かい側に座って、カケルを観察する。もうすぐ閉店の時間で、店の中にはカケルとカウンターに座るオッサン、片付けや明日の仕込みをしている父ちゃんだけ。あぁ、いっそ俺とカケルの二人きりだったらいいのに。
    「ん~おいし」
     カケルはいつも蕎麦と一緒に玉子焼きを注文する。凄く好きらしい。
    「そうかよ。おめぇ、ホント好きだよな」
    「うんっ! だ~いすき!」
     笑顔でそう言うカケルはめちゃくちゃ綺麗で可愛い。この笑顔をずっと傍で見ていたくて、俺がこの笑顔を守りたくて、前からカケルに「俺と結婚してくれ!」って言ってるのに、「まだ結婚出来る年齢じゃないよ」「大人になったらね」と笑って言われて誤魔化されている。確かに、まだ結婚出来る年齢じゃないってのはもうわかる。だけど、せめてコンヤクするとか、コイビトになるんなら、大人じゃなくても出来るだろ? カケルの持っ 819

    オルト

    TRAININGタイカケ。タ自覚あり、カケ自覚なしの両片想い。
    花の種類と色は、お好きに想像してください。
    タが、カケくんに伝えたい気持ちです。
    「これ、やる」
    「え?」
     そう言ってタイガが俺に突き出したのは、可愛らしい一輪の花。その辺で摘んできた感じのものではない。きちんとフィルムに包まれ、リボンの飾りまで施されている。
    「これ、どうしたの?」
    「べつに。なんか綺麗だと思ったから、おめぇにやろうと思って」
    「あ、ありがと……」
     俺はその花を受け取って、じっと見つめる。XXX色のXXXX。人から花をもらう事って結構あるんだけど(カケルとしてもカズオとしても)、タイガから貰ったこの花は、特別嬉しい。
    「お花屋さんで?」
    「そう。店員のねーさんに頼んで、リボンつけてもらった」
    「そっかぁ」
     淡い緑のリボン。これはもしかして、タイガの雰囲気を見て店員のお姉さんが選んでくれたのだろうか?
    「えへへ。ありがとね、タイガきゅん」
    「おう」
    「ずっと枯れずにいてくれたらいいなぁ」
     生きた植物だから仕方ないけど、いずれ枯れちゃうんだよなぁ。きっとその時、俺は凄く悲しい気持ちになるだろう。どうにかこのまま保存できたらいいのに。手放したくない。どうかずっと、俺の傍で綺麗に咲いていて欲しい。
    「枯れないよ」
    「え? でもこれ、造花じゃないよね 802

    オルト

    TRAININGタイカケとヒ様。無自覚でタ→カケ気味。最近、カズオを「可愛い」と思う瞬間がある。それはほんの一瞬なんだけど、その一瞬が日に日に増えている。冷静になればアイツは「可愛い」分類じゃない。こんなこと言うのもなんか悔しいけど、アイツはどっちかと言うと「カッコいい」の部類だろう。それこそ、「王子様」というか……そう、ヒロさんや聖さんと同系統だと思う。「可愛い」ていうのはほら、レオみたいなのだと思う。アイツとレオじゃ全然違うのに、なんでこんなこと思うんだろう。
    「はぁ……なんでカズオなんかを……」
     可愛いと思うんだろう? 自分の感覚が変になっていくんじゃないかと思うと、溜息が出る。こうした感覚の変化はプリズムショーに影響を与えそうな気がして、なんか嫌だ。一人リンクで練習してるけど、全然気持ちがパッとしない。このままじゃ……。
    「どうしたの、タイガ? 溜息なんかついて」
    「っ……! ひ、ヒロさん」
    「ハロー! 今日はタイガ一人?」
    「あ、はい……」
     突然現れたヒロさんに、心臓が飛び出しそうになった。独り言、聞かれてねぇよな?
    「で、カケルがどうかしたの?」
     聞かれてた……。
    「いや、別に、何でも……」
    「なんでもなくないって顔して 1339

    オルト

    TRAININGタとシンちゅわとモブしか出てこないけど、タイカケです。華京祭が終わってすぐのこと。クラスはミス華京院の話題で持ち切りだった。みんな誰が可愛かったとか、来年は自分も出てみようか、なんて話している。
    「なぁ、お前も意外と可愛かったぞ!」
    「…………」
     クラスメイトに声を掛けられたタイガくんは、両耳を塞いで机に突っ伏している。僕もクラスメイトに褒めてもらえたり色々聞かれてちょっと照れ臭かったけど……。
    「いや~優勝した西園寺、可愛かったな。俺、ファンクラブはいろうかなぁ?」
    「俺は太刀花先輩だなぁ~。美人のお姉さま、って感じですげぇイイ」
     みんなそれぞれに感想を述べている。みんなで頑張ったから、こうして褒めてもらえるのは嬉しいな……。
    「俺はやっぱり十王院先輩だなぁ~。あの衣装も髪形もクオリティ高かったし!」
     カケルさんの名前が出たその時、タイガくんの肩が揺れた。タイガくんはゆっくり身体を起こしてカケルさんを褒めたクラスメイトを睨んだ。睨まれた本人はそのことに気付いていないみたいだけど。
    「あれってアニメかなんかのコスプレだろ? おめぇそういう趣味なの?」
    「いいだろ、別に。ていうかソレ関係なくイイと思ったんだよ。校内でたまに見るけど、め 1002

    オルト

    TRAINING成人タイカケ。
    おじさん組と無自覚両片想い。
    「それでさぁ~、タイガきゅんがさぁ」
     顔を真っ赤にしたカケルが、日本酒をちびちび飲みながら声を上げる。
    「うんうん、それで?」
    「こんどね、おれっちの出張の前に、どこか遊びに行こ~って、いってくれたのぉ!」
     締まりのない顔で言うカケルに、ミナトが「良かったなぁ」と声を掛けると、カケルは「いいでしょ~」と言って笑った。その隙に、ユキノジョウはカケルの手元から徳利を遠ざけ、自分の手元のものと入れ替えた。
    「だからねぇ、おれっちもう楽しみで楽しみで……」
     カケルはそのまま徳利からおちょこに中身を注ぎ、またちびちび飲み始めた。カケルは気付いていない。徳利が入れ替わったことも、その中身が水であることも。今日はいつもに比べて格段に飲むペースが速く、先程からユキノジョウもミナトもカケルの様子に気を配っている。だいぶ酔っているようで、タイガに遊びに行こうと誘われた話を何度もしている。話を聞かされている二人は、その度に初めて聞いたように反応していた。
    「これ、デートって思ってももいいのかにゃぁ?」
    「あぁ、デートだろう」
    「そうそう、香賀美は照れ屋だから、そう言わないだろうけどね」
    「えへへえぇ。 1563

    オルト

    TRAINING付き合ってるタイカケ。初夜まで道のり通そう。タイガきゅんとお付き合いを始めて早三か月。そろそろ、キス以上のことがあってもいいんじゃないかと思っているんだけど、全然そんな気配はない。俺が一生懸命それらしい雰囲気を作っても、タイガきゅんには全然効いていない。ベッドに座って寄りかかったら、「眠いのか?」なんて聞かれるし、じっと上目遣いで見つめたら「何ガン飛ばしてんだよ。怖くねーけど」とか言われるし、二人きりの部屋で服を脱ごうをしても「暑いのか?」だって! 意気地がないのか、純情すぎるのか……。そりゃ、俺だってキスだけでもすっごくドキドキしちゃうけど……!
     いったいどうしたらタイガきゅんはその気になってくれるだろう? いっそ、正直に先に進みたいと言うべきか? いや、そもそもタイガきゅんはこの先を知ってるの? 俺だって最近調べて知ったのに?
    「うーん……どうしたもんかにゃ~」
     ネットの海で自分と同じ状況の人を探しても、ぴたりと一致する人はいない。それでも、恋人に仕掛ける方法はいくつか見つけられた。
    「何事もものは試しだよね」
     俺は「準備」をすべく、引き出しに仕舞っていたいたローションとゴムを手にトイレへと向かった。

    「ねぇね、タイ 1207

    オルト

    TRAINING154日目 1352文字
    付き合ってないタイカケのデート
    今日は天気もいいし、比較的暖かい。気持ちがいいな、と思い窓を開けて外を見るとちょうどタイガきゅんが玄関から出て来た。
    「あ、タイガきゅーん! どこ行くの~?」
     呼び止めるように声を掛けると、タイガきゅんはピタリと足を止めた。くるりと振り返ったタイガきゅんは、どこか嬉しそう。何かいいことでもあったのかな?
    「天気いいし、散歩。おめぇも行くか?」
    「え! いいの!?」
    「ダメなら聞かねぇよ。どーすんの?」
    「行く!」
     まさかタイガきゅんから誘ってくれるなんて、思わなかった。スマホとお財布だけを手にし、部屋を飛び出した。外に出ると、タイガきゅんは穏やかな笑顔で立っていた。あんな顔するんだ。
    「よし、行くぞ」
    「うん!」
     俺たちは並んで、温かな陽気の中歩き出した。

     公園に着くと、子供たちをはじめ、老夫婦や若い恋人までいろんな人でにぎわっていた。移動販売の車では、スイーツや軽食を販売していて、俺たちも軽食を手にベンチに腰かけた。
    「ん、おいしい!」
    「こっちも美味い」
     俺はソフトクリーム、タイガはフランクフルトを買った。甘いものを食べてると、しょっぱいものも食べたくなるんだよね。俺も 1422

    オルト

    TRAININGパンそばのタイカケ。
    そばくんに対して過保護なパンくんが見たいです。
    「ねぇね、タイガくん」
    「あ?」
    「これからコウジさんたちと飲みに行くんだけど、タイガくんも来る?」
    「あぁっ?!」
     飲んでいたジュースを噴き出しそうになった。なんで、カケルが、あの探偵と?
    「ふ、二人で、飲みに行くのか?」
     まさか、俺が油断している間にあの探偵がカケルを? 俺らのファンとか言ってたけど、まさか、まさか……。
    「ううん、助手のユウくんやコウジさんのお友達も一緒みたい。タイガくんもどうかなって思ったんだけど……。もしタイガくんにその気がないなら僕一人で」
    「俺も行く!」
     カケルの言葉に被せるように、俺は大きな声を上げた。自分の好きなヤツが、いくら二人きりじゃないとはいえ、俺のいないところで他の男と飲むなんて耐えられない。それに、カケルは酒に弱いんだ。酔ってふにゃふにゃになってるカケルはめちゃくちゃ可愛いし、何かされちまうかも知れない。俺は酒を飲んでも、絶対に少しだけにしておくぞ。ちゃんとして、カケルのことを守るんだ……!
    「えへへ。タイガくんがいるなら安心だなぁ。僕、お酒弱いし、コウジさんのお友達は……僕らも会ったことあるみたいだけど、緊張しちゃうだろうから」
     安 1434