ありえない場所で千早を見つけた。天と地がひっくり返っても千早には似つかわしくない場所で、千早を見つけてしまった。
千早はやけに思い詰めた顔で繁華街を歩いていた。だけどアイツは自分みたいに馬鹿じゃない。自分自身を安売りするようなことや、いたずらに痛めつけるようなことは絶対にしない。例えやけっぱちになって投身する一歩手前までいったとしても、その直前でちゃんと踏みとどまれるような賢い奴なのだ。だから、思い詰めた末にこんなところへ来るような奴ではない。
できることなら人違いであってほしかった。千早に似た誰かであってほしかった。最後の最後までどうか人違いであってくれと願いながら、藤堂は千早によく似た背中を追いかけた。
20141