Recent Search

    808koshiya

    @808koshiya

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 111

    808koshiya

    PROGRESS結①続き
    これはユエの知るところではないが、ハルニードとハンスは不死族を倒す——封じる具体的な方法について議論していた。
    「要は『同じ重さの心臓を食わせる』ことができれば良いってことでしょ」
    「理屈としては」
    「じゃあつまり、僕の心臓を食わせれば良いってことだ」
    もっともこれは議論というには対称性に欠けている。ハンスはただでさえ不機嫌に見える眉間にぎゅっと力を込めた。
    心臓は魔力の中枢であり全身に巡る、第四階層以上の者であれば体外へ放出する魔力の源泉であるが、当然ながら生物としての生命を動かすものでもある。
    「ローザリエ様はそれをさせたくなくてああ仰ったのだと思いますよ」
    「そうかもね、でもさ」
    少しばかりぎこちなく義手の肘を曲げ、ハルニードはそっと自分の胸に手を当てた。彼の固有魔呪は魔力の物質化により精製した手脚に魔力による擬似神経を通し自在に操作するという二段階を踏むものと説明できる。義手や義足は「自前のものに比べると反応が悪い」とのことだが、ここしばらくでずいぶん習熟したように見えた。ハルニードの魔力に酔ってしまうというあの客人の男のために使う機会が増えたというだけではあるが。
    1002