全ては夏の暑さのせい「アンデルセン、それでね……この浴衣どうかな?」
「なんだ、俺に意見など求めずに、もっと色良い意見を出しそうな優男達のところにでも行けば良いだろう? 裾がめくれているぞ、似合う似合わない以前に身嗜みの問題だ。出直してこい」
「えっ!」
シミュレーター室の草原に座っている彼女が、慌てて浴衣の裾を直す。俺だからこれで済むものの、他のやつならどうなっていたか。カルデアのサーヴァント達はどいつもこいつも、野外なんて気にしないようなケダモノばかりだと知らないのか。……いや、ここはシミュレーター室なのだから実質屋内だが。
この浴衣という衣服はマスターの故郷では夏祭りの日に着る服であるらしい。着物によく似ている。動きにくそうで戦闘にはとても向かない。着ている本人は現実の夏祭りにも行けない多忙な生活。
3212