トリック一択、チョコレートサイダー「トリックオアトリート!」
「……何だ、またイベントか。周回なら他を当たれ」
「そんなこと言って、実はお菓子持ってないんでしょ。お菓子をくれないならイタズラだよ!」
「…………」
無言の圧力と大きなため息。彼の大きすぎる白衣のポケットから、カラフルなオレンジとピンクの縞模様が顔をのぞかせる。……これは食堂に置いてあったキャンディ。
何だかんだとイベントや流行をしっかりおさえる彼のことだから用意しているのではないかと思っていた。だけどひょっとしたら用意がないかもしれないと少し期待していたのに、少しがっかりする。
「なんだ、やっぱり持ってるんだ。……つまんないの」
「何を今更、風変わりなお前のやりそうなことぐらい予想を立ててある」
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