スナップ 微睡みの中で、閉じた視界が前後に揺れた。彷徨っていた意識が引き戻され、身体の感覚が現実へと戻り始める。視界が白く眩しいのは、日が高くまで昇っているからだろう。頬に触れるさらさらとした感触は、あまりよく分からなかった。
僕はゆっくりと目を開けた。ふわついた意識の中で、目の前に陣取る男の子に視界を向ける。彼は赤い髪を後ろに垂らしながら、お腹の上に座って僕の顔を見下ろしている。僕は朝が弱いから、この光景もお約束になっていた。
いつものようにルチアーノの姿を見て、小さな違和感に気がついた。閉じかけた瞳を大きく開けて、寝ぼけた頭で思考を巡らせる。顔を真っ直ぐに捉えて、ようやく違和感の正体が分かった。
「おはよう。どうしたの、その格好」
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