愛情ドリンクを飲まないと出られない部屋 真っ白な部屋の中に、二つの人影が横たわっている。片方は年端のいかない少年で、長い赤毛を後ろでひとつにまとめていた。もう片方は、赤いジャケットに身を包んだ青年である。赤い帽子が転がり落ちて、前髪の長い黒髪を乱していた。
不意に、赤毛の少年、ルチアーノが身じろぎをした。ぱちりと目を開けると、俊敏な動作で立ち上がる。何度か部屋の中を見渡すと、隣に眠る青年に視線を向けた。
「またここかよ」
不快そうに呟いてから、青年の隣に腰を下ろす。うつ伏せに寝転がっているその身体を、思いっきり前後に揺すった。
「おい、起きろよ」
青年が小さく呻き声を漏らす。何度か身じろぎをしたが、目を覚ましはしなかった。不満そうに溜め息を付いてから、ルチアーノはもう一度手を伸ばす。寝返りを打たせて正面を向けると、頬を思いっきり叩いた。
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