振り向かれる事が多く、袖を振られた事もない。
あるとすれば、私が相手を袖にした事位だった。
人間は単純だから、顔の造形が良ければ中身等気にせずに目を向けてくる。
だから私はそれなりの対応をして、私は適当にあしらっていた。
何もせずとも向こうから来ていたから、誰かに振り向いて貰う手段が分からない。
「文を出す?毎日会ってるのに?メール?メッセージ?いや、電話か?」
まずは髙羽と今よりも多く対話する事を考えたが、ほぼ毎日会っているのに今更何をすればいいのか分からない。
千年間、私に気持ちを伝えてきた人間は何をしていただろうか。
思い出そうにも、あまりにも興味が無さすぎて最早記憶にすら残っていない。
「駄目だ、何れも役に立たない」
1929