あき。
レトロ
MEMOゲーム時代のテスト画像です。一条義明(イチジョウ ヨシアキ。アケミの兄で魔術マニア)と硝子之の立ち絵ですね。正直なんで決闘(??)みたいな謎状況になってるのがストーリーを考えた自分でもよくわかりません。ほんと、何故‥?義明のプロフも軽く書きます。21才 大学生 魚座 A型 美形だけどヘタレ。※こちら他のイラストレーター様の作品です。私の絵ではありません。
(@retoro621)
佳芙司(kafukafuji)
CAN’T MAKE【エリオ腐R】一進一退のお付き合い始めたばかりのオスアキ。書き続けるの飽きたので区切りのいいところでおしまい。恋人はじめ(オスアキ)あれ? と思った時には遅かった。
たった今自分は何を言ったんだったか。思い返してアキラは瞬く間に顔を真っ赤に染め上げた。ぱくぱくと口を開いては閉じ、言葉にならない声が口から零れ落ちる。
「あー、や……そのっ、お、俺は……っ!」
言い訳しようとアキラは必死になって言葉を探ったが何も見つからない。熱が頬に集中してまともに頭が回らない。どうしようもなくなって両手で顔を覆うしか出来なかった。
「うううう……」
ヘナヘナとその場に蹲って回想する。どうしてあんな事を言ったんだ、うっかりにも程がある、馬鹿か俺は。頭の中で自分に文句を言う。しかし後悔してももう遅い。言ってしまった事は取り消せないのだ。
「アキラ」
思ったよりも近くから聞こえてきた声に驚いて勢いよく顔を上げると、更に思っていた以上に近くにオスカーの顔があった。じっと目を覗き込むように見られ、思わず後ろに身が引けた拍子にバランスを崩して尻餅をついた。その瞬間オスカーに肩を掴まれたアキラはなんとか背中から倒れずに済んたが、オスカーの顔を見上げる格好になって息を呑む。
6988たった今自分は何を言ったんだったか。思い返してアキラは瞬く間に顔を真っ赤に染め上げた。ぱくぱくと口を開いては閉じ、言葉にならない声が口から零れ落ちる。
「あー、や……そのっ、お、俺は……っ!」
言い訳しようとアキラは必死になって言葉を探ったが何も見つからない。熱が頬に集中してまともに頭が回らない。どうしようもなくなって両手で顔を覆うしか出来なかった。
「うううう……」
ヘナヘナとその場に蹲って回想する。どうしてあんな事を言ったんだ、うっかりにも程がある、馬鹿か俺は。頭の中で自分に文句を言う。しかし後悔してももう遅い。言ってしまった事は取り消せないのだ。
「アキラ」
思ったよりも近くから聞こえてきた声に驚いて勢いよく顔を上げると、更に思っていた以上に近くにオスカーの顔があった。じっと目を覗き込むように見られ、思わず後ろに身が引けた拍子にバランスを崩して尻餅をついた。その瞬間オスカーに肩を掴まれたアキラはなんとか背中から倒れずに済んたが、オスカーの顔を見上げる格好になって息を呑む。
きもいさん
DONE付き合ってるブラアキ。展示用です!、お好きなように。 好きなようにしろ。そう提案してみると、つり目がちな緑色の瞳が真ん丸になった。
鳩が豆鉄砲を食らった顔とは、こういう顔の事を言うのだろう。つい吹き出しそうになるのを堪え、平静を装う。
窓から斜めに射し込む光はオレンジ色に近くなっている。昼まで会議が入っていると今日の予定を告げていたが、帰ってきてからさほど時間は経っていないのにも関わらず、すでに部屋の中も薄暗くなってきていた。
サウスセクターの共用部のソファには、ブラッドとアキラの二人だけだった。ウィルとオスカーは植物で造形した動物たちで作った動物園、というコンセプトの展示があるとかで、開催記念に併設されたコラボカフェの抽選にも当たったのだと、二人で揃って出掛ける旨は聞いていた。
4792鳩が豆鉄砲を食らった顔とは、こういう顔の事を言うのだろう。つい吹き出しそうになるのを堪え、平静を装う。
窓から斜めに射し込む光はオレンジ色に近くなっている。昼まで会議が入っていると今日の予定を告げていたが、帰ってきてからさほど時間は経っていないのにも関わらず、すでに部屋の中も薄暗くなってきていた。
サウスセクターの共用部のソファには、ブラッドとアキラの二人だけだった。ウィルとオスカーは植物で造形した動物たちで作った動物園、というコンセプトの展示があるとかで、開催記念に併設されたコラボカフェの抽選にも当たったのだと、二人で揃って出掛ける旨は聞いていた。
2152n
DONEブラアキ。キ誕ボイスのアレ。ブとアの誕生日限定ボイスネタあり。その変化は聞いていない「キース、誕生日おめでとう。酒以外のプレゼントは悩んだが……受け取れ」
そう言って渡されたのは、片手で持てるほどの箱だった。キースは意外な表情を見せながらもそれを受け取る。
ブラッドからの誕生日プレゼントと言えば、四年前から酒が定番となっていた。それより前はディノと共に用意していたので、彼個人のプレゼントとしては四年前のウイスキーが初めてだったか。苦い思い出だ。これ以上振り返る必要のない記憶だと、キースはかぶりを振って思考を切り替えた。
任務が終わり「煙草を吸ったら戻る」とジュニアに連絡して立ち寄った喫煙所。朝からやけにそわつく子供の意図を察し、わざわざ時間を潰してやっているのだ。大方ディノが主導だろうから、今頃はさぞ盛大な準備が行われているのだろう。
3550そう言って渡されたのは、片手で持てるほどの箱だった。キースは意外な表情を見せながらもそれを受け取る。
ブラッドからの誕生日プレゼントと言えば、四年前から酒が定番となっていた。それより前はディノと共に用意していたので、彼個人のプレゼントとしては四年前のウイスキーが初めてだったか。苦い思い出だ。これ以上振り返る必要のない記憶だと、キースはかぶりを振って思考を切り替えた。
任務が終わり「煙草を吸ったら戻る」とジュニアに連絡して立ち寄った喫煙所。朝からやけにそわつく子供の意図を察し、わざわざ時間を潰してやっているのだ。大方ディノが主導だろうから、今頃はさぞ盛大な準備が行われているのだろう。
2152n
DONEブラアキ。伊にいるブの祖父母に会いに来た話。捏造祖父母います。ブーストお礼でした。
プライドと偏見 ニューミリオンよりも眩しい日差しは、肌をチリチリと焦がす。
夏のイタリアは想像よりも暑い。アキラはサングラスのテンプルをずらして汗を拭うと、隣のブラッドを見た。レンタカーを借りてから二時間。聞いた話では、そろそろ見えてくるはずだ。
「アキラ、あの街だ」
徐々に眠気が訪れて舟を漕いでいると、しばらくしてブラッドが顎をしゃくった。正面を見れば、自然に溶け込んだ中性的な建物が見えてくる。しかし、空の青と海に溶け込んだ美しい景色に感嘆する余裕は無い。緊張の面持ちを見せるアキラに、ブラッドは苦笑した。
「そんなに固くなる必要はない」
「……ンなこと言われても」
「大丈夫だ」
ブラッドはそれだけしか言わなかった。いつもなら、もっと不要な講釈を垂れるくせに。彼も少し緊張しているのだろう。アキラは数週間前の通信――ビデオ通話を思い出す。ブラッドの言葉に激怒し、一方的に通信を切られた真っ暗な画面。今まで直接否定的な意見を浴びてこなかったからか、相手の言葉が棘のように残る。
3850夏のイタリアは想像よりも暑い。アキラはサングラスのテンプルをずらして汗を拭うと、隣のブラッドを見た。レンタカーを借りてから二時間。聞いた話では、そろそろ見えてくるはずだ。
「アキラ、あの街だ」
徐々に眠気が訪れて舟を漕いでいると、しばらくしてブラッドが顎をしゃくった。正面を見れば、自然に溶け込んだ中性的な建物が見えてくる。しかし、空の青と海に溶け込んだ美しい景色に感嘆する余裕は無い。緊張の面持ちを見せるアキラに、ブラッドは苦笑した。
「そんなに固くなる必要はない」
「……ンなこと言われても」
「大丈夫だ」
ブラッドはそれだけしか言わなかった。いつもなら、もっと不要な講釈を垂れるくせに。彼も少し緊張しているのだろう。アキラは数週間前の通信――ビデオ通話を思い出す。ブラッドの言葉に激怒し、一方的に通信を切られた真っ暗な画面。今まで直接否定的な意見を浴びてこなかったからか、相手の言葉が棘のように残る。
2152n
DONEブラアキ。ワンライお題4回:雨の日(@brak_60min)雨の日は古傷が痛むアの話。35×25捏造幻覚強め。やや痛々しい描写あり。若干暗め。
レイニー・ブルー 遠くから聞こえる耳鳴りのような雨音に、ブラッドは意識を窓の方へと向けた。曇天に走る疎らな線。予報と違う天候に、そのような日もあるだろうと視線を読みかけの本へ戻す。今日は互いにオフだからと、昨夜ブラッドのマンションに押しかけたアキラは、久しぶりの逢瀬を楽しんで満足したのか今も夢の中を泳いでいる。自由な男だ。
AAA〈トリプルエー〉になってようやく大言壮語に実力が伴った彼は、最近その傲慢ぶりに拍車がかかっているようで、よく同室のメンターと衝突していると聞く。調子に乗るところは七年前と変わらない。あまり口煩く言う気はないが、そろそろ一度お灸を据える必要があるか。そんなことを思いながら頁をめくれば、新たに現れた登場人物が「アキラ」という名前で思わず笑った。主人公のガールフレンドが飼っている犬の名前だったからだ。
2724AAA〈トリプルエー〉になってようやく大言壮語に実力が伴った彼は、最近その傲慢ぶりに拍車がかかっているようで、よく同室のメンターと衝突していると聞く。調子に乗るところは七年前と変わらない。あまり口煩く言う気はないが、そろそろ一度お灸を据える必要があるか。そんなことを思いながら頁をめくれば、新たに現れた登場人物が「アキラ」という名前で思わず笑った。主人公のガールフレンドが飼っている犬の名前だったからだ。
2152n
DONEブラアキ。ブ誕。ブラ⇆アキで誕生日ボイスの話。あと10分待て。 あと十分待て。そう言って、アキラは研修チーム部屋の入り口を塞いだ。あからさまに動揺されると反応に困る。隠し事が下手な三人が数日前から揃ってソワソワとし、ブラッドを意識し、冷蔵庫には豪華な食材が増えていた。気付かぬ筈がない。三人の様子に釣られて、ブラッドまで日がな一日落ち着かなかった。
彼らの計画しているだろうサプライズパーティーを想像して口元が緩む。自分にも、まだ誕生日を楽しみにする気持ちがあったのかと思うと、どこかこそばゆい。つい浮き足立ってしまい、オスカーに伝えていた時間より三十分も早く帰ってきてしまった。そして、今はオロオロとするアキラに通せん坊をされている。
十分。短いようで、意外と長い。ブラッドは迂闊な彼の発言に胸中で苦笑した。
1486彼らの計画しているだろうサプライズパーティーを想像して口元が緩む。自分にも、まだ誕生日を楽しみにする気持ちがあったのかと思うと、どこかこそばゆい。つい浮き足立ってしまい、オスカーに伝えていた時間より三十分も早く帰ってきてしまった。そして、今はオロオロとするアキラに通せん坊をされている。
十分。短いようで、意外と長い。ブラッドは迂闊な彼の発言に胸中で苦笑した。
2152n
DONEブラアキ。ブ誕。寿司を握るアの話。1分前に抱きしめた「寿司? お前が?」
そう驚いたのはブラッドだった。イーストセクターにある日本料理を扱った馴染みの店は、店主にも顔を覚えられているほどの常連だ。ニューミリオンには他に独自のアイデアで創作された寿司屋もあるが、唯一の正統派はこの店のみだった。
ブラッドの反応がお気に召したのか、アキラは歯を見せて笑った。
「ああ、今日はオレがお前の寿司を握ってやる」
向う鉢巻を頭に巻いて、板前法被を着たアキラは、いつもの定位置――ブラッドの横ではなく、カウンターの向こう側にいる。彼の隣で腕を組む店主を一瞥すれば、どこか楽しそうにしていた。なるほど、共犯者か。
寿司を食わせてやる。誕生日パーティーを追え、皆お開きとなった頃、アキラはそう言ってブラッドをタワーの外へ連れ出した。あと二時間足らずで日付も変わる。店が開いていないと言ったが、アキラはいいから、と半ば無理矢理イーストセクターに向かうリニアにブラッドを押し込んだ。
2632そう驚いたのはブラッドだった。イーストセクターにある日本料理を扱った馴染みの店は、店主にも顔を覚えられているほどの常連だ。ニューミリオンには他に独自のアイデアで創作された寿司屋もあるが、唯一の正統派はこの店のみだった。
ブラッドの反応がお気に召したのか、アキラは歯を見せて笑った。
「ああ、今日はオレがお前の寿司を握ってやる」
向う鉢巻を頭に巻いて、板前法被を着たアキラは、いつもの定位置――ブラッドの横ではなく、カウンターの向こう側にいる。彼の隣で腕を組む店主を一瞥すれば、どこか楽しそうにしていた。なるほど、共犯者か。
寿司を食わせてやる。誕生日パーティーを追え、皆お開きとなった頃、アキラはそう言ってブラッドをタワーの外へ連れ出した。あと二時間足らずで日付も変わる。店が開いていないと言ったが、アキラはいいから、と半ば無理矢理イーストセクターに向かうリニアにブラッドを押し込んだ。
2152n
DONEブラアキ。タワーの空調が壊れた話。無自覚なこども「あーつーいー」
声の波が羽によって揺れ、機械的な音を発する。ブラッドは扇風機にしがみついて独占するアキラに呆れた視線を向けた。
「暑いのはお前だけではない。いい加減に離れろ」
タワー内の空調が故障したのは数時間前のこと。代わりに窓を開けたことで入ってくる風は高層タワーともあって涼しいが、それも一瞬のことだった。故障した空調がメンテナンス中に温風を吐き出し、タワー内をサウナへと変えたのだ。今頃ノヴァが必死になって修理しているはずだが、おかげで外気の冷風は気休めにもならない。唯一外からの風を集中して受けることができる扇風機を独り占めしているアキラは、ブラッドへと半眼を向ける。
「やだね。いま離れたら、ぜってぇ死ぬ自信ある」
916声の波が羽によって揺れ、機械的な音を発する。ブラッドは扇風機にしがみついて独占するアキラに呆れた視線を向けた。
「暑いのはお前だけではない。いい加減に離れろ」
タワー内の空調が故障したのは数時間前のこと。代わりに窓を開けたことで入ってくる風は高層タワーともあって涼しいが、それも一瞬のことだった。故障した空調がメンテナンス中に温風を吐き出し、タワー内をサウナへと変えたのだ。今頃ノヴァが必死になって修理しているはずだが、おかげで外気の冷風は気休めにもならない。唯一外からの風を集中して受けることができる扇風機を独り占めしているアキラは、ブラッドへと半眼を向ける。
「やだね。いま離れたら、ぜってぇ死ぬ自信ある」
2152n
DONEブラアキ。ワンライお題6回:誕生日(@brak_60min)誕生日に主役が訪問してくる話。32×22設定。ハッピー・サプライズ「ハッピーバースデー、オレ!」
胸を張って鼻高々にそう告げるアキラに、ブラッドはため息をついた。
日付が変わろうかという時刻。突然インターフォンが鳴り、扉を開ければ彼がいた。時計を見れば針は0時ピッタリを指していて、成る程これがしたかったのかと納得する。
「……合鍵があるのだからそれを使え」
丁度寝室に入ったタイミングで現れた突然の訪問者に、ブラッドの眉が自然と顰められる。アキラはそんな彼の不機嫌さを気にも留めず、脇をすり抜けて室内へと侵入した。
「いいじゃねーか。お前だって来てくれて嬉しいだろ?」
「時間による」
研修期間が終わり、所有していたマンションへと戻って早数ヶ月。研修用の部屋を引き払う時に合鍵を渡していたが、こんな悪戯に利用されるとは思わなかった。エントランスで呼び出されていれば追い返していただろう。それを見越して部屋のインターフォンを鳴らすのだから、タチが悪い。
1521胸を張って鼻高々にそう告げるアキラに、ブラッドはため息をついた。
日付が変わろうかという時刻。突然インターフォンが鳴り、扉を開ければ彼がいた。時計を見れば針は0時ピッタリを指していて、成る程これがしたかったのかと納得する。
「……合鍵があるのだからそれを使え」
丁度寝室に入ったタイミングで現れた突然の訪問者に、ブラッドの眉が自然と顰められる。アキラはそんな彼の不機嫌さを気にも留めず、脇をすり抜けて室内へと侵入した。
「いいじゃねーか。お前だって来てくれて嬉しいだろ?」
「時間による」
研修期間が終わり、所有していたマンションへと戻って早数ヶ月。研修用の部屋を引き払う時に合鍵を渡していたが、こんな悪戯に利用されるとは思わなかった。エントランスで呼び出されていれば追い返していただろう。それを見越して部屋のインターフォンを鳴らすのだから、タチが悪い。
2152n
DONEブラアキ。9章後ブのマンションでだらだらしてるだけの話。プライドとジレンマ「ブラッド、お前、怒らなくなったよな」
脈絡のない言葉に、ダイニングテーブルでタブレットと睨み合っていたブラッドは、目を瞬かせて顔を上げた。正面を見れば、レンズの向こう、テレビの前に鎮座している革張りのソファーから、素足が覗いている。黙っていると、アキラが腕を上げてひらひらと掌を振ってきた。
「そういや最近オレ、怒られてねーなって」
そう言ってソファーにだらしなく寝そべり、映画を見ながらスナック菓子を頬張るアキラの姿は、決して行儀がいいとは言えない。
しかし、ブラッドはそれに小言を言うこともなく、ローテーブルに置かれたペットボトルが空になっていることに気付くと立ち上がった。冷蔵庫から冷えたコーラを取り出し、アキラのいるリビングに近付く。差し出せば、映画を見たままのアキラがこちらに一瞥することなく受け取り、寝転がりながら飲み始めた。
1496脈絡のない言葉に、ダイニングテーブルでタブレットと睨み合っていたブラッドは、目を瞬かせて顔を上げた。正面を見れば、レンズの向こう、テレビの前に鎮座している革張りのソファーから、素足が覗いている。黙っていると、アキラが腕を上げてひらひらと掌を振ってきた。
「そういや最近オレ、怒られてねーなって」
そう言ってソファーにだらしなく寝そべり、映画を見ながらスナック菓子を頬張るアキラの姿は、決して行儀がいいとは言えない。
しかし、ブラッドはそれに小言を言うこともなく、ローテーブルに置かれたペットボトルが空になっていることに気付くと立ち上がった。冷蔵庫から冷えたコーラを取り出し、アキラのいるリビングに近付く。差し出せば、映画を見たままのアキラがこちらに一瞥することなく受け取り、寝転がりながら飲み始めた。
2152n
DONEブラアキ。ワンライお題2回:背中合わせ/音楽(@brak_60min)見栄っ張りがバレる話。見栄っ張りのダンス 久しぶりとなったデートの帰りだった。ラジオに飽きてCDを流していいか聞くアキラに、ブラッドは正面を向いたまま「好きにしろ」と返事をした。
早速とばかりにCDが収納されているコンソールボックスを漁るが、聞き飽きた曲ばかりでどうも気が乗らない。そんな中、グローブボックスを開いたのは気まぐれだった。
(……ん?)
手前に見覚えのないCDを見つけ、アキラは首を傾げながら手に取った。アーティストの名前はアキラでも知っているものだ。若者向けのジャケットに珍しいと思いつつ、プレイヤーに差し込む。流れてきた音楽はやはりロックとテクノが融合したような曲で、いつものフォークやジャズを流している彼らしくないと軽い驚嘆を覚えている時だった。
4246早速とばかりにCDが収納されているコンソールボックスを漁るが、聞き飽きた曲ばかりでどうも気が乗らない。そんな中、グローブボックスを開いたのは気まぐれだった。
(……ん?)
手前に見覚えのないCDを見つけ、アキラは首を傾げながら手に取った。アーティストの名前はアキラでも知っているものだ。若者向けのジャケットに珍しいと思いつつ、プレイヤーに差し込む。流れてきた音楽はやはりロックとテクノが融合したような曲で、いつものフォークやジャズを流している彼らしくないと軽い驚嘆を覚えている時だった。
2152n
DONEブラアキ。ワンライお題3回:バックハグ/手繋ぎ(@brak_60min)ブが化粧品のCMに出た話。B&S『お前を守る――全ての敵から』
「お、おぉ……!?」
驚嘆をあげたと同時に、アキラは思わずテレビの画面を消してしまった。暗い画面に映る、ソファーで転げた間抜けな自分。呆然と見つめていると、ようやく落ち着きが戻り、恐る恐るテレビをつける。画面では新作ドリンクのコマーシャルが流れていた。若手のアイドルが眩しい笑顔を見せている。良かった。どうやらあのコマーシャルはもう終わっているようだ。
今日はオフだったので、早朝からロードバイクを走らせ朝食を摂り、そのままグリーンイーストのスポーツ店に寄っていた。そのまま午後はボルダリングに行くかバスケットボールの試合に行くか悩んでいたところだ。ビルに掲げられた巨大な広告を、ふと見上げたのが悪かった。
2528「お、おぉ……!?」
驚嘆をあげたと同時に、アキラは思わずテレビの画面を消してしまった。暗い画面に映る、ソファーで転げた間抜けな自分。呆然と見つめていると、ようやく落ち着きが戻り、恐る恐るテレビをつける。画面では新作ドリンクのコマーシャルが流れていた。若手のアイドルが眩しい笑顔を見せている。良かった。どうやらあのコマーシャルはもう終わっているようだ。
今日はオフだったので、早朝からロードバイクを走らせ朝食を摂り、そのままグリーンイーストのスポーツ店に寄っていた。そのまま午後はボルダリングに行くかバスケットボールの試合に行くか悩んでいたところだ。ビルに掲げられた巨大な広告を、ふと見上げたのが悪かった。
2152n
DONEブラアキ。お昼寝する話。愛しいの意味 布ずれの音につられて、ゆるやかに覚醒する。体内時計はまだ朝を告げていない。窓から僅かに差し込む光に、そういえば昼食のあと、珍しく昼寝をしたのだと思い出した。
昨夜は遅くまで書類を片していたこともあり、胃が満たされたまま訪れた睡魔。今日ぐらい穏やかにオフを過ごしてもいいだろうと、抗うことをせず、自室のベッドで横になった。おそらく、一時間ほど経っただろうか。
瞼を下ろしたまま、ブラッドはシーツに指を這わせた。そして、触れた布ではない感触に長い睫毛を持ちあげる。
「…………」
視界に広がった、燃えるような赤。途端に頭が冴え、ブラッドは目を瞠った。
エメラルドグリーンは姿を隠し、あどけない寝顔が上下に揺れる。それが己の部下であることを理解すると、今度は疑問が浮かんだ。目線を動かし、ここが自室であることを確認する。上司の部屋の、ベッドの上に、何故彼が寝ているのか。
2710昨夜は遅くまで書類を片していたこともあり、胃が満たされたまま訪れた睡魔。今日ぐらい穏やかにオフを過ごしてもいいだろうと、抗うことをせず、自室のベッドで横になった。おそらく、一時間ほど経っただろうか。
瞼を下ろしたまま、ブラッドはシーツに指を這わせた。そして、触れた布ではない感触に長い睫毛を持ちあげる。
「…………」
視界に広がった、燃えるような赤。途端に頭が冴え、ブラッドは目を瞠った。
エメラルドグリーンは姿を隠し、あどけない寝顔が上下に揺れる。それが己の部下であることを理解すると、今度は疑問が浮かんだ。目線を動かし、ここが自室であることを確認する。上司の部屋の、ベッドの上に、何故彼が寝ているのか。
2152n
DONEブラアキ。ぬいぐるみを届ける話。せめてぬいぐるみは片付けろ「なぁ、ブラッド。本当にこれでいいのか?」
振り返ったアキラが、背後でリボンを結び終えた男に問う。
「待て、少し歪んでいる。……これで問題ないだろう」
満足そうな言葉と共に小さく吐かれた吐息に、思わずため息が落ちた。
番組の企画として、子供たちにぬいぐるみをプレゼントすることになったのはいいものの、何故自分がブラッドのぬいぐるみを抱えているのか。
大小様々なそれを落とさぬようリボンで縛られ、一際大きい恋人のぬいぐるみを抱え直す。一メートル以上あるせいで腕に沈む胴体を脇から持ち上げるようにして支えながら、もう一度振り返る。
「これで街中歩くの、流石に恥ずかしいンだけど」
「タワーから目的地までの様子も撮るらしい。親しみを感じられる良い企画だと思うが」
2048振り返ったアキラが、背後でリボンを結び終えた男に問う。
「待て、少し歪んでいる。……これで問題ないだろう」
満足そうな言葉と共に小さく吐かれた吐息に、思わずため息が落ちた。
番組の企画として、子供たちにぬいぐるみをプレゼントすることになったのはいいものの、何故自分がブラッドのぬいぐるみを抱えているのか。
大小様々なそれを落とさぬようリボンで縛られ、一際大きい恋人のぬいぐるみを抱え直す。一メートル以上あるせいで腕に沈む胴体を脇から持ち上げるようにして支えながら、もう一度振り返る。
「これで街中歩くの、流石に恥ずかしいンだけど」
「タワーから目的地までの様子も撮るらしい。親しみを感じられる良い企画だと思うが」
2152n
DONEブラアキ。手を繋ぐ話。不意打ちが伝染「あぁ、それならこの通りを真っ直ぐ行って……」
地図と照らし合わせ、指さしながら教えてやると、感謝の言葉を残して二人組の観光客は立ち去って行った。
去り際、ヒーローに会えるかな、と楽しそうに会話する彼女たちの背中を見送る。道案内を聞いた相手がヒーローだとは知る由もない。
まだメディア露出も知名度も低いルーキーなら仕方ないことだろう。
アキラは半眼を向ける。本来なら「オレがそのヒーローだぜ」と名乗り出たいところだが、生憎今日はオフで、人と待ち合わせをしている。
ここで出しゃばって待ち人の機嫌を損ねでもすれば、後でどのような心労が待ち構えているか分からない。
彼は、大人びているように見えて意外と子供っぽいところがある。
3542地図と照らし合わせ、指さしながら教えてやると、感謝の言葉を残して二人組の観光客は立ち去って行った。
去り際、ヒーローに会えるかな、と楽しそうに会話する彼女たちの背中を見送る。道案内を聞いた相手がヒーローだとは知る由もない。
まだメディア露出も知名度も低いルーキーなら仕方ないことだろう。
アキラは半眼を向ける。本来なら「オレがそのヒーローだぜ」と名乗り出たいところだが、生憎今日はオフで、人と待ち合わせをしている。
ここで出しゃばって待ち人の機嫌を損ねでもすれば、後でどのような心労が待ち構えているか分からない。
彼は、大人びているように見えて意外と子供っぽいところがある。
2152n
DONEブラアキ。彼シャツの話。爪痕を撫でる カーテンレールからの日差しが瞼の奥を刺激する。眩しさに脳を覚醒させたアキラは、起き上がろうとして動かない手足に眉をピクリと動かした。
(おも……)
体が鈍い。脳も、まだ寝足りないとぼんやりしている。普段は寝起きのいい方だが、何故今日はこんなにもずっしりとした疲労を蓄積しているのか。
考えて、すぐに昨夜のことを思い出し納得する。
(あー……そういや、そうだった)
熱く激しく求め合った――いや、昨夜はどちらかと言えば求められた。何回したかと思い出そうとするが、記憶は曖昧だ。とはいえ、思い出したからと言って何があるわけでもない。
冬になったからコートをあつらえに行く。
誘いというよりは宣言のような言葉に、モノを大切にしろだの小言を受けながら再びスーツに腕を通したのが昨日のこと。
2373(おも……)
体が鈍い。脳も、まだ寝足りないとぼんやりしている。普段は寝起きのいい方だが、何故今日はこんなにもずっしりとした疲労を蓄積しているのか。
考えて、すぐに昨夜のことを思い出し納得する。
(あー……そういや、そうだった)
熱く激しく求め合った――いや、昨夜はどちらかと言えば求められた。何回したかと思い出そうとするが、記憶は曖昧だ。とはいえ、思い出したからと言って何があるわけでもない。
冬になったからコートをあつらえに行く。
誘いというよりは宣言のような言葉に、モノを大切にしろだの小言を受けながら再びスーツに腕を通したのが昨日のこと。
2152n
DONEブラアキ。アが小さくなった話。グリーン・アイは交わらない オスカーから緊急の連絡が入り、会議が終わり次第すぐに研修チームの部屋へ向かったのが三十分前のこと。扉を開けるなり飛び出してきたものに驚いていると「ブラッドさん、捕まえてください!」と部屋から大声が聞こえてきた。すぐに反応して手を伸ばしたが時既に遅し。素早い動きであっという間に遠くへと消えていく背中に、能力を使おうとするオスカーを引き止めた。
聞けば、対応に当たっていたサブスタンスの影響を受け、アキラが十年ほど若返ったらしい。年齢だけではなく、記憶や思考も当時のもので、何度説明しても、ウィルのことすら分からなかったようだ。
「それで、オスカーさんに怯えたアキラが飛び出してしまって……」
「まさか扉が開いた瞬間逃げ出すとは思わず……不甲斐ないです」
3798聞けば、対応に当たっていたサブスタンスの影響を受け、アキラが十年ほど若返ったらしい。年齢だけではなく、記憶や思考も当時のもので、何度説明しても、ウィルのことすら分からなかったようだ。
「それで、オスカーさんに怯えたアキラが飛び出してしまって……」
「まさか扉が開いた瞬間逃げ出すとは思わず……不甲斐ないです」
2152n
DONEブラアキ。カジノネタ。深刻なアホ それは突として起こった。
「イカサマだ!」
そう叫んだのは目の前の客だ。チップをテーブルの上に投げつけ、頭髪上指の如く顔を赤に染め上げ立ち上がる。
椅子が投げ出され、倒れると同時に周囲が沸き立った。
「イカサマ……って」
それに対し、アキラは困惑の表情を見せる。謂れのない難癖に思わず手が止まった。
今はルーレットの最中。アキラは任務として潜入したカジノで、ディーラーとして客を励まし、時には煽りながら、お互い公平なルールでゲームを楽しんでいただけだ。
そもそも、この男は先ほどまで勝ち続けていた。アキラを挑発し、自信たっぷりにチップを抱えていたが、三回負けが続いた途端にこの有り様である。
客の仲間も味方して、その場の空気に不穏が漂う。
3529「イカサマだ!」
そう叫んだのは目の前の客だ。チップをテーブルの上に投げつけ、頭髪上指の如く顔を赤に染め上げ立ち上がる。
椅子が投げ出され、倒れると同時に周囲が沸き立った。
「イカサマ……って」
それに対し、アキラは困惑の表情を見せる。謂れのない難癖に思わず手が止まった。
今はルーレットの最中。アキラは任務として潜入したカジノで、ディーラーとして客を励まし、時には煽りながら、お互い公平なルールでゲームを楽しんでいただけだ。
そもそも、この男は先ほどまで勝ち続けていた。アキラを挑発し、自信たっぷりにチップを抱えていたが、三回負けが続いた途端にこの有り様である。
客の仲間も味方して、その場の空気に不穏が漂う。
2152n
DONEブラアキ。メイドカフェの話。魔法のふわふわカプチーノ「おかえりなさいっせー、ごしゅじ……うげっ、ブラッド!」
引きつった顔。緑の目が、歪められる。眼前に現れたアキラを見て、ブラッドはその場で硬直した。
赤い髪に巻き付いたヘッドドレス。首元のチョーカー、黒いワンピースに重ねられた白いエプロン。シンプルだが、その全てにフリルがあしらわれ、控えめな華やかさが全体のバランスを可憐に整えている。
所謂スタンダードなメイドの格好だ。
何故それを、自分が受け持つ研修チームのルーキーが着用しているのか。考えて、この場所がメイド喫茶だからだと思い出す。
「……おい、ブラッド?」
扉の前で立ち尽くしたまま動かないブラッドを見て、少年が声をかける。動く度に揺れるスカートから目を離せずにいると、トレイで足を隠された。膝丈のスカートから覗かせていた足が消える。
5406引きつった顔。緑の目が、歪められる。眼前に現れたアキラを見て、ブラッドはその場で硬直した。
赤い髪に巻き付いたヘッドドレス。首元のチョーカー、黒いワンピースに重ねられた白いエプロン。シンプルだが、その全てにフリルがあしらわれ、控えめな華やかさが全体のバランスを可憐に整えている。
所謂スタンダードなメイドの格好だ。
何故それを、自分が受け持つ研修チームのルーキーが着用しているのか。考えて、この場所がメイド喫茶だからだと思い出す。
「……おい、ブラッド?」
扉の前で立ち尽くしたまま動かないブラッドを見て、少年が声をかける。動く度に揺れるスカートから目を離せずにいると、トレイで足を隠された。膝丈のスカートから覗かせていた足が消える。
2152n
DONEブラアキ。ポッキーの日。察しのいい男 ポキッ。……シャクシャク、シャク。
聞き慣れない音がする。
必要な書類を取りに一度部屋へと戻ってきたブラッドは、共有ルームに入るなり聞こえてきた軽快な咀嚼音に眉を釣り上げた。
ポキッ。……シャク、シャクシャク、シャク。
その音はキッチンから聞こえる。視線を向ければ、カウンターの向こうで赤い穂先がひょこひょこと揺れていた。すぐに音の犯人を理解し、ため息をつく。
「何をしている」
「うぉっ!? っ……ぁ、あぁっ、クソッ! いってぇ……っ」
ガンッ、ゴンッ!
面白いほど分かりやすい音に、思わず吹き出しそうになったブラッドだったが、すぐに息を止めて耐え切った。
しゃがみこんでいたのだろう。ブラッドの声に動揺して立ち上がり、カウンターの角に頭をぶつけたアキラの苛立たしげな顔が、隔たりの向こうから徐に現れる。
2473聞き慣れない音がする。
必要な書類を取りに一度部屋へと戻ってきたブラッドは、共有ルームに入るなり聞こえてきた軽快な咀嚼音に眉を釣り上げた。
ポキッ。……シャク、シャクシャク、シャク。
その音はキッチンから聞こえる。視線を向ければ、カウンターの向こうで赤い穂先がひょこひょこと揺れていた。すぐに音の犯人を理解し、ため息をつく。
「何をしている」
「うぉっ!? っ……ぁ、あぁっ、クソッ! いってぇ……っ」
ガンッ、ゴンッ!
面白いほど分かりやすい音に、思わず吹き出しそうになったブラッドだったが、すぐに息を止めて耐え切った。
しゃがみこんでいたのだろう。ブラッドの声に動揺して立ち上がり、カウンターの角に頭をぶつけたアキラの苛立たしげな顔が、隔たりの向こうから徐に現れる。
2152n
DONEブラアキ。ワンライお題1回:自由(@brak_60min)すぐ影響受けるアの話です。トムはエレンの腰を抱く なぁ、キスしよーぜ。
そう言った十八歳の青年は、十センチ高い場所にある唇を見上げながら十歳年上の男の腰を抱き寄せた。
力任せの強引な求愛に若さを感じながらも、ブラッドはやんわりとその腕を外し己の胸に恋人を閉じ込める。部屋着と違い生地が硬めの制服ではあまり温もりが伝わってこない。残念だと思う。押し潰され無残な最期を遂げる蛙の断末魔に似た鳴き声が胸の間から聞こえたが、気にせず恋人の背中に回した腕に力を込めた。革靴が浮き、フローリングにつま先が立つ。
扉を開くなり待ち構えていたかと思えば、この仕打ち。彼の思考には必ず理由があると理解していても、予想出来ない言動に慣れることはない。ブラッドは己を振り回し踊らせ転がす無邪気なこの愛児を一層、抱き潰してやりたいとため息を溢す。
2045そう言った十八歳の青年は、十センチ高い場所にある唇を見上げながら十歳年上の男の腰を抱き寄せた。
力任せの強引な求愛に若さを感じながらも、ブラッドはやんわりとその腕を外し己の胸に恋人を閉じ込める。部屋着と違い生地が硬めの制服ではあまり温もりが伝わってこない。残念だと思う。押し潰され無残な最期を遂げる蛙の断末魔に似た鳴き声が胸の間から聞こえたが、気にせず恋人の背中に回した腕に力を込めた。革靴が浮き、フローリングにつま先が立つ。
扉を開くなり待ち構えていたかと思えば、この仕打ち。彼の思考には必ず理由があると理解していても、予想出来ない言動に慣れることはない。ブラッドは己を振り回し踊らせ転がす無邪気なこの愛児を一層、抱き潰してやりたいとため息を溢す。
2152n
DONEブラアキ。期間限定ワンドロワンライ同軸。ワンライの世界線で、深夜におでんを食べに行く話。時系列はWASABI(お題:馴れ初め/きっかけ)の前です。大人の店 玄関の扉が開く機械音に、アキラはテレビから目を離した。時計を見る。ゲームに集中して気付かなかったが、いつの間にか日付が変わろうとしていた。そんな時間に帰ってくる人間など一人しかいない。
廊下からリビングへと姿を現した男に、アキラはソファーに体を預けたまま声をかける。
「おかえり、遅かった、な……? ……って、酒くせぇッ!」
歩みを止めることなく、アキラの座るソファーに一直線。そのまま飛び込んできたブラッドは、下敷きになって呻きながら鼻をつまむアキラを見て、吐息をこぼした。
「ふ……ただいま戻った」
「戻ったじゃねーよ! 重い! 臭ぇ! てめ、酒飲んで帰ってきたな……!」
「何時だと思ってる。静かにしろ。オスカーとウィルが起きる」
4883廊下からリビングへと姿を現した男に、アキラはソファーに体を預けたまま声をかける。
「おかえり、遅かった、な……? ……って、酒くせぇッ!」
歩みを止めることなく、アキラの座るソファーに一直線。そのまま飛び込んできたブラッドは、下敷きになって呻きながら鼻をつまむアキラを見て、吐息をこぼした。
「ふ……ただいま戻った」
「戻ったじゃねーよ! 重い! 臭ぇ! てめ、酒飲んで帰ってきたな……!」
「何時だと思ってる。静かにしろ。オスカーとウィルが起きる」
2152n
DONEブラアキ。期間限定ワンドロワンライ同軸。深夜にチ○ンラーメンを食べる話です。新刊のブーストお礼でした。時系列は二号が~(煙草の話)の前ぐらいです。ブが気持ちを自覚し始めた頃ぐらいをイメージしてます。
Enjoy the meal. 冷たい空気が廊下に静寂を作る。
足音が煩いほどに響き、鼓膜に届く刺激すら苛立ちを覚えた。もうすぐ日付も変わろうかという時間。数日の激務に疲労感を覚えていたブラッドは、頭を振ると、深呼吸して荒ぶる感情を鎮めた。
きっと、空腹のせいもあるだろう。
普段は隙の無い職務態度を感心されることが多いブラッドだが、彼も人間である。疲労と空腹には勝てない。
帰宅したら、オスカーのプロテインバーを摂ろう。本人に知られれば眉を顰めるような予定を脳裏で立てながら、ブラッドは研修チームの部屋の前に立つ。
この時間だ。起きている者はいない。
そう思い扉を開くと、鼻腔を刺激する香りに、思考が動くよりも先に腹が鳴る。
「おー、おかえりー」
2418足音が煩いほどに響き、鼓膜に届く刺激すら苛立ちを覚えた。もうすぐ日付も変わろうかという時間。数日の激務に疲労感を覚えていたブラッドは、頭を振ると、深呼吸して荒ぶる感情を鎮めた。
きっと、空腹のせいもあるだろう。
普段は隙の無い職務態度を感心されることが多いブラッドだが、彼も人間である。疲労と空腹には勝てない。
帰宅したら、オスカーのプロテインバーを摂ろう。本人に知られれば眉を顰めるような予定を脳裏で立てながら、ブラッドは研修チームの部屋の前に立つ。
この時間だ。起きている者はいない。
そう思い扉を開くと、鼻腔を刺激する香りに、思考が動くよりも先に腹が鳴る。
「おー、おかえりー」
2152n
DONEブラアキ。モブ視点。コンビニのガソスタでコン♡ドーム買うアキを発見する話。そして私はナマモノに沼った コンビニ店員は、やりがいのない仕事だ。客からは怒られてばかりだし、給料だってそんなに高いわけでもない。
それでも辺鄙な場所にあるガソリンスタンドの、しがないコンビニで働いているのは、家からまぁまぁ近くて、シフトに融通がきくから。近いと言っても、スクーターで十五分はかかるのだが。
「はぁ……」
ため息をつきながら、私はスマホを取り出した。
店長は留守だし、客もいない。暇ならサボっても構わないだろう。どうせ、一日にくる客の数なんて、二桁にも満たない。
ロックを解除し、エリオスチャンネルを開けば、ニューミリオン独特の人たち――生き生きと輝く、ヒーローたちが姿を現した。キラキラしていて眩しいぐらいだ。
チームの仲間と仲良く自撮りしてる写真、食べたご飯の写真、猫の写真。……これはおそらくレンくんだな。やっぱり。
4018それでも辺鄙な場所にあるガソリンスタンドの、しがないコンビニで働いているのは、家からまぁまぁ近くて、シフトに融通がきくから。近いと言っても、スクーターで十五分はかかるのだが。
「はぁ……」
ため息をつきながら、私はスマホを取り出した。
店長は留守だし、客もいない。暇ならサボっても構わないだろう。どうせ、一日にくる客の数なんて、二桁にも満たない。
ロックを解除し、エリオスチャンネルを開けば、ニューミリオン独特の人たち――生き生きと輝く、ヒーローたちが姿を現した。キラキラしていて眩しいぐらいだ。
チームの仲間と仲良く自撮りしてる写真、食べたご飯の写真、猫の写真。……これはおそらくレンくんだな。やっぱり。
2152n
DONEブラアキ。期間限定ワンドロワンライ6「幸せな瞬間or永遠の誓い」※流血注意サンシャイン・ヒーロー 轟々と鳴り響く爆発音。発砲音。爆風で風が吹き荒れ、瓦礫の破片がブラッドの頬を裂く。
もうすぐ夜が明ける。夜闇に紛れた奇襲に苦戦していたが、今のところ死者は出ていない。しかし、それはあくまで報告上の情報だ。
霞む視界の中、ブラッドは目的の人物を探す。自然と警棒を握る手に力がこもった。辺りに気を配りながら駆けていると、ようやく視界の隅に赤を見つける。
「っ、おらぁ!」
宙を浮いたパーカー。その背中。赤に灯る黒い炎。
鳳アキラだ。
ブラッドは走り寄ると、炎の中で力強く降り立つ彼に近付いた。
「アキラ!」
声に反応して、アキラが振り返る。そしてブラッドを見て安堵の息を漏らすと、周囲を見回した。敵が襲ってくる気配はない。どうやらこの一帯は片付いたらしい。
5106もうすぐ夜が明ける。夜闇に紛れた奇襲に苦戦していたが、今のところ死者は出ていない。しかし、それはあくまで報告上の情報だ。
霞む視界の中、ブラッドは目的の人物を探す。自然と警棒を握る手に力がこもった。辺りに気を配りながら駆けていると、ようやく視界の隅に赤を見つける。
「っ、おらぁ!」
宙を浮いたパーカー。その背中。赤に灯る黒い炎。
鳳アキラだ。
ブラッドは走り寄ると、炎の中で力強く降り立つ彼に近付いた。
「アキラ!」
声に反応して、アキラが振り返る。そしてブラッドを見て安堵の息を漏らすと、周囲を見回した。敵が襲ってくる気配はない。どうやらこの一帯は片付いたらしい。
2152n
DONEブラアキ。期間限定ワンドロワンライ5「好きな仕草」二号が一号に憧れた日「ここにいたのか。報告書について聞きたいことがある」
「げっ」
午前のパトロールも終わり、昼食後の休憩中。喫煙室に現れたワーカーホリックに、キースは思わず顔を顰めた。
エリオスタワーの喫煙室は高層タワーにしては三箇所と少ない。その中でも特に見つかりにくそうな、研究部近くの喫煙室を選んだというのに。
それすらも見越しているのだろう。今まで探し回っていた様子もなく、平然としている。キースは喫煙室に入ってくるブラッドを半眼で見ながら、煙草を咥えた。差し出してくる五枚の書類を受け取ると、仕方なく目を通す。
「休憩中ぐらい休憩させてくれっての」
「お前は常に休憩しているだろう」
ぼやけばブラッドの小言が返ってくる。説教が続くのはごめんだと、キースは肩をすくめた。
9437「げっ」
午前のパトロールも終わり、昼食後の休憩中。喫煙室に現れたワーカーホリックに、キースは思わず顔を顰めた。
エリオスタワーの喫煙室は高層タワーにしては三箇所と少ない。その中でも特に見つかりにくそうな、研究部近くの喫煙室を選んだというのに。
それすらも見越しているのだろう。今まで探し回っていた様子もなく、平然としている。キースは喫煙室に入ってくるブラッドを半眼で見ながら、煙草を咥えた。差し出してくる五枚の書類を受け取ると、仕方なく目を通す。
「休憩中ぐらい休憩させてくれっての」
「お前は常に休憩しているだろう」
ぼやけばブラッドの小言が返ってくる。説教が続くのはごめんだと、キースは肩をすくめた。
2152n
DONEブラアキ。期間限定ワンドロワンライ4「独占欲」グリード・モノポライズ 見慣れた髪色が、暇なのか耳の裏を掻いている。丁度トレーニングを終えたばかりなのか、汗をタオルで拭いながら、ぼんやりとしていた。これからの予定でも考えているのだろう。
レンはそれを確認して背後に近付くと、無遠慮に声をかけた。
「おい」
「んぁ?」
振り返ったアキラが、珍しいものを見たとばかりに目を丸くさせる。当然だ。レンは、タワー内で自分から彼に話しかけることが滅多にない。何故なら、話す必要も交流の願望もないからだ。
しかし、今は違う。緑の目が瞬き、固まる様子に小さな苛立ちを覚えながら、レンは口を小さく開いた。
トレーニングルームは現在二人しか利用していない。誰かが来る前に、手早く話を終わらせた方がいいだろう。特に、アキラの生意気なメンティーに見つかれば、嫌味を言われかねない。レンが担当しているノースセクターに並々ならぬライバル心を持っている彼は、先輩であるレンに対しても当たりがきつい。
3406レンはそれを確認して背後に近付くと、無遠慮に声をかけた。
「おい」
「んぁ?」
振り返ったアキラが、珍しいものを見たとばかりに目を丸くさせる。当然だ。レンは、タワー内で自分から彼に話しかけることが滅多にない。何故なら、話す必要も交流の願望もないからだ。
しかし、今は違う。緑の目が瞬き、固まる様子に小さな苛立ちを覚えながら、レンは口を小さく開いた。
トレーニングルームは現在二人しか利用していない。誰かが来る前に、手早く話を終わらせた方がいいだろう。特に、アキラの生意気なメンティーに見つかれば、嫌味を言われかねない。レンが担当しているノースセクターに並々ならぬライバル心を持っている彼は、先輩であるレンに対しても当たりがきつい。
2152n
DONEブラアキ。期間限定ワンドロワンライ2「甘い言葉」シュガーステップでミルクのワルツ ただの気まぐれだった。
部屋に戻ってからも、真剣にタブレットを見つめているので、メンターリーダーは大変そうだな、と。たまには労ってやってもバチは当たらないだろうと、過去に何度か見たオスカーの行動を思い出して、キッチンに立った。
コーヒーマシンは使えないので、ドリップ用の道具を取り出す。インスタントもあったが、何故か豆から淹れてやりたくなった。
コーヒー豆をミルで挽き、ドリッパーにペーパーフィルターを被せる。
慣れないことをしている自覚はあった。沸かせた湯を注げば、コーヒーの香りが広がる。
(これじゃ、すぐバレるな)
思いながらソファーを見れば、気付いたのかピクリと揺れた背中。けれど、振り返らない。
4548部屋に戻ってからも、真剣にタブレットを見つめているので、メンターリーダーは大変そうだな、と。たまには労ってやってもバチは当たらないだろうと、過去に何度か見たオスカーの行動を思い出して、キッチンに立った。
コーヒーマシンは使えないので、ドリップ用の道具を取り出す。インスタントもあったが、何故か豆から淹れてやりたくなった。
コーヒー豆をミルで挽き、ドリッパーにペーパーフィルターを被せる。
慣れないことをしている自覚はあった。沸かせた湯を注げば、コーヒーの香りが広がる。
(これじゃ、すぐバレるな)
思いながらソファーを見れば、気付いたのかピクリと揺れた背中。けれど、振り返らない。
2152n
DONEブラアキ。期間限定ワンドロワンライ1「きっかけ」WASABI「はぁ? きっかけぇ?」
突然の質問に、アキラは思わずストローを噛んだ。
眉を釣り上げて不可解な表情を見せれば、意味を理解していないのだろうと解釈したウィルが首を傾げて言い直す。
「そうだよ。きっかけ。馴れ初め…とも言うのかな」
口にして恥ずかしくなったのか、頬をかく。
アキラは噛んだストローを持ち上げると、先端をウィルに突きつけた。
「こら、行儀が悪いぞ」
「誰と、誰の」
「アキラ」
「誰と、誰の」
注意を聞く気はないようだ。ストローの先端から雫が落ちる。眉間に皺を寄せて睨みつけるアキラの機嫌は悪い。付き合ってもらってスイーツ店にきた時から良いとは言えなかったが、今はそれに輪をかけている。
ウィルは質問の仕方が悪かったかとため息をついた。
5358突然の質問に、アキラは思わずストローを噛んだ。
眉を釣り上げて不可解な表情を見せれば、意味を理解していないのだろうと解釈したウィルが首を傾げて言い直す。
「そうだよ。きっかけ。馴れ初め…とも言うのかな」
口にして恥ずかしくなったのか、頬をかく。
アキラは噛んだストローを持ち上げると、先端をウィルに突きつけた。
「こら、行儀が悪いぞ」
「誰と、誰の」
「アキラ」
「誰と、誰の」
注意を聞く気はないようだ。ストローの先端から雫が落ちる。眉間に皺を寄せて睨みつけるアキラの機嫌は悪い。付き合ってもらってスイーツ店にきた時から良いとは言えなかったが、今はそれに輪をかけている。
ウィルは質問の仕方が悪かったかとため息をついた。
2152n
DONEブラアキ。冬制服(ジャケット)の話。目隠し帽はご免だからな ニューミリオンにも冬は訪れる。先日の雨以降、大きく気温が下がり到来した寒波は街中の景色をガラリと変えた。薄手のカーディガンやコートを羽織っていた市民たちは毛皮やダウンに身を包み、厚手の衣類で体積を増やしながら身を縮めて歩いている。勿論エリオスも例外ではなく、今日からは皆、外出時は暖かなジャケットを着込んでいた。
その日のブラッドは珍しくパトロールに参加する時間が取れ、司令室での会議を済ませたあと、サウスセクターのブリーフィングルームへと足を向けていた。
エリオス内は廊下も含めて空調が管理されているため、屋内は快適な温度が保たれているが、外ではそうもいかない。ブラッドは同室の寒さに弱い部下のことを脳裏に過らせる。昨夜、彼にリトルトーキョーで買ってきた「貼るホッカイロ」という使い捨てのウォーマーパッドを贈ったのだが、今朝早速ジャケットの中に貼りつけて「とても暖かいです」と笑顔を見せていた。思い出して笑みがこぼれる。今年のオスカーはルーキーを指導する立場だ。寒さに震えていては威厳もないだろう。そう思い、対策を考えてみたのだが、あんなにも喜ばれるとは思わなかった。これなら彼も今年の冬を乗り切ることが出来るだろうと、ブリーフィングルームの扉の前に立つ。
9722その日のブラッドは珍しくパトロールに参加する時間が取れ、司令室での会議を済ませたあと、サウスセクターのブリーフィングルームへと足を向けていた。
エリオス内は廊下も含めて空調が管理されているため、屋内は快適な温度が保たれているが、外ではそうもいかない。ブラッドは同室の寒さに弱い部下のことを脳裏に過らせる。昨夜、彼にリトルトーキョーで買ってきた「貼るホッカイロ」という使い捨てのウォーマーパッドを贈ったのだが、今朝早速ジャケットの中に貼りつけて「とても暖かいです」と笑顔を見せていた。思い出して笑みがこぼれる。今年のオスカーはルーキーを指導する立場だ。寒さに震えていては威厳もないだろう。そう思い、対策を考えてみたのだが、あんなにも喜ばれるとは思わなかった。これなら彼も今年の冬を乗り切ることが出来るだろうと、ブリーフィングルームの扉の前に立つ。
2152n
DONEブラアキ。あらすじ→ある日犬型サブスタンスの攻撃を受けてポメラニアンになってしまったアくん。サウスセクターではそんなポメアキくんを囲んで緊急会議が行われていた。Good boy「ヴィクターの話では時間が経てば戻ると言っていたが……」
「まずはゲージを用意するべきでしょうか」
「アキラがご迷惑をおかけして本当にすみません」
「謝る必要はない。元はと言えば、こちらの指示を聞かず勝手に飛び出したアキラが悪い」
呆れた視線を向けるブラッド、真面目な表情のオスカー、そんな二人に平謝りするウィル。
そして件の中央にいる真っ赤な毛玉と言えば。
「ワンッ! ワンワンッ! ヴーーッ」
彼の特徴である赤を残した体毛を逆立てて、威嚇をしていた。
どうやら怒っているようだが、その姿では何の迫力もない。逆に、飛び跳ねる様子を見てオスカーが目を輝かせている。
「大丈夫だ、アキラ。怖がらなくても何もしな……っ、こら、噛みつこうとするんじゃない」
6679「まずはゲージを用意するべきでしょうか」
「アキラがご迷惑をおかけして本当にすみません」
「謝る必要はない。元はと言えば、こちらの指示を聞かず勝手に飛び出したアキラが悪い」
呆れた視線を向けるブラッド、真面目な表情のオスカー、そんな二人に平謝りするウィル。
そして件の中央にいる真っ赤な毛玉と言えば。
「ワンッ! ワンワンッ! ヴーーッ」
彼の特徴である赤を残した体毛を逆立てて、威嚇をしていた。
どうやら怒っているようだが、その姿では何の迫力もない。逆に、飛び跳ねる様子を見てオスカーが目を輝かせている。
「大丈夫だ、アキラ。怖がらなくても何もしな……っ、こら、噛みつこうとするんじゃない」
2152n
DONEブラアキ。イベント予告で死にました。カジノネタで短い。セクシャルハラスメント「なんだよ、これ」
「ディーラーの衣装だが」
「違ぇよ。そういう意味じゃなくて、なんでウサギの耳がついてんだ」
「俗に言うバニーボーイだな」
調査のためにカジノへ潜入する。そのためにブラッドが用意したのは、ディーラーの衣装だ。ただし、定番の燕尾服に兎の尻尾と耳がつけられた、バニーガールの男性版。つまり、ブラッドの言うバニーボーイの格好だ。
何故普通の燕尾服では駄目なのか。胡乱な目を向けるアキラに、ブラッドはため息をつく。
「オーナーの嗜好だ。従業員は皆、バニーガールないしはバニーボーイで従事させられる」
「うえ、変態かよ」
「見目が愛らしい者は男性でもバニーガールの衣装を強要されると聞く。日系で幼く見えるお前なら、本来はその可能性もあったが……鍛えていて良かったな」
1125「ディーラーの衣装だが」
「違ぇよ。そういう意味じゃなくて、なんでウサギの耳がついてんだ」
「俗に言うバニーボーイだな」
調査のためにカジノへ潜入する。そのためにブラッドが用意したのは、ディーラーの衣装だ。ただし、定番の燕尾服に兎の尻尾と耳がつけられた、バニーガールの男性版。つまり、ブラッドの言うバニーボーイの格好だ。
何故普通の燕尾服では駄目なのか。胡乱な目を向けるアキラに、ブラッドはため息をつく。
「オーナーの嗜好だ。従業員は皆、バニーガールないしはバニーボーイで従事させられる」
「うえ、変態かよ」
「見目が愛らしい者は男性でもバニーガールの衣装を強要されると聞く。日系で幼く見えるお前なら、本来はその可能性もあったが……鍛えていて良かったな」
2152n
DONEブラアキ。5章後の微ネタバレ注意。アに甘えるブの話。甘く優しい飴 全てが終わった。
いや、正確には何も終わっていない。むしろ始まりとも言えるのだが、ブラッドにとってはかけがえのない親友たちを救い出すことが出来たことで、肩の荷が一つ、おりたような安堵を覚えていた。
これが正しいのかは分からない。だが、最善は尽くしたはずだ。
それでも結果に至るまでの徒労はブラッドを心身共に疲弊させ、罪悪感が腹の中で消化しきれずにいる。二人からもらった感謝の言葉が唯一の救いだろう。
感情を殺してまで選択した道は、決して楽なものではないと分かってはいたが、貫き通すにはまだ未熟だったようだ。
つまり、一言で表すならば、疲れた。
今夜ぐらいは書類から視線を逸らし、深い眠りについても許されるだろう。部屋に戻ったブラッドは、共有スペースに誰もいないことを確認すると、大きなため息を一つこぼした。それと同時に、シャワールームの方から扉の開く音が聞こえる。
4224いや、正確には何も終わっていない。むしろ始まりとも言えるのだが、ブラッドにとってはかけがえのない親友たちを救い出すことが出来たことで、肩の荷が一つ、おりたような安堵を覚えていた。
これが正しいのかは分からない。だが、最善は尽くしたはずだ。
それでも結果に至るまでの徒労はブラッドを心身共に疲弊させ、罪悪感が腹の中で消化しきれずにいる。二人からもらった感謝の言葉が唯一の救いだろう。
感情を殺してまで選択した道は、決して楽なものではないと分かってはいたが、貫き通すにはまだ未熟だったようだ。
つまり、一言で表すならば、疲れた。
今夜ぐらいは書類から視線を逸らし、深い眠りについても許されるだろう。部屋に戻ったブラッドは、共有スペースに誰もいないことを確認すると、大きなため息を一つこぼした。それと同時に、シャワールームの方から扉の開く音が聞こえる。
2152n
DONEブラアキ。捏造未来設定アキラ25歳・ブラッド35歳でピアスのお話。金のかかる男 ヒーローとして入所してから七年目、ブラッドと付き合ってから五年目。
そろそろ引退を考え始めている彼がアキラの誕生日に贈ったのは、小さなケースだった。
「……婚約指輪?」
「馬鹿か貴様は」
ケースを手にぽかんとした顔でブラッドを見たアキラは、その返事に「だって」と頬を膨らませる。
「考えてみろよ。誕生日にデートして、飯食って、セックスして、最後にこんなもん渡されたら普通は婚約指輪がセオリーだろうが」
「それはお前がメジャーヒーローになってからだ」
なるほど。婚約指輪を贈るつもりはあるらしい。その回答に、ネタバラシしてどうすんだよ……と、思わず半眼になる。アキラも今ではAAA(トリプルエー)になったというのに、相変わらず恋人は手厳しい。
2873そろそろ引退を考え始めている彼がアキラの誕生日に贈ったのは、小さなケースだった。
「……婚約指輪?」
「馬鹿か貴様は」
ケースを手にぽかんとした顔でブラッドを見たアキラは、その返事に「だって」と頬を膨らませる。
「考えてみろよ。誕生日にデートして、飯食って、セックスして、最後にこんなもん渡されたら普通は婚約指輪がセオリーだろうが」
「それはお前がメジャーヒーローになってからだ」
なるほど。婚約指輪を贈るつもりはあるらしい。その回答に、ネタバラシしてどうすんだよ……と、思わず半眼になる。アキラも今ではAAA(トリプルエー)になったというのに、相変わらず恋人は手厳しい。