【まおしゅう2展示】大魔道士の胃袋を掴もう大作戦「大魔道士、台所を使ってもいいだろうか」
ガンガディアの言葉にマトリフは読んでいた魔導書から顔を上げる。帰ってきたばかりのガンガディアの腕には紙袋があった。
お日様燦々のどかな午後。いつもは薄暗いマトリフの洞窟でさえ暖かな空気が満ちていた。
「台所? 何するんだ」
「もちろん料理だ」
ガンガディアは買い物に行くと言っていたから何か買ってきたのだろう。しかしマトリフは訝しげに眉間に皺を寄せた。
「料理って、どういう風の吹き回しだ」
ガンガディアは料理というものをしたことがないはずだ。普段の食事は果物や肉を生で食べるので調理の必要がなく、いつもマトリフの食事を珍しそうに見ている。そのマトリフだって大抵は魚を焼くか、作ってもスープくらいである。
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