ふたりは! 誰かの視点から世界を見るというのはなんとも不思議な体験だ。
例えそれが自身のからだではなく、また動かすことができなくとも。
搭乗者は他にもいるから、辺りは結構賑やかだ。
メインの操縦を担っているのは、俺たちとは違ってまだ生きている少女だ。
俺がもっとちゃんとしていれば、彼女もまた勇者と呼ばれる存在だっただろう。
勇者のひとりは俺の血筋に生まれる。けれど、彼女は俺の子孫ではない。
使命などなく普通に育ったのだろう。そうであれと育った子孫とは違う、平凡な少女だ。
彼女を今代の盟友たらしめたのは何なのか、俺は彼女のことをあまりにも知らなすぎる。
更に言うのならば彼女が生きながらにして英雄と選出された理由も知りたい。いや、人柄や実力に関して申し分ないとは分かっている。だが歴史上大魔王の数だけ勇者と盟友は誕生していて、その数は一人や二人ではない。
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