クーラー 部屋の電気を消すと、僕は布団の中に潜り込んだ。蒸すような初夏の気温が、じりじりと僕たちを包み込んでくる。窓を全開まで開けているのに、首筋には汗が滲んでいた。形だけ用意したタオルケットも、ほとんど身体を覆ってはいない。冷房なしで過ごすのも、そろそろ限界が近いようだった。
シーツの上を転がると、僕はルチアーノに手を伸ばす。細い胴体に腕を回すと、身体が密着するように抱き寄せた。夏は機械も熱が籠るのか、ルチアーノの身体もぽかぽかと温かい。肌と肌が触れただけなのに、もう汗が滲んできた。
熱の籠ったタオルケットを跳ね除けると、今度は肌に指を這わせた。今は夏の寝間着を着ているから、布地の下には素肌が晒されている。流れるように肌に手を伸ばすと、滑らかな感触を味わった。当たり前だが、アンドロイドの身体を持つ彼は、少しも汗をかいていない。こういうときには、彼の機械の身体を羨ましく思った。
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