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    sigu_mhyk

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    書いたものたちの倉庫

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    DONE1日1ネファネチャレンジ 34
    現パロ ネロファウ
    Traveling, thrilling ②「すごい、広い」
    壁掛けのテレビとソファが置かれた洋室に、奥には二台のベッドが並ぶ寝室。窓際には小さな二人がけのテーブルセットが置かれ、豊かな自然を臨める広縁。
    サイトで見た写真よりもずっと広く感じるツインルームを構えたこのホテルが、今回のデートの拠点だ。
    駅前から少し離れた一角にひっそりと建つこの宿は隠れた名宿と呼ばれているに相応しく、チェックインその時からちょっとたじろぐ程の至れり尽くせりのサービスを受けた。
    ファウストはもうその頃からそわそわと落ち着かない様子で、スタッフからの説明に相槌を打ってはいたものの、果たしてきちんと聞いていたかは怪しい。その分俺が珍しくきちんと聞いておいたからいいけど。

    二人分の荷物を詰めたキャリーケースを洋室に置き、ふぅとひと呼吸つく。丁度大きな行事が重なったために駅前は大変な人の賑わいで、人混みをかき分けながらファウストの手を引き、もう片方ではキャリーケースを引くというのはなかなかの重労働であった。今夜……いやもうおっさんだから明日辺り、筋肉痛がくるかもしれない。ぐるりと回した肩は本日の酷使に抗議するようにボキボキと音を鳴らしている。
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    sigu_mhyk

    DONE1日1ネファネチャレンジ 12
    魔法舎 ネロファウ
    越えた先に退路なしファウストが自分に対し恋心を抱いている、ということに、ネロは勘付いていた。何故ならネロはもっと前からファウストに恋心を抱いていたからである。しかしネロは負け戦をしたくない。勝ち戦であることを確定させてから、よっこいせと本領発揮をする。狡いと言えばそうだが、心のやり取りには人一倍臆病で怖がりな自分が首をもたげてしまうのだ。
    だから、先日は酒の力を借りて発破をかけた。徐々に見せる隙を増やしていっても、いつまでも何もしてこないファウストに焦れてしまったというのもある。結果としては大成功であったわけだが、ここしばらく、ネロはファウストから絶妙に避けられている。
    今までは事ある毎にかわいい、と目尻を下げて可愛がってくれたのに、それがとんと途絶えてしまった。晩酌のお誘いも無い。訓練や依頼は通常通りこなすものの、絶対に二人きりにならないようさりげなく采配している。かつてのネロであれば、出会った頃の距離感に戻っただけでこの状態こそが普通だ、と煩わしそうに吐き捨てたであろう。魔法舎で暮らし始めてから、ネロも変わった。それも多分、いい意味で。
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