言葉を求める部屋ー雑渡編 恋などするのは、一体どれくらいぶりだろうか。
何よりも、己の心の中にそういうものが育つ土壌がまだあった事に驚いた。
自分は、恋をしている。
諸々の衝撃から立ち直った雑渡は、己の恋を相手を思い浮かべて、まず思った。
相手が悪いね。
忍術学園の教師といえば、それだけでどこの勢力も欲しがる。何しろ、あの大川平次渦正に認められた忍者なのだ。実力はもちろん、この忍者不足の時代。「育てる」力を持った教師は、尚のこと欲しがられる。
他勢力に比べれば頭数の揃ったタソガレドキも、例外ではない。
そして雑渡が声をかけたのが、土井半助だった。
彼については、尊奈門を通じて情報が得やすい。雑渡がまず目を向けたのも、その点が大きい。そして年若い分、与しやすい印象がある。
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