隣り合わせの彼と彼女 田舎の電車は一時間に一本。
車両には私の他に一組の男女がいるだけのガラ空き状態。時々見かける彼らとは話したことこそないものの、もうちょっとした顔見知りだ。
私が電車に乗る時にいつも見るのは、活発そうな女の子がすらっとした長身の男性に話しかけているところ。側から見てもはっきりと分かる好意は微笑ましい。応援したくなるような健気さなのだ。
ある日は可愛い服と髪型でちらちらと男性の方を見て意見を聞きたそうにしていたり、またある日は少し距離を詰めて座ってみたり。
一方男性の方はと言うと……。
(うーん、なんか脈なさそうな感じなんだよなぁ)
会話は続いているものの、相手のことをもっと知りたい! とか仲良くなりたい! ……みたいな空気を感じない。懐いてくる部下に応答する上司みたいな感じ。いつ見てもそんな感じなものだから、私はすっかり心の中で女の子のアタックする姿を応援するようになってしまった。
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