くろそら ネイルしてあげる話 北村さんの部屋にはたくさんの雑貨があり、棚一面が店のようにディスプレイされていた。砂時計や観葉植物や万華鏡に木工細工……ひとつひとつ見ていくうち、小さな瓶が目にとまった。
小瓶は筒のような円柱形で、目薬よりも一回り大きいサイズをしている。中には、澄んだ水色の液体が詰まっていた。
「マニキュアだよー」
私の思考を読んだように北村さんが横から教えてくれた。
「自分ではネイルなんてしないけど、綺麗な色だなと思って買ってみたんだー。インテリアにぴったりでしょー?」
「ええ、よく馴染んでいますね」
マニキュアは絵の具を溶かした色水のように透き通っている。ちょうど日が傾きかける時間帯で、差し込んだ西日に照らされてきらきら輝いていた。
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