なりひさ
DOODLEガンマト。ガンガの理性を失わせて事を進めようとしたが失敗するマト据え膳 疲れ果てたガンガディアが辿り着いたのは、地底魔城深くの自室だった。この混乱の二週間は屈強なガンガディアの肉体と精神を極限まで追いつめていた。
この混乱の始まりは、勇者がバニーの姿をして現れたことだった。今思えばあれも罠だったとはっきりわかる。だがバニー姿の勇者が現れたとの報告を聞いたハドラーは、ガンガディアが止める間もなく城から飛び出していった。そして未だに帰らない。もしかすると不思議の国にでも迷い込んだのかもしれない。
そしてハドラーがいなくなったタイミングを狙ったように、各地で謎のメッセージが空に浮かび上がった。報告によればそれは魔法によって作られたもので、だとすれば首謀者はマトリフだろうとガンガディアは思った。
1181この混乱の始まりは、勇者がバニーの姿をして現れたことだった。今思えばあれも罠だったとはっきりわかる。だがバニー姿の勇者が現れたとの報告を聞いたハドラーは、ガンガディアが止める間もなく城から飛び出していった。そして未だに帰らない。もしかすると不思議の国にでも迷い込んだのかもしれない。
そしてハドラーがいなくなったタイミングを狙ったように、各地で謎のメッセージが空に浮かび上がった。報告によればそれは魔法によって作られたもので、だとすれば首謀者はマトリフだろうとガンガディアは思った。
なりひさ
DOODLEガンマト。両片思いしてる両片思い 魔界へ帰るというガンガディアを洞窟へと無理矢理連れてきた。あなたに迷惑はかけられないと言うガンガディアを宥めすかし言いくるめ、手狭だった洞窟を広げて大きな部屋も用意した。
マトリフはそこまでしてガンガディアを側に置きたいと思っていた。それは好敵手に抱く思いではない。ガンガディアへの好意をはっきりと認識してはいたが、告げるつもりはなかった。どうせ数歩先が墓なのだからこのまま持って行くつもりだった。
「また本読んでんのか」
巨体を見上げれば人間用の本を大きな手で持っている。この洞窟に来てからガンガディアは本ばかり読んでいた。
「どれも貴重な本ばかりだ。読む時間が足りないよ」
文字を追う純粋な目の輝きが眩しい。この顔を見れるだけでマトリフは充分だった。残り短い人生に不意に咲いた花を眺めるくらいは許されるだろう。
1786マトリフはそこまでしてガンガディアを側に置きたいと思っていた。それは好敵手に抱く思いではない。ガンガディアへの好意をはっきりと認識してはいたが、告げるつもりはなかった。どうせ数歩先が墓なのだからこのまま持って行くつもりだった。
「また本読んでんのか」
巨体を見上げれば人間用の本を大きな手で持っている。この洞窟に来てからガンガディアは本ばかり読んでいた。
「どれも貴重な本ばかりだ。読む時間が足りないよ」
文字を追う純粋な目の輝きが眩しい。この顔を見れるだけでマトリフは充分だった。残り短い人生に不意に咲いた花を眺めるくらいは許されるだろう。
なりひさ
DOODLEガンマト。お互いに意識し合う気持ちの自覚「あいつのこと、本気になっちまいそうだ」
酔ったマトリフの言葉に、何を今更とアバンは思った。てっきり自覚しながら戯れあっているのかと思っていたからだ。アバンは問いを返す。
「本気になったら駄目なんですか」
「まずいだろ。あいつは敵だぞ」
「そんなこと、最初からわかっていたでしょう」
二人が惹かれあっていくのを側から見ていた。止めたってしょうがない。心が通じる相手が偶然にも敵だったのだから。
話の接ぎ穂がなくなる。しばらく沈黙が続いた。解決しない悩みは山ほどあるし、これもその一つに過ぎない。やがてマトリフが重い溜息を吐いた。
「悪い。忘れてくれ。今日は変に酔っちまった」
言いながらマトリフはアバンのグラスに酒を注いだ。その横顔を見る。酔っているとは思えない眼差しが、ここにはいない誰かを見ているようだった。
1920酔ったマトリフの言葉に、何を今更とアバンは思った。てっきり自覚しながら戯れあっているのかと思っていたからだ。アバンは問いを返す。
「本気になったら駄目なんですか」
「まずいだろ。あいつは敵だぞ」
「そんなこと、最初からわかっていたでしょう」
二人が惹かれあっていくのを側から見ていた。止めたってしょうがない。心が通じる相手が偶然にも敵だったのだから。
話の接ぎ穂がなくなる。しばらく沈黙が続いた。解決しない悩みは山ほどあるし、これもその一つに過ぎない。やがてマトリフが重い溜息を吐いた。
「悪い。忘れてくれ。今日は変に酔っちまった」
言いながらマトリフはアバンのグラスに酒を注いだ。その横顔を見る。酔っているとは思えない眼差しが、ここにはいない誰かを見ているようだった。
なりひさ
DOODLEガンマト。パ国にいるとマトをガンガさんが守ってくれたらなあと竜の鱗 マトリフは魔王軍との戦いの後、療養のためにパプニカに滞在していた。暫くの間はベッドから動くなと言われ、退屈な日々を過ごしている。
そのマトリフの退屈をどこかで見ていたように、見舞客がやってきた。それはカールに帰ったはずのアバンで、ドアからではなく窓からやって来た。目を丸くさせるマトリフに、アバンは無作法ですみませんと小さく頭を下げた。
「なんだよ、もうルーラができるようになったのか」
「ようやく、です」
正面から城を訪ねれば過剰な接待に合うとわかっていたアバンは、ルーラを使ってこっそりとマトリフに会いに来たという。
ちょうど部屋にはマトリフしかいなかった。久しぶりの話し相手につい口が軽くなり、マトリフはとりとめなく言葉を交わした。暫くそうしてから、これは枕の下に隠している魔導書を渡す良い機会だと思った。
3572そのマトリフの退屈をどこかで見ていたように、見舞客がやってきた。それはカールに帰ったはずのアバンで、ドアからではなく窓からやって来た。目を丸くさせるマトリフに、アバンは無作法ですみませんと小さく頭を下げた。
「なんだよ、もうルーラができるようになったのか」
「ようやく、です」
正面から城を訪ねれば過剰な接待に合うとわかっていたアバンは、ルーラを使ってこっそりとマトリフに会いに来たという。
ちょうど部屋にはマトリフしかいなかった。久しぶりの話し相手につい口が軽くなり、マトリフはとりとめなく言葉を交わした。暫くそうしてから、これは枕の下に隠している魔導書を渡す良い機会だと思った。
なりひさ
DOODLEガンマト。近未来パロ?砂の惑星「お前ってパスポート持ってるか?」
八月中旬酷暑、扇風機の前で涼む私は首を傾げた。
「持ってはいるが、なぜ?」
するとマトリフは古びた雑誌を開いて私に向けた。それを受け取って目を通す。扇風機の風がページを弄ぶのを抑えながら、書かれた文字に目を通した。
「バカンス?」
そのページには青い海が紹介されていた。大きな文字で魅力的な言葉が並ぶ。
「行かねえか」
バカンスには少々遅い気もする。幸か不幸か私には職がなくいつも時間に余裕があるが、マトリフには仕事があった。しかしその都合も付けずにマトリフが提案するとも思えない。今年は夏の休暇がないのかと思うほど、マトリフは仕事を詰め込んでいた。もしかしたら、それもこのバカンスのためだったのだろうか。
16110八月中旬酷暑、扇風機の前で涼む私は首を傾げた。
「持ってはいるが、なぜ?」
するとマトリフは古びた雑誌を開いて私に向けた。それを受け取って目を通す。扇風機の風がページを弄ぶのを抑えながら、書かれた文字に目を通した。
「バカンス?」
そのページには青い海が紹介されていた。大きな文字で魅力的な言葉が並ぶ。
「行かねえか」
バカンスには少々遅い気もする。幸か不幸か私には職がなくいつも時間に余裕があるが、マトリフには仕事があった。しかしその都合も付けずにマトリフが提案するとも思えない。今年は夏の休暇がないのかと思うほど、マトリフは仕事を詰め込んでいた。もしかしたら、それもこのバカンスのためだったのだろうか。
なりひさ
DOODLEガンマト。レイラに気付かれたマト現役 実は知っていることがある。ほんの少し。
小さな村の宿屋の裏庭の、外でブランチを食べる用のテーブルで、私はパンを食べていた。ロカはまだ寝ていたし、アバン様は朝市に行って食料を調達してくると出かけていった。あとは朝が弱い老魔道士だけど、と私は宿の二階を見上げた。
「おはようさん」
扉を開けて宿屋から出てきたマトリフに、朝の挨拶を返す。普段起きる時間より随分と早い時間に現れたことで疑惑は確信へと変わった。
マトリフは私の横を通り過ぎて井戸に向かった。顔を洗っている後ろ姿を見つめて、なんと声をかけようかと迷う。
「あなたの歳を聞いたことがあったかしら」
「なんだよ突然」
洗った顔から雫をこぼしながらマトリフは振り返る。その顔から寝不足であることは見て取れた。
1391小さな村の宿屋の裏庭の、外でブランチを食べる用のテーブルで、私はパンを食べていた。ロカはまだ寝ていたし、アバン様は朝市に行って食料を調達してくると出かけていった。あとは朝が弱い老魔道士だけど、と私は宿の二階を見上げた。
「おはようさん」
扉を開けて宿屋から出てきたマトリフに、朝の挨拶を返す。普段起きる時間より随分と早い時間に現れたことで疑惑は確信へと変わった。
マトリフは私の横を通り過ぎて井戸に向かった。顔を洗っている後ろ姿を見つめて、なんと声をかけようかと迷う。
「あなたの歳を聞いたことがあったかしら」
「なんだよ突然」
洗った顔から雫をこぼしながらマトリフは振り返る。その顔から寝不足であることは見て取れた。
なりひさ
DOODLEガンマト。現パロの夏祭り夏祭り「ガキじゃあるまいし手なんて繋ぐかよ」
照れて言った言葉だった。初めて二人で来た夏祭り。マトリフが暑さと喧騒に参っていたら、それに気付いたガンガディアが手を繋ごうと言ってくれた。だがマトリフは気恥ずかしさのほうが勝ってしまい、ぶっきらぼうに断ってしまった。
ガンガディアは差し出した手をすぐに引っ込めて、取り繕うように笑みを浮かべた。
「すまない。私なんかと手など繋ぎたくなかったか」
ではもう帰ろうかと言うガンガディアに、マトリフは口を曲げる。自分のせいだと分かりながらも、どうしても素直になることができなかった。
***
「はぐれたら困るだろ。手を繋いでくれよ」
毎年恒例になった夏祭りでマトリフはガンガディアに手を向ける。ガンガディアも心得ているからその手を繋いだ。
947照れて言った言葉だった。初めて二人で来た夏祭り。マトリフが暑さと喧騒に参っていたら、それに気付いたガンガディアが手を繋ごうと言ってくれた。だがマトリフは気恥ずかしさのほうが勝ってしまい、ぶっきらぼうに断ってしまった。
ガンガディアは差し出した手をすぐに引っ込めて、取り繕うように笑みを浮かべた。
「すまない。私なんかと手など繋ぎたくなかったか」
ではもう帰ろうかと言うガンガディアに、マトリフは口を曲げる。自分のせいだと分かりながらも、どうしても素直になることができなかった。
***
「はぐれたら困るだろ。手を繋いでくれよ」
毎年恒例になった夏祭りでマトリフはガンガディアに手を向ける。ガンガディアも心得ているからその手を繋いだ。
なりひさ
DOODLEガンマト。もし魔族と人間の喋る言葉が違って、意思疎通できていない世界だったら。コトバ「なんだよ、またお前か」
現れた青いトロルを見てマトリフは辟易した。魔王軍のこのトロルとは何度も顔を合わせているが、他の連中より頭が切れるらしく、戦う度に苦戦していた。
青いトロルはマトリフに向かって何か言った。だが魔族の言葉は聞き取るのは難しい。拾えた単語から推測するに、また会った、だとか、逃がさない、だとか、そんなことを言っているのだろう。
「じゃあ捕まえてみろよ」
マトリフは高く飛び上がり、呪文を唱えた。だがトロルはそれを簡単に相殺してみせる。呪文が長けたトロルなんて聞いたことがなかった。
「だからお前の相手は嫌なんだよ」
今はアバンたちと別行動をとっていた。魔王の根城を捜索中だったのだ。このトロルが現れたということは根城は近いのかもしれない。
11592現れた青いトロルを見てマトリフは辟易した。魔王軍のこのトロルとは何度も顔を合わせているが、他の連中より頭が切れるらしく、戦う度に苦戦していた。
青いトロルはマトリフに向かって何か言った。だが魔族の言葉は聞き取るのは難しい。拾えた単語から推測するに、また会った、だとか、逃がさない、だとか、そんなことを言っているのだろう。
「じゃあ捕まえてみろよ」
マトリフは高く飛び上がり、呪文を唱えた。だがトロルはそれを簡単に相殺してみせる。呪文が長けたトロルなんて聞いたことがなかった。
「だからお前の相手は嫌なんだよ」
今はアバンたちと別行動をとっていた。魔王の根城を捜索中だったのだ。このトロルが現れたということは根城は近いのかもしれない。
なりひさ
DOODLEガンマト。ヤクザのガンガさんとどうしようもない男マト。過去からの因縁。あの頃は「マトリフさん……ですよね」
低い声に呼び止められて、マトリフはこのまま逃げてしまおうかと考えた。先ほどから後をつけられていることには気付いていた。盗み見た風体から、どこかの金貸しだと思ったからだ。
だが走って逃げるには難しい状況だ。ここはオフィス街で人通りが多く、すぐ先には横断歩道があるが信号は赤だ。路地に入って捕まったりしたら何をされるかわからない。
ここは穏便に済まそうとマトリフは振り返る。そしてその巨躯を見上げた。遠目に見た時から大きいと思ったが、直近で見るとかなりの迫力だ。スキンヘッドに刺青、スーツをきっちりと着込んでいるが、鍛え上げた肉体がはっきりとわかる。
「人違いだな」
まさかこんな言葉を信じるとは思わなかったが、大男ははっきりと動揺した。
22298低い声に呼び止められて、マトリフはこのまま逃げてしまおうかと考えた。先ほどから後をつけられていることには気付いていた。盗み見た風体から、どこかの金貸しだと思ったからだ。
だが走って逃げるには難しい状況だ。ここはオフィス街で人通りが多く、すぐ先には横断歩道があるが信号は赤だ。路地に入って捕まったりしたら何をされるかわからない。
ここは穏便に済まそうとマトリフは振り返る。そしてその巨躯を見上げた。遠目に見た時から大きいと思ったが、直近で見るとかなりの迫力だ。スキンヘッドに刺青、スーツをきっちりと着込んでいるが、鍛え上げた肉体がはっきりとわかる。
「人違いだな」
まさかこんな言葉を信じるとは思わなかったが、大男ははっきりと動揺した。
なりひさ
DOODLEガンマト。何も起こらない日常明日雨らしい ふと目が覚めて、薄暗い洞窟内の澱んだ空気を吸う。日が昇ってもいないのに目が覚めてしまった。閉め忘れた岩戸から波の音が聞こえる。
マトリフは寝床を抜け出して洞窟を出た。空はまだ夜の色をしている。波が岩に砕けて、その雫が足元に飛んだ。
目が醒めてしまったのなら釣りでもするかと釣竿を持って出たが、舟まで出すのは億劫だった。その辺りの石をひっくり返して虫を見つけて釣り針につける。適当な岩に座って釣り糸を垂らした。
「随分と早起きだね」
その声に振り向けばガンガディアが鍋を持って立っていた。近くの森に住むガンガディアはよくマトリフの洞窟を訪れる。その際に料理を持ってくることが多かった。
「いい匂いだな」
「教わったスープを作ってみたのだよ。あとで味見をしてくれないか」
998マトリフは寝床を抜け出して洞窟を出た。空はまだ夜の色をしている。波が岩に砕けて、その雫が足元に飛んだ。
目が醒めてしまったのなら釣りでもするかと釣竿を持って出たが、舟まで出すのは億劫だった。その辺りの石をひっくり返して虫を見つけて釣り針につける。適当な岩に座って釣り糸を垂らした。
「随分と早起きだね」
その声に振り向けばガンガディアが鍋を持って立っていた。近くの森に住むガンガディアはよくマトリフの洞窟を訪れる。その際に料理を持ってくることが多かった。
「いい匂いだな」
「教わったスープを作ってみたのだよ。あとで味見をしてくれないか」
なりひさ
DOODLEガンマト。入れ替わる二人チェンジリング「おっじゃましまーす」
ポップはいつものようにマトリフの洞窟へと訪れた。晴れた午後の穏やかな頃、波も穏やかで緩い風が吹いていた。
「その声はポップくん!」
洞窟の中から聞こえてきた声にポップはびっくりして立ち止まる。ポップくんと呼んでいつも出迎えてくれるのはガンガディアだが、今聞こえてきた声はガンガディアではなくマトリフの声だった。
するとこちらへと走ってくる足音が聞こえる。その足音もデストロールの足音にしては小さ過ぎた。案の定、顔を見せたのはマトリフだ。マトリフが走るなんて珍しい。
「やはりポップくんだ。ちょうどいい時に来てくれた」
マトリフに嬉しそうに言われてポップは後退る。ポップくん、なんてマトリフに呼ばれたことなんて今までに一度もない。それにそんな笑顔もだ。何か得体の知れないものを見たようにポップは逃げようとした。
6430ポップはいつものようにマトリフの洞窟へと訪れた。晴れた午後の穏やかな頃、波も穏やかで緩い風が吹いていた。
「その声はポップくん!」
洞窟の中から聞こえてきた声にポップはびっくりして立ち止まる。ポップくんと呼んでいつも出迎えてくれるのはガンガディアだが、今聞こえてきた声はガンガディアではなくマトリフの声だった。
するとこちらへと走ってくる足音が聞こえる。その足音もデストロールの足音にしては小さ過ぎた。案の定、顔を見せたのはマトリフだ。マトリフが走るなんて珍しい。
「やはりポップくんだ。ちょうどいい時に来てくれた」
マトリフに嬉しそうに言われてポップは後退る。ポップくん、なんてマトリフに呼ばれたことなんて今までに一度もない。それにそんな笑顔もだ。何か得体の知れないものを見たようにポップは逃げようとした。
なりひさ
DOODLEガンマト。こっそり会う敵同士の二人密会 旅の途中で大きな街に立ち寄った。久しぶりの街の賑やかさに若い連中は浮かれている。マトリフもようやくベッドで眠れると思うと足が軽くなった。
先に宿屋をおさえようと街の大きな通りを歩く。人通りが多く、アバンを先頭にしてマトリフは一番後ろにいた。
すると誰かに手を引かれた。驚いて振り返ると青年が立っている。見かけない顔だが、それが誰だか理解してマトリフは慌ててその青年の手を引いた。
「どうしたマトリフ」
気配に鋭いロカが振り返る。ロカはマトリフの手を青年が掴んでいるのを見た。
「いや、知り合いだ。ちょっくら飲んでくるから、先に宿屋に行っててくれ」
言いながらマトリフは青年を連れて路地裏のほうへと向かう。怪しまれなかっただろうかと振り返るが、ロカたちは人混みに紛れて見えなくなっていた。
1951先に宿屋をおさえようと街の大きな通りを歩く。人通りが多く、アバンを先頭にしてマトリフは一番後ろにいた。
すると誰かに手を引かれた。驚いて振り返ると青年が立っている。見かけない顔だが、それが誰だか理解してマトリフは慌ててその青年の手を引いた。
「どうしたマトリフ」
気配に鋭いロカが振り返る。ロカはマトリフの手を青年が掴んでいるのを見た。
「いや、知り合いだ。ちょっくら飲んでくるから、先に宿屋に行っててくれ」
言いながらマトリフは青年を連れて路地裏のほうへと向かう。怪しまれなかっただろうかと振り返るが、ロカたちは人混みに紛れて見えなくなっていた。
なりひさ
DOODLEガンマト。ガンガ吸血鬼バージョンと、マト吸血鬼バージョン。吸血鬼パロ 開け放った窓から入る風によってカーテンが音を立てて靡いていた。暗闇に浮かぶ満月のため今夜は明るい。
マトリフは思わず首筋を撫でていた。そこには僅かに残る牙の跡がある。今夜もあいつが来るだろう。
するとチャイムが鳴った。どこか安っぽくて間延びした音に、マトリフはスリッパを鳴らして玄関へと行く。マトリフは確かめもせずドアを開けた。
「お邪魔します」
丁寧に頭を下げるガンガディアに、マトリフは口を曲げる。思ってたのと違うよなあと思ったのは何度目だろうか。
ガンガディアは吸血鬼だ。そしてマトリフはガンガディアの餌食である。といっても、ガンガディアは物語にあるような黒いマントは着ていないし、コウモリなんかに変化もできない。普段は善良な公務員として仕事をしているし、納税もしている。ただ月に一度だけは人間の血を飲んでいた。
1310マトリフは思わず首筋を撫でていた。そこには僅かに残る牙の跡がある。今夜もあいつが来るだろう。
するとチャイムが鳴った。どこか安っぽくて間延びした音に、マトリフはスリッパを鳴らして玄関へと行く。マトリフは確かめもせずドアを開けた。
「お邪魔します」
丁寧に頭を下げるガンガディアに、マトリフは口を曲げる。思ってたのと違うよなあと思ったのは何度目だろうか。
ガンガディアは吸血鬼だ。そしてマトリフはガンガディアの餌食である。といっても、ガンガディアは物語にあるような黒いマントは着ていないし、コウモリなんかに変化もできない。普段は善良な公務員として仕事をしているし、納税もしている。ただ月に一度だけは人間の血を飲んでいた。
なりひさ
DOODLE色々。#字書きで性癖メーカーアタック で書いたもの字書きで性癖メーカーアタック①第三者視点cp ガンマト
②恋人の鉄壁ガード ディーマト
③特別な呼び名 バルマト
④看病 ガンマト
① 第三者視点cp ガンマト
兄者と感動の再会を果たして世界を救った。するとトロルがやってきた。
一難去ってまた一難どころか何度目の災難だろうかとまぞっほは思う。こんな極寒の地で凍りついた爆弾と一緒に最後を迎えるなんてあんまりだ。
青くて巨大なトロルがこちらを見下ろしてくる。今度こそ一巻の終わりだと思って念仏を唱え始めたが、兄者はそのトロルは敵ではないと言った。それどころか、そのトロルはみんなを極寒の地から救ってくれた。
「温かい茶を飲むといい」
トロルがみんなのぶんの茶を机に並べていく。ここはバルジ島近くの洞窟で、兄者の棲家だという。ガンガディアと名乗ったトロルはみんなをルーラでここへと連れてきてくれた。
8517②恋人の鉄壁ガード ディーマト
③特別な呼び名 バルマト
④看病 ガンマト
① 第三者視点cp ガンマト
兄者と感動の再会を果たして世界を救った。するとトロルがやってきた。
一難去ってまた一難どころか何度目の災難だろうかとまぞっほは思う。こんな極寒の地で凍りついた爆弾と一緒に最後を迎えるなんてあんまりだ。
青くて巨大なトロルがこちらを見下ろしてくる。今度こそ一巻の終わりだと思って念仏を唱え始めたが、兄者はそのトロルは敵ではないと言った。それどころか、そのトロルはみんなを極寒の地から救ってくれた。
「温かい茶を飲むといい」
トロルがみんなのぶんの茶を机に並べていく。ここはバルジ島近くの洞窟で、兄者の棲家だという。ガンガディアと名乗ったトロルはみんなをルーラでここへと連れてきてくれた。
なりひさ
DOODLEガンマト。爆速転生したマト(幼児)待たせたな マトリフがこの世を去って十年が経つ。私はまだ彼のことが忘れられない。
波の音は今日も絶えない。この洞窟にいると時間の感覚が麻痺していくようだ。人里離れた場所であるから人間はいないし、大渦があるせいか魔物も寄り付かない。
ただ日々は穏やかに過ぎていく。昨日と同じようで少しだけ違う日々が、波のように無限に繰り返していく。そこにささやかな楽しみを見出すこともできずに、あれほど愛読した本すらも、最近では埃を被っている。
旅に出るのも気晴らしになると勧めてくれたのはマトリフの愛弟子だ。だがその言葉もその場限り頷いただけで終わってしまった。いつの間にか少年から立派な青年に成長した姿を、マトリフも見たかっただろう。あれほど心配していた宮仕えでの苦労も杞憂に終わり、後進育成に力を入れているようだ。たまにこの洞窟へと訪れては、マトリフの思い出に付き合ってくれる。
14856波の音は今日も絶えない。この洞窟にいると時間の感覚が麻痺していくようだ。人里離れた場所であるから人間はいないし、大渦があるせいか魔物も寄り付かない。
ただ日々は穏やかに過ぎていく。昨日と同じようで少しだけ違う日々が、波のように無限に繰り返していく。そこにささやかな楽しみを見出すこともできずに、あれほど愛読した本すらも、最近では埃を被っている。
旅に出るのも気晴らしになると勧めてくれたのはマトリフの愛弟子だ。だがその言葉もその場限り頷いただけで終わってしまった。いつの間にか少年から立派な青年に成長した姿を、マトリフも見たかっただろう。あれほど心配していた宮仕えでの苦労も杞憂に終わり、後進育成に力を入れているようだ。たまにこの洞窟へと訪れては、マトリフの思い出に付き合ってくれる。
なりひさ
DOODLEガンマト。魔物食、人間食きょう何食べた?「スライムのスープは好きじゃねえって言っただろ」
マトリフは湯気を上げる皿を見つめて不満を言った。この独特な匂いは間違いなくスライムスープで、色からすると材料はスライムベスだろう。どろどろしたスープは夕焼けのような色をしていた。
「栄養があるのだから好き嫌いせずに食べないと」
そう言うガンガディアは白いエプロンをつけておたまを持っている。ガンガディアはマトリフのために毎日せっせと食事を作っていた。使われる材料は魔物で、手に入りやすいスライムはスープになってよく食卓に並んでいた。
マトリフは口を曲げてスプーンを持つ。スライムスープは匂いが独特なだけで味は悪くはない。だが匂いは重要だ。そこで美味しさが左右されるといっても過言ではない。
1788マトリフは湯気を上げる皿を見つめて不満を言った。この独特な匂いは間違いなくスライムスープで、色からすると材料はスライムベスだろう。どろどろしたスープは夕焼けのような色をしていた。
「栄養があるのだから好き嫌いせずに食べないと」
そう言うガンガディアは白いエプロンをつけておたまを持っている。ガンガディアはマトリフのために毎日せっせと食事を作っていた。使われる材料は魔物で、手に入りやすいスライムはスープになってよく食卓に並んでいた。
マトリフは口を曲げてスプーンを持つ。スライムスープは匂いが独特なだけで味は悪くはない。だが匂いは重要だ。そこで美味しさが左右されるといっても過言ではない。
なりひさ
DOODLEガンマト。ガンガさんを復活させたマトかっこいいとは 灰の中で目を覚ました。燃え尽きたはずの手が見える。あたりは暗く、月明かりだけがあたりを照らしていた。
「よお」
それは大魔道士の声だった。立ちあがろうと地面に手をつくが、身体が思うように動かなかった。
すると目の前に大魔道士が降り立った。灰が舞い上がって月光に照らされる。
「私は……死んだのではないのか」
戦いに敗れた記憶がはっきりと残っている。だが消滅したはずの体が元通りになっていた。消滅した肉体は回復呪文でも元には戻らないはずなのに。
「死んでねえからそこにいるんだろ」
大魔道士も戦いで負ったはずの傷が癒えていた。夜になっているということは、あれから時間が経っているのだろう。
「ハドラー様は」
「アバンが倒しちまったぜ。さて、お前はどうする」
1335「よお」
それは大魔道士の声だった。立ちあがろうと地面に手をつくが、身体が思うように動かなかった。
すると目の前に大魔道士が降り立った。灰が舞い上がって月光に照らされる。
「私は……死んだのではないのか」
戦いに敗れた記憶がはっきりと残っている。だが消滅したはずの体が元通りになっていた。消滅した肉体は回復呪文でも元には戻らないはずなのに。
「死んでねえからそこにいるんだろ」
大魔道士も戦いで負ったはずの傷が癒えていた。夜になっているということは、あれから時間が経っているのだろう。
「ハドラー様は」
「アバンが倒しちまったぜ。さて、お前はどうする」
なりひさ
DOODLEガンマト。女体化したマトがガンガさんを誘うにょ マトリフは髪を指で遊ばせながらガンガディアを見上げた。ガンガディアの目にも今のマトリフは絶世の美女に映っているだろう。
マトリフとガンガディアはモシャスをして街でデートをしてきた。ガンガディアは筋骨隆々の人間の男に、マトリフは若くて美しい女に化けていた。そうやってデートを楽しんで、洞窟に帰ってきたが、早々にモシャスを解いたガンガディアとは違い、マトリフはまだ美女の姿のままだった。この姿のままでガンガディアを少々からかってみたかったからだ。
「なぁ……このままヤるか?」
身体をくねらせて、でかい胸と尻を強調するポーズでウィンクのひとつもくれてやる。もし自分が言われたら飛びつくだろう台詞も、ガンガディアなら一笑に付すだろうと思っていた。少しでもドギマギする姿が見れたら暫くは笑いのタネになる。
1559マトリフとガンガディアはモシャスをして街でデートをしてきた。ガンガディアは筋骨隆々の人間の男に、マトリフは若くて美しい女に化けていた。そうやってデートを楽しんで、洞窟に帰ってきたが、早々にモシャスを解いたガンガディアとは違い、マトリフはまだ美女の姿のままだった。この姿のままでガンガディアを少々からかってみたかったからだ。
「なぁ……このままヤるか?」
身体をくねらせて、でかい胸と尻を強調するポーズでウィンクのひとつもくれてやる。もし自分が言われたら飛びつくだろう台詞も、ガンガディアなら一笑に付すだろうと思っていた。少しでもドギマギする姿が見れたら暫くは笑いのタネになる。
なりひさ
DOODLEガンマト。マトの体を乗っ取ったガンガ乗っ取り「大丈夫ですか、マトリフ!」
巻き上がる砂塵の向こうで蹲るマトリフに向かって叫んだ。アバンは剣を離さずにあたりを窺う。魔物の群れは不利を悟って引いていったが、まだ油断はできなかった。
やはりこの森はどこかおかしい。森に入って間も無くロカとレイラとも逸れてしまった。そしてそれを狙ったような魔物の群れの奇襲。魔王の影響を逃れて穏やかになったはずの魔物たちが、あれほど凶暴化するのは何か理由があるはずだ。アバンたちは森の瘴気のせいか身体が思うように動かず、なんとかマトリフの呪文で魔物を追い払った。
「マトリフ?」
立ち上がったマトリフは俯いたままだった。その横顔に違和感を覚える。どこか冷徹さを感じる表情のマトリフがこちらを見た。
2150巻き上がる砂塵の向こうで蹲るマトリフに向かって叫んだ。アバンは剣を離さずにあたりを窺う。魔物の群れは不利を悟って引いていったが、まだ油断はできなかった。
やはりこの森はどこかおかしい。森に入って間も無くロカとレイラとも逸れてしまった。そしてそれを狙ったような魔物の群れの奇襲。魔王の影響を逃れて穏やかになったはずの魔物たちが、あれほど凶暴化するのは何か理由があるはずだ。アバンたちは森の瘴気のせいか身体が思うように動かず、なんとかマトリフの呪文で魔物を追い払った。
「マトリフ?」
立ち上がったマトリフは俯いたままだった。その横顔に違和感を覚える。どこか冷徹さを感じる表情のマトリフがこちらを見た。
なりひさ
DOODLEガンマト。マトがアバにしょうもない相談をするここだけの話「それで、相談って?」
アバンは茶を差し出してたずねた。マトリフは神妙な顔をしたまま、あたりを視線だけで見やる。アバンは向かいに腰を下ろしながら、安心させるように言った。
「大丈夫ですよ。ハドラーなら夕方まで帰ってきませんから」
マトリフは口を曲げたまま小さく頷いた。その様子はいつもの飄々としたマトリフではない。マトリフは突然にアバンを訪ねてきたと思ったら、真剣で重苦しい雰囲気で「ちょっと相談に乗ってくれねぇか」と言ったのだ。
マトリフの相談なら珍しくない。ガンガディアを伴侶としたマトリフと、ハドラーを選んだアバンは境遇が似ているために、お互いによく相談し合っていた。
だがマトリフの話といえば相談というよりも惚気話だった。マトリフはいつもガンガディアとの生活における些細な出来事をアバンに愚痴りに来るのだが、聞いているアバンからすれば他愛のない惚気なのだった。
1610アバンは茶を差し出してたずねた。マトリフは神妙な顔をしたまま、あたりを視線だけで見やる。アバンは向かいに腰を下ろしながら、安心させるように言った。
「大丈夫ですよ。ハドラーなら夕方まで帰ってきませんから」
マトリフは口を曲げたまま小さく頷いた。その様子はいつもの飄々としたマトリフではない。マトリフは突然にアバンを訪ねてきたと思ったら、真剣で重苦しい雰囲気で「ちょっと相談に乗ってくれねぇか」と言ったのだ。
マトリフの相談なら珍しくない。ガンガディアを伴侶としたマトリフと、ハドラーを選んだアバンは境遇が似ているために、お互いによく相談し合っていた。
だがマトリフの話といえば相談というよりも惚気話だった。マトリフはいつもガンガディアとの生活における些細な出来事をアバンに愚痴りに来るのだが、聞いているアバンからすれば他愛のない惚気なのだった。
なりひさ
DOODLEガンマト。ピアスと転生と記憶ドーナツホール 熱を分け合って、眠るにはまだ余韻が残っている夜だった。隣に身を横たえているマトリフも同じなのか、先ほどからその細い指が戯れるように私の体に触れていた。
その指の感触がくすぐったい。まるで筋肉の境目を探すように動いていて、それが肩のあたりまで上がってきた。
「眠れないのかね」
マトリフはそれには答えずに指を私の首筋まで進めた。骨の存在を確かめるように撫でてから、次は血管に触れる。指はさらに上へと辿り、耳に触れた。行為の前にピアスを外していたから、今は穴が露わになっている。
「これって痛くねえの?」
そこにある穴を指先で確かめる様に触れられる。やはりくすぐったかった。
「痛いというほどではなかったよ」
マトリフは気のないように頷いてから、そのまま私の耳を触り続けた。それがくすぐったいようで、ほんのりとした心地良さもある。
1948その指の感触がくすぐったい。まるで筋肉の境目を探すように動いていて、それが肩のあたりまで上がってきた。
「眠れないのかね」
マトリフはそれには答えずに指を私の首筋まで進めた。骨の存在を確かめるように撫でてから、次は血管に触れる。指はさらに上へと辿り、耳に触れた。行為の前にピアスを外していたから、今は穴が露わになっている。
「これって痛くねえの?」
そこにある穴を指先で確かめる様に触れられる。やはりくすぐったかった。
「痛いというほどではなかったよ」
マトリフは気のないように頷いてから、そのまま私の耳を触り続けた。それがくすぐったいようで、ほんのりとした心地良さもある。
なりひさ
DOODLEガンマト。酔ってアバとガンガを見間違えるマト。ハドアバ同軸。酔い「まだ酔ってねぇよ」
とマトリフは酔っ払いの常套句を呂律の回らない口で宣った。マトリフは酒好きだがあまり強い方ではなく、小一時間もすればすっかり出来上がってしまった。
「おいガンガディア、酒持ってこいよぉ」
机に突っ伏しているにも関わらず、マトリフはさらに酒を所望した。だが今ここにガンガディアはおらず、それを忘れてガンガディアを呼んでいるあたり、マトリフの酔い加減が伺える。
「そろそろ止めておいたほうがいいですよ」
一緒に飲んでいたアバンが言う。アバンはゆっくり飲んでいたので、まだ酔ってはいなかった。むしろマトリフがこうなるとわかっていたので、酔わないように酒の量を調整していた。
「大丈夫かよ師匠」
赤い顔をしたポップがマトリフの肩を揺さぶる。ポップも酔いが回っているようで、緩んだ表情をしていた。
3440とマトリフは酔っ払いの常套句を呂律の回らない口で宣った。マトリフは酒好きだがあまり強い方ではなく、小一時間もすればすっかり出来上がってしまった。
「おいガンガディア、酒持ってこいよぉ」
机に突っ伏しているにも関わらず、マトリフはさらに酒を所望した。だが今ここにガンガディアはおらず、それを忘れてガンガディアを呼んでいるあたり、マトリフの酔い加減が伺える。
「そろそろ止めておいたほうがいいですよ」
一緒に飲んでいたアバンが言う。アバンはゆっくり飲んでいたので、まだ酔ってはいなかった。むしろマトリフがこうなるとわかっていたので、酔わないように酒の量を調整していた。
「大丈夫かよ師匠」
赤い顔をしたポップがマトリフの肩を揺さぶる。ポップも酔いが回っているようで、緩んだ表情をしていた。
なりひさ
DOODLEガンマト。ガンガさんを燃やしたマトあそこに燃えてるものが見えるかね 目が覚めたときに、真っ先に感じたのは匂いだった。生き物が燃える匂い。それはここら一帯に広がっており、既にマトリフの体に染みついていた。
マトリフはわざと見ないように顔を背ける。何が燃えたのか、まさか忘れたわけではなかった。
それよりも先を進んだ仲間の心配をしなければと、頭を切り替える。殺した好敵手に手向けるものは何もなかった。
「……どうした、マトリフ」
幼子に手を握られて、よほど自分が酷い顔をしているのだと気付く。顔を背けてもその燃えた亡骸が無くなるわけではない。視界の端には黒く燃え残った塊があった。
それはもはやガンガディアではなかった。燃え尽きた亡骸は煙すら上がっていない。その輪郭は崩れ、吹き飛んだ体の破片は灰になっていた。
835マトリフはわざと見ないように顔を背ける。何が燃えたのか、まさか忘れたわけではなかった。
それよりも先を進んだ仲間の心配をしなければと、頭を切り替える。殺した好敵手に手向けるものは何もなかった。
「……どうした、マトリフ」
幼子に手を握られて、よほど自分が酷い顔をしているのだと気付く。顔を背けてもその燃えた亡骸が無くなるわけではない。視界の端には黒く燃え残った塊があった。
それはもはやガンガディアではなかった。燃え尽きた亡骸は煙すら上がっていない。その輪郭は崩れ、吹き飛んだ体の破片は灰になっていた。
なりひさ
DOODLEガンマト。初夜の翌日お迎え 恥ずかしさなんて、と人は言うかもしれない。だが尊大な羞恥心と臆病な自尊心を後生大事に抱えて今まで生きてきたマトリフにとっては、はじめて抱かれた記憶は途轍もなく大変なものだった。
いや、本当はオレが余裕たっぷりにリードしてやるつもりだったんだとマトリフは思い返す。ガンガディアがそういう行為に疎いと思い込んでいたからだ。
だがいざその時になると、あれよあれよという間にマトリフは翻弄されていた。散々に啼かされ、身体に快感を刻まれ、本能のままに何か口走っていた。そんな記憶は都合よく消えてはくれず、思い出すたびに顔から火炎系呪文が撃てそうなほどだった。
「鬱陶しいぞ」
苛立った声が聞こえてきたが無視する。マトリフは一旦冷静になろうと訪れた地底魔城で膝を抱えていた。そこへこの城の主であるハドラーが通りかかって煩く文句を言ってきていた。無視だ無視。オレは一人で冷静に考え事がしたいのだと、マトリフはハドラーに背を向けている。
2635いや、本当はオレが余裕たっぷりにリードしてやるつもりだったんだとマトリフは思い返す。ガンガディアがそういう行為に疎いと思い込んでいたからだ。
だがいざその時になると、あれよあれよという間にマトリフは翻弄されていた。散々に啼かされ、身体に快感を刻まれ、本能のままに何か口走っていた。そんな記憶は都合よく消えてはくれず、思い出すたびに顔から火炎系呪文が撃てそうなほどだった。
「鬱陶しいぞ」
苛立った声が聞こえてきたが無視する。マトリフは一旦冷静になろうと訪れた地底魔城で膝を抱えていた。そこへこの城の主であるハドラーが通りかかって煩く文句を言ってきていた。無視だ無視。オレは一人で冷静に考え事がしたいのだと、マトリフはハドラーに背を向けている。
なりひさ
DONEおたダイ展示作品。ガンマトの両片思い。月影に隠す言葉 大魔道士は突然にやって来た。手には分厚い魔導書を携えている。
「暇だろ」
開口一番に決めつけられて、やや気分を害する。私がここ数日読み込んでいる魔導書は終盤に差し掛かっていた。魔力と呪文の無限の可能性に感銘を受けるほどの良書である。それでも私はその魔導書を閉じた。
「どうしたのかね。あなたがここまで来るなんて珍しい」
この棲家は森の奥深くにある。人間に敗れた魔王軍の生き残りは、人間のいない場所でひっそりと生きるしかない。だが普段はスライムなどの魔物すら寄り付かず静かなので、読書には最適の場所と言えた。大魔道士が住む洞窟からなら歩いても来られる距離にあるが、普段は私が大魔道士の洞窟へと赴いているから、大魔道士がこの棲家へ訪ねてきたのは初めてだった。
13212「暇だろ」
開口一番に決めつけられて、やや気分を害する。私がここ数日読み込んでいる魔導書は終盤に差し掛かっていた。魔力と呪文の無限の可能性に感銘を受けるほどの良書である。それでも私はその魔導書を閉じた。
「どうしたのかね。あなたがここまで来るなんて珍しい」
この棲家は森の奥深くにある。人間に敗れた魔王軍の生き残りは、人間のいない場所でひっそりと生きるしかない。だが普段はスライムなどの魔物すら寄り付かず静かなので、読書には最適の場所と言えた。大魔道士が住む洞窟からなら歩いても来られる距離にあるが、普段は私が大魔道士の洞窟へと赴いているから、大魔道士がこの棲家へ訪ねてきたのは初めてだった。
なりひさ
DOODLE初夜後の気まずいガンマトはじめての後で「もう起きていたのかね」
背後から声をかけられて、マトリフはびくりと肩を跳ねさせた。まだ夜が明けきっていない海辺に、マトリフは一人で座り込んでいた。
「……おぅ」
マトリフは振り返らなかった。顔を合わせるのが気まずかったからだ。
ガンガディアは屈むとマトリフの背にそっと手を当てた。
「身体は大丈夫かね。昨夜はあなたに無理をさせてしまって……随分と辛そうだったが」
「言うな言うな。夜の話を朝にするのは野暮だぜ」
マトリフはガンガディアの手を避けるように立ち上がった。回復呪文をかけた身体は傷ひとつない。だがガンガディアに触れられた感触は消えていなかった。囁かれた言葉も耳に残っている。眼差し力強さもそこに籠った熱も、全てが目を瞑っても思い出されてしまって、マトリフは羞恥で肌を赤くさせた。
1091背後から声をかけられて、マトリフはびくりと肩を跳ねさせた。まだ夜が明けきっていない海辺に、マトリフは一人で座り込んでいた。
「……おぅ」
マトリフは振り返らなかった。顔を合わせるのが気まずかったからだ。
ガンガディアは屈むとマトリフの背にそっと手を当てた。
「身体は大丈夫かね。昨夜はあなたに無理をさせてしまって……随分と辛そうだったが」
「言うな言うな。夜の話を朝にするのは野暮だぜ」
マトリフはガンガディアの手を避けるように立ち上がった。回復呪文をかけた身体は傷ひとつない。だがガンガディアに触れられた感触は消えていなかった。囁かれた言葉も耳に残っている。眼差し力強さもそこに籠った熱も、全てが目を瞑っても思い出されてしまって、マトリフは羞恥で肌を赤くさせた。
なりひさ
DOODLEマトを元気付けるガンガさん元気の在庫「ガンガディア」
マトリフは言って両手を広げた。ガンガディアはマトリフを見下ろして首を傾げる。
マトリフは突然にやってきたと思えば、ガンガディアの目の前に立った。何やら思い詰めた顔をしており、どうしたのかと思っていたら、突然にガンガディアに向かって両手を広げてみせた。
「……何かね?」
ガンガディアはマトリフの行動が何を意味するのかわからず首を傾げる。ガンガディアを見上げながら両手を広げるマトリフの姿が、おおありくいの威嚇のポーズのように見えた。
はて、私はマトリフを怒らせることをしたのだろうか。ガンガディアは昨日のマトリフの様子を思い返してみたが、特段変わったことは無かったはずだ。
「……ハグだよハグ。抱きしめろ」
899マトリフは言って両手を広げた。ガンガディアはマトリフを見下ろして首を傾げる。
マトリフは突然にやってきたと思えば、ガンガディアの目の前に立った。何やら思い詰めた顔をしており、どうしたのかと思っていたら、突然にガンガディアに向かって両手を広げてみせた。
「……何かね?」
ガンガディアはマトリフの行動が何を意味するのかわからず首を傾げる。ガンガディアを見上げながら両手を広げるマトリフの姿が、おおありくいの威嚇のポーズのように見えた。
はて、私はマトリフを怒らせることをしたのだろうか。ガンガディアは昨日のマトリフの様子を思い返してみたが、特段変わったことは無かったはずだ。
「……ハグだよハグ。抱きしめろ」
なりひさ
DOODLEネガティブなガンガさん愛なんて「少しは片付けたまえ大魔道士」
ガンガディアはマトリフの寝室を見ながら言った。マトリフの寝室は雑然としており、本も酒瓶も散乱している。
「面倒臭え」
マトリフはベッドに寝転んだまま本のページをめくっている。素晴らしい知能を持っているマトリフだが、日常生活における几帳面さは持ち合わせていないようだった。
だがガンガディアは物が散らかっているのは落ち着かない性質だった。ガンガディアは身を屈めると落ちている物を拾い始める。
ガンガディアがこの洞窟に居着いてまだ数日。行く場所がないとマトリフに言ったら、じゃあオレのとこに来いと言われた。少々狭いが身を隠すには適している。
ガンガディアはマトリフと寝起きを共にするようになって気付いたことがある。それはマトリフが日常生活の雑事を疎かにしがちということだ。だが不思議とその事でマトリフに憧れる気持ちが損なわれるということはなかった。
843ガンガディアはマトリフの寝室を見ながら言った。マトリフの寝室は雑然としており、本も酒瓶も散乱している。
「面倒臭え」
マトリフはベッドに寝転んだまま本のページをめくっている。素晴らしい知能を持っているマトリフだが、日常生活における几帳面さは持ち合わせていないようだった。
だがガンガディアは物が散らかっているのは落ち着かない性質だった。ガンガディアは身を屈めると落ちている物を拾い始める。
ガンガディアがこの洞窟に居着いてまだ数日。行く場所がないとマトリフに言ったら、じゃあオレのとこに来いと言われた。少々狭いが身を隠すには適している。
ガンガディアはマトリフと寝起きを共にするようになって気付いたことがある。それはマトリフが日常生活の雑事を疎かにしがちということだ。だが不思議とその事でマトリフに憧れる気持ちが損なわれるということはなかった。
なりひさ
DOODLE片思いガンマト。片思いガンガさんの続きその花弁を頂戴「ったく、しつけーんだよ!!」
マトリフは飛びながら悪態をついていた。マトリフは高速トベルーラで砂漠を飛んでいる。そのマトリフの真後ろをガンガディアが追っていた。
「逃げ場はないぞ大魔道士」
「うるせぇッ!」
ガンガディアは飛びながらもイオなどを撃ってくるので、マトリフはルーラで逃げることも出来なかった。少しでもトベルーラの速度を落とせば捕まってしまう。街と違って遮蔽物のない広い砂漠で逃げ回るのは困難だった。
マトリフは単独行動をしていたため、仲間の助けも望めなかった。このまま追いかけっこをしていても魔法力が減るばかりだ。
マトリフは上空に向けて急上昇した。そのまま宙返りをする。マトリフはガンガディアと向かい合う形になった。ガンガディアは突然の方向転換にもついてきていた。
1013マトリフは飛びながら悪態をついていた。マトリフは高速トベルーラで砂漠を飛んでいる。そのマトリフの真後ろをガンガディアが追っていた。
「逃げ場はないぞ大魔道士」
「うるせぇッ!」
ガンガディアは飛びながらもイオなどを撃ってくるので、マトリフはルーラで逃げることも出来なかった。少しでもトベルーラの速度を落とせば捕まってしまう。街と違って遮蔽物のない広い砂漠で逃げ回るのは困難だった。
マトリフは単独行動をしていたため、仲間の助けも望めなかった。このまま追いかけっこをしていても魔法力が減るばかりだ。
マトリフは上空に向けて急上昇した。そのまま宙返りをする。マトリフはガンガディアと向かい合う形になった。ガンガディアは突然の方向転換にもついてきていた。
なりひさ
DOODLE現パロガンマト今日きみを食べたい「それ何に使うんだ」
マトリフの問いに、ガンガディアは視線を持っていた長ネギからマトリフへと移した。
「今夜は鍋にしようかと」
「じゃあシメは雑炊がいい」
「ではそうしよう」
ガンガディアは長ネギを買い物かごへと入れる。長いからどうしてもかごから飛び出るそれを、どうにか邪魔にならないようにと収めた。
年末のスーパーマーケットはいつもより混雑している。家族連れの買い物客が多く、そんな客向けに用意された大人数用の肉などがずらりと陳列されていた。
ガンガディアとマトリフはいつも通りの二人分の食材をかごへと入れながら、客の合間をぬって移動していく。
「ああそうだ、酒は買っておくのかね?」
家にあった酒はマトリフがクリスマスに飲み尽くした気がして、ガンガディアはマトリフに問いかける。しかし返事は返ってこず、振り向けばそこにマトリフはいなかった。どこだろうとあたりを見ると、先ほどいた場所あたりにマトリフがいるのが見えた。人が多すぎて前に進めないらしい。
892マトリフの問いに、ガンガディアは視線を持っていた長ネギからマトリフへと移した。
「今夜は鍋にしようかと」
「じゃあシメは雑炊がいい」
「ではそうしよう」
ガンガディアは長ネギを買い物かごへと入れる。長いからどうしてもかごから飛び出るそれを、どうにか邪魔にならないようにと収めた。
年末のスーパーマーケットはいつもより混雑している。家族連れの買い物客が多く、そんな客向けに用意された大人数用の肉などがずらりと陳列されていた。
ガンガディアとマトリフはいつも通りの二人分の食材をかごへと入れながら、客の合間をぬって移動していく。
「ああそうだ、酒は買っておくのかね?」
家にあった酒はマトリフがクリスマスに飲み尽くした気がして、ガンガディアはマトリフに問いかける。しかし返事は返ってこず、振り向けばそこにマトリフはいなかった。どこだろうとあたりを見ると、先ほどいた場所あたりにマトリフがいるのが見えた。人が多すぎて前に進めないらしい。
なりひさ
DOODLEガンガさんの恋を応援するキギロ好き嫌い好き好き 大きなため息が聞こえてキギロは足を止めた。地底魔城の奥深く、そこはガンガディアの部屋の前だった。見れば扉は少し開いている。その隙間から見ると、ガンガディアが難しい顔をしていた。
ガンガディアはハドラーからの信頼も厚く、任される仕事も多いのだろう。真面目な性格から、ストレスでも溜め込んでいるのかもしれない。
キギロは扉をノックしてから部屋へと入った。
「どうしたのさ、大きなため息なんてついて」
「キギロか。少し考え事をしていたんだ」
「またハドラー様に無理難題を押し付けられた?」
「いや、ごく個人的な悩み事だ」
そこでキギロはピンときた。ガンガディアの表情が、あまりにもわかりやすかったからだ。
「……もしかして、恋煩いだったりして?」
1510ガンガディアはハドラーからの信頼も厚く、任される仕事も多いのだろう。真面目な性格から、ストレスでも溜め込んでいるのかもしれない。
キギロは扉をノックしてから部屋へと入った。
「どうしたのさ、大きなため息なんてついて」
「キギロか。少し考え事をしていたんだ」
「またハドラー様に無理難題を押し付けられた?」
「いや、ごく個人的な悩み事だ」
そこでキギロはピンときた。ガンガディアの表情が、あまりにもわかりやすかったからだ。
「……もしかして、恋煩いだったりして?」
なりひさ
DOODLEガンマトのクリスマス聖夜の勢い もうすぐクリスマスだとマトリフが気付いたのは、そのクリスマスのたった数日前だった。
普段の暮らしが人里離れた洞窟暮らしで、一緒に暮らしているガンガディアも人間の習慣に疎いものだから、クリスマスなんてイベントの存在はすっかり忘れていた。
マトリフは久しぶりに来た街がきらびやかに飾り付けされているのを見て、そういえばそんな季節だと思い出したのだった。
といってもマトリフも特殊な里の育ちであるから、クリスマスには馴染みがなかった。これまでクリスマスを楽しんだ記憶もない。だが今は恋人になったガンガディアと一緒に暮らしているのだし、少しくらいそれっぽい事をしてもいいかと思い立った。
そして迎えたクリスマス当日。マトリフは上機嫌で数日前に買った酒瓶のコルクを引き抜いた。それをガンガディアが目敏く見つける。
2614普段の暮らしが人里離れた洞窟暮らしで、一緒に暮らしているガンガディアも人間の習慣に疎いものだから、クリスマスなんてイベントの存在はすっかり忘れていた。
マトリフは久しぶりに来た街がきらびやかに飾り付けされているのを見て、そういえばそんな季節だと思い出したのだった。
といってもマトリフも特殊な里の育ちであるから、クリスマスには馴染みがなかった。これまでクリスマスを楽しんだ記憶もない。だが今は恋人になったガンガディアと一緒に暮らしているのだし、少しくらいそれっぽい事をしてもいいかと思い立った。
そして迎えたクリスマス当日。マトリフは上機嫌で数日前に買った酒瓶のコルクを引き抜いた。それをガンガディアが目敏く見つける。
なりひさ
DOODLE現パロ片思いガンマト夢のチケット「八番〜!」
マイクを持った幹事が高らかに言う。マトリフは手に持ったカードを見て、その数字があったので穴を開けた。会場は喜ぶ声や全く関係のない雑談でざわめいている。
忘年会兼クリスマス会と称された飲み会で、余興としてビンゴ大会が催されていた。全員参加ですよとアバンに連れて来られて、食って飲んで程よく酔ったところでビンゴカードを渡された。
「……揃わないものだな」
隣に座った大男が生真面目そうに呟いた。情報システム部のガンガディアだ。ガンガディアは飲み会だというのに正座をしたままでネクタイすら緩めていない。ガンガディアは仕事は出来るが物静かで、マトリフは仕事の話しかしたことがなかった。
マトリフも自分の手のビンゴカードを見る。いくつか穴が空いているものの、てんでバラバラの場所なのでビンゴには程遠かった。
8775マイクを持った幹事が高らかに言う。マトリフは手に持ったカードを見て、その数字があったので穴を開けた。会場は喜ぶ声や全く関係のない雑談でざわめいている。
忘年会兼クリスマス会と称された飲み会で、余興としてビンゴ大会が催されていた。全員参加ですよとアバンに連れて来られて、食って飲んで程よく酔ったところでビンゴカードを渡された。
「……揃わないものだな」
隣に座った大男が生真面目そうに呟いた。情報システム部のガンガディアだ。ガンガディアは飲み会だというのに正座をしたままでネクタイすら緩めていない。ガンガディアは仕事は出来るが物静かで、マトリフは仕事の話しかしたことがなかった。
マトリフも自分の手のビンゴカードを見る。いくつか穴が空いているものの、てんでバラバラの場所なのでビンゴには程遠かった。
なりひさ
DOODLEガンマトとハドアバの惚気大会うちの伴侶が世界一可愛いんだ! 派手なルーラの着地音が響いた。あまりの振動に机に置いてあったカップが揺れ、中に入っていた茶がこぼれる。マトリフは顔を盛大に顰めた。
マトリフにはルーラでやって来た主がわかっていた。そもそもルーラを使える者は稀有であり、その着地音でだいたいの判別がつく。この存在感を誇張させたような着地音はハドラーだ。
「ガンガディアはおるか!」
「いねえよ馬鹿野郎。帰れ」
大声を張り上げながら洞窟へと入ってきたハドラーにマトリフが言い返す。ハドラーは仁王立ちしてマトリフを見下ろしていた。その存在の熱苦しさに、マトリフは鬱陶しく思いながらシッシと追い払うように手を振った。そして反対の手でポットから茶を継ぎ足す。湯気を上げるカップを手にしてハドラーを無視するように茶を啜った。
3302マトリフにはルーラでやって来た主がわかっていた。そもそもルーラを使える者は稀有であり、その着地音でだいたいの判別がつく。この存在感を誇張させたような着地音はハドラーだ。
「ガンガディアはおるか!」
「いねえよ馬鹿野郎。帰れ」
大声を張り上げながら洞窟へと入ってきたハドラーにマトリフが言い返す。ハドラーは仁王立ちしてマトリフを見下ろしていた。その存在の熱苦しさに、マトリフは鬱陶しく思いながらシッシと追い払うように手を振った。そして反対の手でポットから茶を継ぎ足す。湯気を上げるカップを手にしてハドラーを無視するように茶を啜った。
なりひさ
DONEガンマト。マトリフ死亡IF、というつもりで書いたもの。あえて竜殺しの汚名をきて 竜の夢をみる。青い竜が遠い空を飛んでいる夢だ。あまりに高いところを飛ぶので、その姿は豆粒のように小さく見える。マトリフはまるで飛び方を忘れてしまったように、地上から竜を見上げていた。
しかし夢はいつも突然に終わる。誰かが廊下を歩く足音が、夢を壊していくからだ。
城の中で働く者の朝は随分と早いらしい。控えめな小走りの靴音が遠くから聞こえる。寝汚いと言われるほど寝坊をしていたマトリフが、今ではすっかり早起きになってしまった。
靴音が部屋の前を通り過ぎてからマトリフは身体を起こした。しばらくベッドの上でぼうっとしていたが、いずれ動かねばならないのだと己を叱咤してベッドから降りる。その際に手が真っ先に杖を探していた。だがそれは旅へと持っていった輝きの杖ではない。宝玉もなにも埋め込まれていない、ただ歩行を補助するための杖だった。
22872しかし夢はいつも突然に終わる。誰かが廊下を歩く足音が、夢を壊していくからだ。
城の中で働く者の朝は随分と早いらしい。控えめな小走りの靴音が遠くから聞こえる。寝汚いと言われるほど寝坊をしていたマトリフが、今ではすっかり早起きになってしまった。
靴音が部屋の前を通り過ぎてからマトリフは身体を起こした。しばらくベッドの上でぼうっとしていたが、いずれ動かねばならないのだと己を叱咤してベッドから降りる。その際に手が真っ先に杖を探していた。だがそれは旅へと持っていった輝きの杖ではない。宝玉もなにも埋め込まれていない、ただ歩行を補助するための杖だった。
yuma
DONEどちらもおずさんのガンマト小説「かかってこいよ」関連のイラストです。おずさん、お誕生日おめでとうございます🥳拙いですがよければ受け取ってください🙏
1枚目 おずさんのリクエストで「二人に未来があったifで脳イキさせられそうになってるマト師のガンマト」※お別れ前提なのは承知なのですが、私がもし未来があったらきっと賢いガンガさんがいつの間にか脳イキのやり方を覚えてマトに逆襲するのでは?と妄想をお伝えしたので、それを受けてのガンマトください、でした〜🙇♂️(一人残されたマトが見た夢なのかも……)
いきなりやられてヒェッてなってるマトと耐えているマトのつもり……。このあと、「これだから賢い奴は嫌いなんだよ!」って嫌がりつつ、だんだん快楽に耐えられなくなって……のイメージです!
2枚目
1枚目、わりと私の妄想でしかないので💦「かかってこいよ」のワンシーンも描きました!!おずさんのお話、がっつり文章を愉しむ系の作風なので挿絵は余計かも…と思いつつ、映像化したいシーンが山盛りであり迷いましたが、1枚目と対でマトが楽しそうにガンガさんを翻弄している所にしました。
ありがとうございましたー🙏 2
なりひさ
DOODLEポッキーを食べるガンマトポッキーの日「ほれ、あーん」
マトリフは手にした細長い棒状の菓子をガンガディアに向けた。その菓子は羽ペンの軸ほどの細さで、甘く味付けされている。サクサクとした食感で、子供向けの定番の菓子だ。
「私にくれるのかね」
ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じると、差し出された菓子の先端に口をつけた。ガンガディアなら一口で全てを食べられるほどだろうが、マトリフが菓子を持ったままだからか、少しずつ食べ進めていく。
ガンガディアが半分ほど食べてから、マトリフは菓子から手を離した。そしてさっきまで持っていた菓子の端に口をつける。棒状の菓子はガンガディアとマトリフの口を繋ぐ線のようになっていた。
ガンガディアは何も言わずにマトリフを見る。マトリフの意図を探ろうとしているようだ。ガンガディアが食べ進めるのを止めてしまったから、今度はマトリフが食べはじめる。そのためガンガディアの口とマトリフの口が少しずつ近づいていった。
1287マトリフは手にした細長い棒状の菓子をガンガディアに向けた。その菓子は羽ペンの軸ほどの細さで、甘く味付けされている。サクサクとした食感で、子供向けの定番の菓子だ。
「私にくれるのかね」
ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じると、差し出された菓子の先端に口をつけた。ガンガディアなら一口で全てを食べられるほどだろうが、マトリフが菓子を持ったままだからか、少しずつ食べ進めていく。
ガンガディアが半分ほど食べてから、マトリフは菓子から手を離した。そしてさっきまで持っていた菓子の端に口をつける。棒状の菓子はガンガディアとマトリフの口を繋ぐ線のようになっていた。
ガンガディアは何も言わずにマトリフを見る。マトリフの意図を探ろうとしているようだ。ガンガディアが食べ進めるのを止めてしまったから、今度はマトリフが食べはじめる。そのためガンガディアの口とマトリフの口が少しずつ近づいていった。
なりひさ
DOODLEガンマト。ハロウィンの夜死者の祭「お菓子ちょーだい!」
小さな両手を差し出されて、マトリフはクッキーをその手に乗せた。クッキーを手にした幼子は礼を言って駆けていく。
ちょっと店番を頼みますよ、と言ってどこかへ行ったアバンはまだ帰ってこない。飾り付けられた広場には、マトリフと同じようにお菓子を並べて子供たちを待つ人々がいた。
今日は死者が帰ってくる日らしい。あの世とこの世の境界線が曖昧になり、死者が会いにやってくるという。広場はあちらこちらに火が灯され、子どもたちは仮装をしながらお菓子を貰い歩く。仮装をするのは悪い霊から身を隠すためらしい。
アバンはこの祭りのために朝からせっせとクッキーを焼いていた。マトリフは祭りと聞いて酒が飲めると思っていたが、手伝ってくださいと言われて菓子を渡す役を命じられた。
1193小さな両手を差し出されて、マトリフはクッキーをその手に乗せた。クッキーを手にした幼子は礼を言って駆けていく。
ちょっと店番を頼みますよ、と言ってどこかへ行ったアバンはまだ帰ってこない。飾り付けられた広場には、マトリフと同じようにお菓子を並べて子供たちを待つ人々がいた。
今日は死者が帰ってくる日らしい。あの世とこの世の境界線が曖昧になり、死者が会いにやってくるという。広場はあちらこちらに火が灯され、子どもたちは仮装をしながらお菓子を貰い歩く。仮装をするのは悪い霊から身を隠すためらしい。
アバンはこの祭りのために朝からせっせとクッキーを焼いていた。マトリフは祭りと聞いて酒が飲めると思っていたが、手伝ってくださいと言われて菓子を渡す役を命じられた。
なりひさ
DOODLEガンマト。ガンガさんのこと大好きマトがこっそりお揃いの指輪にしようと企む手「ちょっと手ぇ貸してくれ」
部屋の片付けをしていたマトリフに呼ばれて、ガンガディアは物置き部屋へと向かった。そこはマトリフの魔法道具などが無秩序に放り込まれており、足の踏み場もない。
「マトリフ?」
マトリフは魔法道具に埋もれているように見えた。手招きされたので魔法道具をかき分けながら進む。
「手ぇ出してくれ」
言われてガンガディアは手のひらを上に向けて差し出す。するとマトリフはその手にいくつかの魔法道具を乗せていった。発掘した道具を運び出したかったのだろう。
「もう片方の手もくれ」
「そんなに大荷物なのかね」
空いてる手を差し出すと、その手に乗ったのはマトリフだった。
「よし、いいぜ」
ガンガディアは左手に魔法道具を、右手にはマトリフを乗せて立ち上がる。どちらも大して重くなく、ガンガディアは部屋を出てからマトリフを下ろした。
1853部屋の片付けをしていたマトリフに呼ばれて、ガンガディアは物置き部屋へと向かった。そこはマトリフの魔法道具などが無秩序に放り込まれており、足の踏み場もない。
「マトリフ?」
マトリフは魔法道具に埋もれているように見えた。手招きされたので魔法道具をかき分けながら進む。
「手ぇ出してくれ」
言われてガンガディアは手のひらを上に向けて差し出す。するとマトリフはその手にいくつかの魔法道具を乗せていった。発掘した道具を運び出したかったのだろう。
「もう片方の手もくれ」
「そんなに大荷物なのかね」
空いてる手を差し出すと、その手に乗ったのはマトリフだった。
「よし、いいぜ」
ガンガディアは左手に魔法道具を、右手にはマトリフを乗せて立ち上がる。どちらも大して重くなく、ガンガディアは部屋を出てからマトリフを下ろした。
なりひさ
DOODLEガンマトのホラーティポタ 不思議なダンジョンがある、と聞いて来てみたものの、あまりの平和さにマトリフは大きな欠伸をした。
「気が緩んでいるではないか、大魔道士」
「だってよぉ、随分と深く潜ってんのにスライムとドラキーしか出てこねえんだぜ?」
かといって派手なトラップがあるわけでもない。通路が狭くて少々入り組んでいるものの、迷うほどでもなかった。
このダンジョンをマトリフに教えたのはポップだった。ポップは各地の遺跡を調べており、その中でこのダンジョンを見つけたのだとマトリフに報告した。
ポップの説明ではこのダンジョンは一度入れば抜け出せなくなるのだという。ではなぜお前は帰ってこれたのだと問えば、ポップは運が良かったからだと言った。
16036「気が緩んでいるではないか、大魔道士」
「だってよぉ、随分と深く潜ってんのにスライムとドラキーしか出てこねえんだぜ?」
かといって派手なトラップがあるわけでもない。通路が狭くて少々入り組んでいるものの、迷うほどでもなかった。
このダンジョンをマトリフに教えたのはポップだった。ポップは各地の遺跡を調べており、その中でこのダンジョンを見つけたのだとマトリフに報告した。
ポップの説明ではこのダンジョンは一度入れば抜け出せなくなるのだという。ではなぜお前は帰ってこれたのだと問えば、ポップは運が良かったからだと言った。
なりひさ
DOODLEガンマトとハロウィンハロウィン「トリック・オア・トリートォ?」
マトリフは聞き慣れない言葉に聞き返す。ポップはクッキーを食べながら頷いた。そのクッキーもポップが持ってきたもので、カボチャの形をしている。
「そ。お菓子くれなきゃイタズラするぞって意味」
「そんで?」
「そういうお祭りをするから、アバン先生がクッキー焼いたんで、お裾分け」
そんな祭りがあるとは知らなかった。アバンのことだから、どこからかそんな祭りの知識を仕入れてきたのだろう。
「ってわけで、師匠。トリック・オア・トリート」
両手を差し出してくるポップに、マトリフはクッキーを掴んでポップの口に押し込む。この洞窟に他に菓子なんてあるはずもない。
「菓子をやりゃあイタズラされねぇんだな?」
1933マトリフは聞き慣れない言葉に聞き返す。ポップはクッキーを食べながら頷いた。そのクッキーもポップが持ってきたもので、カボチャの形をしている。
「そ。お菓子くれなきゃイタズラするぞって意味」
「そんで?」
「そういうお祭りをするから、アバン先生がクッキー焼いたんで、お裾分け」
そんな祭りがあるとは知らなかった。アバンのことだから、どこからかそんな祭りの知識を仕入れてきたのだろう。
「ってわけで、師匠。トリック・オア・トリート」
両手を差し出してくるポップに、マトリフはクッキーを掴んでポップの口に押し込む。この洞窟に他に菓子なんてあるはずもない。
「菓子をやりゃあイタズラされねぇんだな?」
なりひさ
DOODLEガンガさんが残した卵を孵して育てているマト孵る 波は穏やかだった。しばらく晴れているから海も濁っていない。しかし垂れた釣り糸は静かなままだった。
マトリフは釣竿をあげる。釣り針に付けた餌は無くなっていた。餌を付け直そうと引き寄せるが、それに手を伸ばす小さな青い手があった。マトリフはその小さな手より先に釣り針を掴む。
「あー」
マトリフの膝の上で声が上がる。小さな青いトロルは短い手をいっぱいに伸ばしていた。小さいといっても、背丈はマトリフの半分ほどある。
「もうちょい待ってな」
餌を付けた釣り針を海に投げ込む。小さなトロルはそれを目で追った。腹を空かせているのか、その口からは涎が垂れていた。それを拭ってやろうと手を伸ばすと、その手を掴まれる。小さなトロルはマトリフの手を口の中へと入れると、まるで乳でも吸うように指をしゃぶりはじめる。
15905マトリフは釣竿をあげる。釣り針に付けた餌は無くなっていた。餌を付け直そうと引き寄せるが、それに手を伸ばす小さな青い手があった。マトリフはその小さな手より先に釣り針を掴む。
「あー」
マトリフの膝の上で声が上がる。小さな青いトロルは短い手をいっぱいに伸ばしていた。小さいといっても、背丈はマトリフの半分ほどある。
「もうちょい待ってな」
餌を付けた釣り針を海に投げ込む。小さなトロルはそれを目で追った。腹を空かせているのか、その口からは涎が垂れていた。それを拭ってやろうと手を伸ばすと、その手を掴まれる。小さなトロルはマトリフの手を口の中へと入れると、まるで乳でも吸うように指をしゃぶりはじめる。