君じゃない「ハロウィンパーティに誘いたい人はいないの?」
何気なく聞かれたその質問。
口を開き掛けたあまねは、思わず言葉に詰まる。
きっと大きな意味はないその言葉に。
一瞬浮かんだ、寂し気な歪んだ笑顔。
自分に合う食べ物があまりなかった上に、
好き嫌いも激しいの。
その上極端な猫舌で、
みんなと一緒に食事をするのが
苦手だったみたい。
マリちゃんの言葉に、目を伏せる。
私は、彼が物を口に運ぶ姿を見た事がない。
珈琲を飲んだ。
そんな形跡だけなら、見た事もあった気がしたけれど。
コンコン、とノックをして様子を見るがやはり返事はない。
「ナルシストルー?」
静かで無機質な扉に声を掛けた。
しばらく姿を見掛けなくなったナルシストルーは、技術者として自室と言う名の研究室に籠り新たな戦力となる何かを開発している、と聞いている。
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