うちの伴侶が世界一可愛いんだ! 派手なルーラの着地音が響いた。あまりの振動に机に置いてあったカップが揺れ、中に入っていた茶がこぼれる。マトリフは顔を盛大に顰めた。
マトリフにはルーラでやって来た主がわかっていた。そもそもルーラを使える者は稀有であり、その着地音でだいたいの判別がつく。この存在感を誇張させたような着地音はハドラーだ。
「ガンガディアはおるか!」
「いねえよ馬鹿野郎。帰れ」
大声を張り上げながら洞窟へと入ってきたハドラーにマトリフが言い返す。ハドラーは仁王立ちしてマトリフを見下ろしていた。その存在の熱苦しさに、マトリフは鬱陶しく思いながらシッシと追い払うように手を振った。そして反対の手でポットから茶を継ぎ足す。湯気を上げるカップを手にしてハドラーを無視するように茶を啜った。
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