ぬいぐるみ「君に、プレゼントを持ってきたぜ」
ある日の夕方、僕の前に姿を現すと、不意にルチアーノはそう言った。何かを見せつけるかのように、僕の前で仁王立ちに構えている。不思議に思って視線を向けると、後ろ手に何かを抱えていた。
「プレゼント?」
いかにも怪しげな仕草を見ながら、僕は小さな声で呟いた。これまで、彼がプレゼントという言葉を使う時には、あまりいいことがなかったのだ。何度もからかわれてきたこともあって、さすがに警戒してしまう。
「なんだよ、その顔は。わざわざ、僕が君のために見繕ってやったんだぞ。もっと喜ぶべきじゃないのか」
そんな僕の様子が気に入らなかったのか、彼は不満そうに唇を尖らせた。細められた瞳でこちらを見ると、拗ねた声で言葉を並べる。
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