鼓動 シティ繁華街の大通りは、今日もたくさんの人間でざわめいていた。歩道は行き交う人間で溢れ返り、四方から賑やかな声が響いてくる。騒音に顔をしかめながらも、僕は青年の身体に手を伸ばした。手のひらに触れると、彼も何も言わずに握り返してくれる。しっかり手を繋いだまま、僕たちは繁華街を歩いていく。
人にぶつかりそうになりながらも、僕たちは目的地を目指して歩を進める。温かな太陽の日差しが、表面装甲の温度を上昇させた。空は雲ひとつない晴天で、絶好のデュエル日和だ。彼の用事が済んだら、デュエルに向かうのもいいだろう。
そんなことを考えていると、不意に青年が足を止めた。苦しそうに呻き声を漏らすと、繋いでいた手を振り解く。不審に思って視線を向けると、今度はお腹の辺りを押さえ始めた。倒れそうになる彼の身体を、慌てて両手で抱え込む。
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