都市伝説 椅子に腰を下ろし、温めたばかりのお弁当をつついていると、部屋の隅に光が走った。淡い金色の粒子が舞い散り、ひとつの人影を作り出していく。既に日常茶飯事となっている、ルチアーノの自宅訪問である。一瞬だけそちらに視線を向けると、僕は再び食事に戻った。
リビングに足を踏み入れたルチアーノは、真っ直ぐにソファへと向かった。重い音を立てて腰を下ろすと、挨拶もせずにテレビのリモコンに手を伸ばす。
「少し、テレビを借りるぜ」
「おかえり。いいけど、どうかしたの?」
含むような発言が気になって、僕は彼に問いかける。普段の彼であれば、断りなど入れずにリモコンに手を伸ばすのだ。わざわざ口にすると言うことは、僕に知らせたい何かがあるのだろう。その予測は正しかったようで、彼は嬉々として語り始めた。
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