冬の朝 目を覚ました時、首から上が凍えそうなほどに冷たかった。迫り来る冷気に耐えきれなくて、僕は布団の中に首を引っ込める。体温で温かくなった羽毛布団が、優しい温もりで僕を包み込んでくれた。一度その優しさを知ってしまったら、もう外になど出られそうにない。
布団の中で丸まりながら、僕は右手を布団から突き出す。肌を突き刺すような強烈な冷気が、一斉に襲いかかってきた。手探りで目覚まし時計を掴むと、手元に引き寄せて時刻を見る。デジタル表示の文字盤は、朝の九時を示していた。
乱雑に時計を放り出すと、再び右手を布団の中に滑り込ませる。僕にとっては早めの目覚めだったが、隣にルチアーノの姿はなかった。早起きが得意な彼は、とっくに起きて活動しているらしい。こんなにも寒い中に出ていったなんて、尊敬することしかできなかった。
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