都築さんと麗さんのショートショート麗さんが驚くほど小さくなっていたからうっかり食べてしまったんだ。悪いことをしたなぁ、と言うよりはもう会えなくなってしまうことを悲しんだけれど、麗さんを食べるとこんな音がするのかと、嬉しいような、恐ろしいような、なんだか不思議な気分になった。
っていう夢を見たんだよ、と麗さんに伝えたら麗さんは神妙な顔をしながら少しだけ笑う。
「それはおかしいですね」
「そうだね、おかしな夢を見てしまったよ」
「いえ、そうではなくて」
都築さんらしい、と麗さんは言った。
「せっかく私を食べたのに、覚えているのが音だけだなんて」
言われてみれば味を覚えていないなぁ。でも、せっかくってどういう意味だろう。
でもなんだか麗さんは楽しそうだし、麗さんが楽しいならそれでいいかな。
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