85_yako_p カプ入り乱れの雑多です。昔の話は解釈違いも記念にあげてます。作品全部に捏造があると思ってください。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 437
ALL タケ漣 鋭百 カプなし 天峰秀 大河タケル 100本チャレンジ モブ 牙崎漣 花園百々人 想雨 カイレ クロファン C.FIRST 眉見鋭心 天道輝 ミハレナ ダニレナ 既刊 伊瀬谷四季 蒼井享介 蒼井悠介 W 若里春名 華村翔真 Altessimo 神楽麗 都築圭 古論クリス 葛之葉雨彦 レジェンダーズ 北村想楽 百鋭 秀百 薫輝 THE虎牙道 タケ漣ワンドロ web再録 誕生日 くろそら 途中 秀鋭 卒業 ケタザザ 短歌 プロデューサー 円城寺道流 叶納望海 御田真練 超常事変 渡辺みのり 癒残 堅真 ウォリアサ R18 街角探偵 わからん 九十九一希 四季漣 親友 輝薫 書きかけ 黒紅 道漣 DoS幻覚 ドラスタ 桜庭薫 BoH 春隼 サイバネ 山下次郎 寸劇 左右わからん しのかみしの 東雲壮一郎 ハイジョ レナート ミハイル S.E.M じろてる 旬四季 北冬 東雲荘一郎 秋山隼人 悠信 神谷幸広 アスラン そらつくそら 四季隼 140SS 黒野玄武 冬美旬 冬春 ゲーム部 ジュピター 卯月巻緒 四季秋四季 85_yako_pDONEタケルと秀が話す話。三題噺(郵便、歌、カレンダー)100本チャレンジその49(2024/3/31)落とし物、拾ってあげましょ「そういえば秀さんは前に配達員の仕事をしてたよな」 「そうですね。だから届けるってコンセプトの仕事なら経験あります」 タケルと秀はプロデューサーから渡された書類を見ながら他愛のない話をしていた。THE虎牙道とC.FIRSTは次の仕事で郵便局をPRをするので、他のメンバーよりも早めについた二人は書類を先に受け取って目を通していたところだった。 「えっと、ここに土日があるから……この日に郵便ポストに入れれば、この日には届くな」 秀の指がカレンダーをなぞる。タケルが一言「遠いな」と呟いた。 「手紙って思ったよりゆっくり届くんだな」 「そうですね。今はわざわざ手紙を書かなくてもLINKがありますから、LINKと比べちゃうとなおさら」 1133 85_yako_pDONEミメイさんのこちら(https://twitter.com/mimei_m_m/status/1751960314382569666?t=OBws6ozuoK7iAiCCW_dRog&s=19)にオチを進呈した責任をとりました(?)タイトルはミメイさんに決めてもらいました。わちゃわちゃクラファです。映画に詳しい鋭心先輩。(2024/1/29)君は『殺しの番号』を知ってるか 眉見鋭心は困っていた。今にきっとガッカリするであろう後輩が如何にダメージを受けないで済むか、その方法を模索していた。 事の発端はC.FIRSTに舞い込んできた仕事にあった。SFを元にした海外産RPGゲームの日本語版発売を記念して、その実況の仕事をすることになったのだ。 秀の提案で、最初の操作は鋭心がすることになった。ゲームが得意なのは秀だが、バラエティ的に操作が覚束無いであろう鋭心のほうが撮れ高が高いと踏んだのだ。 予想に反して鋭心のプレイはスムーズで、彼らは所々でグラフィックの美しさや内容に感心しながらゲームを進めていく。そろそろ操作を百々人に代わろうか、というタイミングで鋭心がぽつりと呟いた。 1617 85_yako_pDONEC.FIRSTのSF(少し不思議)です。三題噺『黄色、ブラシ、道路標識』100本チャレンジその47(2024/1/22)飛び出し注意。 黄色い看板に鹿のシルエットが描かれていた。鹿に注意ってことかなぁ、って呟いたら、ぴぃちゃんがそういう道路標識だと教えてくれる。それが一昨日の、仕事帰りの話。 で、今持っているのは魔法のブラシだ。事務所で暇を持て余している僕はそれをぼやっと見つめる。ブラシには黄色のペンキがべったりとついているけれど、ぽたぽたと垂れる気配はない。 このブラシは、曰く、何か一つの標識を描くことができるらしい。そして、その標識は不思議な力で描かれたことを強制的に実現させると、さっき道端で筆を押し付けてきた金色の髪をした少年が言っていた。 彼は「赤色だったら通行止めとか、強力なものが描けたんだけど……ごめんね」と言っていた。確かに赤色のペンキの方が使い勝手が良さそうだ。一人きりに、一人ぼっちになってしまいたい時、とか。 1000 85_yako_pDONEゲームの世界に迷い込んだ秀くんがハッピーエンドを目指すお話です。流血描写、殺人描写あり。唐突に始まって終わりますしバッドエンドです。(2023/2/19)エンディング:6 生ぬるい感覚が引き戻す現実感を冷めた脳が消し去っていく。手から滴り落ちる真っ赤なペンキは妙に血生臭くて、ぽたぽたと落ちて床に水玉みたいな模様を作る。鋭心先輩の絶え絶えと言った呼吸に合わせるように、彼から流れる血液がそれを俺の足ごと飲み込もうと灯火のように血溜まりを広げていった。 鋭心先輩はまだ現状が理解できていないように呆然と俺の名前を呟いているが、それ自体はもう見たことのあるものだから特に感慨はない。この場所、このタイミングで、俺は鋭心先輩を殺したことがある。鋭心先輩の言葉よりも俺が気にしていたのは今までとは違う行動を──百々人先輩に気が付かれずに鋭心先輩を殺したときに何が起きるか、それだけだ。 4184 85_yako_pDONEお題『電球、流れ星、隣』で書きました。SF(少し不思議)な百々人くんです。仲良くなりたいという感情はある三人。(2023/11/10)ガラスの欠片が落ちる夜「僕が電球を壊すと夜に流れ星がひとつ降る」 唐突に百々人が言った。俺と百々人と秀は事務所が契約している貸し倉庫で今度撮影するオフショットのネタになりそうなものを探している最中だった。 「試してみる?」 百々人は『こんなものを見つけたので思い出しました』とでも言うように、倉庫に眠っていたであろう金属製のバットを片手に首を傾げてみせる。 「流れ星。願いが叶うかもよ」 甘くざらついた、いつも通りの百々人の声だ。俺はその言葉に、自分の願いなど叶える必要はないのだと告げるかを少しだけ迷う。きっと言うべきではない。そう結論づけて、ではなんと返そうかと考える俺を横目に秀が口を開く。 「倉庫の電球を壊したら怒られますよ」 1837 85_yako_pDONEわちゃわちゃクラファちゃん。コンプ欲のある秀くんです。(2023/03/16)おモチウォーズ「あまみねくん……おなかすいたよぉ……たすけてよぉ……」 「……ダメです」 「おなかすいたよぉ……しんじゃうよぉ……」 「……あの、そのアテレコやめてもらっていいですか?」 秀はため息と共に吐き出した。その口元には罪悪感が滲んでいる。 秀と百々人と鋭心が先程まで勉強していたスペースをHigh×Jokerに譲り、誰も座っていなかった事務所のソファに腰掛けたのが数分前の話だ。同じソファに座っていた秀に向けて百々人が声を出したのを見て、対面に座る鋭心が声をかける。 「百々人、腹が減っているのか? それなら確か給湯室にクッキーが……」 「ああ、違うんだマユミくん。ごめんね、ありがとう」 百々人がやんわりと否定する。ハテナを浮かべたような顔をする鋭心に言葉を返したのは、百々人ではなく秀だった。 3331 85_yako_pDONEクラファ。すれ違いギャグ。(22/9/7)月より団子 もうすぐ月見の季節だと、秀が嬉しそうに言っていた。たしかに紅葉には遠いが夜には暑さも和らぐ頃合いだ。月も見頃になるだろう。 意外と言っては失礼だが、秀くらいの年頃で月見を楽しみにしているのは珍しいほうではないだろうか。感心しつつ話を聞いていたら、どうやら百々人も月見を楽しみにしているようだ。最近の秀と百々人はしきりに「そろそろ月見の時期だ」と楽しそうに笑い、嬉しそうに声を弾ませている。 秀に聞けば月見は毎年の楽しみだと言うから驚いた。それと同時に、美しいものを愛でる感性と余裕は見習うべきだと身を引き締める。美しさと歴史には礼儀を払いたい。 俺も参加してよいだろうか。そう問いかける前に秀がこちらを見て、パッと顔をほころばせて言った。 2096 85_yako_pDONE秀百未満。絵を描いてもらって文章を書くやつです。最高ピクチャ→https://twitter.com/kurata_bngL/status/1554764985573986304?t=MTvAcO-_SJOxGn-7GeT3qg&s=19(22/8/3)シー・スルー・ユー 缶からドロップがカラコロって手のひらに転がってくる。見慣れた色は見つめるだけで味が想像できた。でも俺はこの栗の渋皮みたいな色をした飴の味を知らない。 手のひらには三つの、沈んだ色の飴。チョコ味って聞いてるけど俺は食べたことがない──正確には、忘れている。昔は食べたことがあったはずなのに、もうこれは俺の物じゃないって考えているから忘れてしまった。だって、これは親友のためのものだから。 缶に飴を戻す。もう一度、缶をよく振ったあとに傾ける。出てくるのは深い茶色をした飴だけだ。きっともう、これだけしか残っていないんだ。 俺はそれを缶に戻して蓋を閉めた。どうしても思い出を口に含む気にならなかった。これはどうしたって、親友の笑顔と紐付いていた記憶だった。 4550 85_yako_pDONE遊園地行くクラファ。ムカつくモブがでる。鋭心先輩がらしくない。(22/6/26)あの日のあなたへ「おはようございます……あれ? 鋭心先輩、めずらしいもの見てますね」 事務所のドアを開ければ鋭心先輩がいた。俺の言葉を聞いて、さっき下でバッタリとあった百々人先輩が俺の後ろから顔を覗かせる。 「めずらしい? マユミくん何を見て……」 ああ、と百々人先輩は小さく吐息を漏らした。そうしてあっさりと、自然に鋭心先輩の横に座る。鋭心先輩は持っていた雑誌をテーブルに置いた。 「遊園地特集ですか。確か、彩のみんながこのまえ仕事してましたよね」 鋭心先輩が読んでいたのはレジャースポットの雑誌だった。彩のみんなが遊園地を一日中遊び尽くした特集が乗っている。 「ここにあったからな。他ユニットの仕事は参考になる」 俺はふたりの向かいに座って雑誌を開いた。百々人先輩はそれを覗き込んだけれど、鋭心先輩は目線だけを雑誌に向ける。 7796 85_yako_pDONEクラファのわちゃわちゃギャグ。100本チャレンジその30(22/6/18)足5mあるわけないじゃん! SNSで自分たちのことは検索しないようにプロデューサーからは言われている。個人的にはSNSに疎そうな鋭心先輩はインターネットから遠ざけるのが正解だと思うし、百々人先輩みたいな繊細な人が極端で軽率な悪意に晒されるのも耐え難い。だからそれには賛成しつつ俺だけがSNSを見ていたんだけど、普通にバレた。そしてシンプルに怒られてしまった。身内以外の大人に怒られるのって結構効く。 それでも俺にだって言い分はある。反応は見たくて当然。そう言えばプロデューサーは翌日には自らが精査したコメントだけを印刷した紙の束を俺たちに渡してきた。プロデューサー、過保護っていうか俺たちのこと好きすぎでしょ。 「これが俺たちに対する意見か」 1541 85_yako_pDONE秀と漣。カプなし。漣の過去捏造。(22/5/20)靴がなければ歩けない 撮影があった。 選ばれた人間の共通点は所属事務所だけだったから同じ現場に集められた秀と漣の間にも共通点はない。お互いに天才を自称しているが、本人達はその言葉の本質が違っていることを理解していた。 撮影現場は廃校だが、まるで明日にでも授業が始まりそうな雰囲気だった。机、椅子、たくさんの本。ただここには通う生徒がいないだけで、本来の学校とはなにも変わらない。そうやって、本来の学校をからっぽにした空間が、この撮影施設だった。 撮影のための場所だから、本来の学校にはない部屋もある。例えば今アイドルたちが収められている衣装部屋なんかがそれだ。撮影のため、アイドルは各々自分勝手に制服やら、学帽やら、スニーカーやら、ヘッドフォンやら──目的がわからないメイド服まで、学校に関係があるものもないものも一緒くたに陳列された棚から思い思いの道具を手にとっては身につけ、壁に立てかけられた鏡を見ている。 3741 85_yako_pDONE秀と鋭。カプなしですが秀鋭に見えます。100本チャレンジその26(22/5/18)艶めく指先 よろしくないと思った。もちろんそれは目の前にいる男ではなく、俺のこの感情が、だ。 ユニットメンバー最年長。頼れる先輩。最強の生徒会長。尊敬というラベリングをされて棚に納められた感情という名の瓶が、突然の嵐で割られてしまったような感覚だ。そこにはたまに感じる親しみやすさとか、ちょっとかわいいと思う気持ちなんかが入り込む余地はなくて、代わりに俺の不埒な感情が棚の一番取り出しやすいところに収まっている。こんなのは鋭心先輩に抱いていい感情ではない。誰に抱いたとしても、それはたとえば恋人というカテゴリに入り込めない限り、隠し通さねばならない薄暗い熱だった。 ふ、と見ただけだ。プロデューサーも百々人先輩もいて、俺と鋭心先輩もいる。そういう、当たり前の風景にそれはそっと紛れ込んでいた。 1269 85_yako_pDONE秀と親友。BAD ENDなSFです。なんでもあり。100本チャレンジその23(22/5/2)クラゲとスピカ 俺は世界を変えた。 だがそれは想像した手段ではない。俺が先輩たちと鋭心先輩の家で映画を見ていたとき、スクリーンから出てきた未確認生命体が俺を名指しして渡してきたパズルを解いたからだ。かちりと最後のピースを解いた刹那、世界が変わった。 カチカチカチ、と組変わっていく世界を俺たちは呆然と見守っていた。空には惑星が飛び交い、感情は溢れて金平糖になってこぼれ落ち、猫が爆発的に増え、木々は喋りだし、人々は少しだけ優しくなった。他にも謎の生命体が跋扈したり、血液が甘く香ったり、とにかく枚挙に暇がない。たぶん気がついていない変化もあるだろう。とにかく、世界は変わった。変わってしまった。 その日の晩、親友のことを考えた。世界は俺の想像通りには変わらなかったけど、この世界を見たらあいつはどう思うんだろう。変化した世界をネタにもう一度メッセージを送ってみようか。そう思ってしばらく開いていなかったあいつとのトークを開く。数ヶ月も無視されていたメッセージに既読がついていた。 1351 85_yako_pDONE死体を埋めるクラファの概念です。ファンタジーなのでこわくないよ。(22/2/13)夢のあと『助けて』 日付の変わる少しだけ前、百々人先輩がグループトークにたった三文字を投げかけた。それ以上の言葉はなく、いつものように可愛らしいひよこのスタンプが押されることもない。 『どうかしましたか? 大丈夫ですか?』 慌ててメッセージを打てば既読が一件だけついた。先ほどの百々人先輩の発言にも既読はひとつしかついていないから、きっとまだ鋭心先輩は気づいていないんだろう。百々人先輩は俺のメッセージを見たはずなのに返事はない。ただ返事がないだけのたかだか数分間が、薄く引き延ばされて濁った膜を張る。 助けて、だなんて不穏な言葉だ。それに百々人先輩はこういうことを、あんまり言い出せない人だと俺は思う。そんな言葉を、こんな遅い時間に、たった一言だけ送ってきたんだ。きっと百々人先輩はとても困っているに違いない。 17104 85_yako_pDONEクラファの三人が花火を見る話。(2022/02/02)秘め事花火 去年見た花火はきれいだった。 僕の力ではその美しさをキャンバス上に表現することはできず、結果は佳作。今年は見る理由もないから花火大会があること自体を忘れていた。 「花火大会?」 アマミネくんのお誘いはそれなりに急だった。週末に花火大会があるから時間を取れないかと問い掛ける彼の言葉に僕が真っ先に引きずり出された記憶は、どっかにやっちゃった佳作を証明する賞状のことだ。あのつるつるとした紙の質感、あるいはざらざらと喉を削るイメージに僕の気分は少しだけ下がったが、それでも素敵なものを一緒に見るというのはとてもよいコミュニケーション手段だということはわかる。 「花火かぁ」 それに、花火はきれい。去年は掴めもしない光に手を伸ばした僕が悪いのであって、あの美しさを手の内に収めようとさえしなければ、僕は充分にあの輝きとうまくつきあえるのではないか。それなりに前向きになった気持ちに、マユミくんの硬質な声がひんやりと寄り添った。 6323 85_yako_pDONE秀と百々人。秀にトラウマスイッチを踏み抜かれる百々人です。(2022/01/22)傷名 僕にはきっと、脆いところがある。 自分が弱いとか傷だらけだとかは思っていない。でも、なんか、ちょっとした欠けた部分があるような気がしているんだ。ぽっかり空いた、虫歯みたいな、そういう部分が。 小さな穴の奥がちょっと空洞になっている。あ、って大きく口を開けないと見えないような、見えてもどれくらい深い穴が空いているかはちょっとよくわからない、そういう虫歯によく似た痛いところ。もちろん歯医者さんじゃない僕にだって深さのよくわからない、そういう傷。 たまにどうでもいいものが当たって痛む。甘いジュースだったり、冷たいアイスだったり、そういうものが傷にしみる。僕を傷つけるものは当たり前の顔をして世界中に転がっているものだから、ぶつかってしまうとちょっと息がしにくくなって、困る。 6117 85_yako_pDONEクラファ VS THE虎牙道です。理想願望をたっぷり含みます。(2022/01/16)追記、呼称を訂正(2023/03/13)愛しき戦場 ぼんやり、事務所のソファーに沈みながら指先でつまみ上げた紙を見ている。僕が書いた『花園百々人』って文字と回答と赤い丸、そしてたったひとつのバツ。どこにでもあるような、平々凡々なテスト用紙だ。 「……あと2点かぁ」 もう一番になる必要は無い。だからどうでもいいはずなのに、やっぱり少し気になってしまう。どうしても順位が気になる悪癖から目を背けるために、僕はこの焦燥感の理由を探す。 「やっぱり、頭がいいほうがクイズ番組の仕事とかもらえるよね……」 僕はもう一部では有名人だから、いまさらバカのフリはできない。そもそも、生徒会長が揃っていることが売りでもあるユニットなのだから、それはぴぃちゃんのプロデュースからは外れてしまうだろう。 4800 85_yako_pDONE後輩をからかう先輩二人です。100本チャレンジその13(2021/12/28)放課後アフタートーク 悪戯心にも満たない出来心だった。のんびりとただ三人で同じ空間にいるだけ時間に、僕は言葉を落とす。 「アマミネくんって天才なんだよね?」 改めて口にすると、なんだかすごい問いかけだと思う。そんな質問にアマミネくんは平然と答えた。 「ですね」 アマミネくんのこういうところ、すごいよなぁっていつも思う。アマミネくんが自信満々に返した言葉は、僕の望んだものだった。 「じゃあ、聞いたら何でも教えてくれる?」 「そうですね。俺が今わからないことでも調べればわかりますし、大抵のことは教えられますよ」 情報収集は得意なんです。そう誇らしげに胸を張るアマミネくんに笑いかける。 「じゃあ、教えてほしいことがあるんだ」 「はい、なんですか?」 870 85_yako_pDONE秀+百々人。恋になりそうにない話。100本チャレンジその12(2021/12/28)キミに恋してない たまにアマミネくんがきらきらしてるのって、なんでなんだろう。 例えば今みたいに三人でぼんやりとどうでもいい話をしているときなんかは、きらきらしてるって思わない。してるのかもしれないけど、ちょっとわからない。それでも、たまにアマミネくんはきらきらに見える。それは僕がアマミネくんに抱くぐちゃぐちゃした感情のせいなのかもしれないけど、それできらきら見えるってどういうことなんだろう。そんなことを思っていたら、アマミネくんはエスパーみたいに口にした。 「そういえば、好きな人がきらきら輝いて見えるって言うじゃないですか」 「え?」 「聞いたことがあるな」 マユミくんは賛同したけど、僕はとっさに「知らない」って言ってしまった。でも、「違う」と言わなかっただけ褒めてほしい。だって輝いて見えるのは好きでもなんでもないアマミネくんだったから困ってしまったんだ。いや、嫌いじゃないけど、こういうときに言う『好き』とは絶対に違うってわかってる。 1564 85_yako_pDONE○○しないと出られない部屋に閉じ込められたクラファです。嘔吐表現があります。(2021/12/27)羊の不在「状況を整理しましょう」 異常事態において、状況の把握は重要だ。俺の提案に百々人先輩も鋭心先輩も頷いた。幸い身の危険はなさそうなので、じっくりと腰を据えて考えよう。 「認識を共有しましょう。まず、俺たちは事務所の扉を開けた。ここまではいいですね?」 「ああ」 「そうだね。変なところもなかったよ」 よかった。ここから違っていたとしたら話にならない。いや、話をするまえに言うべきことが、まずあった。 「話の腰を折りますけど……先輩たち、俺の見てる夢ですか?」 「さっきビンタしあったじゃない。ちゃんと痛かったでしょ?」 「痛かったな。これは現実で……現実ではなくても、現実だと仮定して進めた方がいざという時に動けるだろう」 15458 85_yako_pDONE仲良くなったクラファ三人の仁義無きクソ土産バトルです。100本チャレンジその8(2021/12/14)仁義無きクソ土産バトル 突然だが、話は半年前へと遡る。 半年前と言えば、俺たちの仕事も軌道に乗って個別の仕事や地方ロケも増えてきた頃だ。仕事に慣れるのと同時に俺と先輩たちの距離も近づいて、俺たちはそれなりに気の置けない仲になっていた。そう、俺たちは出会った頃に比べてかなり仲良しなのだ。これは俺が今からする話において重要な点なので念頭に置いてほしい。 そう、俺たちは冗談を言い合える仲になっていた。けしかけて、じゃれあって、みたいな。そうしたいわゆる悪ふざけの延長で、俺と百々人先輩の抗争は勃発したのであった。 「はい、アマミネくんのぶん」 そう言って手渡された地方ロケのお土産は鋭心先輩に渡されたお土産とはサイズ感がだいぶ違っていた。鋭心先輩へのお土産はおいしそうなフルーツゼリーで、なんでも百々人先輩が試食したなかで一番おいしかったのだとか。 1614 85_yako_pDONEクラファ。桜に攫われる鋭心先輩です。100本チャレンジその3(2021/11/26)桜リタルダンド 鋭心先輩が桜に攫われてしまった。何を日科学的でバカなことをって思うでしょ? 俺もそう思う。 鋭心先輩と、俺と、百々人先輩。桜並木を名乗るには少しばかり力不足と言えるような、まばらな桜の中を俺たちはのんびりと歩いていた。丁寧で暖かい時間だったと思う。俺たちは仕事帰りで、次の仕事の話なんかをしながら、たまに視界を横切る桜の花びらに目を細めていた。 あっ、という間だった。眼前を完璧な形で通り過ぎた桜の薄桃色に視界を奪われた刹那、その向こう側に鋭心先輩の姿はなく、呆気に取られたような百々人先輩が頼りなく眉を下げていた。 「……消えた?」 「……どこにもいない……よね?」 消失マジック。ドッキリ企画にしては非現実的で撮れ高もない。こういうとき俺の取る行動は天才に相応しくない凡庸なもので、咄嗟にできたのはスマホを取り出して鋭心先輩に電話をかけることくらい。 1478 85_yako_pDONEセックスしないと出られない部屋 VS 秀&百々人です。エロいことしないし、くっつきません。秀+百未満(2021/11/14)セックスしないと出られない部屋に百々人先輩と閉じ込められたアマミネくんの話。 暑くて、溶けそうだ。自分の血流がどくどくと脈打って、数少ない音である俺と百々人先輩の荒い息にノイズをかける。 「ぁ……はぁっ……アマミネくん……僕……っもう無理……!」 百々人先輩は規則的に動かしていた腰の動きを止めて、俺に泣きつくように声を出した。限界が近いのだろう──声がうわずっていて、掠れている。たったひとつを口にするために、ありったけの息を吐き出さなければ音にもならないほどに彼は追い詰められていた。は、と熱い呼吸を吐き出して、限界に近いからだを震わせている。 「へたってても……いいですけど……っ! 俺は、まだっ、動きますよ……!」 そう宣言したはいいものの、俺だって酸欠で頭がチカチカしている。ほんの少し動くだけで汗が滲んで感覚が宙に浮く。熱がじわじわと脳の裏側まで侵食してきて、悲鳴のような百々人先輩の吐息と俺の呼吸の境界を曖昧にしていくから、なんだか俺は意識が部屋の温度とぐちゃぐちゃに混ざっちゃって、自分が自分でなくなるような恐怖があった。 6973 85_yako_pDONE秀と百々人の会話。(2021/10/19)ワールドエンド・アンチヒーロー「あ、また死んだ」 口に出したのは僕だったかアマミネくんだったか。わからないけれど、この言葉は特に拾われずに独り言になる。どちらが言った言葉にせよ、どちらも思っていたことだから拾い上げてまでシェアをするのは手間だった。 コンティニューの文字なんかもすっ飛ばして、アマミネくんの分身はさっき挽肉になった地点の三分前へと戻される。何度も何度も死んで、何度も何度もトラップにかかり、何度も何度もゾンビの集団にタコ殴りにされ、それをひとつひとつ覚えて次こそはと先に進む。敵の位置を覚えては殺され、鉄球の下敷きになってはタイミングを悟り、と、よくもまぁ挫けずに進めるものだ。 アマミネくんがやっているのはいわゆる『死にゲー』と呼ばれるものだ。どこまで真剣にやっているのかはわからないけれど、合間合間に僕を気にして視線を寄越している様子を見るに、さほど真剣ではないのだろう。僕は僕でアマミネくん本体よりもこのゲームに感心があって、つい視線はアマミネくんの手元に集中してしまう。同じ空間にいて、同じ時を過ごし、お互いを気にしているのに視線はあまり絡まない。そんな時間は悪くない。良くもない。つまり、普通。 4546 85_yako_pDONEまだ理解が浅い。秀くんと百々人くんのSF(少し不思議)です。(2021/10/10)絵画旅行 秋晴れの日だった。そのたったひとつの印象さえ日常に希釈されて色を亡くしている、ありふれた日になるはずだった。 そういう類の無味なキャンパスを俺たちくらいの学生はノートの余白のように持て余してして、例えば両手をペンキまみれにした子供がいきなり触れてくるような奇跡を待ち望んでいる。でも、得てしてそういった色は思ったように絵にはならず、大抵は混ざり合って泥のような色になってしまう。図工の時間から知っているはずなのに、俺たちはいつまで経っても懲りることがない。 そんな秋晴れの日だ。生徒会の仕事が中途半端な時間に終わり、俺はのんびりと下校していた。帰りに買い物でも行こうか、と思案する。隣に親友の姿はないが、通りの靴屋は勝手にセールをやっているしコンビニのホットスナックは一人分より余計に温まっている。別に、肉まんとピザまんを一人で買ったっていい。誰かと半分こなんてしなくても、晩ご飯が食べられる程度には男子高校生というものは食べ盛りなのだ。俺には俺がいる。自分に似合う靴くらい、ひとりで選ぶことができる。 5626 1