85_yako_p カプ入り乱れの雑多です。昔の話は解釈違いも記念にあげてます。作品全部に捏造があると思ってください。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 434
ALL タケ漣 鋭百 カプなし 天峰秀 大河タケル 100本チャレンジ モブ 牙崎漣 花園百々人 想雨 カイレ クロファン C.FIRST 眉見鋭心 天道輝 ミハレナ ダニレナ 既刊 伊瀬谷四季 蒼井享介 蒼井悠介 W 若里春名 華村翔真 Altessimo 神楽麗 都築圭 古論クリス 葛之葉雨彦 レジェンダーズ 北村想楽 百鋭 秀百 薫輝 THE虎牙道 タケ漣ワンドロ web再録 誕生日 くろそら 途中 秀鋭 卒業 ケタザザ 短歌 プロデューサー 円城寺道流 叶納望海 御田真練 超常事変 渡辺みのり 癒残 堅真 ウォリアサ R18 街角探偵 わからん 九十九一希 四季漣 親友 輝薫 書きかけ 黒紅 道漣 DoS幻覚 ドラスタ 桜庭薫 BoH 春隼 サイバネ 山下次郎 寸劇 左右わからん しのかみしの 東雲壮一郎 ハイジョ レナート ミハイル S.E.M じろてる 旬四季 北冬 東雲荘一郎 秋山隼人 悠信 神谷幸広 アスラン そらつくそら 四季隼 140SS 黒野玄武 冬美旬 冬春 ゲーム部 ジュピター 卯月巻緒 四季秋四季 85_yako_pDONE秀百。なんか去年くらいに書いたやつが出てきたので清書しました。解釈が古いけどせっかくなのでアップします。(2023/10/26)逃避行、或いはランデブー「ずさんだなぁ」 アマミネくんの言葉は独り言だとすぐにわかった。恋人が出演するドラマを恋人の横で見ておきながら、独り言とはいい度胸じゃないか。 「ヘタクソ。ですよね?」 今度は僕の瞳を見て心臓が止まりそうになる言葉を吐く。うっすらとした笑いを見ながら、目が合うってことは僕もアマミネくんを見ていたんだな、って他人事みたいに考えた。 普段だったらナイフみたいに僕を傷つけるだろう言葉も意味を理解していたらさほど怖くはない。僕はなにも返さず、悠長にテレビに視線を移す。箱の中には捨てられた子犬と呼ぶにはあまりにも生々しい、みすぼらしい女の子と僕がいた。 女の子と僕が手を繋いで夜の街を彷徨っている。二人は冷え切って、お腹を空かせて、今にも泣き出しそうな顔をして歩く。あの時は寒かったなぁ。そんなことを考えている僕の生ぬるい手にアマミネくんの手が重なった。 1605 85_yako_pDONE秀百。断片的なので、もしかしたら完全版書くかも。(2022/09/29)花園百々人は忙しい やけにドラマチックだと思った。絵画のようにわざとらしい夕日は線路を茜色に染めながら、俺と百々人先輩がはぐれるまでのタイムリミットを刻んでいる。 夕日、踏切、思春期。おおよそ青春に必要なものはこの程度だろう。そのすべてがここにあって、俺か百々人先輩が口を開くだけでそれは始まる。それなのに百々人先輩は横に立って一言も発さないまま電車が通り過ぎるのを待っている。カラフルなパーカーが、燃えるような朱に照らされていた。 ありきたりな放課後だった。ただ何気なく、悪意なく、それでも明確な意思を持って俺は百々人先輩だけを誘ってクレープ屋に行って、一緒にいる理由が目減りすることに耐えきれずにカラオケボックスに先輩を引っ張っていった。きっかり六時まで俺たちはそこにいた。 4400 85_yako_pDONE秀百。いじわるしあう二人。甘い。100本チャレンジその35(22/9/7)はちみつどろぼう「甘い……」 そのリップクリームを唇に塗った瞬間、はちみつの甘い香りがした。きれいで、純粋で、粘度のある、何かを絡め取るような香りだった。 ぺろ、と舌を這わせれば味も甘い。制汗剤のCMに出たときに新発売だからともらったリップクリームは僕の趣味ではないけれど、かといって使わないほど嫌いなわけじゃない。買わない、けど、あったら使う。そういう存在がこのリップクリームだった。 使ったのはたまたまカバンにこれが入っていて、ちょっと唇が乾燥していたからだ。アイドルとしての僕は立派な商品なわけだから、ちゃんときれいに保たないと。 そんなことを考えていたら事務所についた。ぴぃちゃん、休憩中かなぁ。そうだったらいいなと思いながら扉を開く。おはようございます。僕の挨拶に帰ってきた声はひとつだけだった。 1435 85_yako_pDONE秀百未満。絵を描いてもらって文章を書くやつです。最高ピクチャ→https://twitter.com/kurata_bngL/status/1554764985573986304?t=MTvAcO-_SJOxGn-7GeT3qg&s=19(22/8/3)シー・スルー・ユー 缶からドロップがカラコロって手のひらに転がってくる。見慣れた色は見つめるだけで味が想像できた。でも俺はこの栗の渋皮みたいな色をした飴の味を知らない。 手のひらには三つの、沈んだ色の飴。チョコ味って聞いてるけど俺は食べたことがない──正確には、忘れている。昔は食べたことがあったはずなのに、もうこれは俺の物じゃないって考えているから忘れてしまった。だって、これは親友のためのものだから。 缶に飴を戻す。もう一度、缶をよく振ったあとに傾ける。出てくるのは深い茶色をした飴だけだ。きっともう、これだけしか残っていないんだ。 俺はそれを缶に戻して蓋を閉めた。どうしても思い出を口に含む気にならなかった。これはどうしたって、親友の笑顔と紐付いていた記憶だった。 4550 85_yako_pDONE手癖の秀百(22/8/1)キミの好きな人 鋭心先輩とプロデューサーにコーヒーを手渡してきた百々人先輩が戻ってきた。二人は仕事の打ち合わせをしていたけれど、無関係ってわけじゃないから話に入ってきてもよかっただろうに。百々人先輩は俺にもコーヒーを差し出して、魔法のように呟いた。 「アマミネくんは、ミルクとお砂糖をひとつずつ」 はい、と穏やかな声が伝ったみたいに真っ黒な水面が波打った。俺はソーサーに乗せられたコーヒーフレッシュの先端をパキリと割りながら言葉を返す。 「百々人先輩はミルクがひとつだけ。でも、」 「疲れてるときはお砂糖みっつ。アマミネくんも、レッスン後はお砂糖をみっついれる」 おそろい。そうにこにこと笑う百々人先輩から一度目をそらして、スティックシュガーを真ん中から割った。これはプロデューサーのクセだけれど、確かに片手で出来るのはいいかもしれない。失敗することもあるから外ではやらないけれど、事務所では時々こうやって試している。 1958 85_yako_pDONE秀→百(22/6/14)束の間スパークリングタイム「百々人先輩の偽物が出ましたよ」 「え?」 アマミネくんがそう教えてくれたとき、僕は学生に相応しいファストフード店でハンバーガーを頬張った瞬間だった。喧噪の中でもまっすぐに届いたその声に、僕は短く疑問を返す。 「どこに?」 「夢の中です。俺の」 「そっかぁ」 夢の中ならどうでもいい。僕のアイドル活動に関わらなければ、偽物だろうが好きに生きていてくれても構わない。僕のそんな寛容な思考を余所にアマミネくんは続ける。 「鋭心先輩もいて、プロデューサーもいたんです。ファンだって大勢いました。でも気がついたのは、見破ったのは俺だけだったんですよ」 偽物がそんな輪の中にいたら、果たして本物の僕はどこにいたんだろう。そう疑問を投げかければアマミネくんは短く「さぁ?」と言った。これは本題ではないらしく、まだアマミネくんは話し足りないようだ。 1887 85_yako_pDONE秀百。ピアスと攻防戦。(22/6/1)所詮は塞がる傷だけど 百々人先輩はよくわからない。恋人になってようやくこの人のことを知れるのかと思ったのに、わからないことのほうが増えたくらいだ。 ベッドの上に座って投げ出した足の、たいして柔らかくもない俺の太ももに頭を乗せて百々人先輩はだらだらと本を読んでいた。たまにこういうスキンシップを取ってくるくせに、定期的に「人肌は苦手」と言うのが先輩だ。なら俺が特別なのかと問い掛けても「別に?」と笑う、そういう人間が彼だった。 俺の恋は怖いもの見たさなんだろうか。百々人先輩のことを知りたいと、『好き』を持たずに投げかけた告白に百々人先輩はひとつだけキスを返して、双方明言しないまま俺たちの『お付き合い』は始まった。さして日常は変わらずに、たまに百々人先輩はワガママを言ったり、俺の家に行きたいと言うようになった。そして、そういうときだけ「僕たち、恋人じゃん」と宣うのだ。 5606 85_yako_pDONE秀百。ゲーム脳未満。100本チャレンジその25(22/5/12)ライフイズファンタジー「僕はアマミネくんが嫌い」 この人ともだいぶ仲良くなれたと思えてきた矢先、百々人先輩が歌うよう囁いた。なんだか楽しそうだから、そこだけは好ましい。 「……理由を、聞いても?」 思い出したように、ひさしぶりにこの人が少しだけ怖くなる。表情には出なかったんだろう、俺を気にせず百々人先輩は笑う。 「キミが世界の主人公だから」 「は……?」 「それでね、僕はラスボスなの」 そうして百々人先輩は人差し指をくるくると動かした。その動きに合わせてレッスン室の鏡にひびが入る──なんてことはない。起こるわけがない。 「主人公とラスボスが仲良くなっちゃったら、ハッピーエンドになっちゃうでしょ?」 ぴた、と止めた指を百々人先輩はそのまま俺に向けて告げた。 797 85_yako_pDONE秀百。味覚音痴百々人という大捏造。(22/4/25)肉は肉。 俺が高校を卒業した翌月、もうとっくに一人暮らしを始めていた百々人先輩をなかば連れ出すようにして、俺と百々人先輩はルームシェアを開始した。俺と付き合う前から一人暮らしをしていた百々人先輩にふたりで暮らそうと声をかけるなら、こういう節目にしかチャンスがないと思ったからだ。 百々人先輩は二つ返事で快諾。あっという間に話は進み、桜と共にルームシェア、もとい同棲生活が始まった。新居の壁に貼られた家事の分担表は、小学校の教室に佇んでいた時間割みたいでなんだかむずかゆい。もっとも、俺たちの仕事は不規則な仕事だから大抵の項目は『できる人がやる』なんだけど。 数日は段ボールに囲まれて宅配ピザなんかを食べる日々が続いていたが、ようやく段ボールも片づいてきた。今日は百々人先輩の帰りが少しだけ遅い。俺は新品の調理器具を携えてたくさんの料理を作る。料理は唯一、出来る限りは俺がやりたいと言い出したことだった。 2120 85_yako_pDONE秀百。事後のピロートーク。(22/3/15)完全犯罪 ベッドに沈み込んでいた。一分か、一秒か、それよりもっと長くか、一瞬か。 ふ、っと浮上して、まずは自分のからだを確かめる。どこも溶けてなくて、どこも欠けてなくて、どこもくっついちゃってない。こうやらないと、完全に百々人先輩と離れられたのかがわからない。 素肌に触れると潜り込んだ気分になる。舌が絡むと境界がわからなくなる。噛み付けば胃の中に押し込めた感覚があって、喘ぎ声を聞くと脳内が百々人先輩にジャックされる。そうやってからだの感覚が形を保てなくなるくらいドロドロになっちゃって、最後には証明のようにくっついてひとつになってしまう。 そうやって繋がると、ちょっと離れたくらいじゃわからない。百々人先輩に触れて、自分のからだに触れて、そこでようやく俺たちが別々の生き物だって、わかる。 3687 85_yako_pDONE秀百々が海に行きます。夢の中の話だけど流血描写あり。(2022/02/06)海とイルカの作り方。 夢を見ていた。夢だとわかる夢だった。指一本、言葉ひとつままならないなかでこの美しいものをただ享受できる、そういう安寧をさざなみが連れてくるような、そういう類の夢だった。 海岸を歩いている。視線を右に向けると見える景色は夢らしく真っ白に断絶された空間だった。そうして左足を見つめると、寄せては返す穏やかな波がローファーにはじかれながら、履いた覚えのない真っ白な靴下を濡らそうと笑っている。 制服の裾が海風でなびく。遠くの水平線が、飴玉みたいな太陽を匿っている。朝のようで、昼のようで、時から切り離されたような時間だった。俺はこれを表す言葉を知らないけれど、夕暮れでも夜でもないことはわかる。 ふと見ると、手ではなく声が届く距離に百々人先輩がいた。しゃがんで、指先で何かを弄びながらそれを海に浸している。見慣れたパーカーの袖が水面に触れないか、それがやたらと気になった。 9900 85_yako_pDONE秀→百々。秀くんの片思いです。100本チャレンジその14(2022/01/13)素知らぬ視線 自分の歌声がテレビから流れているのにも慣れてきた。俺の声と、柔らかで少し掠れた百々人先輩の声と、真っ直ぐで力強い鋭心先輩の声が重なるのを聞きながら、やはり二人を選んだ俺は天才なのだと再認識する。 「変な感じだね。僕がふたりいるみたい」 柔らかな声は歌声とは少し響きが違う。俺はそのどちらも好きだし、そう伝えたこともある。百々人先輩は誰にだって向ける笑顔で、ありがとうと返しただけだったけれど。 「俺は慣れましたけどね。それに、これからどこにだって俺たちがいるようになりますよ」 返す声はひとつしかない。鋭心先輩は事務所にみかんを差し入れたあと、打ち合わせへと向かってしまった。テレビを見ているのは──ここにいるのは、山村さんに留守を頼まれた俺と百々人先輩だけだ。 1139 85_yako_pDONE秀→百々人 85_yako_pDONE秀百々。自覚してしまった秀とよくわからん百々人。(2021/10/25)ネームレスラブソング 秋の花が綻ぶ香りは空の高さを意識させる。見上げる空に浮かんだ飛行機雲を指さしたってもう俺の隣にアイツはいないから、一枚だけ写真を撮ってどうでもいい一言を添えてSNSに投稿した。顔も知らない人間に拡散されていく空は平等に広がっているんだから、今日はカーテンを開けて空を見ていてくれたらいいんだけど。 冬に備えるように恋の歌が増えてきた、と思う。手のひらの温度を求めたり、一人寝の夜を怖れたり、クリスマスに浮かれてみせたりする、そういう歌。ちょうどいい長袖があっという間に店頭から消えるように、秋は戦線に乗っかれないままに金木犀を道連れに死んでいく。そういえば、俺もあまり秋の歌は作らない。 いま作るとしたら騒がしい歌になりそうだ。高校生になって生徒会長になって、金木犀の香りは多忙と結びついた。文化祭シーズンになって俺は少しだけ慌ただしく過ごしていたし、同じくらい先輩たちだって忙しかった。 3155 1