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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

    DONE道漣。(2019/10/21)
    夢に置き去り 円城寺道流は上機嫌だった。牙崎漣は不機嫌だった。恋仲と言っても差し支えない二人は、相反する感情の渦中にあった。
     更に言うのなら、道流は酔っていた。三次会が終わった時点で道流が電車を利用できる状態ではないと判断した、彼に師匠と呼ばれる人間がその巨体をタクシーに押し込んだ。師匠――プロデューサーは自分がついていかなくても大丈夫かと何度も問いかけて、道流はその心配を笑い飛ばして一人で帰宅した。それは決してアパートの階段を上るだけなら泥酔した自分にもできると判断しての行動ではなく、ただ全身を支配する多幸感に後押しされた根拠のない自信だった。
     そんなもんだから、道流は鍵を持っているにも関わらず玄関の扉をガンガンと叩き、家の中で眠りの浅瀬にいた漣を起こして鍵を開けさせた。そうして開いた扉を背に道流は「れ~ん~」と猫なで声を出し、にへら、と笑いながら漣が逃げ出す前に抱きついて、その米袋八つ分の体重を遠慮なく彼に投げ出した。ぐえ、と。漣の口から漏れた悲鳴に返されてのは謝罪ではなく笑い声で、したたかに打ち付けた背中の痛みとその陽気な声に、ただでさえ募っていた漣の苛立ちは最高潮に達した。
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