冬空に硝煙 初めて人を殺した感覚を未だに覚えている。
大きい、壁みたいな背中。そこに思い切り体当たりをするつもりでぶつかった。
殺意はあった。死んでしまえと思ってぶつかった。どうしても、どうしても邪魔で、明確にその死を願って大きな背を押した。
セブンがその孤児院を訪れたのは、早い話が下見だ。そこにターゲットが通っていた。それだけの話だった。決して、慈善事業に目覚めたわけではない。
ターゲットは俗に言う地上げ屋の類だった。組織に依頼をしたのはその地上げ屋に立ち退きを強要されている孤児院の主、その人だった。報酬は決して安くないのに、人の命を奪うことなのに、孤児院の主は依頼を撤回することはなかった。それだけの覚悟を持って依頼をしたということだろう。
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