観覧車は廻る 神谷、初めてあなたと遊園地に行ったのは学生の頃でしょうか。あの頃は友人みんなとバカ騒ぎをしていて情緒なんて欠片もなかったし、私はあなたにこんな感情を抱いてなかった。総じて楽しい、無自覚な一日でした。
二度目はカフェパレードのみなさんと。私たちは二一才になっていて、ハシャぐ水嶋さんや巻緒さんをあなたはのんびりと眺めていましたね。私はほんの少し年を取っただけで、ただあなたを好きになっただけでこんなにも見える景色が違うのかと驚いていました。賑やかな空気とアトラクションの中にいるあなたは華やかで、美しかった。
夕暮れまでそうして遊んで、空にうっすらと月が見えるようになったとき、水嶋さんが言いました。
「みんな、観覧車乗ろう!」
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