85_yako_p カプ入り乱れの雑多です。昔の話は解釈違いも記念にあげてます。作品全部に捏造があると思ってください。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 434
ALL タケ漣 鋭百 カプなし 天峰秀 大河タケル 100本チャレンジ モブ 牙崎漣 花園百々人 想雨 カイレ クロファン C.FIRST 眉見鋭心 天道輝 ミハレナ ダニレナ 既刊 伊瀬谷四季 蒼井享介 蒼井悠介 W 若里春名 華村翔真 Altessimo 神楽麗 都築圭 古論クリス 葛之葉雨彦 レジェンダーズ 北村想楽 百鋭 秀百 薫輝 THE虎牙道 タケ漣ワンドロ web再録 誕生日 くろそら 途中 秀鋭 卒業 ケタザザ 短歌 プロデューサー 円城寺道流 叶納望海 御田真練 超常事変 渡辺みのり 癒残 堅真 ウォリアサ R18 街角探偵 わからん 九十九一希 四季漣 親友 輝薫 書きかけ 黒紅 道漣 DoS幻覚 ドラスタ 桜庭薫 BoH 春隼 サイバネ 山下次郎 寸劇 左右わからん しのかみしの 東雲壮一郎 ハイジョ レナート ミハイル S.E.M じろてる 旬四季 北冬 東雲荘一郎 秋山隼人 悠信 神谷幸広 アスラン そらつくそら 四季隼 140SS 黒野玄武 冬美旬 冬春 ゲーム部 ジュピター 卯月巻緒 四季秋四季 85_yako_pDONEタケルが変な動物園に迷い込む話です。Pが喋ります。タケルから漣への感情があるけどカプじゃないです。いつものSF(少し不思議)です。(2024/6/17)人間みたいね 動物園には馴染みがない。 だからこうして動物園の入口にいるだけでもなんだか不思議な気分になる。月面着陸ってほどじゃないけど、俺ってこんなところにいるんだな、みたいな。 存在を知っていて、イメージは掴んでいて、現実感はない。記憶にないだけかもしれないが、行ったことがないんだから仕方がない。正直、自分が動物園に行くって発想が全くなかったんだから、どうしようもない。 だから知り合いが動物園にいるのを見て、たったそれだけの当たり前の光景に驚いてしまった。夕方のバラエティに出演したHigh×Jokerはいろんな動物を見て、その動物にちなんだクイズに答えていく。ずっと楽しそうにしていた隼人さんは檻の中のライオンを見たときだけ、「檻がなかったらすごく怖いんだろうな」って言っていた。「かわいい」とも、「かわいそう」とも言わなかった。 8324 85_yako_pPAST四季とタケルと漣が旅行する話です。かなり前の既刊です。SF(少し不思議)です。牙崎くんは冬眠する一 失敗した。重くなる体を引き摺りながら思う。想定外だった。まだ、猶予はあったはずなのに。 まるで逃げだすみたいだ。屈辱にも近い感情が冷え切った胃の底を焦がしていく。だが、これが逃走だとしても足を止めるわけにはいかない。逃げ込める場所の心当たりは苛立つほどに少なくて、そのなかの一つである寮へと体を引き摺っていく。 アイドルになるまでは、どこか誰にも見つからない冷たいところに身を隠せばよかったのに。大勢に見られるのは困る。だけど、今は誰にも見つからないところには行けない。 ようやく寮に辿り着けば灯りはとうに落ちていて、誰もいないラウンジはひんやりとしていた。時間が時間だ。当然だ。体温が奪われていく感覚は少しだけマシになったが、このままではきっと眠ってしまう。 35426 85_yako_pDONEタケルと秀が話す話。三題噺(郵便、歌、カレンダー)100本チャレンジその49(2024/3/31)落とし物、拾ってあげましょ「そういえば秀さんは前に配達員の仕事をしてたよな」 「そうですね。だから届けるってコンセプトの仕事なら経験あります」 タケルと秀はプロデューサーから渡された書類を見ながら他愛のない話をしていた。THE虎牙道とC.FIRSTは次の仕事で郵便局をPRをするので、他のメンバーよりも早めについた二人は書類を先に受け取って目を通していたところだった。 「えっと、ここに土日があるから……この日に郵便ポストに入れれば、この日には届くな」 秀の指がカレンダーをなぞる。タケルが一言「遠いな」と呟いた。 「手紙って思ったよりゆっくり届くんだな」 「そうですね。今はわざわざ手紙を書かなくてもLINKがありますから、LINKと比べちゃうとなおさら」 1133 85_yako_pDONE三題噺お題。『猫、御守り、また明日』タケルと漣とチャ王の話です。(2024/1/14)観測、約束、ねがいごと。 チャンプのお気に入りの寝床は路地裏のドラム缶の上にある。円城寺さんがくれた座布団の上、チャンプがさっきまで寝ていた場所に見覚えのある御守りがあった。 これは俺がアイツにやった御守りだ。御守りなんてどこにでもあるものだけど、わかる。そもそもアイツが置いたんじゃなきゃこんなところに御守りがあるわけがない。 この前の仕事で買ってきた汚れが目立ちそうな白いお守りにはチャンプの毛がくっついていた。御守りをあげたのは円城寺さんとプロデューサーとアイツの3人だけだ。隼人さん達にも買おうと思ったけれど、そうなると四季さんにあげないのはなんだか違うし、四季さんにあげたならHigh×Jokerの全員に必要な気がしてくるし、High×Jokerのみんなに買うなら同年代の人みんなにもあげたい。俺の大切な人は増えたけれど、だからこそどこかで優劣にも似た線引きは必要で、俺には持ちきれないほどの御守りを買う気はなかった。それなのにアイツの分の御守りは買ってるのが自分のことなのによくわからない。あんな、御守りなんていらなそうなやつなのに。 2567 85_yako_pDONE二年後のタケルと漣が映画を観に行く話です。(2023/12/14)憧憬 半月の夜だった。夜道で一度だけ空を見たから知っている。普段通りの日常に半月がくっついて、今から俺はコイツとレイトショーを観に行く。そういう、少しだけ特別な夜だった。日付がもうじきに変わるころだった。 ビルの正面入り口は閉まってるから裏口のようなところを通ってエレベーターに乗る。現在地を示す階数を増やしていくエレベーターの中で、もしも途中で降りたらどうなるのかって考えた。そりゃ真っ暗なフロアが広がってるだけなんだろうけど、非日常へと繋がっていそうでなんだか少しだけ惹かれる。そんなことを考えていたらあっという間に映画館がある階までついた。 夜道では誰にも会わなかったのに映画館には人がいる。他人っていうのはどこから来るんだろう。顔も名前も知らない人が、期待がもたらす静かな活気の中にいた。 4368 85_yako_pDONESideMで初めて出した同人誌のweb再録です。2018年の6月ですって……そして拙いね……流血表現があります。恋愛要素はないです。名無しモブがでます。牙崎の父親捏造。牙崎くん死なない! オレ様は死なない。何を唐突にと思うだろうが、本当に死なない。例え話なんかじゃない。そのまんま、言葉通りの意味だ。 『死ぬかと思った瞬間』と書かれた台本をテーブルに放り投げソファに身を沈める。事務所は空調が効いていて、ソファはそれなりの固さがあり横になるにはぴったりだ。うるさいチビもらーめん屋もいない。そういえば、最近は別々の仕事が増えた。オレ様は次の仕事まで時間がある。だけど、それまでは正真正銘の一人っきりだ。あっちには眼鏡かけてんだか乗せてんだかわかんねぇやつがいた気もするけど。 死ぬかと思った瞬間。先ほどまで、チビとらーめん屋としていた会話が脳裏を掠める。チビは一番キツかった減量中の話をしていた。らーめん屋がそれを笑って聞いていて、オレ様にもそんな瞬間はあったか聞いてきたから、あるわけないだろ、と答えた。だってオレ様は最強大天才だから。 24855 85_yako_pDONEタケルと漣の感情がデカいSF(少し不思議)私はカプ認定してませんが、感情がデカいです。(2023/04/29)さよなら、ロマンスブルー 満月の夜、夢を見た。 ガラス、あるいは氷一枚を隔てて海の上に立っている。海には桜が散っていて、世の中の常識全部を無視してゆらゆらと舞い踊っていた。仰ぎ見た空はチューリップの畑を逆さまにしたように、一面の花で先が見えない。 少し離れたところに猫がいる。大きさはチャンプくらいで毛並みもチャンプそっくりなのに、瞳の深さが夜の闇よりも深い。色は紺碧に金色が混ざっていて、宇宙に蜂蜜を垂らしたような目をしていた。 猫が口を開く。幼い子供の声がする。 「世界が消えるか、牙崎漣が消えるか」 選んで、と猫は言った。俺はアイツを思い出す前に、妹弟のことを思い出していた。 アイツのことは嫌いじゃないけれど、世界かアイツかなら絶対に世界を選ぶ。大切な人がどこかにいる世界だ。その目的に届くために努力ができて、それが認められる世界。そうして認めあえる仲間がたくさんいる世界。そんなの、何よりも大切に決まってる。 2850 85_yako_pDONETHE虎牙道の意味怖です。なにを見ても楽しめる方向け。たいしたことないですけど。(2023/4/2)二度目はない。まだ、 THE虎牙道がロケで訪れたのは、廃村と呼んでも差し支えのない寂れた村だった。土地の豊かさと住民の穏和さに関係があるという通説などはないが、この村の広大な自然が人柄に影響を与えているのだと言われたら誰もが納得するだろう。それほどに村の住民は優しくて、献身的で、おおらかだった。 村の住民は三人がからだを張った企画を挑んでいるときもそれを応援し、休憩の合間には差し入れまでくれた。 焚き火で焼いたというさつまいもを食べながら、三人は笑う。タケルも、道流も、漣も、この村を──この村の住民をいたく気に入った。そんな三人に、村人は収録が終わった後に集会所にくるように誘う。 「村の名物のね、鍋を振る舞いますから」 1920 85_yako_pDONE異星人VS牙崎。100本チャレンジその39(2023-02-10)流れ星はたまに見かける。「チビ!」 アイツの声がする。 チビ、としか言わなくなったコイツの言葉は鳴き声みたいだ。こんな動物みたいなやつが世界の救世主だと言うのだから恐れ入る。 先日、地球に異星人が舞い降りた。何をバカな話をと思うのだが、そんなバカな話を世界中の人が経験しているんだ。あの日、地球の人間すべてが異星人を見た。 異星人は手始めに世界遺産をみっつ、破壊した。そうして言った。 『牙崎漣の言葉が欲しい』 なんでアイツだったんだろう。こればっかりは本気で意味がわからないんだけど、あっという間に主要国家の派遣したなんか強そうで偉そうな人間ががアイツを確保しようとやってきた。ついでに、異星人も。アイツはそんな緊急事態でも我関せずといった様子で眠っていたっけ。 1064 85_yako_pDONE四季→漣を見てもやるタケル(恋愛感情なし)100本チャレンジその34(22/9/6)水玉病 コイツが水玉病にかかってしまった。こんこんと、しんしんと、眠り続けて目覚めない。左の指先から肩にかけてまで、皮膚を真っ赤な水玉模様が這いずっている。 水玉病は奇病だ。色素の薄い人間がかかりやすいとは言うが、それでもかかった人間はコイツを含めて世界中で百人もいない。 水玉の広がり方でわかるのだが、コイツの病状はかなりひどい。水玉病はその人を想う人間の涙に触れないと目覚めない。水玉が肩まで広がっているということは、コイツを一番に想っている人間じゃないと、この眠りは覚ませないだろう。 コイツの眉間にしわが寄っている。水玉病は悪夢をつれてくる。「かわいそうに」と泣いた円城寺さんの涙も、「あんまりだ」と嘆くプロデュースの涙も、コイツを目覚めさせることはない。みんな、薄々察していた。この二人には大切な人が多すぎるんだ。 1300 85_yako_pDONE誰かに恋する牙崎と、それを見守るタケルです。100本チャレンジその33(22/8/23)恋バナしようぜ アイツが花吐き病になった。最近流行の病気らしい。恋をすると花を吐くっていうアレだ。 俺は心底驚いた。アイツが恋とか、あり得ない。事務所全体の困惑をよそに、世間はどうでもいい『あり得ない』で盛り上がっていた。 なんでもアイツの吐く花は、地球上どこでも確認されていない未知の花らしい。円城寺さんも、プロデューサーも、みのりさんすら知らない花だ。 数回見たことがあるけれど、とてもきれいな花だった。宝石みたいにきらきらしてて、光の加減で色が変わって、夢みたいないい匂いがする、不思議な花。 最初はその見た目の美しさから少し話題になっただけだった。ところが興味を持った研究者が面白半分に調べたところ、これがとんでもない花だった。 923 85_yako_pDONEタケルと漣(カプ未満)100本チャレンジその17(2022/01/31)太陽を掴んでしまった「太陽みたいだな、オマエ」 みたいもなにも、結果は陽性だったのだからコイツは紛う事なき『太陽』だ。『太陽』というのは俗称で、本当はカタカナのたくさん並んだ名前がついていたけれど、俺は正式名称を覚えていない。ただ、そういう現象──いや、病気があるというのはずいぶんと周知されていた。 太陽。なんというか、神秘的でやかましい病気だった。きらきら、というよりはぎらぎらと、煌々と髪が光るのだ。目を焼くほどの圧倒的な光量で、自然発火しない程度の熱を発する。太陽なんて大層な名前に怯んでいると、拍子抜けするような、そういう病気。日本人の発症は少ないが、それは髪が黒いケースが多いからなのだろう。コイツみたいな銀の髪が煌々と燃えるのは、なんだかちょっとかっこよかった。 1467 85_yako_pDONEクラファ VS THE虎牙道です。理想願望をたっぷり含みます。(2022/01/16)追記、呼称を訂正(2023/03/13)愛しき戦場 ぼんやり、事務所のソファーに沈みながら指先でつまみ上げた紙を見ている。僕が書いた『花園百々人』って文字と回答と赤い丸、そしてたったひとつのバツ。どこにでもあるような、平々凡々なテスト用紙だ。 「……あと2点かぁ」 もう一番になる必要は無い。だからどうでもいいはずなのに、やっぱり少し気になってしまう。どうしても順位が気になる悪癖から目を背けるために、僕はこの焦燥感の理由を探す。 「やっぱり、頭がいいほうがクイズ番組の仕事とかもらえるよね……」 僕はもう一部では有名人だから、いまさらバカのフリはできない。そもそも、生徒会長が揃っていることが売りでもあるユニットなのだから、それはぴぃちゃんのプロデュースからは外れてしまうだろう。 4800 85_yako_pDONE牙崎と呪われた舞台の、あっさりとした話。(2022/01/13)春に殉ずるわけもなく アイツの名前を呼ぶ、悲鳴のような声が聞こえた。 プロデューサーの声だ。こんなヒステリックな声、らしくない。まぁ、アイツが問題を起こしたんだろう。少しの不安を拭うように、一緒にゲームをしていた隼人さんと一緒に、俺たちは声がした応接室へと向かう。 応接室ではアイツがソファに寝ころびながら本を読んでいた。プロデューサーは俺たちに気づかずに、その本をアイツの手から奪い取る。そしてその本を──思い切り、破り捨てた。 「なにしやがる」 アイツの声は平坦だ。ただ、聞いているだけ、みたいな。それに比べて、プロデューサーの声色は悲痛なほどだ。 「台本が届いても読むなと言ったはずです。この仕事は断りました。もう漣さんは関係がない」 6105 85_yako_pDONEアイツの概念が欲しいタケル。カプなし。100本チャレンジその10(2021/12/19)結局天井した アイツがいない。アイツがほしい。いや、語弊があるな。俺はアイツの演じたキャラクターが欲しかった。 俺たちがハマってるゲームに新規実相されたキャラクターの声を当てたのは、よりによってアイツだった。そのキャラクターのカードを入手すると読めるエピソードには既存のキャラクターもたくさん出てくるらしく、俺の好きなキャラクターもでるらしい。おまけにそのキャラクター自体も見た目がかっこよくて、しかも強いときた。紹介エピソードを見る限り、かなりの好青年であることも知っている。声がアイツなのにいいやつだとか、バグみたいだ。 最高レアリティで実装されたアイツ──便宜上アイツと呼ぼう──を手に入れようとして、手持ちのアイテムをすべて使ったけどダメだった。まぁ、とにかくこない。あと二万円使えば確実に手にはいるのだが、なんとなしにそれは癪だった。いわゆる『天井』と呼ばれる行為の初めてを、よりによってアイツに捧げるというのは、なんかムカつくから。 1233 85_yako_pDONEタケルと漣。名前が奪われた! 85_yako_pDONE牙崎のための言語が生まれる話です。オリP注意。100本チャレンジその5(2021/11/26)最小の宇宙 先日、世界に新たな言語が誕生した。その名も『牙崎言語』である。名の通り、アイツのためだけに作られた言葉だ。 『牙崎くんが日本語を喋ってるの、違和感あるよねー』 そう言ったのは自他共に認める変人だった。この変人は世界的に有名なクリエイターで、アイツを指名して曲を作りたいとオファーをくれたのだ。 『だから……牙崎くんのための言語、作っちゃいました!』 彼のこだわり、あるいは思いつきにより、世界には新たな言語が誕生した。牙崎言語。それはA4の紙に束ねられて俺の手元にもやってきた。どうやら数日間、アイツはこの言語しか話せないらしい。 「すごいよね。一から言葉を作っちゃうなんて」 プロデューサーは感心したように呟く。すべての言葉が網羅されているわけではないが、これで日常会話は賄えるらしいから驚きだ。発音はわからないが、とりあえず一通り目を通す。ふと、気がついたことがある。 839 85_yako_pDONE漣が万能薬になる話です。少し血が出たりします。不穏ですが多分しれっと治るししれっと生きます。(2021/09/18)毒にも薬にもならないアイツが万能薬になった。なってしまったとも言える。万能薬なんてゲームの中の存在だと思ってた。アイツがあれば、どんな病気だって治るってことに、なってる。 なぜアイツの髪や爪が万能薬になるとわかったのかを俺は知らないが、その事実を知られたアイツの髪はあっという間に出会ったときよりも短くなった。最近はそれなりに整えられていた爪は深爪気味になって、そこからささくれが絶えなくなったあたりでアイツは数日姿を消した。姿を消したと言っても行き先はみんな知っていたし、アイツもそこに行くことを拒否していなかったから俺はなにも言えない。もっとも、そこに行くことを喜んでいるようには見えなかったんだけど、それだけじゃ俺はなんにも言うことができない。 2621 85_yako_pDONE飲酒すると夢見心地で宙に浮くタイプの牙崎漣(成人の姿) 85_yako_pDONE同棲10年目の虎牙。牡蠣を食べてるだけ。(2020/04/28)醤油、レモン、ポン酢 コイツと暮らし始めて十年。俺たちがこの家に住み始めて今年で八年目。 愛とか恋とかじゃなくて、ただ隣りにいるのが自然だった。妹を見つけて、弟を見つけた。俺たちが納得できる高みにだって到達した。その気になればマンションだって買えるんだ。現に円城寺さんはビルをまるっと買い上げたわけだし。 それでも俺はコイツとのんびり暮らしている。下町にはなりきれない、でも田舎と言うのは失礼な穏やかな場所。小さな駅には改札が一つしか無くて、八百屋があって魚屋があって、馴染みの洋食屋が一点。スーパーは二つ。老人が多い町だ。接骨院と銭湯が多め。そんなところ。駅から十五分近く歩いたところに立ってる築五十年の木造一軒家。二階建て庭付きで驚きの6LDK。毎年家中の畳を取り替えて暮らす、そういう生活。 3202 85_yako_pDONE牙崎漣生誕祭2020。大人数でわちゃわちゃ。One-off letter アイツに手紙を書くのが流行っている。 大河タケルはそれをただ眺めていたが、傍観者ではいられなくなった。 * きっかけはタケルと共にゲームをよく遊ぶ友人間の遊びだった。 今五人が夢中になっているゲームでは、友人に手紙を出せる。大吾が手紙関係の仕事をしたことも相まって、メモ程度の小さなものだがお互いに現実世界でも手紙を送り合うのがちょっとしたブームになっていたのだ。 こういったことは伝染していく。恭ニはみのりやピエールに。隼人はバンドメンバーに、大吾は大好きな二人へ、志狼は大切な友人に手紙を出した。素直な二人は思いのまま、何気ない話なんかを。素直になれない二人は普段言わない気持ちなんかを。それが人を笑顔にしていく様子を、タケルは少しの思い出とともに見つめていた。 6509 85_yako_pDONE牙崎漣生誕祭2019。これ(https://poipiku.com/IllustViewPcV.jsp?ID=722200&TD=4695085)の続き。選ぶならこっち 何か、選ばせてやりたかった。きっと、アイツも何かを選んだことがないと思ったから。 選ぶということが幸せなのかはわからなかったけど、それはきっと寂しいことではないから。 「いろんな種類のある食べ物?」 「ああ……俺はカップラーメンくらいしか思いつかなくて……」 事務所には年の近い人間が集まっていた。食べ物なら巻緒さんや咲さんが詳しいだろうと思って声をかけると、そばにいたHigh×Jokerのみんなが集まってきた。 「カップラーメンでは駄目なんですか?」 旬さんが不思議そうに訪ねてくる。「ラーメン、好きなイメージがありますけど」 「いや、好きなんだが……なるべくならラーメンは避けたい」 ラーメンは円城寺さんがアイツに振る舞う。俺もその場所にいる予定なのだ。カップラーメンはかぶってしまうし、円城寺さんのラーメンと比べたら見劣りするだろう。 5597 85_yako_pDONE大河タケル生誕祭。たぶん2018年。イチゴの乗ってないケーキ 言い方は悪くなるが、不器用とバカってきっと紙一重だ。もう夜も遅い時間に現れた来訪者にそんなことを思う。 ちゃぶ台の上に乗せられた、バカでかい箱が四つ。その箱を開ければ色とりどりのケーキが、数えるのもバカバカしいほどに入っている。そのケーキはどれもこれもが傾いたり崩れたりしていて、この箱を運んできた人間がコイツであることを証明するみたいに佇んでいた。 部屋には俺とコイツしかいない。事務所のみんなとだって分け合えそうな量のケーキは、俺と、コイツ、二人で分け合うにはあまりにも多い。 「なんだよ」 不機嫌そうに、コイツが言う。早く選べ、とケーキを指差す。一つとして同じ種類のないケーキは、何件も何件もケーキ屋をハシゴして、全部の店で、そこにあるケーキを全部買い占めたんだろうな、っていうのがわかる。 2125 85_yako_pDONEタケルと漣のすれ違い。(いつ書いたのかわからない)ずれていくアイツの声が出なくなった。 昨日の夜は大雨で、泊めたアイツが目覚めたのがさっきの話。金魚のようにパクパクと動く口からはなんの音も出てこない。昨日の夜は、雨音が意識の外に向かうほど快活に踊っていた声が、失われている。 表情と、現状。大方朝飯のことを言っているんだろうとあたりをつけて、トースターで温めたパンを差し出せば、不機嫌そうな顔で何やら言っている。きっと、量が足りないんだろう。 「これしかないんだ。オマエが突然くるのが悪い」 不満げな顔。動く口元。パクパク。 「事務所に行く途中に何か買ってけばいいだろ」 きっと、仕方ねぇとかそんなことを言ってるんだろう、パクパクと動きながら、薄っぺらいトーストを飲み込んでいく口。 742 85_yako_pDONEタケルと漣とブランケット(2019年あたり?)ふわふわとごわごわ アイツの持ち物を俺は一つしか知らない。 それを知ったのは秋の頃だったと思う。寮にアイツの居場所があるのを知ったのも、その日が初めてだったはずだ。 部屋番号を聞いて、歩いて、ノックをして。ノックをしても返答はなくて。 そのまま帰ってしまえばよかったんだ。それでも、苦し紛れみたいにドアノブをひねったのは意地以外の何物でもない。ただ、俺は円城寺さんの焼いたマフィンを持ち帰る先を知らなかったんだ。円城寺さんの家に置いておけば、きっとアイツは食べたはずなのに。 ドアノブをひねればいとも簡単に扉は開いた。歓迎なんてされているわけもないのに踏み入れる。無造作に転がった靴は、主の存在を示している。声は聞こえない。歩みは止まらない。 1661 85_yako_pDONE大河タケルの見た夢。極彩色と銀夢を見た。現実ではありえない光景だったのに、見ている間は夢だと認識できない。そんな夢。 極彩色に埋もれている。最初は部屋の一角にぽつんとあったオモチャやカラフルなお菓子は、夢特有の突拍子のなさで爆発的にその量を増していく。 やがて部屋一杯になったそれは津波か雪崩かのように俺を押し流して外へと溢れていった。外にでてもそれらの増殖は止まらない。 カラフルな雪崩にせき止められてクラクションを鳴らす車もまた原色で色とりどりの列をなしている。目がちかちかする。 ああ、こんなんじゃ。見つけられない。 泣き出すか、叫び出すかしたかった。すると目に一瞬だけ銀の光が目に入った。光を反射した、アイツの髪だった。 目を覚ますと、まるで縋るようにタオルケットを抱きしめていた。 3015 85_yako_pDONEタケルと漣の夜会話(2018/09/15)夜は子供たちのためにきっと漣がタケルの家に来たのは、星の見えない夜だったから。 ここのところ、涼しくなってきて雨が多い。その雫をよけるようにすいすいと、いろいろな屋根の下をうろつく猫のようなこの生き物を、タケルは少しのため息と共に受け入れた。 漣は相変わらず文句が多い。先日言った温泉がどうもお気に召したらしく、タケルの家の風呂を狭いと言っていた。 着替えを貸せば小さいと文句を言われる。だったらオマエが着替えを持ってこい。タケルはそう思う。 電気を消してしばらく、タケルが思いついたように口を開いた。 「オマエでも、約束とかするんだな」 「は?」 心当たりがないと言った様子の漣に、タケルはリンゴの赤さを教えるように口を開く。 「温泉で。ほら、来年の話、してただろ」 1058 85_yako_pDONE牙崎漣生誕祭2018。2017年の母の日に書いた母の日の話です。蜂蜜色の夢拝啓 お母様へ 街に華やかな広告が増えたように思う。鮮やかな赤。呼応するように花屋の店先には真っ赤なカーネーションが並んでいる。広告塔がせっつくようにまくし立ててくる。『母の日の準備はお済みですか?』 「母の日ぃ?」 アイツのどうでもよさそうな疑問符。その疑問は俺に向けられたものではない。アイツは俺に何も聞かない。 質問を向けられた円城寺さんは少し困ったように答える。いつも通りのやりとりだ。 「ああ、漣は知らないのか。えっと……母の日って言ってな。まぁ、母親に日頃の感謝を伝える日だな」 一番よくあるのは赤いカーネーションをあげることかな。あとは晩ご飯を作ってあげたり、家事を手伝ってあげたり。カーネーション以外の贈り物をする人もいるだろうな。過去にそうしたことがあるのだろう、記憶を辿るように円城寺さんが口にする。アイツはそれをつまらなそうに聞いている。自分で聞いたくせに。 7011 85_yako_pDONEラーメン食べたい夜に書いた。タケルと漣。(2019/06/24)なんてことない夜になんてことのない夜に うまくいかない日ってのはある。きっと、誰にでも。 今日は行きがけにベッドの足に小指をぶつけた。変装用の帽子が木枯らしに吹き飛ばされて川に落ちた。仕事では納得の行く演技ができなくて撮影を長引かせてしまったし、気に入っている靴の紐は切れた。男道ラーメンは味玉が売り切れていたし、帰り道は猫にも会えない。 今日だけだ、わかってる。だけど、こんな日は何もかもうまくいかない気がしてしまう。そんなもんだから、寒いというそれだけの理由でうちにきた銀色の猫に、なんだか安心してしまった。なんか、それだけはいつもと変わらないことのようなことの気がしたから。 「ラーメン食いてぇ」 その言葉に振り向くと、コイツは一切の遠慮もなく、俺の服を着て我が家の安いベッドの上に転がっていた。風呂上がりの髪がぺしゃりとしている。せめて、今夜みたいに冷える冬の夜くらい、乾かせばいいのに。 4860 85_yako_pDONE穴を掘る漣。遭遇するタケル。(2018年頃?)穴 ザク、ザク、ザク。 定期的に音が聞こえてくる。その音を合図に意識が浮上する感覚。どうやら眠っていたようだ。ザク、ザク、ザク。さして大きくもない音が響いている。その音以外は見当たらない。やたらと静かな空間。 そもそも、俺は眠っていたのだろうか。ぼや、と靄のかかったような思考は寝起きのそれだ。だが、何か違和感がある。でも、その正体が掴めない。まぁ、眠っていたんだろう。 ぱち、と。目を開いても視界は暗いままだった。夜なんだろうか。明かりをつけようとリモコンに手を伸ばすが、手が掴んだのはざら、という感触の何か。 いつも枕元に置いているリモコンがない。いや、そもそも枕がない。あろうことか、布団すらない。 2702 85_yako_pDONEおいしい飲み物を飲むタケルと漣(2019/02/10)名前はなくて、あったかい ホットチョコレートを飲む話 レンジで温めた牛乳にチョコレートを一欠片。華奢なスプーンは持っていないから、カレーを掬うための大きなスプーンでくるくるとマグカップの中身をかき回す。 ボクサーをしていた時は、この指がこんなに柔らかな動きをするなんて、思ってなかったわけではないが、意識したことは一度もなかった。ハンドクリームを塗るようになった手は、ようやくアップで撮られても胸を張っていられるようになった。 マグカップの中、熱い牛乳がチョコレートを溶かしていく。湯気に甘い香りが混じって、それから少しして華やかな馴染みのない香りがする。これが、最近のお気に入り。チョコレートに包まれていたラム酒の香り。 6655 85_yako_pDONE弱るタケルと励ます漣。カプなし。(2020/10/31)それは影に似ている。 プロデューサーはいつも新幹線に乗るとアイスクリームを食べる。必ず食べるもんだから、相当好きなんだろう。 自分だけじゃない。俺と円城寺さんにはバニラ味、アイツにはチョコ味のアイスクリームをいつだって手渡してくれる。実を言うと、たまにはチョコ味が食べたい日もあるんだけど、それでも俺は黙って薄い真珠色をしたアイスクリームを受け取っている。プロデューサーにはこういうところがあった。なんて言葉で表せばいいのかがわからない、決して賢くはないところが。 新幹線はあまり揺れないから、気がつくととんでもなく遠くに運ばれていたりする。いまだって相当な距離を走ってきた。北へ、北へ、北へ。外だってきっと寒い。それでも新幹線の車内は暖かいから、俺はアイスクリームを買った。プロデューサーもいない、アイツもいない、円城寺さんもいない車内で、チョコ味のアイスクリームをひとつだけ買った。 10671 85_yako_pDONEタケルと漣。ギリギリカプなし(危うい)(2019/7/25)銀幕越しのジュリエット 朝起きたら、アイツが死んでいた。 アイツが世にも珍しい病に蝕まれたと知ったのはその日の夕方だった。その病は大げさに言えば死因そのものであったけど、アイツはそれを聞いてつまらなそうに「ふーん」と言っただけだった。 アイツは生き返った。いや、それは適切ではない。アイツは別に死んでいなかった。俗に言う、仮死状態というものらしい。俺にはイメージがわかなかったけれど、九十九さんが何かの物語のようだと言っていて、それはアイツの限りなく色をなくした心音に相応しい気がしていた。その病には、物語のヒロインの名前がついていた。 アイツは死んで、生き返る。スイッチは睡眠だ。眠るたびに仮死状態に陥るなんて、厄介な病だと思う。 3887 85_yako_pDONEタケルと漣。花火とふたり。(2019/08/07)夜空に硝煙 毎年、遠くに聞いていた。小さな破裂音と、空を照らす光の花。 呼び覚まされた記憶はいつも柔らかく輝いていて、そうじゃない思い出を持っているやつがいるってこと、考えたこともなかったんだ。 「納涼花火大会のレポっスか! 楽しみっス!」 「のーりょーはなび大会?」 プロデューサーの言葉に返された、期待に満ちた声とふわふわとした声。円城寺さんがイマイチわかっていない様子のアイツに『納涼』の説明をするのを、俺は黙って聞いていた。 納涼。意味を知っているつもりだったが自信はなかった。それでもあながち間違っていなかったことに内心ホッとする。ところがアイツはまだ疑問があるようで、仕事に関わることだからだろうか、いつもよりは素直に円城寺さんに問いかける。 6305 85_yako_pDONE大河タケルと約束 85_yako_pDONEタケルと苗字。 85_yako_pDONEタケルと四季(と漣) 85_yako_pDONEタケルとじろちゃん 85_yako_pDONEタケルと漣。ギリギリカプではない。 85_yako_pDONEタケルと漣。 85_yako_pDONE冬のタケルと漣。 85_yako_pDONEタケルと漣。 85_yako_pDONEタケルと漣。ギリギリカプではない 85_yako_pDONEタケルと漣。 85_yako_pDONEタケルと漣。グロ。(2018/07/29)愛しの果実タケルの目がおかしくなった。いや、おかしくなったのは目ではなく脳かもしれない。 タケルの目には時折、食べ物が人のパーツに見える。 誰にも言ったことはなかったから、その秘密はタケルだけが知っていた。今日も人の指にしか見えないメンマを食べた。 その人体のパーツがはたして誰のものなのか。それを認識したのは、よくゲームをやる仲間とゲーム合宿の名目で訪れたロッジでの出来事だった。夏の夜だ、隼人がスイカを持ってきてスイカ割りをしようと笑った。 タケルには、スイカはどう見ても牙崎漣の頭部にしか見えなかった。 スイカ割りの名目で割られた漣の頭部は、派手に脳漿を散らして手のひらサイズまで砕かれた。みんな、うまそうにアイツの頭部にかじりついてる。滴る血が腕に伝えばそれを舐めとっている。みんなが楽しそうだった。自分だけが異常なのはわかっていた。 1651 85_yako_pDONEタケルと隼人とアイスクリーム(2018/11/13)セブンティーンとアイスクリームもう厚手の上着がないと寒い季節だ。帽子、眼鏡、マスク。いかにも変装をしていますといった風貌で俺たちは歩く。枯れ葉をさくさくと踏みしめて、目当てのゲームセンターにたどり着く。 隼人さんがよくやっている音楽ゲームの新作が入ったらしい。俺もひさしぶりにシューティングゲームがしたかった。最近、忙しくてゲームセンターにくるタイミングがなかったから。 隼人さんの目的は音楽ゲームで、俺の目的はシューティングだ。それでもゲームセンターの入口で別れるようなことはせず、隼人さんは俺がシューティングゲームをしてるときに横で楽しそうに話してくれたし、俺は隼人さんにくっついて新作だというゲームの曲を聞いていた。 そうやって、しばらくゲームセンターにいた。2人で対戦もしたけど、やっぱり音楽ゲームやシューティングゲームはどうやったって得意なほうが勝つ。1対1の勝敗の決着はエアホッケーでつけた。俺だってアイツほどではないけど勝負事は好きだし、隼人さんだって熱くなっていた。 2224 85_yako_pDONEタケルと漣。カプ未満だが感情がデカい。(2019/03/30)溢れる、 この感情が理解できたら、何かが変わるのだろうか。 *** テレビ画面の右上。攻撃力、防御力、すばやさ。パラメータの横、冒険を共にする少女の真っ赤に染まったハートマーク。 「よっしゃー! 親愛度マックスになった!」 「これでようやく絆の必殺技が使えるな」 そう言って笑う恭二さんと隼人さん。早速モーションを見ようと兜さんがコントローラーを握る。それをぼんやりと見ながら思う。 こうやって、気持ちが目に見えたらいいのに。 「ん? どうしたんじゃ? タケル」 「……ん、ああ。なんでもない」 絆を結んだ少女との必殺技が、テレビ画面の中でキラキラとした星を散らしていた。 こんなふうに、わかりやすく感情が見えればいいのに。 12447 85_yako_pDONEタケルと漣とケーキの話。(2018/07/18)生クリームと苺の乗った甘いの。その奇妙な習慣が始まった日の空は覚えていないけれど、そのきっかけになったであろう出来事をタケルは鮮明に覚えていた。 もっとも、それはタケルがそう思い込んでいるだけなのかもしれないが、おそらくはこれが原因であろうと大河タケルは自惚れている。 そう自惚れてしまうほど、二人の間には時間が流れていた。牙崎漣は21才になっていたし、大河タケルは次の誕生日で二十歳になる。 半年ほど前に始まった奇妙は非日常は、日常へと形を変えて未だに彼らの間に横たわっていた。 *** きっかけは秋だった。ちょうど、牙崎漣が成人した年だった。 THE虎牙道のメンバーはCafe Paradeにいた。次の仕事が一緒の巻緒と咲にミーティングでも、と誘われたのだ。 10493 12