5番目の季節春。出会いは運命だった。16年間生きてきて、運命以外の言葉が見当たらなかった。近い言葉は、奇跡とか多分そういうの。
退屈ではないけれど少しだけ物足りない日常にほしかった何か。その何かがぴったりと形を得て目の前にいた。多分、中学でつるんでたやつらが見たら「必死すぎてダセぇ」とか言いそうなまっすぐな瞳と声と演奏。彼のそのパフォーマンス全てに、普段なら笑っちゃうような「青春」って言葉にまで、一瞬で焦がれてしまった。味わったことのないような熱が身体の中をぐるぐると駆け巡って、今すぐステージに駆けだして彼の手を取って話がしたかった。もどかしくてどうしようもないような気持ちは、ずっと生きてきて初めての感覚だった。全部、全部がキラキラに見えて、ハヤト、って名乗った名前だけをようやく見つけた宝物みたいに何度も口に出して確認した。
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