雪葬「僕は雪の日に死にたい」
長いキスが終わり、そのままジュンっちと抱き合ったオレの耳に聞こえてきた呟き。それをオレは平然と受け入れたし、その雪の日に彼の横にいるのは自分だと信じて疑わなかった。ぼんやりと、自分もその日に命を終えるのだと確信していた。
雪の日。ばあちゃんちがある青森じゃあ、雪なんて珍しくない。何でもない日に死にたいのだろうか。それとも、都会に雪が積もるような特別な日に死にたいのだろうか。オレにはよくわからない。そもそも、死にたいって感覚がオレにはあやふや。
「ジュンっちは死にたいんすか?」
ともすれば不躾な質問だろう。そんなオレの品の悪さも、ジュンっちは優雅な笑顔で受け入れてくれた。
「まさか」
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