星を数えて その日、事務所は賑わっていた。原因は俺たちだ。
東雲の作る菓子は華やかで、好きだ。その色とりどりの宝石たちが、応接室のテーブルに並べられていた。
ピスタチオの緑。ラズベリーの紅。チョコレートの茶。レモンの黄。バニラの白。ごまの黒。数えるならば片手では足りなくなってしまう。思いつく限りの色を、東雲は洋菓子に閉じ込めてみせた。
そんな数々のマカロンを前に、都合のついた事務所のみんなが楽しそうに話している。
「んだこれ」
「マカロンって言ってな、洋菓子の一種だ」
「ヨウガシ……? まぁ、食えるもんなら、全部オレ様のモンだなぁ!」
「人の話を聞いてなかったのか? これは一人一個だ」
「ああ? なんでチビに指図されなきゃなんねーんだ」
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