111strokes111 @111strokes111https://forms.gle/PNTT24wWkQi37D25A何かありましたら。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 317
111strokes111MAIKINGクロロレ飼ってる犬がきっかけでくっつかねえかなあという現パロです。(作曲家×パタンナー)二人が飼ってる犬はサルーキです。↑18?y/n 4038 111strokes111MAIKINGクロロレ飼ってる犬がきっかけでくっつかねえかなあという現パロです。(作曲家×パタンナー)二人が飼っている犬はサルーキです。犬の話(仮).5 故郷の砂漠を駆け回る犬が石畳の敷き詰められた街にいることが信じがたい。クロードはネヴァと街中のペットショップで出会った。運命に従うことを躊躇してはならない。客の視線に気づいた店員が彼女をケージから出してくれた結果、クロードは一般受けするような曲をいくつか書いた。そこそこヒットしたそれらの曲はいまだにクロードの生活を潤してくれる。 こうしてネヴァはまだふくふくと丸く将来の細長さを感じさせない子犬の頃に鼻先から尻尾の先までクロードのものとなり、クロードの助手席はネヴァのものとなった。ケージを使っていても犬を乗せるとどうしても車は汚れる。ここ数日、何故かネヴァは散歩に行きたがらなかったのでクロードは久しぶりに車の面倒を見ていた。 1996 111strokes111MAIKINGクロロレ飼ってる犬が理由でくっつかねえかなあという現パロです。(作曲家×パタンナー)二人が飼っている犬はサルーキです。犬の話(仮).4 ローレンツはネヴァに似ている。まだ一歳になるかならないか、という愛犬より成人男性であるローレンツの方がもっと前からこの世に存在しているが、クロードが存在を認識した順番の話なのでこれで正しい。 どこもかしこも細長く、それでいて筋肉質な身体つきやじっと何かを観察している時の首の傾げ方が似ている。それに見ただけでさらさらだ、と分かる真っ直ぐな紫の髪はネヴァの飾り毛のように風になびく。悪意に晒されずに育ったのか、天真爛漫なところも似ている。 「普通、助走つけて棒投げたりしないよな?」 きりの良いところまで作業を終えたクロードは大きなビーズクッションに埋まっているネヴァの毛並みに顔を埋めつつ、そう語りかけた。今は傷ひとつない身体だが、そろそろ避妊手術を受けさせねばならない。ノーリードが許可されている場所で遊ばせるには様々な条件がある。あの公園でローレンツに棒を投げてもらうのが大好きなネヴァからその機会を奪いたくない。 2018 111strokes111MAIKINGクロロレ飼っている犬がきっかけでくっつかねえかなあという現パロです。(作曲家×パタンナー)二人が飼っている犬はサルーキです。犬の話(仮).3 ネヴァは自分と同じくらい足の早いパブロのことが気に入ったらしい。匂いも鳴き声も完璧に覚えていて公園で会うたびに握れんばかりに尻尾を振っている。パブロのパパ、であるローレンツにもすっかり懐いていた。パブロもクロードに懐いているので別に不思議ではない。 「ほら、取ってこい!」 「陸上でもやってたのか?」 クロードは持参したピクニックシートに横たわりつつ、わざわざ助走つきで棒を遠投するローレンツに語りかけた。長身の彼が身体全体を使って投げるとクロードが腕の力だけで投げる時より遥か遠くに棒が飛んでいく。ローレンツは二匹が風のように駆けていく姿を見てからクロードの隣に腰を下ろした。 「高校で陸上をやっていた」 1987 111strokes111MAIKINGクロロレ飼っている犬が理由でくっつかねえかなぁという現パロ(作曲家×パタンナー)二人が飼っているのはサルーキです犬の話(仮).2 生垣の向こうにも犬連れがいるらしい。息遣いや飼い犬に話しかける飼い主特有の優しい声が聞こえて来て、自然と視線がそちらに向いてしまう。 角を曲がって入って来た犬連れの男性はかなりの長身でおそらくクロードより背が高い。紫の瞳に真っ直ぐな紫の髪、白く長い手足と華やかな見た目だがそれよりも連れている犬が気になる。近所ではあまり見かけない犬種なのだ。先方も全く同じことを思ったらしい。 「パブロ、あの子を見たか?君にそっくりだ!」 性別が違うと体格や顔立ちは異なってくるが、それでも飾り毛の色や生え方がよく似ている。犬種が同じであってもスムースコートと耳や後ろ足、そして尻尾に飾り毛のあるフェザーコートでは見た目が違う。飼い主から愛おしげに名を呼ばれていたパブロもネヴァと同じくクリーム色のフェザーコートだった。 1980 111strokes111MAIKINGクロロレ飼ってる犬が理由でくっつかねえかなあという現パロです。(作曲家×パタンナー)二人が飼っている犬はサルーキです。犬の話(仮).1 犬は飼い主の見た目を判断しない。収入を、身分を、立場を問わずひたすら飼い主を愛する。クロードを故郷や実家と繋ぎ止めていたのは愛犬だった。どんなに居心地が悪く、嫌な思いをさせられても残していった愛犬に会わずにはいられない。 子供時代を支えてくれた尻尾のある親友はクロードが進学で国を離れた頃から老いが目立つようになった。撫でるといぼの感触がして会うたびに目の白さが増していく。遠方での暮らしに耐えられそうにない、と分かっていたからこまめに帰省した。 残していった犬が亡くなって以来、クロードは里帰りをしていない。 「ネヴァ!」 クリーム色の大きな犬がクロードの声を聞いて長い飾り毛が生えた耳を動かした。大きなビーズクッションの上で寛いでいる姿は猟犬に見えない。だがいくつかの単語を聞いた瞬間の俊敏さは見事なものだ。 2022 111strokes111TRAININGhttps://poipiku.com/1455236/9493908.html以前書いた「さかしま」とは関係ないオメガバースのビッチングネタに前後合わせて5000文字くらい加筆したもの、です。↑18?y/n 9321 111strokes111DONE無双青ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。本文はここまで。2024.2.11ピクスク開催「5年目の同窓会」に合わせて紙の本にします。書き下ろしは晩餐会の話かマリアンヌちゃんの爵位継承の話になる予定でまだ一文字も書いていません!真昼の月と花冠.10───ガルグ=マク講和会議でベルグリーズ領とフリュム領がレスター諸侯同盟に割譲されるのは勿論、僕やマリアンヌさん、僕の騎士であるイグナーツくん、そしてラファエルくんの活躍あってこそだがそれも君の人選が正しかったからだ。西部派遣部隊として、短期間だがフェルディアに滞在したことがある僕と相性が良い者を選んでくれたことに改めて感謝する。 これでレスター諸侯同盟はアミッド大河の両岸と豊かな穀倉地帯を擁することになった。百年後も彼の地がレスター諸侯同盟のものであり続けるよう我々は努力せねばならない。他人の顔を奪って成り代わる者たちが跋扈していた土地だ。平民たちの間にもどんな禍根が残されているかわからない。 3527 111strokes111MAIKING無双青ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。全10話予定。真昼の月と花冠.9 クロードの目論見は悔しいが当たっていた。エーギル公、そしてシェズの仇である灰色の悪魔がディミトリとエーデルガルトの間には立ちはだかっている。ディミトリたちに助太刀が必要なのは確かだった。 何故か帝国軍はアリルからガルグ=マクへ直行するせず、ガルグ=マク周辺を彷徨っているのだという。軍議では罠かもしれないので各方面を力押しをするべし、という結論になっていた。しかしマリアンヌの意見は違うらしい。軍議の後、ローレンツたちは出立前にシェズと食事をすることになった。形勢が決定的になったと看做した商人たちが品を持ってくるので食事の質は以前より上がっている。ラファエルはイグナーツを連れて塊肉を貰いに行ってしまった。 2681 111strokes111MAIKING無双青ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。全10話予定。真昼の月と花冠.8 熊を狩る前に毛皮を売るような事態を避けるためディミトリもクロードもセイロス騎士団の意見を聞き、慎重に部隊を配置していた。クロードとの別れ際の会話がローレンツの脳裏に浮かぶ。 「魔道士の件、さっきも言ったが念を押しておくぜ。それと活躍、期待してるからな。ローレンツ先生。なんてったって今後のことが絡んでるからな」 「魔道士の件は他の者にも伝えておく。他人をあてにしないで君自身もこの僕のように奮闘努力したまえ」 だが離れて行動している間に随分と神経を使ったのだろう。ベルグリーズ伯を騙し、東側に引きつけるために本当に複雑な作戦を立てていた、と言う話が多方面から流れてきた。気取られないように演技していたが少し顔も疲れていたし、ヒルダが心配するのも納得できる。 2656 111strokes111MAIKING無双青ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。全10話予定。真昼の月と花冠.7 ガラテア領の合流場所に到着してみると既にクロードたちは前哨基地の設営を終えていた。円卓会議に出席する父に帯同してデアドラに来ていたのですれ違う顔になんとなく見覚えがある。だがそれでもローレンツはリーガン家の軍旗に里心を刺激された自分が信じられない。ほんの数節とはいえフェルディアにいたこともあるし、それなりに王国軍に馴染めていたつもりだというのに。 「ローレンツくん!みてください!クロードくんたちですよ!」 はしゃぐイグナーツがディミトリたちと話すクロードを指さした。彼らの傍にはヒルダもいる。父エルヴィンからの手紙によるとホルストもこちらに来ているらしい。 「先を越されるとは思わなかったな。一体どんな手を使ったのやら」 2669 111strokes111MAIKING無双青ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。全10話予定。真昼の月と花冠.6───ヒルダさん、直接お会いする方が先かもしれませんが、私の身に何かあった時のためにやはり手紙を書いておくことにします。帝国はフォドラ三国の中で最も歴史が長く領土も広い国でした。しかし今後、三国の有り様は変化を迎えることでしょう。レスター出身の私どもにとって望ましくとも帝国の人々にとって耐えがたいのは明白です。 王国軍にはアンヴァルで何があったのか把握している方は存在しません。私のみたところ、エーデルガルトさんは聡明な方でした。だからこそ帝国の方々は皆諦めきれないのでしょう。 こちらの主だった将に戦死者がいないことが不思議なほど抵抗は激しくなってきました。私が基地にある礼拝堂で祈りを捧げられるのは、今こうしてヒルダさんに宛てた手紙が書くことができるのはローレンツさんのおかげなのです。 3517 111strokes111MAIKING無双青ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。全10話予定。真昼の月と花冠.5───ヒルダさん、差し入れをありがとうございました。先日、義父からの手紙を受け取りました。返事を書かねばならないのですが多忙を理由にまだ書いていません。とにかく、それでようやくクロードさんの意図が分かったような気がしました。 それとヒルダさんがお尋ねの件について紙面に余裕があるうちに書いてしまいます。ラファエルさんは干し肉が大層気に入ったのかすぐに食べ切ってしまいました。イグナーツさんは休憩のたびにヒルダさんが贈った本を開いています。きっとこれから何度も読む、生涯お気に入りの本になることでしょう。ローレンツさんは茶葉が痛まないうちに飲み切ってしまいたい、とのことでしょっちゅう私どもにお茶をふるまって下さいます。 3449 111strokes111MAIKING無双青燐ルート準拠のクロヒル+ヒルマリです。全10話予定。真昼の月と花冠.4───ヒルダさん、そちらの皆さんもお元気でしょうか?私は今のところ特に問題もなく、ディミトリさんたちと行動を共にしています。彼らの要望で前線に加わることになったのは正直言って意外でした。と言うのもクロードさんがディミトリさんから信頼される、と私は考えていなかったからです。 やはりミルディンでグロスタール家がどんな目にあったのか彼らは知っていました。それでも、私どもとの合流を望んだのはやはりこれまでの内戦の影響があるのでしょう。 正確な居場所を今、書くわけにいきませんので省かせていただきますがファーガスはやはり寒いです。私は北の沿岸地方出身なので慣れているつもりでしたが、他の御三方と火に当たってばかりいます。僅か数節とはいえガルグ=マクで共に机を並べていた方たちがレスター出身の私たちを気遣ってくれることがありがたいです。 3309 111strokes111TRAINING「さかしま」とは関係ないオメガバースです。でもなんだかめんどくさかったので喪服の色の設定はあれを流用しました。(黒い服に白い襟締)クロロレオメガバースビッチング♡喘ぎを気にしない18歳以上ですか?y/n出オチの一発ギャグみたいな話です。 4722 111strokes111MAIKING無双青ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。全10話予定。真昼の月と花冠.3 一年間クロードたちに与えられるはずだった猶予は数節で終わってしまった。エーデルガルトが何を考えていたのかクロードには全くわからない。クロードが打った手のせいで本宅のあるエドギアどころか、自領にすら戻れなくなったローレンツは不本意ながらクロードと行動を共にしている。 クロードは最初、帝国軍の通行を妨害するためミルディン大橋を完全に破壊するつもりだった。橋の再建はどうしても北上したい帝国にやらせれば良い。シャハドは雪辱の機会を狙っているだろう。二正面作戦を避けるためにも南側にアミッド大河という蓋が欲しい。 円卓会議でそう発言すると四人の諸侯たちは全員強く反対した。そんなことをされるくらいなら、と言うわけでグロスタール伯もコーデリア伯も偽りの臣従作戦に参加している。何も知らないのはローレンツだけだ。 2483 111strokes111MAIKING無双青ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。全10話予定。真昼の月と花冠.2 パルミラの歴史は隣国から厭われ恐れられる歴史だ。頭ではそう理解していたつもりでもいざ体感してみると顔を覆いたくなってしまう。ホルストが何故あんなに学生たちから人気があるのかクロードにも理解出来てしまった。フォドラの首飾りにいる兵たちはここ百年、常に外敵に備えている。古強者が集う要塞ではあのローレンツすら緊張していた。 戦争は始める前の下準備で概ね勝敗が決まる。諸侯から提供された物資の分配は速やかに行われるべきだが同時に間違いがあってはならない。一昼夜かかるこの作業が終わればクロードたちは援兵として配備につく。 作業の邪魔にならないように、と言うわけで学生たちは大広間に集められていた。その大広間の中でヒルダは寛ぎきっている。壁の東側に大軍が展開しているというのに呑気に、香油の調合をしていた。手つきを見るにどうやら移液管の扱いには慣れているらしい。 2471 111strokes111DONE「かのひとはうつくしく」の番外編ですフォドラの卵1.デアドラ クロード=フォン=リーガンがリーガン家の嫡子として公表されたのは七九年のことだった。しかしエドマンド辺境伯は七六年にマリアンヌを養女としていたおかげで、公表される前からリーガン家に引き取られた行儀見習いの少年について把握していた。 ガスパール領のロナート卿のように見ず知らずの子供を養子にする場合と血縁者を養子にする場合は心構えが違ってくる。その微妙な機微を感じ取ることができたのも愛する娘を託してくれた妹夫妻の導きだろう。マリアンヌは出奔したエドマンド辺境伯の妹にもその夫にもよく似ている。 あの頃は女神の恩寵と言われていた血が薄まっていたことにどの国の者も焦りを見せていた。エドマンド家の本家もここ三代ほど紋章保持者は生まれていない。夫の家に伝わるモーリスの血が薄まっていることに期待したエドマンド辺境伯の妹は賭けに出て───負けた。 9591 111strokes111MAIKING風花雪月無双青燐ルート準拠のクロヒル+ロレマリ小説です。(くるっぷに置いてあるものと内容は変わりません)全10話予定です。真昼の月と花冠.1 フォドラという柵に囲われた羊の群れに花火を投げ込んだらどうなるだろうか。良き羊飼いであることを望まれ、柵の中に招き入れられたクロードは己の血をどう扱うべきか迷っている。ある者はクロードに流れる血を羊を喰らう狼の血と言うだろう。 将来、共に領地を治める同世代の貴族たちと信頼関係を構築するためクロードは士官学校へ行くよう祖父のオズワルドから言われた。パルミラには法学校と兵学校がある。だが、どちらも平民や下級貴族の子がのしあがるための施設なので王族とは関係ない。クロードは最初、集団生活に乗り気ではなかった。 「世間は偉大な書物だ。お前は本が好きなのだからまずは学校で読んでくると良い。それに運が良ければ将来の妻と出会えるかもしれないぞ」 2541 111strokes111DONEゆる〜い現パロ(警察官×教師)ですクロロレ離婚して再婚するやつ(仮)20 残業を終えたクロードに真っ先に反応してくれたのは玄関の照明だった。廊下の向こうに見えるリビングから明かりが漏れているのでローレンツはまだ仕事をしているようだ。一応ただいま、と声をかけてみたが気がついているかどうかは怪しい。 クロードにとって試験は受けるものだがローレンツにとっては作って採点するものだ。高学年向けの記述式のものともなると採点にはかなり時間がかかる。クロードは手を洗ってからリビングのドアを開けた。 「おかえり。やはり日は跨いでしまったか」 ローレンツは顔を上げ保護者たちからの結婚祝いに目をやった。彼の勤務校には何故か連名で壁掛け時計を贈る伝統があるらしい。 後で束ねたまっすぐな紫の髪が顔に合わせて軽やかに動く。問題作りも含めた試験期間中は美容院に行く暇などない。日頃から授業中は結んでいるらしいのだが自宅では繁忙期にしかみられない髪型だ。 962 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)ですクロロレ離婚して再婚するやつ(仮)19 朝の光が石畳を照らし冷え切った街を温めている。街はすっかり目を覚まし道路には通勤、通学用の車が連なっていた。ローレンツの勤務校では毎朝、当番の教員が子供を乗せた保護者の車を誘導している。誘導したところで渋滞は解消できないのだがそうしないとスクールバスが敷地内に入れない。 サングラスをかけたローレンツが車道の真ん中に立ってオレンジの誘導灯を振っていると運転席の窓が開いた。仕事に遅刻するかも、と焦る保護者になんとか納得してもらわねばならない。 「おはようございます。スクールバスを通すまでもう少しここでお待ちください」 「いやそれはわかってるわよ!それより先生!その指輪どうしたの?!遂にいい人できたの?」 967 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)ですクロロレ離婚して再婚するやつ(仮)18 リシテアがうんざり顔で黒く染まった指を拭いている。 「この手帳可愛くてお気に入りだったのに!このペン、さっきあんたに貸しましたよね?仕方ないとはいえ上の空がすぎません?」 クロードは考えごとに夢中になると無意識に物をいじってしまう。先ほど彼女からペンを借りた際にインクが切れかけている、と思ったところまでは覚えている。無自覚だったのでカートリッジ交換後に中蓋がきちんと締まっているか、まを確認していなかった。 人間は己の性分から逃げられない。それは時に己を追い詰め───時に己を救うこともある。 「ごめんな……」 教職員用出入り口でローレンツに会えなかったら自宅に直接届けよう、と考えながら封をしたクロードは糊が乾いていたことに気付かなかったのだ。半年前、アネットが引き止めてくれなかったら、封筒がきちんと閉じていたら、そんな些細なことで人間の運命は変わる。 968 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)です。クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)17 捜査が終了しようと抗うつ剤と白魔法で治療しようと自分があの捜査から───あの場から切り離されることはない。当時のクロードはそう感じたのだと言う。彼が言う通り関係者が入れ替わるだけで似たような事件は起き続ける。きっとその度に痛みや苦しみが蘇るのだ。そんな痛みはクロード個人の力で解決できない。 「クロード、それはあなたの権限が及ばない領域だわ」 ローレンツにとって子供たちは川を流れる水のようなものだ。教師たちは川底にいて、頭上を流れゆく彼らの行く末が少しでも良いものであるよう願うしかない。中には傷が癒えるまで抱きしめて、腕の中におさめてやりたくなるような子もいる。 だが、教師は親ではないのでそれは叶わない。ようやくクロードの境地の一端に触れたような気がした。アネットの助言とメルセデスの切り込みに感謝せねばならない。 960 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)ですクロロレ離婚して再婚するやつ(仮)16 精神科のリソースにも限界がある。治療を拒否する患者より医者や臨床心理士の言うことを聞いてくれる患者が望ましいし、理由はともかくクロードのように途中で消える患者など慣れっこだろう。 「まず自分のことを考えたのね〜?自分を否定的にとらえたのは何故かしら?」 「自分がこんな有り様だからローレンツが動揺している、と思った」 会えない間にまっすぐな紫の髪が少し伸びていた。気になって整えていたから願掛けとして成立していないと思う、と照れくさそうに微笑んでいたのに今は別々に暮らしている。 「待ってちょうだい。そこはクロードが責任を感じることではないわ。そうよね、ローレンツ?」 「僕の感情は僕のものだ!動揺という単語にも異議を唱えたい。それに責任を感じるなら尚更、医療に頼るべきではなかったのか?」 952 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)です。クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)15 メルセデスがローレンツたちに厳命したのは言葉を遮らないこと、だった。ローレンツたちはお互いの言葉に耐えねばならない。カウンセリングルームのインテリアは優しい色合いで統一されている。そして置き時計や花瓶など掴んで振り下ろせるようなものがない。 激昂したクライアントが暴力に及ばないよう工夫されている。花は飾られていないが壁紙は花柄だ。依頼人が心地よく過ごせるような工夫がしてある。そのコンセプトにローレンツは好感を持った。 「この男は共に暮らすこの僕を適当な嘘であしらい、心身の不調について隠した」 この思いは当時から全く変わらない。クロードは自分の闇に巻き込みたくない、と言っていたがそういう問題ではなかった。病める時も健やかなる時も共に、と女神に誓ったあの言葉は嘘だったのか。 952 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)14 ローレンツは物分かりがとても良く、クロードが勤務のせいで彼を放置しっぱなしでも機嫌を損ねるようなことはなかった。彼は彼で仕事で多忙だったこともあり、結婚したての頃は上手くいっていたように思う。 クロードがそう述べるとアネットの親友だというメルセデスはそうなのね、と言って頷いた。隣の椅子に座るローレンツは腕組みをして黙っている。話し合いってとっても難しいから私のことを頼ってね、と最初にそう言われたからだ。 それは彼が教え子たちに常々伝えていることでもある。殴り合いや口喧嘩よりもずっと難しいからこそチャレンジして欲しい、その手伝いをするから───その指導方針を知った時、クロードは柄にもなく感動したのだ。彼の教え子が増えれば多分この街は変わる。 969 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)ですクロロレ離婚して再婚するやつ(仮)13 保護者たちが子供の頃は毎日撃ち合いがあったと聞く。しかしローレンツにとって銃を向けられるという体験は実に恐ろしく中々忘れられそうにない。流石に翌日はどの授業も自習にしたが何かしていないとあの瞬間を思い出してしまうため、ローレンツは毎日十九時半まで職場にいる。 アネットも同じ時間に退勤する時は駅まで一緒に行くことにしていた。大学時代、キャンパスに迷い込んだ附属中学の生徒と間違えて声をかけたのがアネットとの出会いで、それ以来ローレンツは彼女に頭が上がらない。そのアネットが肘を掴んだのでローレンツは踵を返すのをやめた。路肩にはクロードの車が停まっている。 「何の用だ」 騒ぎになるのも嫌だったので仕方なく窓を全開にしていたクロードに近づくと彼は封筒を寄越した。住所が見知らぬ筆跡で書いてある。封がされていなかったので中を確かめようとするとクロードが捜査用に使っているペンライトを点けてくれた。確かに街灯の灯りだけでは心許ない。 960 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)12 家族が事件関係者になった場合は捜査から外されるのが通例だ。しかしクロードとローレンツは離婚が成立していたのでそのままリシテアの補助についている。 「あんたの元夫、どうやら正当防衛が認められそうですよ」 銃声と黒魔法の発動音は全く違う。事件現場となったバーが繁華街にあり安普請であったことから音がした順番に関して、複数の通行人から証言を取ることができた。銃声が先、アグネアの矢が後、と内容も完全に一致している。 「きっとローレンツ先生の日頃の行いがいいからだな」 睡眠不足のせいで目の下に隈を作ったリシテアがクロードを睨みつけている。勿論、クロードの書類仕事が遅いせいではない。 「あんたって本当に人のこと弄びますよね」 963 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)11 クロードにちょっかいを出されている間もローレンツの仕事用スマートフォンにはメッセージがひっきりなしに届いていた。供述を取りたいので後日、都合の良い時で構わないから署まで来て欲しいという警察からのものもあれば校長やアネットからのものある。元夫と違って真面目な警察官からローレンツの勤務校に連絡が入ったのだろう。 悔しい話だがローレンツは元夫が警察官なので捜査に理解があり逃亡の恐れなし、と判断された。だから今、自宅で誰からも邪魔されず食事しながら校長やアネットの生徒やローレンツを案じたメッセージを読むことができる。何かを食べながらスマートフォンを弄るなど実家にいた頃ならあり得なかった。これもクロードの影響で、どんなに足掻いても彼に灼かれた跡が消せない。 948 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)10 よりによって他人、とカテゴライズされたショックで言葉が出なかったクロードを尻目にローレンツは買ったものを冷蔵庫にしまっている。油断しきっている彼を後ろから抱きしめた。香水の好みは以前と変わっていないらしく甘い香りがする。腕の中におさめた身体は反射的に固くなったが耳元で名前を呼ぶと力は抜けた。 身体の向きを変えさせて味わった、彼の薄い唇の柔らかさや咥内の熱さ、薄くて少し長めの舌が絡みついた感触はあの頃のまま変わらない。以前のように快感に集中するため目をきつく閉じてクロードにしがみついてくれたら、と心の底から思う。 だが、ローレンツがこういう時に唇を塞いでなんとかなるようなタイプならそもそも離婚していない。最後に一度だけと縋った晩、彼はずっと白い身体を弄るクロードの顔を冷めた顔で見ていた。結婚前の厳しくも優しい視線とは全く違う。生理的な反応を見せ、熱く締め付ける内側と冷たい視線の格差にクロードは結婚生活の終わりを痛感した。仕事で心を麻痺させてやり過ごす日々は今も続いている。 970 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)9 離婚した時これでクロードの車には二度と乗らないだろう、ローレンツはそう思っていた。大柄なローレンツのことを考えてクロードが選んだ大きなオフロード車で助手席に乗り込むと体がシートに馴染む。 「職場放棄だなんてらしくないことしたな」 本当にどうしてあんなことをしでかしてしまったのだろう。 「反省している……」 本当は分かっている。筒の中に違法な薬物が入っていた、と教師が確認してしまったらあの生徒はその時点で少年院行きだ。少年院から高校進学することは不可能ではないが家庭のサポートがない子には難しい。筒がオーナーの手に渡った瞬間を狙って通報しようとローレンツはタイミングを測っていたが失敗した。 「何にしても怪我がなくて良かった。食い物とか飲み物とか買わなくて平気か?」 962 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)8 繁華街で黒魔法の使用騒ぎがあると警察無線が途端にやかましくなる。現場は薬の売人が溜まり場にしているバーで使用されたのがウインド程度なら外から確認だけして放っておくような店だ。 だが今回使用されたのは上級魔法であるアグネアの矢で管区内にあんなものをぶっ放せる人物はほんの僅かしかいない。クロードはそのうちの一名に心当たりがある。予感が当たっていて欲しいのか外れていて欲しいのか自分でもよく分からない。 現着したクロードの目に真っ先に入ったのはまだらに黒焦げになった店内と泣きながら謝り続ける生徒を落ち着かせようと抱きしめるローレンツの姿だった。リシテアに手錠を掛けられているバーの店主と彼は本来なら住む世界が違う。ガルグ=マクやデアドラにある名門校に勤められたのに彼はクロードと共にいることを選んで、離婚した後もまだベルグリーズに居着いている。 979 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)です。クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)7 生徒の人相や特徴をひととおり聞き出してから私用電話への着信拒否は解除しないが感謝する、と言ってローレンツは元夫との通話を終えた。 不登校もしくは不登校気味な生徒たちの顔と名前を下の学年から一人ずつ思い出していく。おそらくクロードが説諭したのは九年生の生徒だろう。父子家庭の次男で何度か保護者と連絡を取ったが必要性を感じていないのか反応が鈍く、安定した登校への協力は期待できそうにない。 それにしてもクロードには呆れてしまった。結婚していた頃は効率よく連絡を取るため時間割をシェアしていたが離婚した今は当然、そんなことをしていない。彼はどうやって今年度の時間割を手に入れたのだろうか。何にしてもあと十分早ければクロードからの電話を受けることはできなかった。離婚してから努力されても戸惑ってしまう。 943 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警官×教師)です。クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)6 先日、ローレンツが警察署まで迎えに来た五年生の児童は簡単に引き返せる。ナイフを見せびらかしてしまうくらい幼かったので周りの大人も早めに彼の問題に気づくことができた。 だが小銭欲しさに運び屋をするような子供は自分が何に関わったのか、を自分自身からも隠してしまう。止めてくれる大人がいない環境で育った子供は肯定される体験が少ない。自分を褒めてくれる悪い大人のために中身に気付かないふりをして頑張ってしまう。麻薬も金も筒状で蓋がついているポテトチップの容器に隠されてしまうと自由に麻薬探知犬が使えないクロードたちからは声がかけにくい。 現在、クロードから疑いの目を向けられている制服姿の少年は背の高さから言っておそらく八年生か九年生だ。とにかく腹の減る年頃なので普通なら彼が持っている炭酸飲料とポテトチップは午前中には全て胃の中に消えてしまうだろう。 948 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロ(警察官×教師)です。クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)5 紛争当時、子供だった世代が親となり子供たちを育てている。あの頃は毎日のように同盟派と復帰派の衝突があり、保護者たちは心に深い傷を負いながら育った。ローレンツは川向こうからきたあんたに何がわかると胸ぐらを掴まれる度、彼らの来し方に思いを馳せる。変えてやることは出来ない。 だが、辛うじて行く末だけはまだ確定していない。どんなに無力感に蝕まれていようとそれを思い出してもらわねば子供たちが巻き込まれてしまう。先ほど補導された児童との面談を終えたローレンツはスクールカウンセラーのアネットへの申し送り、という名目で先ほど使っていた面談室に舞い戻り紅茶片手に愚痴をこぼしていた。 「七年生の生徒から言われるならともかく……」 954 111strokes111REHABILIゆるーい現パロです(警察官×教師)クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)4 クロードが潜入捜査をしていた頃の相棒リシテアが自販機の前で立ち話をしている。相手は先ほどナイフを見せびらかした少年を担当した女性警官で、彼女の質問にいちいち答えていた。リシテアはクロードに気づいているが、噂通り本当に綺麗だったと言ってはしゃぐ彼女は黙って死角に立っているクロードにいつ気がつくだろうか。 ローレンツには署内で注目される理由がいくつかあった。近頃はめっきり少なくなったが黒魔法が使える者は住民票がある自治体の警察署に届を出し、講習を受けて免許を取得することになっている。おまけに彼の場合、その免許を見れば紋章保持者であることも分かってしまう。 だが署内の人々がローレンツに騒めく一番の理由はかつて出先の車内でクロードと二人、情熱的に過ごしていた際に職務質問をされたからだ。外側から車の窓を叩いたのは新人だった頃のリシテアで、説諭だけで済ませてくれた彼女にクロードは頭が上がらない。ローレンツはいまだに幸福な誤解をしているがいつ誰が誰を説諭したのか、はきちんと記録に残っている。 943 111strokes111REHABILIゆるーい現パロ(警察官×教師)です。クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)3 個人の事情とは関係なく職場での日常は続く。ローレンツの勤務先は六才から十五才の子供たちが通う公立校だ。地元の子供であれば出自に関わりなく全て受け入れる。紛争が終わる前に子供たちと校舎を守るため作られた高い鉄条網はまだ外すことができない。同盟派と復帰派の勧誘活動も激しい。 古代から中世にかけてここベルグリーズ地方はアドラステア帝国の穀倉地帯として知られていた。しかし八世紀ほど前、ガルグ=マクの戦いで帝国軍がファーガス神聖王国とレスター諸侯同盟の連合軍に敗北したことをきっかけにレスター諸侯同盟に割譲された。 ベルグリーズ地方はそれ以来、ずっと同盟領だが地元の者たちは余程のことがない限りアミッド大河の対岸からやってきたよそ者に心を開かない。ローレンツもまだ河の向こうへ帰れと言われるし、勤務中のクロードに浴びせられる罵詈雑言はもっと激しい。 946 111strokes111REHABILIゆる〜い現パロです警察官×教師クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)2 単身者用の官舎に戻る手続きは簡単だった。警官の離婚率は高い。同僚たちは皆、なんとも言い難い表情を浮かべてから二言三言の軽口を叩き、そのまま受け入れてくれた。どうか彼らの家庭は円満であって欲しい。 結婚生活は破綻してしまったがクロードはローレンツと暮らしていた部屋が今でも大好きだ。民間企業に勤めている友人たちに話すといつもあんな家賃の高い物件にどうやって、と驚かれる。 全てはクロードとルーツを同じくする市長が予算不足由来の官舎不足を解消するため強引に制定させた条例のおかげだ。ディベロッパーがマンションを建てる際はその地域で働く看護師、警察官、消防官、公立校の教師向けに低価格の部屋を総戸数の一割提供せねばならない。クロードたちは警察官と公立校教師のカップルであったのでもちろん対象となった。だが半地下で窓に格子が嵌っている、まるで百年前の使用人部屋のような粗末な物件を提供した業者も存在する。そのニュースを目にしたローレンツはひどく怒っていた。 937 111strokes111REHABILIゆるーい現パロ(警察官×教師)です。クロロレ離婚して再婚するやつ(仮)1 どんなものにも終わりは訪れる。あんなに愛し合っていたのに終わりは呆気なかった。署名済みの離婚届を役所に提出すれば終わる。 「僕の人生から出ていってくれ」 ローレンツがそう呟くとクロードは俺が提出しておくから、と言って離婚届を手に出ていった。君を当てにできない、と声をかける気も起きない。一粒くらいは涙がこぼれおちるかと思ったがそんなことはなかった。 鉛のように重い身体を動かす必要はない。付き合い初めの頃にアメジストのように綺麗だ、と讃えられた瞳をいくつかのダンボールの山に向ける。別居のための荷造りは簡単だった。仕事に忙しい彼は荷解きを終えないまま再び単身者用の官舎に戻る。あとは業者に任せれば良い。 936 111strokes111DONEクロード誕生日おめでとう🎉2023クロード誕生日2023 フォドラとパルミラには国交がない。だがクロード、いや、カリードが赤子だった頃に父の名で一度だけ非公式な捕虜の交換式が行われた。あんなことは父の治世で後にも先にも一度きりだったらしい。 「ここには一年前に息子を産んだ、と書いてある」 そうやって国境を越えた母の手紙をクロードに見せるため、祖父は机の奥から引っ張り出した。娘が敵国の王の息子を産んだのはやはり醜聞なのだろう。手紙は引き出しを外したその奥に隠されていた。手紙はほんの数行しかない。万が一に備えたのか他のことは何も書きたくなかったのか。 「これが俺の誕生日なのかな?」 文末には日付が記されていた。妃同士の対立が激しい後宮では乳幼児死亡率が異常に高い。一歳を過ぎてようやく知らせる気になったのだろう。 1031 111strokes111PASTクロロレプロポーズアンソロに寄稿したものです。教育的指導 若草色の髪と瞳の恩師からまだ領地に帰らずデアドラで自分の補佐をして欲しい、と言われた時ローレンツは間髪を入れず自分がベレトを支えて助ける、と宣言した。自領に戻れば今度こそ立派な嫡子として領主として生きていかねばならない。だから本当に助けられているのはローレンツの方だった。 全てを押し付けていったのだからこれくらいは使わせて貰っても構わないだろう、と嘯くベレトはローレンツの事情を知ってか知らずか主人を失った旧リーガン邸に居を構えている。ローレンツは円卓会議に出席する父グロスタール伯に随行する度クロードとデアドラで逢瀬を重ねたものだ。その中でもベレトが今、住み着いているリーガン邸が一番思い出深い。将来、クロードの自宅が職場になると分かっていればここではしたないことはしなかった。 6687 111strokes111DONEクロロレワンドロワンライ第100回「結婚」無双黄ルートの話です。寝落ちして30分遅れで開始しました。クロロレワンドロワンライ第100回「結婚」 民に信を問うた後にクロードはローレンツと結婚することになった。人前式でも構わなかったが東方教会の大司教から祝福を受けることにしたのは彼らに箔をつけるためだ。 二人の関係を強固にすることが情勢を安定させることに繋がる。この奇策を思いついたのが自分ではないことがクロードには少し悔しいがローレンツと手分けして親しい者たちに内密の話として告げることになった。 控えめにいえば暮らし向きが変わるので二人とも目が回るほど忙しい。久しぶりの逢瀬も最初の二時間は政務について語り合った。喉の乾きを覚えて黙り込む。 「お茶の時間にしようか。少し待って欲しい」 デアドラの本宅も別宅という名の拠点もローレンツは全て把握している。薬草を煮出すためのかまどが設られた薬局の中で彼は湯を沸かし始めた。やかんの蓋がかたかたと揺れ始めるのを待つ間もローレンツはあれこれと支度している。その姿を見ているとマリアンヌの言葉───馬も飛竜も数年前からお二人の匂いが混ざっていると言っていた───がクロードの脳裏に蘇った。マリアンヌはその手の冗談は言えない。ローレンツにどう告げたものかずっと迷っている。 1416 111strokes111SPOILERローレンツくん誕生日おめでとう🥳無双ネタ反映されてるのでカテゴリはネタバレにします2023ローレンツ誕生日 誕生日が近くなると料理人が給仕たちと何やら相談をし始める。今いる料理人は長子であるローレンツが生まれる前から館にいてそれこそ味の好みなど知り尽くしているはずなのに近頃の好みを聞き込むのだ。 幼い頃はそんな彼らの配慮に全く気付かず、毎年誕生日には好物をたらふく食べていた。長じた今は料理人たちの配慮に気付かないふりをしている。今年はそんな風に祝ってもらえない筈だったがローレンツはエドギアにいる。 フェルディアの政情が想定より不安定で魔道学院にはわずかな期間しかいられなかったからだ。これまで通りの暮らしは快適で、毎日女神に感謝の祈りを捧げている。だが他の者たちが親元を離れ、研鑽を積んでいるかと思うと焦ってしまう。 982 111strokes111DONEクロロレワンドロワンライ第87回「捕まる」無双黄ルートの話です。+3h↑18?y/nとりあえず本編は完結しました🫠🫠😅8/27こくほこで本にするための書き下ろしは一文字も書いてません🫠🫠🫠「全ての言葉あらゆる叫び全ての足跡に誤りがある。我々はそこに己の魂を見出し全てを思い出す。数多の叉路を彷徨い歩いた日々のことを」 7402 111strokes111MAIKINGクロロレワンドロワンライ第86回「返事」無双黄ルートの話です。+4h ↑18?y/n「薔薇の中に朝露の水滴が鎮座していた。そのとき、心に浮かんだ全ての思い出は芳しい光となり新しい世界が僕の前に現れた 」 7403 111strokes111MAIKINGクロロレワンドロワンライ第85回「桃色」無双黄ルートの話です。+2.5h ↑18?y/n「蜂の羽音が星と星を結ぶ糸となった。人の営みは時を満たし、大地を緩やかに進む。飛べずとも顔に砂がへばりつこうとも静かに互いの手を取る」 6250 111strokes111MAIKING無双黄ルートの話です。+2.5h服は脱いでいませんがいかがわしいことはしているのでワンクッションだけ入れておきます。「だが、死すら消せなかった眼差しと生き延びた魂の欠片が我々と共にある。影も光も等しく傷つき荒む世で翠風は砂埃を立てるがそれでも星は輝く」 6227 111strokes111MAIKINGクロロレワンドロワンライ第83回「視線」無双黄ルートの話です。↑18?y/n+2.5h「彼らは本当に夜露から姿を消したのだろうか。蒸気に姿を変えたかもしれない。我々はばら撒かれた彼らを乳鉢ですり潰せたのだろうか」 6173 12345