君と一緒にいる未来が見えた気がした マトリフの異変に最初に気づいたのはロカだった。最後尾を歩いていたロカは、前方のマトリフの歩く速度が遅くなっていると気付いた。
「大丈夫かマトリフ。背負ってやろうか?」
マトリフは高齢ゆえに体力がない。これまでに何度も彼を運んだ経験があるロカは迷わずに言った。だがマトリフの顔を見てロカは驚く。それはただ体力切れではない顔色の悪さだった。
「ああ……わりぃ……」
マトリフは足を止めたが、体がふらふらと揺れていた。そもそも、いつもなら自分から「疲れたから運べ」と言ってくるマトリフである。それが憎まれ口も叩けないのか、帽子を脱いで汗を拭っていた。
「おい、調子悪いのか?」
ロカは思わずマトリフの体を支えた。そうでもしないと今にも倒れそうだったからだ。その触れた体が熱い。布越しでもその体温の高さが伝わってきた。
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