師匠と朝寝がしてみたい「ここにいたのかよぉ」
ポップの声は早朝の酒場に響いた。昨夜の酒の匂いが充満した空気が、ポップが扉を開けたことで外へと流れていく。
カウンターに顔を伏せていたマトリフは、通りのいい弟子の声に瞼を上げた。だが眩しい朝日にすぐ目を閉じる。
「なあ師匠!」
ポップはマトリフの肩を揺さぶったが、マトリフは呻き声を上げただけだった。
「潰れるまで飲むなって言ったじゃん」
ポップはマトリフのそばにあったグラスに残った酒を見て顔を顰めた。ポップは懐を探ると財布を出す。
「すんません、お勘定を」
「もう頂いております」
酒場のマスターは店仕舞いの準備をしながら言った。ポップは財布を戻すとマトリフの腕を掴む。
「お世話様でした。次にこの人が来ても飲ませないでもらえます?」
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