帰り道大好きな人とお出かけ出来るなんて、本当に幸せだなって思う。
学校も任務もない日曜日の夕方。
規則的に揺れる電車に、狗巻先輩と並んで座る。都心から離れた位置にある高専に向かう電車は、次第に人が少なくなっていく。
昼過ぎから何となく出掛けた唯たちは、買い物をしたり、お茶をしたり。よくある普通のデートを楽しんだ。
唯は手元にある今日買ったばかりの服を入れた紙袋を、ぎゅっ握り締める。先輩が選んでくれたのは、桜色のワンピースだった。
電車の窓からは遠くに沈む夕陽が見える。電車内全体が、オレンジ色に輝いていた。
ちらりと狗巻先輩を盗み見れば、何やらスマホを覗いているようだった。時間でも確認したのか、すぐにポケットにしまう。
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