どうか、腕の中で 目を覚ますと、腕の中で幼馴染が眠っていた。そっと抱え直すと、小さく名前を呼ばれる。起きたかと思ったが、すぐに寝息が聞こえたから、寝ぼけていただけなのだろう。
昨晩は牙隊の飲み会だった。新人歓迎会の名目ではあったが、実際には飲みたい連中が開催しただけの飲み会。
私が居ると盛り上がりづらいという配慮、という言い訳で、一次会が終わるとすぐに引き上げてきた。
本当は、家で彼女を待たせていたので、早く帰りたかっただけだ。彼女は、私の家に一人でいるのを好まない。
案の定、帰宅すると彼女は飛びついてきた。腕の中に入れておけば安心できるのは、きっとお互い様なのだろう。
そのとき、指輪を買いに行きたいと言われた。家族向けの官舎が空いてからと考えていたが、欲しいのなら用意しない理由はなかった。
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