日々、ミハエルに恋人として愛玩されているシュミット。彼は今日、誕生日を迎えた。
「君って薔薇がよく似合うよね」
ミハエルがそう言うので、今年は花束でもくれるのだろうかと、シュミットはそわっとしながら五月の陽光降り注ぐテラスのガーデンテーブルでミハエルの次の言葉を待った。
ミハエルはもったいぶるように紅茶を一口飲み、シュミットもなんとなく間をもたせるためにカップを口に運ぶ。
「薔薇の花束を贈るのって、色にも本数にも意味が込められていて、特別だよね」
「そうですね。あなたがくださるとしたら…どんな花束をくださいます?」
シュミットは密かに胸を高鳴らせながらも、平静を装って問いかけた。
ミハエルは、訊かれることが分かっていたとでも言うように微笑み、
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