プレゼント・フォー、「よう姫さん! ちょっといいか?」
俺の軽口にくるりと銀のしっぽがなびく。俺の持っている荷物を認めると、笑みは少しだけ深くなった。
「なんだ? またオレ様に献上品か。懲りないな、アンタも」
「ま、そう言わずに受け取ってくれよ」
くしゃ、とキレイに包装されたプレゼントを手渡せば、呆れ顔で同期がため息をついていた。俺がこのお姫様に何かしらを貢いでいるのは多くの人間にとって見慣れた光景だ。こうやって俺は呆れるほどかわいい子猫の気を引きつつ、大人気なく周囲を牽制してみせる。まあ、戦いしか脳のないやつ曰く、それは無駄な行動らしい。誰もこの性悪をかっさらっていったりはしない、だと。そんなことはないと思うんだがな。
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