masasi9991 @masasi9991 妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 415
ALL 道タケ漣 妖怪ウォッチ 久々綾 デググラ かぶもも レクセル RMX クラテパ ヴァルフェン レオクリ ゼロクス ZXA 創作 ジクイア masasi9991DONEコロッケを作っているデググラできたてのコロッケ キミのどんな表情も好きだけど、一番好きなのは真剣な表情だ。そしてキミが真剣な顔をするのは、鉱床を掘っているときと、それから日々の台所で揚げ物をしているときだ。 大きな身体を覆いきれていないピンクのエプロンは、キミの動きに合わせて裾をひらひらと揺らしている。最高にかわいい。それを眺めてるだけでいくらでも時間が過ぎていく。 料理をしているキミに対して、見てるだけってのはちょっといけないんじゃないか。おれの飯でもあるんだから、ぼんやりしてないで手伝うべきだ。とは思うんだが、この家の台所はキミの身体の大きさに対して正直なところ狭すぎる。なかなか二人で並んで立つのは難しい。とはいえ最初はおれも野菜を洗ったり切ったりと細々と手伝ってはいたんだ。 1838 masasi9991DONE採掘中のデググラ冬の気分 洞窟の中、新たに見つけた鉱脈を辿って登ったり降りたり掘り進んだり危険な足場を渡ったりしてやっとたどり着いたそこは圧巻だった。ここまでの苦労で熱くなった身体もすうっと冷えるような、幻想的な場所……採掘師にとってはとんでもない穴場だ。 上も下も前も後ろも、四方八方どこを見ても透明なクリスタルに覆われている。どれも非常に透明度が高く、まるで氷でできた洞窟の中に立っているかのようだった。それにクリスタルの中に、自然発光する鉱石が混じっているのか、灯りを掲げるまでもなくあちこちでキラキラと光が反射している。洞窟の中だってのに、やはりまるで凍りついた冬の星の夜を思わせた。 息をゆっくり吐いたら白くなるような錯覚まで覚える。確かに洞窟はいつでもひんやりとした空気が漂っているが、実際には息が白くなるほど寒いわけじゃない。頭ではわかっているんだが。 953 masasi9991DONEメイドの日じゃないデググラメイドじゃない日 我ながら、別に全く似合っていないと思う。鏡の前でポーズを取ろうとしたけど、ポーズを取りきる前に思わず一人で吹き出してしまった。 「ぷふっ」 どうにかこらえて、小声で。もうすぐデグダスが帰ってくる頃だから。あまり似合ってはいないけど、びっくりさせることはできそうだ。笑ってくれるかな? 「ただいま!」 ちょうど元気のいい声が玄関から聞こえてきて、おれは慌ててそっちへ向かった。 「デグダス、おかえり」 いや、この格好で言うならそれじゃないな。こういう場合は、と考えてやっぱり一人で照れる。が、それどころじゃない。着慣れない服で慌てて階段を降りると、足がもつれそうになる。 このひらひらと長いスカートは、走り回るのにはあまり向いてないんじゃないか? 足に絡まって動きにくいし、その割にはまるで下半身に何も履いていないみたいでスースーするし! さらに裾で揺れるフリルのせいで足元も見えない。 1356 masasi9991DONEお昼寝をするデググラとろける「暑くないか? 硬いし寝づらいんじゃないか?」 「おれは暑いのは結構好きなんだ」 「そうなのか?」 「ああ」 おれの膝の上で、グランツが頷いた。うつ伏せで顎を太ももに乗せているグランツの肌はあたたかくて、おれはさらにもっと体温が高い。くっついているとどんどん熱くなってくる。ちょっと汗が。触れ合ってる部分がしっとりしてきた。これはおれの汗なのか、グランツの汗なのか? グランツのほっぺがおれの太ももにすりすりムニムニと押しつけられた。 「気持ちいい」 「ううん、そうか。おまえが大丈夫だと言うのなら……ふあぁ」 「ふわぁあ。……あははっ、あくびがうつってしまったな」 寝転がってるグランツはともかく、座っているおれの方が先にあくびをしてしまったというのはどういうわけか? 膝の上にグランツのあたたかみを感じているのがこれほどまでに眠気を誘うとは……。 1022 masasi9991DONE現パロの久々綾貸してたアレ「アレ返してください」 「なんだって?」 ドアが開いて即要件を言ったら、ごく当たり前の対応をされた。 いや、当たり前でもないか。当たり前から当たり前じゃない。 「なんで驚かないんですか? 僕だってわかってたんですか」 「インターホンが付いてる」 と、玄関を指差しながら。 廊下の奥になんだか殺風景な部屋が見える。久々知先輩の後ろにはまだ畳まれたダンボールも。やっぱり引っ越しの準備を始めてたみたいだ。 「カメラの死角に入ってたつもりなんですけどね」 「そういうことをするのは喜八郎ぐらいだよ」 「宇宙人とか泥棒かもしれませんよ」 「宇宙人の喜八郎か、泥棒の喜八郎かもしれないな」 「地球に生まれてしまった以上今更宇宙人にはなれませんし、こうなると期待に答えるには泥棒になるしかありませんね」 2046 masasi9991DONEすごく未来の土ガマ導線 水面はおれの足を変わらず押し返した。つま先でぴょんと跳ねる。水面は、鏡面、自然の中にぴんと張られた大気と水の境界線。しなって、つま先を跳ね返す。小さな飛沫が後に残る。 水面は透明に揺れている。きれいな水だ。近頃の水は随分ときれいだ。どうやらここ何十年かの最近かな。いっときは、どこもかしこも油に濁って目も当てられない様子だったってのに。 人がいなくなったからだろう。虫や動物もいなくなった。植物も、なくなった。全部形が変わった。いま、この森の中に生い茂っているものは、ほとんど金属製の機械混じりで、随分と質が違う。 最後に目が覚めたときから、世界はかなり様変わりしている。だがまあ、こっちは妖怪だ。長く生きていれば、そういうことはよくある。水の代わりのなさに安心した。変わらないものもある。 605 masasi9991DONE手を繋ぐデググラ手のひらの感触 不意にランプの火が消えた。途端にあたりは真っ暗になる。あいにく今日は月や星もない夜だ。夜目が利く採掘師にとっては、まったく何も見えないという程でもないが――。 「うーんどうしようか……一度、キャンプに燃料を取りに戻るか」 「頼んでもいいか?」 「もちろんだとも」 燃料切れになったランプの中を覗き込んでいたデグダスが、闇の中で力強くうなずいた。 こんなタイミングで燃料切れとは、準備不足だな。キャンプに置いてきた大荷物には追加の燃料を入れてきてはいるが、うかつだった。 「あれ? ということは、グランツはここに残るのか?」 「キミの方が夜目が効くし、足手まといになっちゃ悪いからさ」 「そんなことあるものか」 すっとこちらに差し出されたキミの手。黒っぽい茶色の手袋をしているが、不思議とその輪郭は暗い中でもよく見える。いや、おれがその手のことを見つめすぎているせいか。 993 masasi9991DONE猫耳のデグダスのデググラデグダスのもふもふ 毛足はちょっと長めで、髪と同じ甘いオレンジ色だ。一本一本がツヤツヤで太くて丈夫そう。だけど指に絡めるとふわふわで柔らかくて、最高の手触りだ。 撫でると毛と皮膚の奥にしっかりした骨が入ってるのもよくわかる。触るほどにもふもふでやわらかで、こちょこちょするとぴくぴく動いて、奥を確かめるように指でなぞるとしっかり太くてごつごつした骨が入っている。 さすがデグダスだ。 「グランツ、むむむ……そろそろ」 「くすぐったいか? もしかして痛い触り方をしてしまっただろうか」 「いや、そうではなくてな……あっ、にゃん!」 「あっはっは。それってムリして言うものじゃないんじゃないか?」 「そ、そうなのか? どうもおれは流行には疎くて、だにゃん」 3052 masasi9991DONEまだまだお昼寝をしていたデググラ連鎖的おひるね 3 あまりにも気持ちがいい。ぐっすり寝ている状態なのだと自分自身ではっきりと理解しているほどに、気持ちがいい。しかし十分間だけ、とデグダスに言われたことは覚えている。 十分……もう過ぎているんじゃないかな。半分以上ぐっすり寝ているこの状態じゃ、確信は持てないが。時計なんかもちろん見ていない。 眠っている? 眠っているのにこんな風に色々考えているのはちょっと変か。半分は起きているわけだ。それじゃもういっそのこと起きた方がいいのかも? 少なくとも十分は過ぎていそうだ。名残惜しいけど……。 目を覚ます前に、夢と現実の間で考え事をする癖がある。きっとキミの隣があまりに寝心地いいせいだ。 今も隣にキミがいるわけだし。どんな風に眠ったんだっけ。キミの匂いと草原の匂いに包まれている。頭を乗せている枕は、ちょっと大きすぎでムニムニしていて、少し汗ばんでペタペタしている。これをいつまでも借りっぱなしにしてちゃいけないな。しびれさせてしまう。 1199 masasi9991DONEいつものかんじのレクセルやいてる「あのさー、別に深い意味とかないし別になんとなく聞いてるだけだから答えたくないなら答えなくてもいいんだけどさー。レッドってああいう知り合い多いの?」 「ああいう?」 この返事は絶対わかっててわざととぼけてる。怪しすぎる。白々しく首をかしげたりとか……。そういうごまかし方って子供っぽすぎるよ。確かにいつも、わざとやってるわけじゃなさそうなときでも、意外と子供っぽいところあったりするけどさ。 「ボクがなんにも知らないと思ったら大間違いだよ」 「何の話だかわからねえな。ああとかこうとか、遠回しなやり取りは好きじゃない」 「だからさ」 更に問い詰めようとして、ボクはベッドから立ち上がった。そしたら向こうにいたレッドがすぐこっちに来て、屈んでボクをじっと見た。ボクももちろん睨み返す。 686 masasi9991DONEまだお昼寝をしているデググラ連鎖的おひるね 2「よく寝た! うわっ!?」 自分の寝言にびっくりして叫んでしまった。あまりにも気持ちよく眠っていたので、思わずその気持がそのまま声になって出てしまったが……、驚きのまま目を開くと、そこには青い空が見える。 ここはいったいどこだったっけ? とても静かな空におれのびっくりな叫び声が吸い込まれていったのが見えたようだった。ちょうどお昼の眩しさだ。ということは、お昼寝だ。なんて気持ちのいいお昼寝だったのだろうか。まだ身体もポカポカと暖かくて気持ちがいいが、そろそろ起きた方がいいかもしれない。なんとなく、採掘の合間の休憩だったような気がする。 しかし起きようと思っても、なんと左の腕にちょうどいい重さと暖かさの何かが乗っていて動けない。ソッと首をそちらに傾けて覗き込むと、空よりも深い色の青がキラキラ光って、しかもなんとなくいい匂いまでする。 594 masasi9991DONEお昼寝をするデググラ連鎖的おひるね 1 食事を取ったらしっかり眠たくなってきた。 今日の平原は天気がいい。ちょうどいい穏やかな風も吹いている。午前中の採掘で汗を流した身体もほどよくクールダウンできた。こんな午後はしばらくのんびり過ごしたい。モンスターたちでさえ木陰や川のほとりで昼寝をしている。 そして、デグダスも。おれより先に昼の片付けを素早く済ませ、すでにお昼寝の姿勢に入っている。 おれはどこで休もうか? そんなことを考える必要はない。デグダスの隣が一番、気持ちよさそうだ。 なだらかな傾斜になったふかふかの草原にごろんと寝転がっている。デグダスの身体はデカくて、遠目に見たら大きな鉱床のように見えることもある。それを考えると、どういうわけだか顔がニヤけてしまう。笑うのはもちろんいいこと、なんだが……。 943 masasi9991DONEちょっとエッチなデググラ 4122 masasi9991DONE「デグダス専属だ」ってグランツ本人が言ってる 女装 masasi9991DONEいちゃいちゃしてるデググラお料理へのこだわり「あっはっはっはっは! くすぐったいな! デグダス、おれの指まで食べちまってる!」 「ンわっ」 慌てて口を開く。しかし食べている途中に口を開くのは行儀が悪いので、急いで口を閉じる。恥ずかしさのあまり顔が熱くなった。行儀の悪いことをしてしまったせいもあるが、それはそうとしてグランツがニコニコ顔で、おれが間違えて食べてしまった指にちゅっとキスをしてみせたからだ。うーん、エッチだ。 「デグダス? うまかっただろう?」 「ああ! あっ。料理が、だな! とてもおいしかったぞ」 「そんなに料理が得意なわけじゃないが、キミがそう喜んでくれるならいくらでも頑張れるな」 「わっはっは。そうかあ」 などと笑いつつ、ちらちらとグランツの様子を見つめる。いやあまりジロジロと見つめてはいけない。はっきり申し上げるといやらしい目で見つめているのだ。よろしくないぞ! 我慢しなければ。 984 masasi9991DONE土蜘蛛さんと大ガマさんの出会ったときの話たそかれ「威勢の割にはこの程度か」 全く気に入らない。高いところから見下ろしてるその口ぶりが、ひたすら気に入らない。 おれよりも強いのは、ま、わかった。今の所は認めよう。しかしそれは今だけだ。 「ゲコッ」 大きく一声上げた。悲鳴のような、潰れた鳴き声になった。しかしあっちは見たところ人間に近らしいや。蛙の声色なんて判別付かないのだろう。 おれは完璧に人に化けている。その喉から急に蛙の大きな鳴き声が出た。すると相手は怯んだ。 「その足を退かせ!」 おれの胸の上を踏みにじる足を、払いのける。蛙の声に怯んだそいつは、足元を払われわずかによろめき、後ろへぴょんと飛んだ。 おれも跳ね上がって、起き上がる。這々の体だ。奴は、……ぴょーんと、軽い身のこなし。 1050 masasi9991DONEイレハン3人のお昼ごはん ゼロクスお昼どき こうして見ると、ヒト目を引くデザインだ。だけど同時に、すごく自然で、ごくありふれた姿だとも思える。こんなふうに街中にいても、ハンターベースでの打ち合わせ中でも、荒れ果てた戦場に立っていても。 「あれ?」 すぐにこっちに気付いて小さく手を振った。飾り気のない笑顔を浮かべた。手にしたトレーを慎重に水平に保ちながら、店の中のヒトビトに気を遣って避けてかわしながら、少し急足でこっちに来た。 「珍しいね」 なんて言いながらボクたちのテーブルにトレーを置く。それからハッとして、 「ここ、空いてるかな」 と尋ねた。 「大丈夫だよ、エックス」 「よかった。ありがとう」 そのやり取りを、ぼくの前に座っているゼロが視線だけ動かしてチラリと見る。 1497 masasi9991DONEまだお酒を飲んでいたデググラお酒はほどほどに そろそろ危ないぞ。いつもは背筋をピンと伸ばしているグランツが、おれの隣でテーブルにくたっと突っ伏してしまった。 「もうだめだぞ」 くったりしながらも、テーブルの上のジョッキを探して手がさまよう。幸いなことにテーブルの食事も飲み物も、もうほとんど片付いてしまっている。 そのかわりに、もうすっかりこのように出来上がってしまっている頃合いなのだ。 「こちらにどうぞ」 ふにゃふにゃのグランツの腰を抱えてこっちに引っ張ると、うーんと唸った。力を入れすぎたかな? 具合が悪くなってはいないだろうか。心配になって顔を覗き込むと、なんだか夢見心地のように目を細めていた。安心して肩に寄りかからせる。 「ここでいいのか? ……まくら……」 989 masasi9991DONEお酒を飲んでいるデググラ仕事の後の麦ジュース ずっしりと重たいジョッキは氷のように冷やされていて、表面に真っ白な霜が付いている。取っ手を握ると冷たくて重い、ちょっと痛いぐらいに。そいつを持ち上げてぐっと傾け、キンキンに冷えた中身を胃に流し込む。胃の中から全身へ、一気に冷たさが駆け抜ける。 「ぷはっ」 デカいジョッキの一杯を息を止めて飲み干した。一日の疲れでくたくたになった身体がしゃんとなる。 「いい飲みっぷりだ」 隣の席でデグダスがにこにこと笑っている。その前にも大きなジョッキが運ばれてきた。 店のあちこちに吊るされたランプのオレンジ色が、ジョッキの白い表面に、中身の琥珀色に、それにキミの瞳にも写り込んでチラチラ揺れている。 「だが飲み過ぎちゃいけないぞ。疲れていると酔いも回りやすい」 747 masasi9991DONE寝起きのデググラはずかしい寝言 ばたばたと階段を登ってくる音が聞こえる。もうそんな時間か。もうちょっと、眠っていたい。そんな事を考えているうちに、また意識がふっとまどろみの中に飛んでいく。 かと思うと、ドアが開く音。再び半分、目が覚める。まだ半分。開いたドアからごきげんな足音のキミと、できたての朝食の匂いが入ってきた。 いい匂いだ。キミが大きな手でこねたパンが焼ける匂い。 「……おいしそう」 少し起きる気になってきた。でもまだ意識が、半分……。 「グランツ!」 「ん」 キミの嬉しそうな声がすぐ近くで聞こえて、反射的に目が開いた。 「おはよう!」 太陽のような笑顔を浮かべたキミが、おれの顔を覗き込んでいる。 なんでここにキミが? そうだ、さっきキミがおれを起こしに部屋に入ってきたのは、わかっていたはずだったのに! すっかり寝ぼけてしまっていた! 895 masasi9991DONE状態”くらやみ”になったデググラの続き途中のR18シーンはそのうち書くかもしれない 7180 masasi9991DONEごはんを食べているデググラ熱いほどいい「あちっちっちっち。ふーふー。できたては、熱すぎるな! グランツも気をつけたほうがいい!」 「ふふ、そうみたいだな」 「ただ熱いだけじゃなく、身体の奥からこうガーッと湧き上がってくるような……汗が!」 「おっと」 「ん、かたじけない。とにかく腹の底から熱くなるぞ。うーん、しかしお腹が一番熱いのに、どうして汗は額から出るのだろう?」 「今度はこっちからも出てるぜ。ほら、こめかみの方だ」 「これまたかたじけない。……食べないのか? 飯は熱いうちに食え! とことわざにもあるじゃないか」 「ふはっ、それは実に正しいな。でもキミの汗が滲んでくるのに、つい見惚れちまって……」 「それはいけない。おれは逃げないが、熱いお料理は逃げてしまうぞ」 420 masasi9991DONE状態異常"くらやみ"のデググラ"くらやみ"「そこっ! 斜め二歩前に石がある! 要注意だ!」 「右かな? キミの方に避けたら……わっ。ふふっ、この温かい岩みたいなのはキミか」 「そう、間違いなくこのデグダスだ! いまのように、おれの方に来るようにすれば安全だ」 「ああ、やっぱりキミは頼りになる」 「おれは百人乗っても大丈夫な男だ!」 むふん、とデグダスの鼻が鳴ったのが、頭の上から聞こえた。凄いな、目を開くことができなくても、キミが傍にいるんだという安心感がある。このまま何も見えなくなっても、キミさえいれば困ることも何もなさそうだ。 「おれの他にキミの上に乗る奴なんか居るのか?」 「うん? いや乗るというのは例え話で……ロックたちももう肩車で喜ぶようなお年頃でもなくなってしまったし……」 1140 masasi9991DONEいちゃいちゃしてるデググラもぐもぐ ずーっとグランツのほっぺたがもぐもぐ動いている。ときどき、あーんと開いて次の一粒をぽいっと口に入れる。それは削り出したままのごつごつした宝石の原石のようだ。 「飴玉かな?」 もぐもぐしているほっぺに横から手のひらを当てると、見ての通りもにょもにょしている。柔らかめの感触だ。飴玉はこんなにもにょもにょはしないか。 「んー」 とひとしきりもぐもぐもにょもにょしつつ柔らかい返事が戻ってくる。青い目がおれを見上げて、もぐもぐ動く口元が最高の笑顔になった。ほっぺを触っていると、笑ったときにもむにっとした感触がある! この感触はいつも楽しい。いつでもうれしい発見だ。 「キミも食べるかい?」 「いいのか? おまえがあまりにもおいしそうに食べているので、ついつい気になってしまってな」 580 masasi9991DONE寝起きのデググラ寝坊する日 今日はすごく良い天気で、朝から外も賑やかだ。日曜の早朝マーケット目当ての人々が、家の前の街道を賑わしている。そうなると心なしか動物たちの元気もいい気がする。屋根の上の小鳥の鳴き声とか、近所のパン屋の犬が走り回る音だとか。 何よりこんな天気の良い日は、キミが朝早くから庭で体操をしている声が聞こえるはずなんだけど。身体を動かしながらかけ声を上げたり鼻歌を歌ったり。嵐でも来ない限り、キミは毎朝庭で体操をしているが、天気の良い休日はなおさら楽しそうな声が聞こえてくるものなんだ。 ところがそれが、今日は聞こえない。ちょっと不思議な気分になる。 だけど理由はなんてことはない、今朝のキミは寝坊をしているそうだ。 2827 masasi9991DONEチョコバナナとデググラチョコバナナ「ただいま!」 「おかえり。って外で言うのは変じゃないか?」 「うむ? いやいやちっとも変じゃないぞ。おれとおまえが居るところは家でも外でも家みたいなものだ。それが採掘師というものだ!」 「あっはっは。言われてみればそうだな! で、そいつを無事二つ買ってきた、と。いいのか、もらっちゃって」 「おいしいものは、一緒がいいだろう?」 「そうだな。じゃあ……」 「あーん」 「あ、ちょっとまってくれ」 「んあ」 「立ち食いってのは行儀が悪いんじゃないか。いくらお祭りだからって」 「そうだろうか? たまにのお祭りだからこそみんな羽目を外して……」 「棒のついたものをこんな人混みの中で食べるのは危険だ。そういうのを弟子たちが真似しても困るだろう? ほら、あっちの方にひと気のない休憩所があったから」 461 masasi9991DONEいちゃいちゃしてるだけのデググラくらくら「む?」 いつもの、不思議そうに首を傾げる仕草だ。振り向いた目は、優しい返事の割にギラギラと光っている。それはおれに向けられた光じゃなくて、このあたりのすばらしい鉱床たちに向けられたものだ。 そうだとわかっていても、くらくらしてしまう。 「どうした? いい鉱石でも見つかったか!?」 「いや、まだだ。今日はなんだかツイてないな……。それより、そろそろ休憩にしないか? もう弟子たちが追い付いてくる頃だ」 「おっ。そうだそうだ、今日はあいつらのためにとっておきの休憩の準備をするんだったな! いやあ、楽しみだなあ」 ギラギラしてた目が、弟子たちの話になった途端にパッと明るく柔らかくなった。壁にかけたランタンもいらないんじゃないかってぐらい、キミの笑顔は眩しい。まだキミのうっかりは出てないのに、その笑顔だけでつられておれも笑顔になる。 698 masasi9991DONE朝のデググラちょっとお得 いつもの通りのごきげんな朝だが、毎日はいつも同じではない。今日はおれが朝の当番。ばっちりおいしいごはんとお味噌汁を準備して、まだお布団の中の家族たちをお越しに回るのが当番の日の日課である。 ロックとロッタナの部屋を覗いたら、もうロッタナは起きて朝の準備をしていて、おれと目が合うと実に頼もしく大きな声で「デグダスにーちゃん、おはよう!」を告げ、そのまま力強くロックを叩き起こし始めた。 なんと頼もしいお姉ちゃんだ。いいやロッタナは一番下の妹だ。しかし立派に成長し、お姉ちゃん的なそんなお年頃に差し掛かっている……ということなのだ。 ここはロッタナに任せよう。ロッタナは実に頼もしいが、ロックが目覚めるのにはまだ時間がかかりそうである。ロッタナが叩けば叩くほど、ロックはお布団の中に潜り込んでいっている。すさまじい攻防だ。この戦いの邪魔はできない! 1423 masasi9991DONE修理についてのレクセル修理の話 ガタンガタンと容赦なく車両が揺れる。昔の物資輸送用の鉄道を再利用しているらしいから、文字通り線路も車両もガタガタだ。そのうちひっくり返るんじゃないかってぐらい。大きく開いた傷口を覗き込むと、中の部品も揺れている。 揺れと一緒にネジの一つや二つ、吹っ飛んでいきそう。 「そんなに心配するな」 「してないよ」 「そうかよ」 なんて相槌を打ちながら、レッドは苦々しく顔を歪めた。 車両の壁に寄っかかって横たわったレッドは、さっきから短い会話と苦い顔しかしていない。傷が痛いってわけじゃないだろう。多分。いつも、このくらいで痛いとかなんとか言うことはないし。この傷はいつもと同じくらいの、大したことのない破損のはず。多分そう。 1303 masasi9991DONE土蜘蛛さんと大ガマさんが出会ったときの話川のぬし 通りすがりの農民から、不思議そうな目で遠巻きに眺められる。ここらで見ぬ顔だといことであろうから、致し方のないことだ。しかし数日こうしていれば、きっとすぐに見飽きた顔だと思われるようになるに違いない。しばらくの間この付近に館を構えるつもりであるから、こうして顔を売っておきたいのだ。売れるほどの顔はしておらぬが、ともかく。 そういうつもりでしばらくの間、特に真昼のまったく妖怪の類など出そうにもないのどかな時間に、川のほとりに座って釣り糸を垂らしていた。別段魚も好きではなし、となると釣りというのもそう楽しめる質でもないが、先に述べた目的のため、餌も針もろくに付けていないような糸を川面へ。真っ昼間の陽気と相まって、川面は実に清浄である。良い土地だ。 1093 masasi9991DONEホワイトデーの続きのデググラホワイトデーの夜「うーん、マシュマロって甘いんだな」 「あはっはっは、そうだな。二人で食べるにはあの量は多すぎたな。もうちょっと飯が多ければよかったんだが」 「うんうん。からい物がもっとあればもっと食べれたな!」 「ま、仕方がないな。残りは持って帰ればロッタナたちも喜ぶだろう」 「こうして目をつむっていると、みんなの喜ぶ顔がまな板に浮かぶようだ……」 「それを言うなら瞼の裏じゃないか? あはははっ」 「むっ、確かにここは瞼の裏……」 「あははははは! もうほとんど夢の中みたいだな」 「いやいやまだ起きているぞ。今日は待望のテントで野宿だもの」 「そんなに野宿が好きなのか?」 「しかし家のお布団も好きだ。どちらも楽しい。そしていつもここにおまえが居るし……む、むむむ、今日はいつもにもまして……近い!」 829 masasi9991DONEホワイトデーのデググラホワイトデーのお楽しみ 今日は随分と大きな荷物を背負っているな、とは思っていた。それに家を出る前から上機嫌だ。荷物の中身は、教えてくれなかった。だからきっとおれがあっと驚くような素敵な何かが入っているに違いない。 三月とはいえまだ寒く、日が暮れると山の上には雪もちらつき始めた。とはいえ、ひどくはならなそうだ。そんな日の野宿は結構楽しみだったりする。テントの前で燃やし始めた焚き火がかなりごきげんだ。焚き火を前に、鼻歌まじりで夕飯を準備するキミも同じく。 「もうそろそろこれの正体を教えてくれって顔だな」 小さな岩に腰掛けたキミが、大きな荷物の中から取り出した大きな袋をポンポンと叩きながら笑って言った。 食事を作る間、キミはそれを焚き火から庇うように大きな背中の後ろに置いていた。時々、待ちきれないといった様子でチラチラとそれを見たり、袋の上から触って確かめたりする。しかしやっぱり焚き火には絶対に近づかないように厳重に……なんてやっているのを見ると、おれもすっかり楽しみでわくわくしてきた。 1049 masasi9991DONEおみやげを買ってきたデググラうっかりのおみやげ 今日のおみやげ。片手に下げた袋の口から、真っ白い湯気が立ち上っている。湯気はほかほかで、袋を握っているおれの手もじんわりとあたたまる。夕暮れの寒さの中で、それはとてもわくわくするあたたかさだった。それにおいしそうな匂いも漂っている。 わくわくの足取りで家に帰るところだった。これが冷めてしまわないうちに早くお家に帰らなければ! いつもより遠回りになってしまったので、慌てて速歩きだ。しかしわくわくでもあるし、急ぎすぎて袋を振り回しちゃいけない。中身は大切なものだ。 わくわくしながら慎重に、速歩きで、なかなか難しいが……しかし家に帰ってこれをみんなで食べることを考えると、ちっとも苦にはならない。 そんなこんなで気がつくと、もう見慣れた我が家の前だった。玄関が開いて、ちょうどグランツが出てきた。 1304 masasi9991DONEバレンタイン後のデググラかわいいチョコレート 2「あっ! おれのチョコレート!」 「あっはっはっは。キミももう仕事終わりか?」 「うん、そうだ。どうした、おれのチョコレート。今日は一段とニコニコだな。採掘でいいものでも見つかったのか?」 「いやぁ、あははっ。キミの顔を見ると嬉しくなってしまって。今日に始まったことじゃないけどな!」 「そういえば今朝も昨日も一昨日もおれのチョコレートは笑顔だったなぁ」 「ふっふっふ。キミのおかげでね」 「ムフフそれほどでも!」 なんて他愛のない話をしていると、キミの隣にいたロックが「あー……」と何かに気付いたようにうなずいた。 「兄ちゃんのそのチョコレートっていうの、グランツさんのことなのか。なんで朝からずっとオヤツを要求してるんだろって思ってた。しかもすごく偉そうに」 996 masasi9991DONE平釜合戦のあとの土ガマ戦のあと あいつが喜びそうなものっつうのは、これ以上なくわかりやすい。甘いモンと気取ったような骨董品。質のいい貴金属やら着物にも喜ぶが、なんといっても間違いねえのがこの大ガマ様だ。 オレが持ってきゃ間違いねえんだ。こんな簡単な話もねえ。 「いやそういった話ではなくてですね……」 「いいやそういう話だぜ。あんな単純な野郎のためにお前らがあれこれ気を使う必要もねぇよ」 「そりゃお館様が勝手に一人で個人的にご交流されるというのならそうでしょうけど、あっちとこっちで軍を構えてる手前というもの」 「なァヒライ神、お前その固い頭でよくも今までオレに仕えてくれたよな」 「え」 帳簿やら何やらと睨み合ってウンウン唸っていたヒライ神が、スッと顔を上げて怪訝な顔でオレを見た。 596 masasi9991DONEお留守番のレクセル留守番 つまんないな。ほんとにつまんない。もう一万回ぐらい文句言ったけど、つまんないのはつまんないんだから何回「うるさい」って叱られたって黙ってられない。ま、その文句を言う相手も、とっくにどっか行っちゃったから、流石に今はもう黙ってるけど。一人で騒いだってつまんないし。つまり、やっぱつまんない。 今日はお留守番だってさ。お留守番ってさぁ……。怪我したのはボクの責任だし、置いてかれたのはしょうがないけどさ。ついて行って足手まといだろうし。それよりは残ったほうがいいってわかってるよ。ボクはそういうとこ物分りがいいんだよね。そう何度も言ったのに、ちっとも分かろうとしない! だいたい、そろそろ長い付き合いなんだから言わなくったって分かるべきだよね。 926 masasi9991DONE一緒に暮らし始めて初日のデググラぶかぶか キミは身体が大きいし、力も強いから、家の中にいても足音が結構響いて聞こえる。どすんどすん。乱暴な歩き方というわけじゃなく、しっかり床を踏みしめているような足音。それにドアを開けるときの音も大きい。もちろんそれも乱暴な音というわけでもなくて――いや、もしかしたらおれがキミの出す音とか仕草とか、覚えすぎてるからそう感じるのかもしれない。これまで一緒に住んでいたというわけでもないのに。 だけど今は、ドアが開かれるまで全く気が付かなかった。夢中になりすぎてたんだ。 「わっ」 急な物音に驚いて、後を振り向くとキミがぽかんと口を開いて立っている。 「で、デグダス……これは、その」 なんとか言い逃れのようなものを考えなければ、と思うけど全く一つも考えつかない。 1484 masasi9991DONEバレンタインのデググラ 4666 masasi9991DONE猫の日のデググラもしもの日「まるで猫ちゃんみたいだな」 おれの頭をなでていたデグダスの手がちょっと離れてしまった。でも枕代わりのキミの大きな膝のぬくもりがあるから寂しくはない。頭の上でムフフと笑った声が。 「もしもおれが本当に猫だったらどうする?」 「ううん? もしもグランツが猫だったら……? しかしグランツはグランツ……だよな」 「でも実は猫なんだ」 「だとしてもグランツがグランツである以上、やることは一つ! ……なでる! よしよしよしよしよし!」 「ふはっ、ぁっははははっ。そんなにされたら、っふふ、あははっ!」 膝の上に戻ってきた手がおれの頭をぐりぐりし始めた。ちょっと乱暴な手付きで、首筋の方までぐりぐりと、なで回す。後ろ髪が解かれてしまいそうだ。でも、それもいいな。 597 masasi9991DONEゼロクスまどろみ 必要ないと君は言う。あるいはそれは君なりの気遣いのつもりなのかもしれない。そうなのだとしたら、君が目を閉じる瞬間がオレは少し怖い。 スリープモードから目覚めるとき、オレの脳髄は周囲の状況を素早く把握するために一瞬ビジー状態になる。通常なら光を絞る役目のアイカメラの瞳孔部分が開ききって、そこにある風景だけが詳細に目に映る。眩しい。目が覚める瞬間は、いつも眩しい。 スリープモードに入る以前に見た風景とは違う映像が目覚めた瞬間にだけ見える。身体は動かない。これはヒトの言う「まどろみ」に近いものだろうか、と解答を得ようもないことを時々考える。 そして、それからいつも……眠るとき、いつも、ではない。特定の状況下ではいつも、同じことをする。身体も動かせないまま、脳髄に流れ込むひどく鮮明で眩しい風景の中に、君の目を探す。静止した一瞬の風景のどこかで、その両眼が開いているのを。 622 masasi9991DONE土ガマいちゃいちゃしてるだけ季節外れの「遊んでくれよ、つれねぇなァ」 ふん、と鼻を鳴らして振り向かない。こいつの朴念仁は今に始まったことじゃあねえから、慣れている。朴念仁……そいつは違うか。おれと長く連れ添うぐらいの好き者だ。しかしとんでもねぇ気分屋だ。 「寒ぃな」 おっとしまった。言わないつもりでいたんだが、ついつい口をついて出ちまった。でも実際寒いんだから仕方がない。広くこざっぱりとした座敷には、小さな火鉢が文机の隣にぽつねんと置いてある。文机に向かって座る土蜘蛛さんと、おれの隣にだ。しかし暖を取るにはあまりに心もとない。おれのような蛙でなくとも、本来人であった身には堪えるんじゃないか。 こいつは弱音を吐かねえ強情なだけで、本当はやせ我慢なんだろうが。なにしろいつもの部屋着の着流しに、分厚い襦袢をかぶっている。その背中におれはどっしりと寄っかかっているわけだが、固く丸くなってぴくりとも動かない。 1159 masasi9991DONEバレンタインのデググラチョコの予言「まずはじめに言っておく。今年はチョコレートは必要ない」 「うん?」 ソファに座ってのんびりしていたグランツが、振り返ってこっちを見た。目をまんまるにしてパチクリしている。まつ毛がわっさわっさと動くので、そのパチクリパチクリはとてもわかりやすい。 そうだろうなあ。驚くのも無理はない。だってチョコレートの必要ないバレンタインなんて、あるはずがないじゃないか。バレンタインに大切な人へ感謝を伝えるためには、チョコレートが必要不可欠なのだからな! 「順を追って説明しよう。なぜ今年はチョコレートが必要ないのか! その理由は」 そこには大きな秘密がある。おれは落ち着いてその秘密を説明するために、コホンと咳払いを行い、さらにチラッと後ろの台所へ視線を向けた。 1585 masasi9991DONE現パロ朝のデググラ隠し撮り 半分起きてるような、半分寝てるような朝のこの時間が好きだ。朝に強いキミが先に起きて家のことをやっている。台所の方から物音が聞こえる。朝食のいい匂いがし始めると、そろそろ起きなきゃいけないと夢の中で考える。でもキミの料理してる音はずっと聞いていたいし、キミの鳴らす音を邪魔したくない。 色々と考えて、結局キミが起こしに来てくれるまで、毛布をかぶって待っていてしまう。 そんな時間が好きだ。でも今日は、ちょっと変だな? おれを起こしに来たはずのキミが、おれを起こそうともしないで、じっと枕元に座り込んでいる。 多分、座り込んでいるのだと思う。台所の方からキミが来た、と思って開きかけていた薄目を慌てて閉じたので、実際にキミがそこに座ったところまでは見ていない。でも座った音と気配は確かにあった。おそらくは間違いないと思う。 1666 masasi9991DONEレッドがアクセルくんを拾った直後の話殻のベッド メンテナンスルームに散らばったガラス片が、気流に煽られた機体の振動に合わせて床の上を跳ね回った。開きっぱなしのドアから差し込む廊下の照明を受けた破片だけが白く照り返す。室内の電気系統は切れているらしい。 「怪我はないか?」 「そこのベッドから逃げ出したヤツ以外には」 物陰から顔を出したメンテナンス担当の技術士が肩を竦めた。なんでも、メンテナンスポッドで目覚めたヤツは突然暴れ出すと、技術士の静止も聞かずにどこかへ逃げていったそうだ。 ビーカー型のポッドはレプリロイドの拘束具としてもそれなりに機能する――と、常識的に認識していたが、あいつに対してはそうでもなかったらしい。そこら中に散らばっているのは、内側から破壊されたポッドのガラス片だ。 1056 masasi9991DONEおでんを食べてるデググラあつあつおでん「あちちち」 「ちゃんとフーフーしたか?」 「うううん。あふあふ。む?」 熱いけれども一度口に入れてしまったものは仕方がない。それにうまい。出汁のよく染み込んだ餅巾着をがぶっとかじって、中のおもちを伸ばしつつ一口食べる。うまい。そしてアツアツ。はふはふだ。 そんなおれのほっぺたを、ひんやりした指がピタリと触った。 「火傷してないか。赤くなってる」 グランツの指がこしょこしょしながら動いて、おれの下唇をふにっと触った。やっぱりひんやりとしていて、おでんのあつあつにびっくりした唇に気持ちいい。 「むむむむ……。うん! 大丈夫だ。熱いのは得意なんだ! それより、おまえの手は冷たくなっているな」 「あはは。火傷を冷やすのにちょうどいいだろ?」 525 masasi9991DONEいちゃいちゃしてるデググラ見えるところに このへん、な気がする。指で触れてみると少し熱を持っているような感覚があるから。でも自分じゃちょっと見えないな。鏡の前で後ろ髪をたくし上げてみたところで、自分のうなじを見ようにも限界がある。 感覚だけは確かにあるから、ひたすらもどかしい。 鏡がもう一枚あれば見えそうではある。手鏡か何か、部屋に取りに戻ろうか。でももう服も脱いでしまったしな。 「おばんです! グランツ! わひゃっ」 「あれっ?」 脱衣所のドアを勢いよく開けて、デグダスが入ってきたかと思ったらすぐに回れ右をして出ていった。 ドアの上の部分のすりガラスに、向こう側にいるキミの頭がぼんやり透けて見えている。赤毛の後ろ髪だ。あっちを向いて、モジモジしているらしい。 1460 masasi9991DONE朝の土ガマ日頃の朝の まったく腑抜けた顔をしておる。こやつの顔など見飽きたものだと思うてはおるのだが、見るたびに新しく驚いてしまう。自然と閉じられて開く気配のない目元もそうだ。呼気にあわせてぴくりぴくりと動く小鼻もそうだ。だらしなく開かれた口元もそうだ。覗き込めば唇の奥でどろんとした舌がてらてらと光っているのまでも見えるし、それも呼気や鼓動にあわせて蠢いていることもわかる。そうして口を大きく開いている分、頬は丸く緩んでいる。 吾輩が知る限り、これは本来野山に生きる本性を持つはずなのだが。こうも無防備で眠りこけても良いものか。他人事ながら心配になる。いや、他人どころか敵同士であるはずだ。それが敵地にあってこのようにだらしなく、ぐったりと朝寝をして、いつまでも起きない。 782 masasi9991DONE暑い日の現パロ久々綾食欲がない 久々知先輩が床に落ちている。これは珍しい。 安アパートのドアを開けた瞬間に内側から生ぬるい風が吹いてきた。なんだこれ? 当然ながら外の方があっついし湿度も高くてかなり不快だ。だから僕も室内を求めてここまで来たんだし。現代人の住居なんだからクーラーぐらい大抵は付いているから、と。 なのにドアを開けてまず最初に浴びたのが、外よりはマシかもしれない程度の生ぬるい空気。なんで? 事件? わけがわからないけど取り敢えず家に入る。で、狭い玄関でサンダルを脱いで……先輩の靴、あるな。居るんだ。と思って視線を部屋の方に向けたとき、床に落っこちてる先輩を見つけた。 なんにもないのに床に落ちている。例えばそこにトラップとがあるっていうなら、わからなくもない。天井に穴が開いてたりしないと天井を見上げる。開いてない。つまり上の階の廊下に開いた落とし穴からこの廊下に先輩は落ちてきたってわけじゃなさそうだ。そうだったら面白いのに。 1614 34567